高齢者を対象に,子音持続時間もしくは子音と先行母音間の無音区間長を主に変化させた「シ」-「チ」(CV),「イシ」-「イチ」(VCV)連続体の識別実験を行った。その結果,若年者同様,CVでは子音が長くなると「チ」→「シ」,VCVでは無音区間が長くなると「イシ」→「イチ」に聞こえが変化した。また,1)摩擦音閾値の上昇,2)補充現象の存在,3)時間分解能の低下に着目すると,1)の場合,CVでは子音が短いと「チ」→「シ」,長いと「シ」→「チ」の異聴が現れ,更に2)を伴うと傾向が強まった。VCVでは,1)-3)すべてが存在する場合,「イチ」→「イシ」の異聴が最も顕著だった。
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