安全教育学研究
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21 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 飯田 智行, 黒田 慎太郎
    2021 年21 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2021/10/30
    公開日: 2025/07/09
    ジャーナル フリー
    本研究は、大学生を対象に暑熱環境下におけるスポーツ観戦時の水分摂取に関する意識調査を行い、スポーツ観戦中の熱中症に対する危機管理意識の現状を把握することを目的とした。教育学部に所属する大学生528名(男子164名、女子364名)を対象に、暑熱環境下での各状況における水分摂取量と嗜好飲料に関する意識について、集合調査法による選択式アンケートを実施した。その結果、「スポーツ活動中」に意識的に水分摂取量を増やすと回答した者は84.1%であったのに対して「スポーツ観戦中」は水分摂取量を特に意識しないと回答した者は41.9%であった。また、熱中症対策として推奨されているスポーツドリンクを摂取している者は「スポーツ活動中」44.7%であったのに対して、「スポーツ観戦中」23.3%であった。以上のことから、スポーツ活動中と比較して、ほぼ安静状態であるスポーツ観戦中における熱中症に対する危機意識が低い可能性が示唆された。今後、スポーツ観戦中の熱中症予防について、さらなる啓発が必要であることが考えられた。
  • ― 保育学生を対象としたシミュレーション実験からの検討 ―
    黒田 慎太郎, 飯田 智行
    2021 年21 巻1 号 p. 7-13
    発行日: 2021/10/30
    公開日: 2025/07/09
    ジャーナル フリー
    本研究は、避難行動のシミュレーション実験から、乳幼児を連れて垂直避難する際の、保育学生にかかる運動強度と身体的負担の基礎資料を得ることを目的とした。健常な女子大学生9名を対象に、津波発生時に建物の1階から4階まで保育者一人当たり四人の子どもを連れて避難することを想定したシミュレーション実験を実施した。1歳児を想定した10kgのおもりを一つ両手で抱え4往復する1×4条件と二つ抱え2往復する2×2条件を設定した。異なる条件を用いて避難時間、心拍数、主観的運動強度(RPE)、身体的負担を比較した。その結果、1×4条件の最大心拍数は150±22拍/分、RPEは18.2±1.6であり、2×2条件の最大心拍数は123±24拍/分、RPEは16.6±1.9であった。これらの結果から、子どもを抱えての垂直避難中の保育学生の運動強度は、中〜高強度であることが明らかになった。身体負担感については、特に足と腕の疲れで高値を示し、子どもを抱えて垂直避難を行うためには、持久力及び筋力が必要であることが示唆された。また、両条件の運動強度の比較では、2×2条件がそれぞれ有意な低値を示した。一度の垂直避難で腕にかかる負担が多少大きくても、往復距離の短い2×2条件での避難が避難時間も短く、身体的負担も少ないことが明らかになった。
  • 山崎 雅史
    2021 年21 巻1 号 p. 15-21
    発行日: 2021/10/30
    公開日: 2025/07/09
    ジャーナル フリー
    ほとんどの小学校では、児童を対象とした避難訓練を行っている。自然災害の多い日本では、地震発生時における避難訓練を行っている学校が多いのではないか。消防法第8条では、火災に関して避難訓練を行わなければならないことが明記されている。火災発生時には、いち早く外に避難することが重要である。そこで、本研究では、児童に火災発生時の煙の動きや煙による害を理解させるとともに、火災発生時の避難の仕方や避難経路について、児童自ら考えることができる授業実践を行うことで、安全な行動選択をすることができる児童の育成を目的として、火災ルーレットを活用した授業実践を行った。 小学1年生を対象に行った。授業の中で、煙の動きや煙による害を理解させるために、動画を使った学習を行った。また、避難経路を考えさせるために、火災ルーレットを作成し、そのルーレットを活用しながら、避難経路、避難場所について考えさせた。 火災発生時の基本の避難行動については、授業実践の7か月前に行った避難訓練で学習していたことを児童は記憶していた。煙を吸ってはいけないということは知っていたが、なぜ吸ってはいけないのか、煙が発生しているとどのようなことが起こるのかなどについては、十分には知らなかったので、動画を見て学習を行うことで、より深く理解させることができた。