山の科学
Online ISSN : 2435-7839
8 巻
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 近年の冬は暖かくなっていない
    鈴木 啓助
    2025 年8 巻 p. 1-16
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/19
    ジャーナル オープンアクセス
     1898年から2023年までの日本における年平均気温は,1.35℃/100年の割合で上昇しているが,1989年以降では,2.56℃/100年の上昇率であり,近年の気温上昇が顕著である.本論では,1989年から2023年までの気温変動を検討する.季節平均気温の変動については,夏季の上昇率が最も高いが,冬季の変化は他の季節とは異なり,変化率が,-0.28℃/100年となり,減少傾向である.月平均気温の変化傾向では,最も上昇率が大きいのは3月であり,4月を除いた3月から9月までは大きな上昇率を示している.12月と1月の月平均気温は減少傾向である.  日本アルプス周辺の気象官署における,冬季平均気温については統計的に有意な変化傾向を示さず,ほぼ半数の地点では統計的に有意ではないが減少傾向にある.春季と夏季の季節平均気温は,ほぼすべての地点で統計的に有意な上昇傾向を示す.諏訪の年最低気温は,統計的に有意に上昇傾向にある.他の地点に比べて諏訪で最近の気温上昇が顕著なのではなく,過去には特異的に低温となる冬が度々あったからであると考えるべきである.アメダス観測地点における冬季平均気温は,すべての地点で統計的に有意な変化傾向を示さず,春から秋にかけての季節平均気温の上昇傾向が,気象官署の上昇傾向よりも緩やかである.
  • 榎本 小槙, 的場 澄人, 倉元 隆之
    2025 年8 巻 p. 17-29
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル オープンアクセス
    群馬県にある吾妻川水系源流域には4つの山体があり,それらの火山活動の年代は異なる.そのため,河川水や地下水の水質は,火山活動の年代の違いによる岩石の風化度を反映していると考えられる.これまで,河川水を多地点で採取し,同一水系内の山体間で水質を比較した研究例は少ない.そこで本研究では,吾妻川水系の4つの山体の源流域の河川水と地下水の化学的性質から吾妻川水系源流域の水質形成機構を明らかにすることを目的とした.調査は,2021年11月から2024年6月にかけて行い,河川水および地下水を97地点で採取した.採取した試料は,pH,電気伝導度,主要イオン濃度,SiO2濃度,酸素・水素安定同位体比を測定した.吾妻川水系源流域では,岩石の風化が水質を決定する大きな要素であると示唆され,河川水や地下水の水質は,4つの山体で異なっていた.陰イオンに占めるHCO3の割合は,山体の火山活動の年代順に大きくなっており,岩石の風化度の違いが,河川水や地下水の水質に反映されていた.四阿山の河川水の水質は,流域内に分布する岩石の,風化後の透水性および溶出成分の溶け易さを反映する結果となった.
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