経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
2006年度秋季全国研究発表大会
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
  • 吉井 花奈
    p. 1
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    日本の農産物流通は卸売市場を介する市場仲介型流通が主流であるが、高コスト、非効率などの問題を抱えている。近年、Eコマースの発達もあって市場外流通の割合が増加していたが、品揃えや販売面積などに限界があり、資金的にも参入障壁が高いことも分かってきた。卸売市場は価格決定や品揃えなど、市場外流通にはない重要な機能を持っている。関係者のヒアリングから、卸売市場の抱える問題の多くは情報の共有や伝達などITの活用によって解決できる問題であるという結果が得られた。そこで本論では、卸売市場の情報共有や伝達のために必要なITのしくみを提案する。
  • 益満 環, 安田 一彦
    p. 2
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    相次ぐ食品事故で食品の安全性や品質に対する消費者の信頼が揺らぐ中、信頼性確保の手段としてトレーサビリティ・システムが注目され、様々な業界においてその導入が急速に進んでいる。宮城県石巻地域においても平成14 年に韓国産牡蠣混入(偽装)事件が起こり、宮城県産牡蠣の信頼性回復の手段として牡蠣トレーサビリティ・システムが既に稼動している。しかし、同システム導入後の効果や改善すべき課題が未だ明らかとなっていない。そこで、宮城県内の牡蠣パック加工業者を対象に同システム導入後の現状把握を目的として、アンケート調査を実施した。本研究では、アンケート調査から明らかとなった同システム導入後の現状と課題について報告する。
  • 犬童 健良
    p. 3
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    本論文は選好集計理論を限界合理性に対して応用することによって,(誤)表象をもつエージェントの認知的モデリングを提案した.選好集計理論は,社会的選択の分析に用いられたが,本論文では前診断的プロセス,つまり日常的推論やオフィスにおける断片的な情報の統合に適用する.また論争ジレンマを条件文推論の検証(選択課題)のための実用的スキーマとして再解釈することを通じて,権利システムとしての側面に光を当てる.
  • 地域の経済構造の影響について
    稲垣 伸子
    p. 4
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    訪問系の介護サービス産業は日常提供するサービスの移動距離の制約により、事業所拠点周辺に営業範囲が限定されやすい。都市部の市場への参入主体は、全国資本広域展開型企業と、出資が地域的に条件づけられる企業とに大別される。地域の出資と展開規模は相対的に小さいが、一般に企業と事業両次元の、管理と生産各要因における規模の利益の効果の点で、この市場の競合関係が存続するとみられる。かつ地域の起業の背景には、当該都市の産業と経済の構造がある。本研究は都市部のケース地区の参入企業群について、資本の集積と動向の点から論理の検討を試みる。
  • 小坂 武
    p. 5
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
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    経営組織を学習する社会システムと仮定することで、そこでのシステム分析は自己観察にもとづき自己準拠で差異を作り出していくダブル・ループ・ラーニング型の学習プロセスであることを導く。そして、パワーの非対称性を不可避的に作り出すマネジメントの存在から、現実の組織ではその自己観察には暗黙知を探知するツールが、エンパワーメントの組織と共に必要であることを導く。
  • 中原 孝信, 森田 裕之
    p. 6
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    インターネットやモバイル端末の急速な普及により,消費者が音楽を入手する手段は多様化しており,CD販売店を取り巻く環境は急激に変化している.CD販売店は,音楽CDの購買を望む顧客と長期的に良好な取引関係を築くことが不可欠である.
    本研究では,CD販売店のID付きPOSデータを利用し,グラフ分割手法を応用することで,顧客の併買行動から新たなアーティストの分類方法を提案する.提案した分類方法を利用することで,音楽CDの購買に好意的な顧客の特徴を抽出し,ある顧客グループを効率的にプロモートできるアーティストの傾向を発見する.そして,グラフ分割手法を応用した新たな分類が有効であることを示す.
  • 森田 裕之, 中原 孝信
    p. 7
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    小売業では競争の激化に伴い,商品の効率的な値段設定が望まれている.しかし 大量の商品の中からどのような商品を値引きして販売すると効率的であるかを決めることは,POS データが蓄積されていても,その組合せの多さからそれほど単純であるとはいえない.本稿では,実際のPOS データを利用して,各商品の値引きの意思決定が総売上に対する影響を持つ1つのモデルを定式化する. その上で,回帰モデルを利用して値引きによる効用を算出し,ナップザック問題を解くことによって全体として最適になるようなプライシング戦略を提案する.
