経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
2004年度春季全国研究発表大会
選択された号の論文の46件中1~46を表示しています
  • 井上 実
    p. 1
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
     経営環境が厳しさを増すなか、IT投資に対する見方も厳しさを増し、投資に対する効果が得られているのかを常に問われる時代になった。これに対応しIT投資評価方法に対するさまざまな試みがなされているが、効果的な方法がなかなか見つからない状態である。 私は、その根本的な原因は、IT投資を評価するためのフレームワークが確立していないことにあると考える。フレームワークなしに個別評価方法を検討しても、有効な方法が開発できるとは思われない。私は、IT投資評価の構成要素として、投資対象、利害関係者、効果の三つをあげ、その相関を検討することにより、IT投資評価のフレームワークの構築を図る。
  • 沢 恒雄
    p. 2
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    成熟化工業化社会の進化発達の形態として知識・知恵・知謀社会を提唱している。さらに迷走中の日本は、将来の日本国のために教育、国防、厚生、金融・財政などの諸相で平成改革を断行・成就しなければならない。改革が進まないその最大の阻害要因は、堅固な官主導の政官財癒着の構造である。その構造を破壊・再構築することが平成改革における最大の課題である。我々は、あまりにも多い課題を負っている。また、新たな社会システムを構築する改革の前提として価値観を貨幣主体から新たな価値を探索する必要もある。その方略として第4セクター方式の組織形態(沢,2001a)を提案した。本論文は、第4セクター方式の組織形態を具現化するためにさらに概念の強化とGMAIS(Global Model Architecture Information System)による社会的基盤の具現化のために、関連要素となる領域を参考にして新社会システムのインフラとなるシステム構築の先導をする。
  • 横田 明紀, 安田 一彦
    p. 3
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    ERP導入方法論はWBS(Work Breakdown Structure)によって提示されている。WBSは成果物を中心にプロジェクト全体の活動を細分化したものであり,プロジェクト全体を静的な作業要素に分解する点では優れている。他方,活動の条件となる制約事項や作業基準,活用可能なツールに関して記述することが困難である。ERP導入プロジェクトを成功させ,動的にプロジェクトを管理するために,各活動での制約や制御の要因を明示する必要がある。本研究ではこれら要因を加味した導入方法論を提案する手法として,IDEFのモデル化技法を利用する。IDEF0を用いERP導入プロセスを記述することで,より現実のプロジェクトに近いERP導入方法論を示すことができる。
  • 情報のスピルオーバーへのインセンティブ
    上木 政美
    p. 4
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    中小企業同士が連携する場合,核となる程の企業がない連携が見られることがある(ハブレスカンパニーと呼ぶ).成功事例を検証すると情報の交換・共有が大きな要素であることがわかるが,自社の情報は秘匿し他社の情報を利用しようとするフリーライダー問題が発生しやすいことが指摘されている.ハブレスカンパニーを成功させるために如何に情報のスピルオーバーを大きくするか,その方法について理論的に考察する.
  • 中野 健次, 海野 一則, 下平 利和, 松山 科子, 寺野 隆雄
    p. 5
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では、筑波大学のビジネス・シミュレータBMDL/BMDSを利用した、両者を統合するための実践研究の結果を報告する。具体的には、わが国のビール業界で生じた経営意思決定問題を題材に、新たにゲームを開発し、その実践・評価について議論する。本論文の目的は以下のとおりである.(1) ケースメソッドで使用される多数のケースに対応可能なシナリオのモデル化を提案する.(2) 我々が利用中のビジネスゲーム開発ツールを用い,ケースメソッドに使用可能なビジネスゲームの開発の経緯とその評価について報告する. 本論文の貢献は,ケースメソッドとビジネスゲームの融合による高い学習効果をもつ新たな「経験学習」のための方法論を提案することである.
