農耕地の葉面積指数(LAI)は生産力を評価するうえで重要である。本研究では耕作地と耕作放棄地を含む農地での地上のスペクトル測定から得られた正規化植生指数(NDVI)と、サンプリングによって計測したLAIを利用して、簡単なLAI推定モデルを構築した。LAIとNDVIの地上計測値には有意な相関が認められた(R
2=0.70,p<0.001)。2007年4月12日、同5月23日のクイックバード(QB)データを用いて農地を分類し、2007年7月8日のQBデータを用いてLAI推定モデルを検証しつつ、LAIの分布を図化した。教師無し分類(ISODATA法)を用いて分類し、水田、トウモロコシ畑、耕作放棄地とビニールハウスの4クラスに意味づけた。オーバーオールの分類精度は94%で、カッパ係数は0.92だった。この分類画像をLAI分布図作成に利用した。7月のQBデータから算出したNDVIにLAI推定モデルを適用して精度を評価したところ、地上調査のLAIとQBデータで推定したLAIの間に一対一の関係が成り立つことを検証できた(R
2=0.70)。これを受けて、地上測定に基づくLAI推定モデルをQBのNDVIデータの水田、トウモロコシ畑と耕作放棄地に適用した。LAI分布図では農業生態系のLAIは概ね1~4であることがわかった。LAI分布図からは耕作放棄地は農耕地よりもLAIが高めであることが分かった。得られたLAI分布図は十分な精度で各クラスのLAIの状況を示していた。このように地上スペクトルと地上観測のLAIから得られたLAIの推定モデルがQBデータに適用可能で、農地でのLAIの実態を遠隔測定により図化できることが分かった。
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