  • 藤井 仰, 森田 裕之
    p. 8
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    CD小売店ではネット配信など音楽ソフト購入方法の多様化により、CDの売上高が年々減少傾向にある。そのため、今後業績を維持するためには、顧客との継続取引がますます重要になると考えられる。一方、音楽の嗜好は年代によって異なるため、顧客の年齢によってその購買スタイルも異なるものと考えられる。本分析では年代別購買モデルを作成し、各年代モデルにおける継続購買の特徴分析を行った。まず二年間の購買データから,二年間取引を継続する顧客と、中止する顧客の購買行動の違いを発見した。さらに,新規取引顧客が将来継続取引を行う優良顧客となるための、購買行動の特徴について分析した。
  • 饗庭 正樹
    p. 9
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    企業の情報システム化は競争優位性を保つためのツールとして機能させることに重点が置かれているため,結果として企業のコスト削減と生産性向上に寄与している.しかし,当初予測した効果が得られない場合があることに加え,企業の社会的責任の視点では,社会的貢献に向けた情報システム活用は遅れている.本論では企業情報システムは,企業の収益事業として応分の対価を得ながら提供される企業情報システムではなく,社会情報システムのサブシステムとして機能しながら社会的貢献を担う企業情報システムを扱う.社会をネットワークで直接的間接的に結んだ企業情報システムを活用し,企業が企業市民としてどのように社会的貢献を果たしていくかについて考察を行う.
  • 小松 昭英
    p. 10
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    企業情報システムプロジェクトの成功率は未だに依然として低く、そのシステムの経済性評価の方法も確立されていない。経済性の事前評価の道具立ては整っているが、その適用は不適切といわざるを得ない。さらに、その経済的成果は殆ど事後的な計測や評価がなされてこなかった。すなわち、企業情報システムについて、生産システムについても同様であるが、経済的観点に立ったマネジメントサイクルが構築・運用されてこなかった。そこで、有価証券報告書(EDINET)のデータを使って、マネジメントサイクルの構築のための予備的な研究を行なった。すなわち、2002年度から2005年度の電気機器業と機械業の企業について、コブ・ダクラス型生産関数を適用して重回帰分析を行なった。その結果、一般的な関係が得られなかったが、業種間の差はある年度を除いて認められた。しかし、この研究の方向付けの手掛りは得られたものと考えられる。
  • 鈴木 誠
    p. 11
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    コンピュータを用いて新聞記事を政治やスポーツなどの各カテゴリに分類するといった問題に代表されるテキストの自動分類問題では,キーワードの抽出方法が重要である.そこで本研究では,前稿において"頻度差分量"というキーワードの抽出基準を提案した.本稿では,この頻度差分量を改良した3つの基準を新たに提案する.そして,それぞれの比較実験を行うことにより,従来手法であるベクトル空間モデルに基づいた分類手法や前稿に比べ更に分類精度が向上することを示す.
