日本シミュレーション医療教育学会雑誌
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原著
  • -学生への教育効果と模擬患者の育成教育の視点から-
    守村 洋, 伊東 健太郎, 野呂田 美菜子
    2020 年 8 巻 p. 1-8
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    本研究では、精神看護学シミュレーション教育の成果を、学生への教育効果と模擬患者の育成教育との2つの視点で検証することで、今後の方向性を明らかにすることを目的とする。学生を対象に「直接ケア学生と観察学生との比較検討」(量的研究)と「看護学生が感じたやりがい」(質的研究)を実施した。また、模擬患者を対象に「ビデオ映像を導入した模擬患者教育」(質的研究)を実施した。本研究は3つの研究をまとめたものである。研究の結果、直接ケア学生と観察学生ともに自信がついた。学生はフィードバックを受けることでやりがいを感じていた。また、ビデオ視聴により模擬患者の演技の向上が見られた。 模擬患者、教員、専門職者からのすべてのフィードバックは、学生の自信や、やりがいにつながるため教育効果として非常に重要である。グループによるデブリーフィングによりグループダイナミクスを期待できる。また、シナリオとビデオ視聴との相乗効果が模擬患者教育に加わることで、模擬患者のよりリアリティの高い演技につながる。今回の研究により、必ずしも学生全員が模擬患者を相手にロールプレイをしなくても、同様の学習効果を得ることができることが明らかになった。これにより、現行の教育プログラムは、ほぼ確立されていることが明らかになったが、更なる質向上のために精神看護学シミュレーション教育を追求し続けていく必要がある。
研究報告
  • 佐藤 直, 廣瀬 誠, 土井 一磨, 山本 奈美, 狩野 賢二
    2020 年 8 巻 p. 9-14
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    【目的】胸骨圧迫時間比に影響する行動を分析する。 【方法】人体の動きをデジタル的に捉えるモーションキャプチャーを用いて胸骨圧迫中断中の各手順に要する時間や姿勢を2群間で比較した。 【結果】熟練群の胸骨圧迫中 断時間の平均は5.82秒であり非熟練群の中断時間の平均は9.22秒で有意差を認めた (p < 0.05) 。各手順における姿勢の比較において胸骨圧迫中の膝の開き幅および、胸骨圧迫後の膝の移動距離に有意差を認めた(p < 0.05) 。 【考察】胸骨圧迫の中断時間を最小限にするためには、胸骨圧迫時は膝を肩幅程度に広げ十分な気道確保を行った上で換気することが重要である。
  • 佐貫 久美子, 澤田 亮, 中島 平
    2020 年 8 巻 p. 15-20
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    【序論】医療面接などの実習に参加する模擬患者(SP)らは、一般模擬患者の演技に難しさを感じていると述べている。本研究の目的は、模擬患者が患者役を演じる際の難しさを明らかにすることである。【方法】質的統合法であるKJ法を用いた。【結果と考察】14枚のラベルから3カテゴリーが抽出された。それらから1医師役が課題の遂行ができるように医師役と患者役の発言のバランスをとること2SPの質の均一を図ること3SPが予期していない場面であっても課題に適した演技を行うこと、に難しさがあると明らかになった。これは「実習の課題をつぶさないための配慮」の内容を示している。
  • 自由記述分析による使用感の評価
    渋谷 寛美, 江藤 千里, 鈴木 真由美, 今井 亮, 山下 明美, 川鍋 紗織, 横田 素美, 渋谷 賢
    2020 年 8 巻 p. 21-27
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    著者らは、熟練看護師の気管吸引技術を装着カメラで撮影した一人称映像を学習者が視聴するVR教材を開発した。看護学生36名はVR教材を体験後、その使用感を自由記述により回答した。質的内容分析の結果、【VR教材に対する肯定的評価】、【VR教材に対する否定的評価】、【VR教材の改善】のカテゴリーが抽出された。肯定的評価は[手技・手順の理解のしやすさ]、[VR教材の効果に対する期待]、[疑似体験・集中力]、否定的評価は[VRシステムに対する不満]、[VR酔い]のサブカテゴリーをそれぞれ含んだ。本結果は、このタイプのVR教材が疑似体験や映像への集中力を誘発し、看護技術の理解を促進する新たな学習ツールになる可能性を示唆する。
  • 大塩 誠司, 清水 郁夫, 森 淳一郎, 多田 剛
    2020 年 8 巻 p. 28-37
