システム農学
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研究論文
  • -敷料交換が肉用牛の行動に及ぼす影響の検討-
    大西 康介, 大石 風人, 兒嶋 朋貴, 児島 優稀, 外山 尚典, 熊谷 元, 広岡 博之
    2023 年 39 巻 4 号 p. 85-95
    発行日: 2023/12/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

    本研究では、肉用牛の行動評価に対する3軸加速度センサーを用いた動的体加速度(DBA)測定の利用可能性を検討するため、一例として、舎飼いの肉用牛生産現場で一般的に行われている敷料交換(床替え)が肉用牛の行動に及ぼす影響を調査した。舎飼いの黒毛和種繁殖雌牛および黒毛和種去勢肥育牛をそれぞれ用いて計2回の試験を実施した。各試験において、床替え前、床替え当日および床替え1日後の連続した3日間で、供試牛の背部に装着した3軸加速度センサーのデータおよびタイムラプス画像データを各日12時間取得した。取得した3軸加速度データからDBAを算出し、また画像データからは行動様式(座位または立位(歩行を含む))の分類を行い、それらの3日間での変化を調べた。その結果、床替え前と比べて、DBAは床替え当日および床替え1日後に有意に減少し、座位時間が有意に上昇した。また立位時におけるDBAの値が床替え後に有意に上昇したことから、床替えによって敷料が柔らかくなることで立位時のエネルギー消費量が増加する可能性が示唆された。この結果は床替えによる敷料の状態の違いが立位時における肉用牛の微細な反応の違いを生み出すことを示しており、DBAを利用した本研究の手法は、肉用牛の詳細な行動評価法の1つとして有効であることが示された。

  • 広岡 博之
    2023 年 39 巻 4 号 p. 97-105
    発行日: 2023/12/25
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

    ウシが、特にメタン排出に関して環境汚染源となっていることはよく知られている。 本研究では、酪農における乳用牛からの乳生産と肉用(肉専用種)肥育農家からの牛肉生産における消化管内発酵によるメタン排出量のインパクトを、(i)100年間にわたる地球温暖化ポテンシャル(GWP100) による二酸化炭素換算メタン排出量(CO2e)と(ii)短寿命であるメタンガスの特性を考慮したGWP*による二酸化炭素換算メタン排出量(CO2we)の2つの指標を用いて分析した。後者の指標は、気温に関連する気候変動の目標を達成する行動の基準のために使うことを目的としたものである。1990年から2020年までの日本の乳用牛と肉用肥育牛からの時系列データを用い、さらにそのデータをもとに年当たりの乳生産と牛肉生産のそれぞれの総量を2020年の水準に維持すると仮定して、2050年までの消化管内発酵におるメタン排出量を将来予測した。将来予測においては、現状を想定したベースシナリオに加えて、消化管内発酵によるメタン排出量を年間1%および年間2%削減する代替シナリオを想定した。乳生産からの消化管内発酵によるメタン排出量は、通常用いられているCO2eで換算した場合、乳用牛の飼養頭数の減少に伴って一貫して減少した。一方、CO2weで換算した場合、消化管内発酵によるメタン排出量は、将来予測も含めてずっとマイナスの値を示した。これはこの指標が現在のメタン排出量のみならず、20年前のメタン排出量も考慮して得られたものであるためと考えられた。それに対して、牛肉生産においては、乳生産の場合と対照的に、いずれの指標を用いても消化管内発酵によるメタン排出量は年次によって大きく変化せず、年1%以上の削減によってはじめて気候変動中立(メタン排出量がゼロ以下)を達成できることが示唆された。

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