  • 中條 尚子
    p. 12
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、問題状況のステークホルダーの見解や世界観を効果的に導くための手法として「ステークホルダー関係分析表」を提案する。問題の現状分析プロセスでは、目で見て確認できる情報が人々の理解を促進し共通認識を促す。例えばSSMのリッチピクチャーは、情報を図解するための手法であるが、初心者が短時間で使用するには難しい。そこで本研究では、問題状況のステークホルダーの関係性から見解や世界観を導く思考のための枠組みとして表を定義する。見解や世界観を表に整理する過程で、現状分析に携わる人々からより多くの情報を引き出し、情報を構造的に可視化することが期待される。
  • 小川 正史, 河合 勝彦
    p. 13
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
     Web 2.0 という言葉が、2005年半ばから話題となっている。Web 2.0 の本質は「ネット上の不特定多数の人々を、受動的なサービス享受者ではなく能動的な表現者と認めて積極的に巻き込んでいくための技術やサービスの開発姿勢」のことである。グーグル、アマゾン、ヤフーなどの企業が、開発者向けにプログラムしやすいデータを公開する「ウェブサービス」と開発者向け機能「API」を提供している。
     今回の発表では、これらの民間が提供する地図検索サービスなどを利用することにより、我々が従来から提案してきた「公共事業事後評価サイト」を実装する方法について提案する。さらに、予測市場と評価掲示板システムの導入方法についての提言を加える。
  • 田中 健次
    p. 14
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    近年、リコールは自動車だけでなく消費生活用品も対象になり始めた。ブラックボックス化が進み、一般ユーザには理解し難い製品が増加する中、欠陥の無償回収・取替は、安全社会を生むための仕組みとして重要だが、的確で迅速な対応を進めるためには多くの問題が存在している。リコール対象増加の背景要因を整理した後、メーカー企業が考えるべき点を挙げた。リコール対応では、リコール基準に曖昧な部分があり判断が難しい場合があることや、回収のための広報方法に限界があり回収の難しさが横たわる。今後の社会におけるリコールのあり方、迅速なリコール実施を実現するために克服すべき課題を考えてみる。
  • 柴 直樹
    p. 15
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    本稿では,システム開発のために求められる教育として,論理と集合論の必要性について論ずる.筆者らのグループでは,論理と集合論を,経営情報システム関連の大学学部教育におけるシステム開発のための教育の最も基礎的なものと位置づけ,実際の教育の現場で実践してきた.ここでは,論理と集合論を「システムの構造を記述するための言語」と位置付け,その必要性を主張する.そのため,まず「システムの構造」とは何かを,またなぜそれが重要なのかを,何人かの論者の主張を援用して論じ,それを受けて,システム開発のための教育に求められる論理と集合論教育の内容について論ずる.
  • 山崎 伸晃, 手塚 大, 澤田 美樹子, 樋地 正浩
    p. 16
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    大規模災害への危機感が高まり,災害等が発生しても事業を継続させるための事業継続管理(BCM)の重要性が増している.製造業ではサプライチェーン全体の事業継続計画(BCP)の策定・評価が必要である.本報告ではサプライチェーンのBCPのキャッシュフローとバックオーダ解消時間をシミュレーションで定量的に評価するシステムを提案する。提案システムでは,拠点の属性や状態をトリガーとしてアクションプランの実行タイミングを設定する。これにより災害直後に代替拠点を設置する対策など,様々なタイミングでの対策シミュレートを実現した.また,複数のシナリオと複数のアクションプランについて,これらの組合せでシミュレーションを行い,各アクションプランがどのシナリオにどこまで対応できるかなどを評価できる.
  • 小林 満男
    p. 17
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    複数に分類された戦略論は、学問の世界では相対立するものとして捉えられる場合があるが、経営の現場では統合あるいは相互補完的に扱われているようである。本稿では社会構成主義の立場から、各戦略論を併合した「変革プロセスとしての戦略形成」として位置づけられる「コンフィギュレーション・スクール」を再構成し、実務への応用について検討を試みる。
  • 森田 勝弘
    p. 18
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    県立広島大学では、本年(平成18年)6月に、学内の経営情報学部の学生や大学院生、教官、及び近隣の社会人を対象とする「産学連携によるCIO人材育成シンポジウム」を開催した。その参加者に対しては、同シンポジウムのプログラム評価に加え、大学に期待する経営情報学関連のテーマ領域や参加費の負担意識等のアンケート調査も併せて実施した。その集計結果からは、今後、大学や学会が社会人を対象に開催するオープン講座等を企画するにあたって、参考に資するものと考えられる、幾つかの貴重なインプリケーションが得られた。
  • 北島 啓嗣
    p. 19