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    一次救命処置(Basic Life Support;BLS)講習会でインストラクターは自己効力感が向上する。しかし自己効力感の向上でインストラクターがどのように変容するかは未だわかっていない。我々は、中学生対象のBLS講習会に参加経験のある看護師9人を対象に1対1の半構造化インタビューを実施し、インタビューデータをSteps for Coding and Theorization(SCAT)を用いて質的分析した。626個のテキストデータからテーマ、構成概念から類似するデータを抽出し解析したところ、<BLSを教える難しさ>、<学習者の学習姿勢>、<後輩に教える>、< 教えた成果>、<教えるための言葉の使い方>、<講習会の改善点>、<教える責任>、<学習者の理解に合わせて教える>、<教育方法を習得し使用する>、<根拠を持って教える>、<今後もBLS講習会に参加する>、<教えることに自信を持てる>、<振り返りからの学び>、<自分自身の成長>と14にグループ化することができた。さらにグループの関係から、【気づき】、【対応】、【実践】、【維持】、【確立】の5つの概念が得られた。看護師は、BLSインストラクターを経験することで【気づき】、【対応】、【実践】、【維持】、【確立】の5段階の行動変容をしていることがわかった。この5段階の行動変容は、インストラクターの経験を続けることでKolbの循環型の経験学習をしていると考えられ、さらに看護師として臨床の業務にも活用できる変容をしていることが示唆された。
実践報告
  • 症例デブリーフィングの応用とその成果
    金子 一郎
    2020 年 8 巻 p. 38-43
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    医学部卒前教育においてシミュレーション教育が注目されている。当シミュレーション施設では、従来からプログラム可能な高機能シミュレーターを用いたシミュレーション授業を実施している。今回、仮想患者シミュレーションソフトウエアBody Interact®(BI)をsmall group discussion (SGD) 形式で使用し、直後にデブリーフィングを行う授業を実践した。加えて臨床推論の問題解決能力を測定し、授業に関する学習者満足度と自信を検証した。医学部学生の学習環境として、症候領域を限定した仮想患者シミュレーションとデブリーフィングの組み合わせはシミュレーション教育の方略に付け加わる新たな選択肢の一つである。
  • 横井 信哉, 二階 哲朗, 狩野 賢二, 森 英明, 片山 望, 山本 花子, 土屋 律子, 太田 淳一, 本岡 明浩, 齊藤 洋司
    2020 年 8 巻 p. 44-50
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    アウトカム基盤型教育の実践では、学生は学習目標をよく理解したうえで積極的に参加し、教員は適切な学習方法・学習目標を設定し、目標達成度の評価を行う必要がある。我々は高機能シミュレーター(METI社製HPS®)を用いて、学生が臨床実習で獲得した知識・スキル・態度の達成度評価(試験)を行っている。試験は、HPS®のほかにモニター機器を活用し、実臨床に近い環境のもとで行っている。試験の結果から、クリニカルクラークシップにおける教育面において改善が必要な課題も明確となった。クリニカルクラークシップにおけるアウトカムの評価方法としてHPS®を用いた試験は有用と考える。
  • 釋迦野 陽子, 山本 恵美子, 加藤 沙弥佳, 長野 健彦, 児玉 裕子, 後藤 美智子, 小松 弘幸
    2020 年 8 巻 p. 51-58
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    本院では、2018年より附属病院看護部と共同で、看護師を対象としたTask trainingとSituation-based trainingの2段階構成による救急蘇生シミュレーション教育(Simulation-Based Education;以下SBE)を実施した。今回、我々は、参加者83名へのSBE実施後の質問紙の結果を分析し、SBEによる学習効果の検討を行った。その結果、臨床経験年数によって学習成果やニーズが異なることが示された。 また、2段階構成のプログラムは、救急蘇生スキルの習得を促進することが示唆された。これらの結果から、2段階構成によるプログラムを経験年数別に研修目的を明確にして実施することで、さらなる看護実践能力の向上が期待できると考えられた。
  • 勝田 考信, 中島 理加, トーマス ジェームス, 向井 邦晃, 鈴木 秀和, 平形 道人, 門川 俊明
    2020 年 8 巻 p. 59-62
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    【目的】当シミュレーションラボでは毎年4回程度日本救急医学会認定ICLS(Immediate Cardiac Life Support)講習会を開いている。講習会において、VF/PulselessVT「以下PLVTと略す」、PEA/Asystoleのシナリオによってチームごとの胸骨圧迫の質が変化している事に注目し、それぞれの差異を調べた。 【方法】対象者は研修医10名、臨床検査技師4名、看護師15名、医師1名。 VF/PLVT、PEA/Asystoleのシナリオのチームごとの胸骨圧迫深さ平均値、及び5cm未満の胸骨圧迫の割合を測定した。評価はALSシミュレーター、アンブマン®2016アドバンス(アンブ社製、デンマーク)の評価機能により測定。 【結果】胸骨圧迫の深さ平均値はVF/PLVTでは5.53±0.54cm、PEA/心静止は4.94±0.81cmとなった。5cm未満の胸骨圧迫の割合はVF/PLVTは24.6%、PEA/心静止は47.0%、となった。深さ平均値の各有意差はVF/PLVT:PEA/心静止のp値=0.0297となり有意差が認められた。 5cm未満の割合に対する有意差はVF/PLVT:PEA/心静止のp値=0.0302となり有意差が認められた。以上によりPEA/心静止のシナリオの時に胸骨圧迫が浅くなり、5cmを満たさない胸骨圧迫の割合が増える事がわかった。 【考察】PEA/心静止のシナリオ時、胸骨圧迫が平均して浅くなりかつ5cmに到達出来ない胸骨圧迫の割合が増える事がわかった。胸骨圧迫の質が低下する理由の一つとして胸骨圧迫をおこないながら鑑別診断をする事が影響を与えたと考えられる。よって原因が明らかではないCPRでは胸骨圧迫の深さが浅くならないようにより注意する必要がある。