  • デジタル化された情報財をめぐるサービスマーケティングの枠組み
    稲垣 伸子
    p. 6
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    サービス・モデルは生産・消費・流通が同じ時空間に過程として存在し有形要素を部分的に含む伝統的モデルから、情報化により人的接触を部分的にのみ含むモデルに変化してきた。デジタル化を経て商品化されてきた情報財は、有形財としての意義を有するものと、サービス・モデルとに大別される。サービス・モデルの消費側面はサービス過程への顧客の参加と無形性を受容・評価する五感活動の同定を含む。同じく流通側面は接触要員の関与を含む。サービス・モデルの中核便益は稀少性設定と収穫逓増等の固有性を踏まえた開発を要する。周辺部分は差別化の対象とされ易い。諸例について分析を行い、これらの諸概念と枠組みの有用性の可能性を示す。
  • 犬童 健良
    p. 7
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    曖昧信念下の意思決定とゲームの理論をモデリングするための実験システムを紹介した。筆者はProlog を用い、信念関数、ショケ期待効用、不確実性下のナッシュ衡を統合した3 階層モデリングを実現するためのモデルベースシステムを開発した。またこのシステムは対話的インタフェースを通じてシミュレーションによる実験と分析を支援する。
  • 高島 大輔, 高橋 真吾, 大野 高裕
    p. 8
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本論では,消費者の異質性と選好の動的変化を考慮するために高橋(2004) により提案されたエージェントベースアプローチによる消費者行動の分析枠組みを応用して,消費者行動のシミュレーションモデルを構築し,優良顧客の特性を抽出するモデルの枠組みを提案する.また,自動車を分析対象としてシミュレーション実験を行ない,枠組みの有効性を検証する.
  • 広瀬 啓雄, 難波 和明
    p. 9
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    過去の研究により,人は文章が得意な人と図形の得意な人がいて,記憶する能力に個人差があることが分かった。オンラインマニュアルにおいても,文字/図形再生能力の差によって,使いやすさに差があると考えられる。そこで,Web-Basedマニュアルと市販のガイドブックを使い,文字優位と図形優位の被験者が課題に取り組む実験をした。その結果,個人特性別に達成度と利用状況を比較分析することにより,文字優位者の被験者はWeb-Basedマニュアルの達成度に有意差があり,ガイドブックは個人特性による有意差はなかった。これより,Web-Basedマニュアルにガイドブックのコンテンツの一部を追加する改善型Web-Basedマニュアルを作成し,実験の結果その有用性が検証できた。
  • 犬塚 篤
    p. 10
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    既に多くの組織論において追究されてきた条件適合理論は,組織構造と環境との関連を整理する上で大きな貢献を果たしてきたが,組織内知識と環境との相互作用については未解明な部分を多く残している.本稿では,2002年秋,2003年春に本学会で発表した報告による分析視点をもとに,知識経営に関わる組織要因と環境との関連を整理し,知識と環境との条件適合理論の存立可能性について,実証データをもとに議論する.
  • 三橋  雄一郎, 中邨 良樹, 辻 正重
    p. 11
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,アントレプレナーシップ育成のための新たな教育ツールの考案と,その支援システムの開発を目的とする.今日,ビジネスの流れを擬似的に体験しながら学ぶことができる体験型学習プログラムが多く実施されているが,それには以下のような問題点が挙げられた.即ち,1)学習者の対象年齢層が固定,2)事業計画書の評価基準の未整備,3)実施結果のフィードバックが未使用,である.これらの問題点を解決し,さらにはプログラムの実施を円滑に進めるための支援システムを構築することを目指す.
  • 尾高 智之, 中邨 良樹, 辻 正重
    p. 12
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではITソリューションを提供している企業の評価法を提案することを目的としている.特徴としてはIT企業のサービスを顧客の視点から展開した評価法である.具体的に以下二つの評価結果を抽出する.1)3Cフレーム(Company,Competitor,Customer)の観点から顧客に自社のサービス内容を伝えることができているか,2)実際に顧客に提供している現状のサービスを評価し強化すべき項目はどれか.以上より提案する評価法はIT企業がサービスの技術戦略を構築する際の支援になると考えられる.
