研究目的は、院内教育として提供される研修の過程を評価する測定用具を開発することである。この測定用具は、院内教育の教授者となる看護職者が、受講者が評価主体となる研修過程評価の結果を教授活動改善に活用することを目指して開発された。第1段階は、看護職者1,477名を対象に質問紙調査を行い、有効回答823部の記述をBerelson, B.の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いて分析した。その結果、看護職者が院内教育の研修を評価する視点32カテゴリが明らかになった。32カテゴリを評価の側面別に分類し、研修過程評価の23基準を導いた。第2段階は、第1段階を経て導いた23基準を基盤に34質問項目を作成し、5段階リカート法により尺度化した。パイロットスタディと専門家会議により内容的妥当性を検討後、23研修の受講者642名を対象に調査を実施した。有効回答454部を分析した結果、クロンバックα信頼性係数は0.961であり、尺度が内的整合性を確保していることを示した。研修への満足度とスケール総得点には中程度の相関(ρ=0.637、p<0.001)があり、尺度が基準関連妥当性を確保していることを示した。教育経験のある教授者、教育的準備のある教授者が提供した研修の受講者の得点は、それらがない教授者が提供した研修の受講者より有意に高く、尺度が既知グループ技法による構成概念妥当性を確保していることを示した。
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