さらに火災ルーレットを使い、ランダムに今いる場所、出火場所を表示させることで、避難経路と避難場所について、考えさせることができた。 教師主導で避難訓練を行った場合、どうしても児童が避難経路について考えることができない。しかし、火災の特性を考えた場合、いち早く外に避難することが重要である。本授業実践で行った、火災ルーレットを活用した避難経路と避難場所を考える学習では、火災の特性を理解した上で、どこを通って、どこに避難しなければならないのか、どこから外に出ることができるのかなどを総合的に判断する必要がある。今いる場所と出火場所を瞬時に、そして、ランダムに表示できる、今回使用した火災ルーレットは、児童が自ら避難経路、避難場所を考えるためにとても有効であった。また、安全科の授業がない学校でも、避難訓練の事後指導などにおいて、短時間で児童に考えさせることができる有効なツールであると考える。
  • 満下 健太, 村越 真, 鎌塚 優子
    2021 年21 巻1 号 p. 23-32
    発行日: 2021/10/30
    公開日: 2025/07/09
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、小学校の管理下での活動場面別の事故発生率を算出し、分析することにある。分析対象となったのは、日本スポーツ振興センターが発行している「学校の管理下の災害」のデータであり、文部科学省が報告している年間の児童総数を用いて、活動場面別に10万人あたりの事故発生率を算出した。コクラン・アーミテージ検定の結果、多くの活動場面では事故が減少傾向にあった。活動の減少率が最も高かった5つの活動は、「林間学校」、「臨海学校」、「総合的な学習の期間」、「水泳」、「自立活動」であった。他方、「道徳」では、9年間で事故発生率が19.47倍に増加していた。そこで「道徳」では加えて場所別、学年別、けがや病気の種類別の事故発生率を計算した。結果として、「低学年」「教室」「挫傷・打撲」が比較的増加傾向であり、内容の変化が背景にあると推察された。
  • 熊谷 誠, 堀村 千鶴子, 小松 千佳子
    2021 年21 巻1 号 p. 33-44
    発行日: 2021/10/30
    公開日: 2025/07/09
    ジャーナル フリー
    岩手県では東日本大震災以降、「いわての復興教育」1)の一環として、県下の中学校においても総合学習の時間を利用した3年間の防災教育の授業が設けられている。本論文では,2017年度から4年間にわたり,地域防災の専門家と、防災教育の担当教員が協働した釜石市立釜石中学校での取組みの経緯とその成果について述べる。 この取り組みでは、専門家と担当教員とが協働する防災教育の構築を目指して、事前に専門家と担当教員の間で準備と授業当日の役割の分担について綿密な確認を行い、それぞれに資料や物品の準備、授業当日の役割を担う形を心がけた。そのため、この協働の形が長期におよぶ中、担当教員や担当教員が所属する学年のクラス担任らの間で防災の授業やワークショップ等への理解が進み、授業内容への提案や授業等での講師補助など、積極的に役割を担おうとする姿勢がみられるようになった2)。こうした経緯を経て、3年目には担当教員の提案から地域防災の担い手である自治会・町内会などに対して防災教育への協力を呼びかけ、実際に授業への参加・協力を得るなど、学校防災から学校地域連携を通じた地域防災への接続が実現した。そして4年目には、それまで専門家が担当していた災害・防災の授業の一部を学年のクラス担任が担当することとなり、専門家が前年度に授業で使用した教材をもとに、自分たちなりの授業内容の検討、教材の修正に取組み、防災教育の授業を行うまでに至った。
  • 吉村 利佐子, 尾関 美喜, 酒向 治子
    2021 年21 巻1 号 p. 45-59
    発行日: 2021/10/30
    公開日: 2025/07/09
    ジャーナル フリー
    本研究では、防災ダンスが学習者に及ぼす影響を防災活動のイメージ変容の観点から検証を行った。合計147人の大学生が実験に参加し、参加者は、オンラインのみで学習するオンライン群と、オンラインで学んだのち対面学習を加えた対面群に分かれて防災ダンスを学習した。防災活動に対するイメージは、防災ダンスを学ぶ前後に測定した。その結果、防災ダンスは「楽しい」「取り組みやすい」という特性を有し、学習者の防災活動のイメージを肯定的に変容させるということ、また、オンラインだけでなく対面学習を加えることで学習者の防災活動イメージをより肯定的に変容させることが明らかになった。
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