  • 猪浦 彰一郎, 中邨 良樹, 辻 正重
    p. 13
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では目標管理の概念を応用した,従来のVEにおける機能評価方法と比べ効果的かつ体系的な新機能評価方法を考案した.それに基づき,学習者に実際にVEを利用した開発過程を疑似体験してもらうことを狙った教育支援システムの開発を目的とする.その目標を実現するために,VE活動のプロセスに対応させながら,VE活動のステップ(機能定義、機能整理,機能評価,代替案作成)毎に,それらのステップの効率的学習を可能にする教育支援システムを開発した.
  • 柴 直樹, 西本 全介, 守谷 健
    p. 14
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    筆者の一人は,先行研究において,コミットメントを意図的に破棄する戦略の効用を検討するための枠組として,囚人のジレンマゲームをベースにした情報のやり取りを含む繰り返しゲームを用いた分析方法を提案している.そこでは,多様な戦略プールの中から,淘汰(selection)によって優位な戦略を探索する試みを報告した.本研究では,さらに交叉(crossover),突然変異(mutation)といった遺伝的アルゴリズムで使用される操作を加えて,プレイヤーのコミットメントの確実性に関する戦略がどのように変化していくかを調べるためのシミュレーションを行なったので,報告する.特に,相手がコミットメントを守ったかどうかを行動に反映させる戦略が,コミットメントが守られる戦略プールの生成に果たす役割について考える.
  • 小松 昭英
    p. 15
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    一般的に、情報システムプロジェクトの失敗原因の1つに「貧弱なコミュニケーション」があげられている。これは、資材明細票にもとづくハードウェア・プロジェクトとは異なり、この種のプロジェクトの開発対象がビジネスモデルの変革を伴うソフトウエアである上に、ステークホルダー間に職能が異なることによるコミュニケーション・ギャップがあるからだと考えられる。そこで、従来のワーク構造(WBS)、組織構造(OBS)に、コミュニケーション構造(CBS)、監視制御構造(MCS)を加えたプロジェクト管理構造(PMS)を提案する。
  • 江口 眞人
    p. 16
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、定量的なモデルの構築、検証を通じて大手ISP事業者の乗り換え選択構造を明らかにした。分析を通じて、価格がISP事業者の選択を規程するというビジネスの現場の感覚とは異なる以下のような知見を得た。1.ISP事業者の乗り換え理由は価格だけでなく、付加機能、コンテンツ、サポートも重要な理由として機能していた。2.選択の規程要因として、行動特性(インターネットの利用期間、利用時間)が機能していた。3.選択パターンが3つに区分された。低価格重視型、付加機能・コンテンツ重視型、サポート重視型である。4.ヘビーユーザーは2種類存在した。価格以外のサービスへの関心が高いユーザーと低いユーザーである。これらの知見は、今後、ISP事業者がとるべき戦略を議論するうえでのベースとなるものである。
  • 時間概念と空間概念の再構築
    舘岡 康雄
    p. 17
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    支援研究が始まってきた。定義や一般原理が急速に明らかになってきている。本論は現象に伴う複雑性との関係で支援の一般性をまず論じる。更に、時間概念と空間概念の再構築を行ない、支援の本質、合理性の起源に迫る試論を展開する。
  • 雨谷 賢一, 池上 敦子, 大倉 元宏
    p. 18
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    医師の当直割り当てに際しては,医師の所属部署やスキルレベル,当直回数,労働負荷といった様々な条件のバランスを考慮しなければならない.そのため,当直表作成には,多くの時間と労力が注がれているという.そこで,本研究では,この当直表の作成者の負荷を軽減するために,当直表作成支援システムを開発した.本システムには,効率良くスケジューリングを行なうアルゴリズムと,少ない労力ですべての条件を入力できるツールを組み込んだ.入力ツールは,作成者の思考に沿う入力順であることを重視して構築し,デフォルト値を効率良く設定できるように工夫した.本システムにより,短い時間で当直表を作成することを可能にした.
