システム農学
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22 巻, 2 号
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研究論文
  • 小阪 尚子, 宮崎 早苗, 井上 潮, 斎藤 元也, 安田 嘉純
    2006 年 22 巻 2 号 p. 77-88
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    時系列の衛星画像を用いたキャベツの生育ステージ把握手法について提案する。対象であるキャベツの生育ステージは、営農において、定植期・生育期・結球期・収穫期に区分されているが、圃場でのスペクトル収集の分析においては、衛星画像によるこの区分は困難であり、地面に占めるキャベツの植被率に基づく生育前期・生育中期・生育後期の区分が適正であった。本論文では、単一時期衛星画像を用いた解析において、識別が困難であったキャベツの生育ステージについて、時系列衛星画像の変化を利用し識別する手法を提案した。単一時期衛星画像では推定精度が平均76%に対し、時系列画像では平均89%に向上することを確認し、本手法の有効性が示された。
  • 安積 大治, 林 哲央, 志賀 弘行
    2006 年 22 巻 2 号 p. 89-98
    発行日: 2006/08/10
    公開日: 2016/06/30
    ジャーナル フリー
    衛星リモートセンシングにより秋まき小麦の子実蛋白含有率を推定し、地図化する手法を提示した。北海道の主要な小麦生産地2地域4町村を対象として、SPOT,Terra/ASTERおよびQuickBirdの衛星データと地上調査で実測した子実蛋白含有率との関係を検討したところ、赤・近赤外波長域の分光放射輝度、正規化植生指数(Normalized Difference Vegetation Index:NDVI)と子実蛋白含有率との相関は、いずれの地域についても、出穂直後は低いがその後徐々に成熟期まで高まった。6月下旬以降、子実蛋白含有率との回帰の寄与率は、NDVIが赤・近赤外域分光放射輝度を常に上回ったことから、子実蛋白含有率の推定にはNDVIを用いることが適当と考えられた。NDVIと子実蛋白含有率との回帰の寄与率が0.6を上回る観測時期は、成熟期の3週間前~成熟期であり、成熟期に近いほど高い寄与率が得られた。NDVIと子実蛋白含有率の回帰式を、衛星画像から抽出した小麦圃場の全画素に適用することによって、衛星データから子実蛋白含有率を推定し、地図化することができる。衛星観測適期における雲量30%以下の条件の出現割合は、北海道内の小麦主産地では概ね15~23%、実日数にすると4~6日程度と考えられ、ポインティング機能を有する衛星であれば、1~3日に1回の観測能力を有することから、ほぽ毎年のデータ取得が可能と考えられる。作成した地図は、当年の栽培管理に利用することは困難であるが、産地の子実蛋白含有率の変動実態や地域特性の把握、次年度以降の栽培管理の改善に利用できる。
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