学校メンタルヘルス
Online ISSN : 2433-1937
Print ISSN : 1344-5944
17 巻 , 2 号
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原著論文
  • 佐藤 修哉, 安保 英勇, 藤川 真由, 内田 知宏, 上埜 高志
    2014 年 17 巻 2 号 p. 142-151
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー

    心理専門職への態度を測定する尺度であるAttitude Toward Seeking Professional Psychological Help-Short Form(ATSPPHSF)は,多くの先行研究で使用されてきた。しかし,原版では因子構造が安定しない問題点が指摘されているうえ,日本語版では妥当性が検証されていない。本研究の目的は,高校生を対象に日本語版ATSPPH-SFを作成し,因子構造および信頼性と妥当性を検討することである。

    高校生454名を対象に予備調査を実施したところ,カウンセラーへの信頼感とカウンセラーへの抵抗感の2因子からなる10項目の尺度を得た。予備調査の結果を踏まえ,高校生277名を対象に本調査を実施した。その結果,5項目1因子構造の心理専門職への態度尺度が得られた。内的一貫性を示すCronbachのα係数の値は.77であり,再検査法による信頼性係数は.67であった。併存的妥当性も確認され,確認的因子分析の結果も良好であった(χ2(5)=7.149, p=n.s., GFI=.989, AGFI=.968, CFI=.994, RMSEA=.039)。さらにI-T相関,GP分析の結果,削除すべき項目は確認されなかった。

    原版の尺度は10項目1因子構造である。先行研究と同様,本研究でも因子構造の不安定さが確認された。予備調査では10項目2因子構造,本調査では5項目1因子構造の結果が得られ,原版と異なる因子構造が得られた。原版の10項目の場合,いくつかの先行研究で指摘されている通り,因子構造が不安定であった。ただし,予備調査と本調査ともに,第1因子については同じ項目から成り立っており,それはいくつかの先行研究においても同様であった。信頼性と妥当性が確認できたことから,5項目1因子構造にて高校生用日本語版ATSPPH-SF尺度とした。

  • 鈴木 伸子, 松本 真理子, 坪井 裕子, 野村 あすか, 垣内 圭子, 大矢 優花, 畠垣 智恵, 森田 美弥子
    2014 年 17 巻 2 号 p. 152-161
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,授業中の意見相違場面に焦点をあて,小学生の対人葛藤解決方略をQOL(Quality of Life)の観点から検討することであった。小学4年生,6年生計421名(男子202名,女子219名)を対象に質問紙調査を行った。

    はじめに,解決方略により児童を類型化した。クラスター分析の結果,解決重視群,対話重視群,他者変化志向群,自己抑制群,消極的解決群の5群を抽出した。つぎに,この5群によるQOLの違いを検討した。各群を独立変数,「小学生版QOL尺度」の「QOL総得点」と5つの下位領域得点を従属変数とする1要因分散分析を行った。

    主な結果は以下の通りであった。

    1)「QOL総得点」と3つの下位領域得点(情緒的Well-being,友だち,学校生活)において群の主効果が認められた。

    2)対話重視群は,「QOL総得点」と「情緒的Well-being」が解決重視群,他者変化志向群,自己抑制群より高く,「友だち」と「学校生活」が解決重視群より高いことが明らかになった。

    3)解決重視群は,「情緒的Well-being」に加え「友だち」と「学校生活」の低さが示された。

    これらの結果から,小学生の授業中の意見相違場面における葛藤解決方略とQOLには関連のあることが示唆された。

資料論文
  • 神戸 威行, 北爪 直美, 菅野 純
    2014 年 17 巻 2 号 p. 162-174
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー

    大学受験生に対する通常のソーシャルサポートでは,大学受験に関する情緒的,あるいは実際的な情報支援等により,直接的な心理ストレスを軽減したり,間接的にストレスフルな状況に対する認知を変容させる効果があると考えられている。しかし,受験期におけるソーシャルサポートの意義についての多くの先行研究がソーシャルサポートが進路ストレスを低減させたり,進路決定を促したりする以外に,進路決定における精神的動揺に関連するなんらかの心理的負荷を与える可能性を指摘している。実際,筆者が経験した相談実践でも,大学受験生の受けるサポートがポジティブな側面ばかりでないケースが多く観察された。進路決定を促したり心理的負荷を低減しているとは言えない面が多く見られた。このようなソーシャルサポートにおける諸側面を明らかにするめために本研究では,進路不決断傾向の高い大学受験生を対象に半構造化面接調査を行い,進路決定過程における精神的動揺とソーシャルサポートとの関連について検討した。調査の結果,進路決定過程においてソーシャルサポートは,ストレス緩衝効果を通して決定を促すこともあれば,進路意識の未成熟や進路決定の経験不足も相まって,主体的に進路決定に関わるという問題焦点コーピングが機能しない側面もあることが明らかになった。また,同時に情動焦点コーピングとして回避的・一時的に心理的負荷の外在化と内在化を繰り返しながら対処を図るものの,結果的にはより心理的負荷を深めることに繋がり,適切には対処されていないことが明らかになった。さらに,大学受験時の進路決定過程に伴う精神的動揺は,心理的負荷の外在化と内在化を繰り返しながら循環的な構造を持ち,ソーシャルサポートの持つストレス緩衝効果を弱め,進路決定の促進に繋がっていない側面を持つことが明らかになった。

ショートレポート
  • 相馬 愛美, 佐野 友泰
    2014 年 17 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/04/08
    ジャーナル フリー

    本研究では,私立大学学部学生51名を対象とし,過剰適応について,従来の研究ではあまり扱われなかった環境や社会的文化などの外的要因と考えられる「過去の対人関係との関わりの中で発生する困難な出来事」に注目し,質問紙とインタビューを用いて検討を行った。

    結果として,二者関係においては,中学生の時に【依存・被依存の関係】を経験したグループは「人から良く思われたい欲求」,高校生の時に【悪意ある攻撃行動を受けた体験】を経験したグループは「期待に沿う努力」においてそれぞれ差が認められた。また,集団との関係においては,中学生の時に【他者からの悪質な行為を目撃した】グループは「期待に沿う努力」,高校生の時に【他者からの悪質な行為を目撃した】グループは「他者配慮」に差が認められた。

    また,発達過程において,二者関係では「他者配慮」及び「人から良く思われたい欲求」上位群は,【悪意ある攻撃行動】や【他者からの悪質な行為を受ける体験】を中学から高校にかけてされたとしている。集団では「自己抑制」上位群が小学生から中学生にかけて【人前に出る】ことが嫌だったとし,「自己不全感」上位群は下位群に比べ,小学生の時に【人前に出る】体験をした人が,中学生の時に集団行動をしない人を見ると不快に思うという体験をしていた。

    結果から,過剰適応傾向には“いじめ”といった悪質な行為との関連があること,そして困難だと感じた出来事は継続して困難と感じやすいことが明らかになった。

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