  • 新藤 和政
    p. 19
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    バイオベンチャーが目指す研究開発は長期にわたり、事業の不確実性も高い。そのため企業評価を通常のDCF法で行った場合、現在価値が低く見積もられ、適切な投資判断を行うことができないことがある。各開発ステージでの必要資金と成功確率、そして不確実性を取り込んだリアルオプション法を用いることにより、このようなバイオベンチャーの企業評価を行うことができる。今回、創薬ベンチャーと遺伝子解析ベンチャーの二つのケースに対し、リアルオプション法とDCF法の二つの手法を用いて企業評価を行い、リアルオプション法の有効性を論ずる。
  • 笹川 裕也, 荻久保 佳奈, 池上 敦子, 窪田 悟, 大倉 元宏
    p. 20
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    工場の生産スケジュール作成の際には、各製品の注文個数、納期、在庫、各生産ラインの生産能力など考慮しなければならないことが数多くある。注文数や生産ラインの数が多くなるほど、生産スケジュールを作成することはもちろん、適正な生産能力を見積もることは非常に難しい。 そこで、本研究では注文を需要、各生産ラインの生産能力を供給とし線形計画法の輸送モデル用を用いることで、短時間で効率の良い生産スケジュールを作成する支援システムのプロトタイプを構築した。さらに、工場の稼働日と各生産ラインへの割り当て人数を変更し、繰り返し生産スケジューリングのシミュレーションをすることで、適正な生産能力も決められるようにした。
  • 山田 啓一
    p. 21
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    戦略的連携は、組織間関係研究のなかでも現在最も注目されているテーマの1つである。現在、グローバリゼーションの進行、ITの普及等により組織を取り巻く環境の変化はますます激化してきているが、このような環境に生き残り、さらには成長をしていくためには、組織は他の組織との関係すなわち組織間関係をいかにハンドルしていくかが重要な戦略的テーマとなる。とくに自分だけでは達成できない目標を達成するためには、他組織との戦略的連携が不可欠である。本研究では、このような戦略的連携に関する主要な文献を調査し、その概要を整理するとともに、戦略的連携研究の枠組みを提示する。さらに、研究上の課題を抽出し、今後の発展方向を模索する。
  • 筧 宗徳, 山田 哲男, 高橋 道哉, 渡邉 一衛
    p. 22
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、青山学院大学総合研究所で行われているAMLII (Aoyama Media Lab. II)プロジェクトに参加し、eラーニングによる「生産システム設計」授業の研究・開発を行った経緯を報告する。
    本授業では、IT技術を利用するeラーニングの利点を生かした学習形態である協調学習を導入している。しかし、協調学習は、学生が主体となって掲示板やチャットなどのツールを利用してコミュニケーションを行いながら課題に取り組んでいくため、進捗や理解に個人差が発生し、授業シナリオを綿密に設計する必要がある。本研究では、協調学習で扱う情報の整理を行い、授業設計、実証授業を行った。
  • 事例分析のフレームワークと事例研究と
    小林 満男
    p. 23
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    企業向け衛星通信サービスの営業現場において、衛星通信業界の常識を背景として策定された営業戦略は、個々の商談の受注、失注の経験を経てダイナミックに変化していく。本報告では、競争優位をもたらす営業戦略をささえる現場理論と営業戦略の変化を見るためのフレームワークについて、現場の実践経験をふまえて考察を行なう。
  • 南波 幸雄, 飯島 淳一
    p. 24
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    ビジネス環境の変化に適応できる企業情報システムの再構築を目的として、統合業務パッケージ(ERP)を導入する企業は多い。ERPの導入は、統合業務パッケージとしての性格上、それまでその企業の業務プロセスを担ってきた業務基幹システムの置きかえを意味する。このため、全社システムの視点で包括的にその影響を考えなければならない。本稿では土木・建築工学の概念と方法論に基づいた、企業情報システムアーキテクチャとその実現方法を規定する「企業情報システム都市計画アプローチ」をERP導入プロジェクトに適用し、その成功・失敗要因をアーキテクチャと導入プロセスの面から考察する。
