安全教育学研究
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17 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • ― 中学校技術・家庭科及び高等学校家庭科に焦点を当てて ―
    末川 和代, 天野 晴子
    2017 年17 巻1 号 p. 3-18
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2025/08/20
    ジャーナル フリー
    本研究では、中学校技術家庭科及び高等学校家庭科における、防災を含む家庭生活の安全に関する学習内容の変遷を明らかにした。
    戦後から現在までに施行された、両校種の家庭科の学習指導要領、学習指導要領解説、及び指導書を研究対象として、次の研究方法を用いて分析を行った。①学校安全の三領域を視野に入れた分類を設定した。②分類に基づき、安全について言及した記述箇所を抽出し、③それらを防災に関する学習内容、事件・事故に関する学習内容、交通事故に関する学習内容に区分した上で、時系列的変化を明らかにした。
    分析によって、特に防災に関する学習内容の変化は、中学校の場合において顕著に現れた。昭和22年度中学校学習指導要領は、様々な生活の側面から、防災について学ぶことができるよう編集されていた。しかし、昭和26年度の改訂で大幅に縮小されると共に、次の昭和32年度の改訂以降では平成20年度中学校学習指導要領解説が刊行されるまで、扱われなくなった。他方で、昭和32年度と昭和44年度の改訂では、教育政策や家庭生活を取り巻く状況が反映された事件・事故に関する学習内容が設けられ、これらの内容は以降の学習指導要領で定着した。平成20年度中学校学習指導要領解説では、住宅内で発生する事故に関する学習の中に防災が扱われていた。
  • 藤本 一雄, 木村 栄宏, 伊永 隆史, 室井 房治, 戸塚 唯氏
    2017 年17 巻1 号 p. 19-31
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2025/08/20
    ジャーナル フリー
    本研究では、従来、「稲むらの火」に代表される防災の観点のみに着目して取り上げられることが多かった「濱口梧陵」の功績について、多数の文献・資料を収集して、防災・防疫・防衛面での功績について再評価を行った。その結果、濱口梧陵は、防災面での「安政南海地震の津波からの避難誘導」と「広村堤防の建設」だけでなく、防疫面では「銚子でのコレラ防疫」と「お玉ヶ池種痘所の再建への寄付」、防衛面では「広村崇義団の結成」と「広村稽古場の設立などを通じた教育事業」に取り組んでおり、これらの面でも先駆的かつ卓越した功績をあげていたことを確認した。また、最近の教科書等において濱口梧陵が取り上げられている事例を調べたところ、防災面での功績に限られていることを確認した。これらを踏まえて、濱口梧陵の防災・防疫・防衛面での功績が、1)低頻度・巨大損失事象の体験・教訓の伝承、2)リスクマネジメントとクライシスマネジメント、3)自助・共助・公助の点において危機管理教育における有効な教材となりうることを論じた。
  • ― 英語活動と図画工作を事例に
    森 康成, 中野 晋
    2017 年17 巻1 号 p. 33-50
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2025/08/20
    ジャーナル フリー
    著者らは学校における防災マニュアルと教科学習の間の連携が効果的にできる教材を開発することができれば、防災教育がさらに推し進められると考えている。資料調査(2014年6月~2014年9月)のあと、防災教育の実態に関して西日本の35の学校や教育委員会を訪問調査し(2014年10月~2015年12月)、効果的な教材を開発し(2014年7月~2015年3月)、教育現場に提案した(2015年3月~)。開発した教材は小学校の英語と図工における避難行動と訓練に関するものである。図工では「逃とぐつ」と名付けたが、トートバッグと日本語の逃(トウ)を組み合わせた造語である。英語での「英災学習」は英語の(エイ)と災害の(サイ)の造語である。「逃とぐつ」の説明は兵庫県の北淡震災記念公園で子供や大人に2015年の3月~9月に行った。「英災学習」は1大学2高校の学生・生徒に2015年の9月から11月に行いアンケートを実施した。結果は「英災学習」は英語と防災の学習に役立つというものであった。「逃とぐつ」の説明を聞いた人たちは肯定的な感想を述べた。これら2つの教材はすでに調査で訪れた学校へ提示して肯定的な所見を得た。
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