東北タイ・天水農業地域において、水・土地資源の評価のためのGISデータベースを構築し、個別農家の所有する小規模溜池と水田の立地に関する空間解析を行った。はじめに、高解像度衛星画像を用いてベースマップを作成し、農家所有区画や溜池の利用に関する聞き取り調査の結果をGISデータベースに格納した。これらのデータを元に、個別農家を対象に溜池の立地配置の格差を定量化した。具体的には、溜池の貯留容量と分散度を指標化し、溜池と水田の立地関係における利水度の評価を行った。溜池からの距離をもとにバッファを作成し、水田領域をカバーする面積割合を分散度(
Dp)として0~1に指標化した。また、溜池貯留容量の指標(
Cp)として、水田面積に対する溜池貯留容量を0~1に指標化した。これら両者の幾何平均を個別農家の利水度(
Awu)とした上で、この評価指標を対象地域内の10戸の個別農家に適用した。評価の結果、農家の利水度は0.1~0.5の範囲でばらつき、少なくとも
Dpと
Cpのどちらかにおいて改善の余地があることが示された。また、利水度の高い農家の所有する水田では、移植時に溜池の利用が活発に行われていたことが認められた。
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