  • -有力専業企業の定量分析から-
    高井 文子
    p. 25
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    オンラインビジネスが急速に広まるにつれて、数多くの研究が行われるようになっている。しかし、具体的な業界やビジネスを取りあげ、そこでの成功要因を定量的に分析した研究はほとんど存在しない。そこで、本稿では、急成長が進むオンラインビジネスのなかでも、いちはやくモルタル市場からオンライン市場へのシフトが進んだ証券業界を取り上げ、どのような要因が有力専業企業のパフォーマンスに影響を与えるのかという点に関して、定量的な分析を行った。その結果、(1)先行者の優位性が存在すること、(2)コア顧客が限られているため、口座数を増やすだけではパフォーマンスが向上しないという「規模の不経済」が働いていることが分かった。また、合わせて、(3)各企業が提供する独自のサービスや、そうした独自のサービスを提供する上でのベースとなる各企業が有する固有な資源や能力が、大きな影響を与えていることを示唆する結果が得られた。
  • 河野 宏和, 山下 裕丈, 石田 育秀, 若山 泰親
    p. 26
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    情報システムを分析・改善したり設計する際、対象とする仕事を改善すると情報システムの機能も単純になる。しかし、仕事の分析・改善と情報システムの改善・設計とは従来異なる領域で研究され、対象とする仕事の構造と情報システムの構造すなわちデータフローとデータベースの対応について考察した研究は少ない。本研究では、実際の事務作業の例を用いて、対象とする仕事を階層構造として分析・改善する方法を示し、その階層構造に応じて求められる情報システムの機能がどのように変化するかを明らかにし、そこから既存の情報システムを改善したり新たな情報システムを設計するためのガイドとなるフレームワークを提案する。
  • 石島 隆
    p. 27
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    ビジネスのために生成・加工・利用・伝達される情報(これを「ビジネス情報」と呼ぶ。)の証拠力を確保・向上するために、(1)情報の原本性保証、(2) 情報の目的適合性保証、及び(3)情報処理プロセスの信頼性保証が必要である。本稿では、ビジネス情報の証拠力の概念とその確保・向上策の全体像を述べた上で、情報処理プロセスの信頼性保証の方法の1つとしての外部監査について検討した。当該外部監査としては、公認会計士が行う情報システムの信頼性保証のための外部監査であるTrustサービス、保証型のシステム監査などがある。これらの内容について検討し、今後、ビジネス情報の証拠力の確保・向上策としての外部監査においても、上記の3つの保証の観点が必要であることを指摘した。
  • 小笠原 泰
    p. 28
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    ICT(情報通信技術)の飛躍的発展によって、企業間かつ国境をも越えて急速に進みつつあるSCMは、企業活動の趨勢を左右し、まさに、グローバルSCMともいえる段階にさしかかりつつある。しかし、日本企業において、SCMには、その期待感の大きさとは裏腹に、克服すべき問題も存在する。本発表では、デジタル化とネットワーク化の融合に象徴されるICTの発展の分析を通して、上記の問題の背後にある課題がどのように解決されうるかの検証を試みることとする。また、ICTの発展がもたらす仮想組織化が企業境界意識に与える影響についても触れることとする
  • 住田 友文, 嶋崎 真仁, 岸川 善紀, 亀田 英明
    p. 29
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は、「組織知能」の発現に情報フローが深く関与していることを例証しようとするものである。そのために「組織知能」パラダイムにおける組織伝達に焦点を当て、そのケースとして、医療事故における医師・看護師間のコミュニケーション問題を取り上げる。具体的には看護におけるヒヤリ・ハットの事例を対象に、説明枠組みとして筆者らが提案している“SEC・CIS結合モデル”を援用する。
  • 嶋崎 真仁, 住田 友文, 岸川 善紀
    p. 30
