安全教育学研究
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18 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 松尾 浩希, 笠次 良爾
    2019 年18 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2019/06/14
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー
    本研究は、生徒・学生の学校種別の熱中症に関する意識調査を実施し、調査結果より学校現場での熱中症対策を学校安全における教育と管理の観点から検討した。 対象は、A県内の中学・高校一貫校の男子運動部員である生徒81名(中学生40名、高校生41名)およびA県内の教育大学運動部学生52名、計133名を対象とした。方法は、熱中症に関する講義受講前の対象者に対して熱中症に関する意識について自記式質問紙調査を実施した。統計学的検定はχ2検定を行い、有意水準5%とした。有意差を認められた項目については残差分析を行った。 結果は、熱中症について学習したことが「ない」と回答した中学生が有意に多かった(p<0.05)。練習ではいつも塩分を用意して「いない」と回答した中学生・高校生が有意に多かった(p<0.05)。WBGTという指標を知らない、利用していないとした回答は校種間に有意差がなく、かつ全学校種とも多かった。 学校現場における熱中症対策としては、保健体育教科の学習進度に合わせながら教育で育てる、管理で護るとした生徒・学生指導に変えていく必要があると考えられる。特に運動場面では生徒・学生自身による自己管理に頼りすぎるのではなく、熱中症の危険性を理解した指導者が、日頃から生徒・学生の変化を見ながら管理することが必要であると考えられる。
  • ― 子どもの安全確保行動の視点から ―
    清永 奈穂
    2019 年18 巻1 号 p. 9-22
    発行日: 2019/06/14
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー
    幼稚園・小学校(以下「幼・小学校」)で行う犯罪からの安全教育カリキュラム中に、子どもたちが犯罪者と遭遇・対峙した時、その危機を予測・回避・克服するため「その時どうする」といった知恵や行動を取り入れる必要がある。子どもたちと関わりある大人を対象にTURF分析を行った結果、「何があったかを周囲にはっきり言える力」を中心に必要とされる5つの「力」を構造的に組み合わせて学ばせる必要のあることが明らかとなった。
  • ― 石巻市立学校での「復興・防災マップづくり」5年間の実践を踏まえて ―
    桜井 愛子, 北浦 早苗, 村山 良之, 佐藤 健
    2019 年18 巻1 号 p. 23-36
    発行日: 2019/06/14
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー
    本論文では、東日本大震災後の災害復興・防災教育プログラムとして石巻市の小中学校で取組まれている「復興・防災マップづくり」プログラム開発過程の中で作成された教員向け「実践の手引き」から、地域に根ざした災害復興・防災教育プログラムとしての特徴を示した。また、実践校3校での実践内容と児童生徒によるアンケート結果から学習前後の児童生徒の意識変化を明らかにし、プログラムの成果と課題を示した。 (1)「実践の手引き」の活用を通じて、各学区の被災・復興状況や学校、児童生徒等の実情に応じた学習内容が検討され、「復興・マップづくり」の自校化が行われるようになった。実践校の単元目標には共通して、自分たちの暮らす地域と災害とのつながりを考えることが掲げられた。 (2)防災をメインとした「マップづくり」の学習では、地形図の学習を取り入れる試みが行われ、地形と災害との関係を学びながら、まち歩きやマップづくりを行うことが「地域に根ざした」災害復興・防災学習モデルとしての高度化の方向性であることが示された。 (3)児童生徒は学習後に「自ら地域の復興のために役に立ちたい」との意欲が高まることが確認され、被災地における地域に根ざした災害復興・防災学習を行うことの意義が見出された。 (4)学習後、児童生徒が家庭で復興または防災について話す機会は増加したものの、その割合は依然低く、学校での学習が家庭へと波及するためには更なる工夫が必要であることが確認された。 (5)震災から4年目の2014年度の4年生の実践からは、震災当時就学前であった児童は東日本大震災のことをよく覚えておらず、大震災で自分の暮らす地域で何が起きたのかをまず学習する必要があることが明らかになった。 今後の課題として、これらを踏まえたプログラムの改善とともに、「復興・防災マップづくり」の教育プログラムとしての評価の方法を更に検討する必要があることが確認された。
  • 村越 真, 河合 美保, 鈴木 秀志, 羽田 秀樹
    2019 年18 巻1 号 p. 37-49
    発行日: 2019/06/14
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー
