スポーツ選手におけるスポーツ関連脳振盪(SRC)の知識と対処策に関する国内の先行研究は限られている。本研究の目的は、本邦のコンタクトスポーツ選手におけるSRCの知識とSRC発生時の対処策の実態を把握すること及びそれらの関連性を検討することであった。研究参加者は、コンタクトスポーツを行う者(n=319)、ノンコンタクトスポーツを行う者(n=231)、文化部または無所属の者(n=336)であった。SRCについての知識を10題の質問にて、対処策を3題の質問にて評価した。コンタクトスポーツ選手では、SRCの知識に関する質問のほとんどで8割を超える正答率を示した。一方で、SRCによる長期的な健康問題に関する質問へのコンタクトスポーツ選手の正答率は3割であり、文化部・無所属の者のよりも低かった。コンタクトスポーツ選手において、頭に強い衝撃を受けた場合のプレー中止という対処策とSRC症状がある状態での競技復帰の回避という対処策は8割以上の者が実施していると回答した。一方、SRCからの段階的競技復帰リハビリテーションという対処策を実施していると答えた者は6割であった。SRC後の即時の競技復帰が禁止されることについて正しい知識を持っている選手は、SRC症状が自覚される間は競技復帰を見送る対処策を実施する割合が高かった。本研究の参加者はSRCについて知識が比較的豊富であり、SRC受傷後の良好な対処策を実施していた。一方で、SRCによる長期的な健康問題と段階的競技復帰プロトコールについての認知には課題が示された。コンタクトスポーツ選手に対してSRCの知識を総合的に高め、適切な対処行動を実践できるよう啓発を行っていく必要がある。
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