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本稿は、ある地方大学の学生を対象とするアンケート結果から、携帯電話の多機能化が若者世代へどのように影響するかについて、考察するものである。多機能化した携帯電話の普及に伴い、その利用形態は多様化していると考えられる。筆者らは、勤務校の大学生を対象に携帯電話利用について、多機能化携帯の普及前にアンケート調査を行った。その後、買い替え需要が一段落したとみられる時期に携帯電話の新機能に関する設問を追加して同様のアンケートを行った。これらのアンケート結果から、連絡用途以外での利用者割合の増加、電話機能の利用者割合の減少、連絡対象範囲の広がり等の影響を抽出した。
  • 杉山 史佳, 渡邊 慶和, 阿部 昭博, 南野 謙一
    p. 31
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本論文は、大学祭実行委員会を非営利組織(NPO)として捉え、その支援のためのシステム作りを提案する。実行委員へのインタビューを実施した結果、非営利団体のメンバーは通常の営利組織に比べ、組織への帰属意識が強い事がわかった。また、仕事の能率性よりも高い有効性を求める傾向が明らかになったことから、KM の必要性を示したと考えた。しかし、同時に非営利組織特有の要因がKM の障害となる可能性も明らかになった。本研究では組織有効性を高めるための共通意識としてのプラットホーム作りと支援情報システムの作成を行い、メンバーの満足度や組織の発泡性がどのように改善されるのかを検証する。
  • 南野 謙一, 高橋 佑太, 阿部 昭博, 渡邊 慶和
    p. 32
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では,ナレッジ・マネジメントの理論を応用し,プログラミング演習における学習者の知識創造を支援する方法を考察する.岩手県立大学ソフトウェア情報学部では,1年次より研究室に学生を配属し,小グループでマンツーマン方式を取るプログラミング演習を実施している.学生は少人数の利点を活かしコミュニケーションを通して知識を共有しながら,新たな知識を創造し課題解決を行うことができる.
  • CRM導入事例を中心として
    佐々木 崇了, 渡邊 慶和, 阿部 昭博, 南野 謙一
    p. 33
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    近年「e-Japan」構想の下、各市町村で電子自治体への変革が活発となり、市町村ごとに様々な取り組みが行われている。この変革の中心的な課題は「住民満足度の向上」と「効率的な行政運営の実現」である。本研究では、前者に着目し、民間企業で導入されている経営手法であるCRM(Customer Relationship Management)を自治体に応用した「自治体CRM(Citizen Relationship Management)」について先進的な導入事例を調べ、日本での現状を整理する。次にこの調査から得られる知見から、岩手県の自治体において、どのような取り組みが今後必要となるのかについて考察する。
  • 仲 勇, 石川 昭
    p. 34
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    IT技術の発展は、利益を生み出せる期間という点で知識(コンテンツ)の寿命の短縮化をもたらし、知識をストックとしての評価を困難にする。このことは知識選択リスクというこれまであまり意識せずに済んできたリスクを顕在化させ、企業の雇用政策や知識獲得に対する従業員の行動戦略に重大な影響をもたらす。
  • 石岡 賢, 安田 一彦
    p. 35
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    企業は自社製品に顧客を継続的に引きつけることにより、販売量拡大の可能性を増大させる。継続的な革新的新製品の市場投入は顧客の関心を集める良い方法である。しかし、全ての企業が革新的な製品コンセプトと製品の具現化の製品開発スキルを保持しているわけではない。各企業は異なった製品開発アプローチを行い、異なったレベルの革新的新製品を創り出す。本研究ではイノベーションレベルを3つのファクターで分析し、イノベーションレベルを分類する。そして、各レベルに対応した戦略の提示を行なう。この手順により構築される戦略は革新的新製品を市場へ継続的に提供する企業に対して、効果的な製品ポジショニングの決定に役立つものである。
  • 廣田 伝次郎
    p. 36
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