    安全教育の実施状況とその規定要因だと思われる教員の力量やリスクへの態度、安全教育で身につけたい力を把握するため、静岡県2市の義務教育教員に対して質問紙で調査し、1,432人より回答を得た。安全教育については体育の指導要領に記された内容は概ねよく実施されているが、体験的かつ主体的な方法の取り入れは20%程度に留まっていた。子どもにつけたい力では「危険の理解や対応」が主であり、「危険への能動的対応」は小中学校の差が見られた。リスクへの態度項目から「リスク対応への経験の必要性」「挑戦のためのリスク管理の必要性」と「リスクの肯定」「リスク忌避」の4因子が抽出された。教員は学校教育におけるリスクへは概して否定的であり、たとえリスクをとるにしても十分な管理が必要だと意識していた。学校種と免許教科による分散分析の結果、広範な因子得点で学校種と免許教科による交互作用が見られたが、これは児童生徒の発達段階に対応した安全教育が指向されているからだと結論づけられた。安全教育の実施数には校種、子どもにつけたい力、力量の自己評価の影響が弱いながら見られた。主体的に考える安全教育を進める上で、安全教育の方法とつけたい力の両面からの研修が必要であると結論づけられた。
  • 福本 塁, 中村 和彦
    2019 年18 巻1 号 p. 51-67
    発行日: 2019/06/14
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー
    大規模災害発生時の被害は個々が置かれている状況や判断によって差が生じる。学校防災教育においても児童・生徒の置かれ得る状況や判断は異なることが想定される。そのため、防災を主題に児童・生徒の状況や判断を具体化する取り組みが授業として成立することが重要となる。この問題に対し、筆者らは参加者の発言機会を均一化し、体験や考えを表現することのできる対話型教材として防災トランプを開発した。防災トランプは楽しく取り組みながら体験談や考えを共有し、参加者間で話題提供者と学習者が入れ替わり学び合う防災教材として効果的である。 本研究では神奈川県相模原市立小山中学校の第三学年の生徒に対して防災トランプを用いた防災授業を各クラスの担任である教員が実施した内容を示すとともに、質問紙調査からその有効性について評価を行った。 その結果、生徒は授業に楽しく取り組み、ルールを理解していた。また、「授業に楽しく取り組めたこと」と「相手の話から学べたこと」には正の相関が認められた。さらに、相手の話から学びを得て、普段から防災について考えたいと内的な行動意識が喚起されていたことを確認した。一方、自分の話は相手に役立つかという観点では自己効力感が低い状況であった。「自分の話が相手に役立つ」という認識が多くの生徒に持たれなかったことについて、教員が「まとめ」の中でその視点を生徒に提示することで「自分の話が相手に役立つ」という自己効力感が生徒の意識にも影響を及ぼし、内発的動機づけを高める可能性が示唆された。
  • ― 決定木分析を活用した体育授業中の短距離走による骨折の検討―
    神谷 和義
    2019 年18 巻1 号 p. 69-81
    発行日: 2019/06/14
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー
    目的:本研究では、特に事故発生率が高い中学校におけるスポーツ事故に着目し、中学校の体育授業中における短距離走での骨折事故を対象に、文部科学省が2014年度から実施したスポーツ事故防止対策推進事業及び2015年6月に発出した事故防止のための通知が行われた前後の年度による事故発生状況の差異と年度による変化を明らかにすることを目的とした。 方法:独立行政法人日本スポーツ振興センターが収集している災害共済給付データから、中学校の体育授業中の短距離走により骨折又は挫傷・打撲した災害(2013年度1,510件、2015年度1,478件)を抽出し、各年度の負傷部位や骨折の発生要因を比較するとともに、決定木分析を用いて、骨折に関係のある項目の相互関係と年度による差異を検証した。 結果:主な結果として、骨折及び挫傷・打撲の件数を負傷部位により比較したところ、年度による件数及び傾向はほとんど変化がなかった。また決定木分析の結果、骨折に最も関連の強い項目はどちらの年度も負傷部位でほぼ同じ3つのカテゴリに分岐し、さらに「大腿部・股関節」を含むカテゴリは性別によって分岐し、男子の方が女子と比較して骨折の割合が顕著に高いという特徴に変化はなかった。骨折の割合が最も高いパターンについても、年度による大きな違いは見られなかった。 結論:2013年度と2015年度で中学校の体育授業中の短距離走により骨折事故の発生状況を比較したところ、負傷部位別の発生件数の傾向及び骨折の発生件数・発生状況はほぼ同様の傾向を示しており、災害の発生状況に大きな変化がないことが示唆された。今後は、国によるスポーツ事故防止対策の効果をより詳細に検討するとともに、決定木分析等を活用し、災害共済給付データから得られた知見を効果的な事故予防策の立案につなげていくことが期待される。
  • ― 大崎市立岩出山小学校の実践事例―
    佐藤 健, 桜井 愛子
    2019 年18 巻1 号 p. 83-91
    発行日: 2019/06/14
    公開日: 2025/08/08
    ジャーナル フリー
    東日本大震災後、学校と家庭、地域との協働に基づいた学校安全の推進が、より一層期待されるようになっている。地域に根差した防災教育の実践にあたり、地域素材の掘り起こしや提供という形で地域の教育力が発揮された学校と地域との協働事例として、大崎市立岩出山小学校を紹介する。学校教員が地域人材のリソースを上手に活かし、支援者から見れば上手に学校を支援した好事例の一つであり、ロールモデルとして他地域の参考に値すると考える。学校を取り巻く多様なステークホルダーによるこのような支援は、地域に根差した防災教育の実践に際して学校教員の負担や不安を軽減することに大きく貢献する。
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