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    隆盛するeコマースを含む通信販売企業はいかなる条件のもとに立地しているのであろうか。流通企業の立地に関する研究は、数多く蓄積されている。多くは、立地の条件として消費地に隣接するということの重要性を指摘している。しかし、通信販売企業の立地に関する研究の蓄積は乏しい。eコマースを含む通信販売企業は、消費地との隣接ということを条件に立地しているのだろうか。本研究は、ロングテール現象をキーワードに、データ分析および事例研究を通じてこの通信販売企業の立地に関しての考察を行う。現在、インターネットを利用するeコマース、そして従来のメディアを利用した通信販売においても、地方立地の不利は相対的に少ない現象は確認された。これらは、地方の活性化に資する可能性があり、工業に偏った感のある地方産業政策を考え直す余地があると考えられる。
  • 成澤 理香
    p. 20
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    グローバルでの競争激化、製品のライフサイクルの短期化、少子高齢化や高学歴化による人材獲得コストの上昇、価格競争の激化など、日本企業の経営環境は変革期を迎えている。日本企業はその競争力を維持するため、非コア・プロセスのアウトソーシングや生産拠点の海外移転によってコスト削減を図る一方で、より高付加価値な製品やサービスを他社に先駆けて提供することが求められている。こうした産業構造の転換によって、企業は、従来のプロセスの効率化やコスト削減の追求を中心とした体制から、付加価値の追求や人材のナレッジやスキルの最大化を実現する体制への転換が急務となっている。本研究では、人的資本にかかわる情報の可視化/共有化がどのレベルで実現されるべきか、また、日本企業の競争力にどのような影響を与えるのか、という点について、情報システムによる実現アプローチの観点から検証する。
  • 内野 明
    p. 21
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    現実の企業情報システムは必ずしも最新の情報技術で日々更新されているものではない。一般に過去から継承されたソフト資産の制約を受け、その企業固有に形作られた業務システムによって同じ業種や業態、規模がほぼ同じであってもかなり異なる場合もある。また、大企業の情報システムは、実体としてはかなり多くのシステムの集合体となっており、それぞれのシステムの開発時の状況により、時には工場ごとにシステムが異なることもある。このように日本企業の情報システムの実体は簡単には整理できないような混沌とした状況にある。本研究では、まず現状が導かれてきた問題点を整理し、ここ数年いくつかの企業の実態調査をおこなった成果を踏まえて、企業情報システムの現状認識のための調査に関する基礎的なフレームワークの提示をおこなう。
  • 渡邊 慶和, 小幡 孝一郎
    p. 22
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では,伝統的な経営管理文献に見られる企業の情報インフラの特徴がトップダウン的なコントロールにあると考える.従来の経営モデルと手法では,企業の生産性の向上を約束し資源のコントロールレベルを上げることができると主張してきた.しかし多国籍企業での実際は,情報インフラが新しいグローバル現象を部分的にしかコントロールできないことを示している.その理由を,経営管理パラダイムの主要概念である「インフラの定義」「ビジネスとの関連」「投資ポートフォリオとしての情報インフラ」「インフラの管理方法」の4つの側面から明らかにし,このパラダイムの持つ情報インフラに対する基本的な考え方,モデルを示す. 
  • 方針と内容
    旭 貴朗
    p. 23
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    情報システム開発に対する形式的アプローチのひとつとして,この「形式的アプローチ」研究部会はモデル論アプローチを提唱している.その特徴は,これが経営情報システムの一般モデル(理論)をもち,かつまた,モデルに従った開発方法論と開発環境(実践)をもっていることである.今回の発表では,とくにオートマトンというモデルについて,モデル論アプローチの立場から,教育方針や教育内容を論ずる.
  • 佐藤 亮, 福永 康人, 鎌形 俊幸
    p. 24
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    イノベーション・アーキ テクチャ(IA)というイノベーション戦略策定方法論をサービスビジネスへ適用する方法論としてSSM-IAを開発した。発見的ステップでの検討を行う場面ではソフトシステム方法論を援用する。その後、クリステンセンによるイノベーションのジレンマの論点を考慮すると同時に、ノートンのサービスマネジメントの観点も踏まえて、ビジネスプロセスの支援と受益について考察する。
  • 福永 康人, 佐藤 亮, 鎌形 利幸
    p. 25
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    提案した方法論SSM-IAを適用して、鉄鋼e-マーケットプレイス、食品のe-マーケットプレイスの分析を行う。これらを通じて、鉄鋼e-MPの現状の把握と改善策の検討と食品e-MPの現状分析を行い、SSM-IAの有用性の検討の基礎情報を提供する。
  • 鈴木 直義, 渋沢 良太, 堀口 貴光, 湯瀬 裕昭, 青山 知靖
    p. 26
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    多分野融合教育を標榜する学部の学生にとって自らの専門性を明確にすることは容易ではない.本研究は比較的大規模かつ長期間にわたる現実のイベントの運営を支援するソフトウエアシステム開発プロジェクトに低学年から参加することで,プロジェクトに関連する様々な方法論を自ら構築し,大学での学習の動機や方法をまなびとり,自らの適性を発見し,専門分野の意味や意義を自覚させることを目的とするものである.2年間にわたるこのプロジェクトは民産官学協働による地域人材育成をめざした取り組みであり,NPO法人が大学とともにコーディネートしたものである.