  • 原 明子, 土肥 美子, 川北 敬美, 二宮 早苗, 道重 文子
    2020 年 8 巻 p. 63-69
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    大阪医科大学看護学部の静脈血採血演習(以下、採血実習)では、血管可視化装置を導入し最後に学生間の採血を実施している。本調査の目的は、血管可視化装置の使用効果および採血演習の評価をすることである。対象は学生81名で質問紙調査法により血管可視化装置使用による血管の走行や位置の理解、学生間の採血実施後の思い、事前説明、指導体制、時間配分について検討した。回収数は37部で血管可視化装置を使用したことは約9割が「よかった」と回答した。血管可視化装置の使用による理解は【血管の位置や走行の理解】、【血管の太さと深さの理解】等であった。学生間の採血は約9割が「実施してよかった」と回答し【看護職への自覚や技術への自信】につながっていた。
  • 横山 茂樹, Neil TUTTLE, Sean HORAN
    2020 年 8 巻 p. 70-75
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    オーストラリアの理学療法教育では、模擬患者の用いたシミュレーション教育が実施されている。グリフィス大学理学療法学科でも、2012年よりシミュレーション教育に取り組んでおり、その目的も“臨床推論の習得”に焦点を当てている。特に臨床実習直前のシミュレーション教育では、学生自身の臨床実習に対する自信や技術習得の項目などに有効性が示唆された。このことから学内におけるシミュレーション教育は臨床実習への導入として有意義で、その教育効果を高める教育手段であると考えられた。今後は国内の各理学療法士養成校が協力・連携して、シミュレーション教育を推進する体制を構築する必要がある。
主張
教材・シナリオ
関連学会報告
  • セミナーとワークショップ2019について
    石川 和信, 駒澤 伸泰, 朝比奈 真由美, 淺田 義和, 小林 元, 五十嵐 寛, 阿部 幸恵
    2020 年 8 巻 p. 87-92
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
    シミュレーション教育研修を担当している教職員のネットワークを構築することをめざしたセミナーとワークショップを2018年度に引き続き開催した。2019年度は、第7回学術大会の期間中に学会企画として実施し、全国の関係者22名が参加した。米国および台湾のシミュレーション教育の現状、および、看護領域でのシミュレーション教育認証制度についてのセミナーを行い、最新の情報共有を行った。ワークショップでは、本学会が果たすべき役割として、わが国に最良のシミュレーション教育研修の施設と個人の認証制度についての討論を行った。本論文では、これらの企画の概要を報告する。
  • 金子 一郎
    2020 年 8 巻 p. 93-98
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    IMSH2020 (The International Meeting on Simulation in Healthcare 2020) について報告する。IMSHはその名の通り国際学会であり、IMSH2020には58カ国から3,156名が参加している。筆者の研究プレゼンテーションセッションについて報告するとともに、SSH (Society for Simulation in Healthcare)のメンバーシップ、個人認証、さらに施設認定についてSSHのファカルティー話す機会を得たので、合わせて報告する。SSHの認証に加え、日本における医療シミュレーション教育の学会組織、個人認証制度、施設認定についても考察する。この報告の目的は、IMSHを知っていただくことにより、多くの医療シミュレーション従事者が医療シミュレーション教育の国際学会に注目し、来年以降のIMSHに参加し医療シミュレーションについて論議したいと考えることにある。
大会長報告
  • 藤倉 輝道
    2020 年 8 巻 p. 99-102
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー
    2019年9月21日、第7回の学術大会を日本医科大学で開催した。テーマは「シミュレーション医療教育の近未来:シンギュラリティは何処に」とした。一般演題は43題の応募があり、他に特別講演、教育講演、授業デモンストレーションなど多数の特別プログラムを用意した。会場は4会場を設け、普段授業で使用しているICT機材をフルに活用し同時中継も有効活用した。最新の高機能シミュレータ、VR機器やICT機器、さらには独自開発中のアンドロイド型模擬患者ロボットなどに関する講演が行われた。また例年通り各施設の熱意ある取り組みの紹介と活気ある討論が行われた。これらを通じて医学教育上のシンギュラリティの到来を予感させる1日が提供できたと考える。
第7回日本シミュレーション医療教育学会 東京学術大会抄録集
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