     国・地方公共団体では,現在,公共事業の柱として「電子政府・電子自治体」施策に取り組んでいる。この中で,「行政文書ファイル管理システム」は,情報公開制度における情報検索手段として機能している。その一方で,この行政文書ファイル管理システムは,行政機関における情報共有化のための手段として十分に機能していないという問題も発生している。 そこで,本研究では,行政組織における情報共有化のための行政文書ファイル管理システムが,如何にして行政組織における情報共有化手段として機能できるかに関して,その問題点を考察し,情報共有化手段として機能するための要件を見出すことを目的にする。
  • 北村 浩
    p. 37
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    統合(Integration)は、これまでの企業情報化において普遍的に論じられてきたテーマである。組織を超えて、企業間の取引や異なる基幹業務の間、基幹業務と情報系の各業務の間でプリケーションを柔軟に連携する企業情報システムの参照モデル(Reference Model)を創造することは、企業の新しい活動領域を発掘するための重要な情報化戦略の一つである。このようなモデルを可能にする情報システム構築の体系的な考え方は、企業活動の活性化を推進する役割を果たす点で意義深く、部門ごとの個別の情報化プロジェクトが規範にする指針として全社的に定められるべきものである。
  • どこでも情報
    向井 和男
    p. 38
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    情報処理は、入力、演算機、出力、メモリー、制御機能の5つの「情報処理セット」の構成要素で実現されている。当初、メモリーは演算機と同一の場所にあったが、本質的には同一の場所にある必要はなく、他の場所(リモート)にあってもよい。メモリー(情報)のある場所と演算機のある場所の関係は、同じ場所、違う場所、一部違う場所の3通りとなる。即ち、情報処理という観点からは、強力なネットワーク機能があれば、演算機は移動せず、情報のみ移動すれば十分ということとなる。また、情報の一部をどこか特定の場所においておくこともできる。このような形で情報処理が行なわれることを『ユビキタス・インフォメーション(情報)』[どこでも情報がついてくる]と呼ぶことにする。実際、演算機は駅や空港、飛行機など特定の場所にあれば、情報のみ移動すれば(持ち歩けば)良いわけである。
  • 井村 直恵
    p. 39
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、顧客の技術的知識を効率的に移転するためのモデルを提示することを目的にしている。顧客の潜在的な需要は探知しづらく、そのため移転困難な知識である。一方で、他社に先駆けてその知識を移転し、自社の製品開発に活かすことができた企業は、競合企業に対する優位性を築くことができる。本研究では、組織間での技術知識の移転を戦略的に行うための枠組みとして、「探針型モデル」を提示し、その有効性について議論する。このモデルは、顧客との相互作用を増やし、そこから得られたフィードバック情報を製品開発に利用するメカニズムである。
  • 吉永 崇史, 遠山 亮子
    p. 40
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、企業内研究員が、研究開発プロジェクト遂行上の失敗体験に基づいて形成した知識構造を対象として、PAC分析手法を用いた当構造のクラスター分析結果を個人別にモデル化し、研究マネジャーと研究員との階層間比較分析を行った。更に、当分析の傾向から、階層ギャップが生成されるプロセスのモデル化を試みた。当モデルにより、失敗体験からポジティブな直感イメージを持つ研究開発プロジェクトのコンセプトを再構築するプロセスが明らかとなった。
  • オーケストラの指揮にみる暗黙知の研究
    宇田川 耕一
    p. 41
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    「オーケストラの指揮者の役割とは何か」を突き詰めていくと、「経営者の役割とは何か」という問題と共通する部分が多いことに気が付く。そして、オーケストラの指揮について考察する場合「暗黙知」(tacit knowing) が占める領域がきわめて大きいというのが、筆者の現時点での仮説である。では、昨今注目を集める「オルフェウス・プロセス=指揮者のいないオーケストラ」においては、「暗黙知」の共有はどのように行われているのか。本当にオルフェウスには「指揮者」はいないのか。「オルフェウス・プロセス」のモデル「オルフェウス室内管弦楽団」を現代の優れた指揮者が指揮をしたらどうなるのか。これらの疑問に対して、「暗黙知」をキーワードに考察する。