  • 林 剛史, 木嶋 恭一
    p. 27
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、エージェントベースモデリングにより、マーケティングにおいてマスコミが社会全体のクチコミの伝播に与える影響を分析することを目的とする。既存のSIRクチコミモデルでは、クチコミ情報の受け手である未感染者は受動的にクチコミ現象を得ることにより、感染者へと変化すると仮定されていた。本研究では、既存のSIRクチコミモデルの状態遷移を見直し、対象に興味を持ち、主体的にクチコミ情報を探索する状態Hを加えたSHIRモデルを提案する。新たな状態Hを表現することによる恩恵として、購入を促すことは難しいが興味を促すことには効果的であるマスコミのクチコミに対する影響を正確に捉えることができるようになる。
  • 丸山 将一, 根来 龍之, 栗田 学
    p. 28
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    1990年代後半よりの電子商取引急成長に対応して,仮想商店街に代表される加盟店ビジネスモデルは,加盟店数や会員数を伸ばし,著しい成長を続けている.しかし,急成長の裏側で撤退した主催企業も多く,持続的競争優位の構築が重要な課題となっている. 当研究では,加盟店ビジネスモデルの代表例として、楽天市場の時系列の収益性変化に着眼し,同社においては、デジタルビジネスで存在するとされる「収益逓増の法則」が成立しないことを示すとともに,同市場における「1店舗当たりの収益性を維持するための戦略」について分析を行った.その結果,同社の加盟店ビジネスモデルには,収益性を維持するための課金体系の変更のみならず,それに伴う負担額増大が加盟店の離脱に繋がることを防ぐ強固な囲い込み戦略があることが分かった.ただし,この囲い込み戦略が将来とも有効である保証はない.
  • 小川 美香子
    p. 29
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    資源依存パースペクティブを用いると、組織が自律化戦略をとる場合は集中型データベース(DB)構造を、組織が協調戦略をとる場合は分散型DB構造を選択する可能性が高いと考えられる。ところが、トレーサビリティシステムを活用して積極的に情報開示に取り組む石井食品株式会社の場合、協調戦略でありながら集中型DB構造を取る。本稿では、石井食品の事例も含めて、加工食品メーカーの戦略とフードチェーン全体におけるDB構造との関係を、資源依存パースペクティブを用いて説明することを試みる。その上で、資源依存パースペクティブの限界を指摘する。
  • 高山 勇, 小川 美香子
    p. 30
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    ワンステップバック、ワンステップフォワード発想に基づき組織間連携を実現し、トレーサビリティを確立する場合、情報連携の鍵となるコード、およびその標準化が課題となる。生産地から複数段階の加工工程を経た原材料を、複数種類用いて生産する加工食品の場合、トレース(追跡/遡及)するためには、製品の製造日、ロット等の情報を複数の原材料と紐付けできることが重要となる。こうした情報項目は、食品業界で従来使用されてきたJANコードには含まれていない。本稿では、キユーピー株式会社の事例を中心に、加工食品業界におけるUCC/EAN128コードを採用した標準化の取り組みと、導入状況、その効果について報告する。
  • 藤原 正樹, 雨宮 孝
    p. 31
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    情報技術(IT)は日々高度化し,経営活動にとって不可欠な存在となっているが,IT投資の経済性評価については有効な方法が見いだせていないのが現状である. 一方,遺伝的アルゴリズム(GA)は,生物進化の原理に着想を得たアルゴリズムで,探索・最適化手法として応用が広がりつつある.  本研究は,GAを用いて複雑化するIT投資評価を行うことを目的としている.IT資産,インタンジブル資産,業績評価指標などの相互関係をGAにおける評価関数として設定し,最適な投資配分を求めると共に,投資評価を試みる.
  • 宗平 順己
    p. 32
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    J-SOXの制定に伴い,IT統制への関心が高まってきている.このIT統制のフレームワークとしてCOBITやシステム管理基準に注目が集まっているが,IT統制の文書化に必要なITプロセスフローについてのリファレンスが示されていない.一方で,開発プロセスとして一般化しているUP(Unified Process)をITマネジメント全般に拡張したEUP(Enterprise Unified Process)が提案されている.本研究では,IT全般統制の対象とするITプロセスの領域とEUPの領域の関係を明らかにし,IT統制におけるベストプラクティスとしてのEUPの活用を検討する.
  • 野地 保, 武 金萍, 平山 守, Azlin binti Abdul Rahman Rina
    p. 33
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    我々はユビキタス環境を想定した開発途上国での次世代通信網(NGN :Next Generation Network)の展開策と結果として個人、社会、産業及び経済の発展に大きな格差をもたらすことの影響を検討している。NGNの展開策は日本での成功事例を開発途上国の風土に合わせることとし、ユビキタス環境を前提としたNGNアプリケーションとしてのインタネットビジネスモデルの検討を行う。本研究ではインターネットでの保養品販売ショップにおいて顧客の肌タイプに合ったスキンケアを選び出すシステム手法を提案する。設計した顧客関係管理(CRM: Customer Relationship Management)システムは、肌センサーと過去の顧客情報を知識ベースとして活用、フィードバックする特徴を備えることができた。
  • 音楽演奏会の構造から
    村瀬 喜代美, 吉田  武稔, 中森 義輝
    p. 34
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
     我々は、人の知識はその人の身体が感知する経験に依拠しており、人の身体は、人間活動を行う上で、知的な活動の感覚装置として、創造的能力にとっての基盤になっているというポランニの考え方を基礎として、音楽演奏会の鑑賞者の感知に注目し、暗黙的認識[1]を基礎モデルにした音楽鑑賞の構造から、知識創造の本質について考察する。  その結果、音楽の響きにこめられた(語ることが出来ない)意味を、鑑賞者が感知し、暗黙的認識による知識創造によって、自分自身の意味を創り出すことができるということを示す。  本研究においては、西洋クラシック音楽を扱う。
  • 武井 博一, 工藤 憲一, 宮田 知明, 伊藤 慶史
    p. 35
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    これまで、日本の小売業態の構造は4回大きく変わった。それらのターニングポイントでは、必ず「人口」「所得」「競合関係」「技術」「法制度」の大きな変化が見られ、それを機に新しい業態が出現し、成長した。現在、日本の小売業は第5のターニングポイントに直面している。 2020年に向けて、地域別、年代別に実質消費額の増減が顕在化し、市場のモザイク化が進むと考えられる。また、消費者による小売業態評価によれば、業態間の白地領域に新業態が再出現する可能性がある。 第5のターニングポイントを迎えるにあたり、小売業は、ターゲット消費者からみた店舗の魅力を柔軟に維持し、変化に俊敏に対応すべく業務革新を進める必要がある。
  • 酒井 博章, 河合 勝彦
    p. 36
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    ある新技術を利用して多くの企業が市場に参入し,多くの新製品が出回る.しかし,ある時点を境にして1つの新製品が他の新製品に対して大きな差をつけて売上を伸ばしていく(一人勝ち).その原因は消費者が売れ筋の製品に飛びつくことで,売れ筋である製品がさらに売れるというポジティブ・フィードバックによって発生する効果(バンドワゴン効果)によるところが大きい.本稿では,このバンドワゴン効果に着目し,一人勝ちが実現されやすい市場の状況が何であるかについて,エージェントベース・モデルを用いて考察する.
  • 阿澄 一寛, 松下 倫子, 渡邊 慶和
    p. 37
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    本論文では,本セッションに於ける前2編の論文の背景となる,下記4問題に関する理論と方法論を紹介し,その可能性について議論する.(1)伝統的管理パラダイムが目指すグローバル企業のコントロールは,果たして,可能か.(2)ネットワークを取り巻く外部性や移行コストの問題にはどのように対処するべきか.(3)極めて社会技術的な交渉プロセスとして理解されるべき,情報インフラを取り巻く世界を取り扱う方法論として,如何なるものが存在するか.(4)情報インフラは,果たして伝統的インフラと同質と言えるか.
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