  • 山田 尚史
    p. 42
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は、インターネット市場における販売業者の信用と業者が掲載する広告情報の質との関係を明らかにすることにある。財の価格がマーケティングの手段にならない賃貸不動産市場において、情報の質(ヘドニック価格と実際の価格との差異)を従属変数とする回帰分析を行った。その結果、1.信用度の高い業者に比べて低い業者のほうがバイアスの大きい情報を掲載している、2.インターネットにしか掲載されていない情報に比べ、雑誌にも利用されている情報のほうがバイアスが大きい、3.販売業者の信用度の違いから生じる情報のバイアスは、インターネットにのみ利用されている情報では少なくなっている、という3つの発見が得られた。これらの結果から、販売業者の信用度の違いによって生じる情報のバイアスは、インターネット市場では縮小されると推測することができる。
  • 菅坂 玉美, 北島 弘伸, 吉田 由起子, 湯上 伸弘, 丸山 文宏
    p. 43
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    ITの浸透に伴い、企業における人材が、技能労働者(スキルワーカー)から、知識により付加価値を生み出す知識労働者(ナレッジワーカー)にシフトしている。定型プロセス業務が中心のスキルワーカーと異なり、ナレッジワーカーは取り組んでいる課題や状況に応じて、ダイナミックかつ柔軟に他のナレッジワーカーと協調しながら業務を遂行するため、これまでの定型プロセス業務向けの手法では支援することが難しい。そこで、本稿では、ナレッジワーカーの協働作業を対象に非定型プロセス業務を支援する手法を提案し、構築した支援システムを、実践を通して評価し、有効性について考察する。
  • 内海 里季, 真野 薫, 遠藤 温
    p. 44
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では、ナレッジ・マネジメントの一形態である情報共有によって、組織の文化的側面である個人の行動や意識がどのように変化したかを、詳細な事例調査から得られたデータを使って検討する。また、個人の行動と意識の変化と情報共有の推進との関係を考察することにより、組織にとって新しい情報流通フローが形成されることによるマネジメント上の問題について議論する。
  • 丹沢 安治, 税所 哲郎, 北島 啓嗣, 阿部 哲也, 内原 康雄
    p. 46
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
    ワークショップ・テーマ:「ITと企業境界マネジメント」報告者、(順不同)1阿部 哲也(セレスティカ・ジャパン副社長)報告タイトル「ビジネスモデルとしてのEMS」2内原康雄(株式会社エヌシーネットワーク社長)報告タイトル「エヌシーネットワークのビジネスモデル」3税所哲郎(関東学院大学経済学部助教授)報告タイトル「情報化社会と金融機関における薄れゆく企業境界」」4北島啓嗣(中央大学総合政策研究科博士後期課程)報告タイトル「「アウトソーシングのマネジメント インターネット上の広告を事例とし>て」5丹沢安治(中央大学総合政策学部教授)報告タイトル「ITと企業境界マネジメントの論理」
  • 山田 啓一
    p. 47
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/11/12
    会議録・要旨集 フリー
     組織間関係研究では、多様なパースペクティブの下、多様な視点から研究が進められているが、ミクロ視点では、組織間コミュニケーションと対境担当者の役割は重要なテーマである。本研究は、組織間コミュニケーションとそれを担う対境担当者について論究した。対境担当者には、組織の境界にあって、情報処理と組織の代表としての外部との交渉が主な機能である。対境担当者の活動は組織内部における情報フローと組織活動のあり方により決定される。その活動を円滑にするためには、組織の機能分化の抑制、対境担当者への権限委譲、組織内の情報システムの統合と情報フローの円滑化、組織文化の醸成と共有等、が有効である。また組織間コミュニケーションの機能には、組織間における、関係円滑化、価値共有、取引円滑化、学習促進、の4つの機能が認められる。これらを効果的・効率的に機能させるには、対境担当者の対境活動を円滑化する環境整備が重要である。
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