システム農学
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研究論文
  • プリマ ミズキィ ミレルバ, 長澤 良太
    2017 年 33 巻 2 号 p. 27-36
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/08/30
    ジャーナル フリー

    インドネシアにおいては、農業は国家の基幹産業のひとつであり国家歳入の主たる財源でもある。このため、正確な農業生産統計やその関連情報は、国および地方における農業政策によって極めて重要なものである。衛星リモートセンシングの手法は広範な地域を対象として空間的かつ統計的な農地情報の抽出に最も有効であると考えられている。しかしながら、従来の光学センサーを用いた手法は、熱帯地域において雲の被覆による制限を大きく受ける。そこで、雲の影響を受けない全天候型の合成開口レーダ(SAR)を用いた熱帯地域の農業モニタリングの有効性が指摘されている。本研究では、ALOS PALSARが取得した全偏波モードのSAR画像データを用いて農業地域の土地利用区分を試みた。対象地域は中部ジャワに位置する約50km2の範囲で、そこにはジャワ島に広く見られるような複雑で混合した農業的土地利用が展開している。まず、全偏波画像データの後方散乱量を解析して最適な偏波の組み合わせを抽出した。さらに、二通りの偏波合成手法を適用し農耕作地の偏波散乱特性を検討した。解析の結果、HH,HV,VH,VV,HH+HVの後方散乱量とFreeman and Durdenの偏波合成を統合した手法が対象地域の農業的土地利用を最も高い精度(総合分類精度:74.10%、Kappa係数0.625)で分類できることが明らかになった。すなわち、複雑な農耕作地の分類に際して、複数の偏波散乱特性を統合する手法が有効であることが示された。

  • 亦如瀚 , 塩見 正衞
    2017 年 33 巻 2 号 p. 37-46
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/08/30
    ジャーナル フリー

    臭化ダイオキシンBDE209および、BDE209と交互作用をもつと考えられる有毒物質のカドミウムと水銀を補助因子として土壌に投与し、これら3種類の有毒物質が植物(ヨウサイ;蕹菜)および土壌に含有される量を検討する実験を行った。実験はL27(313)直交表をベースにして、BDE209、カドミウム、水銀は、それぞれ3水準の濃度とし、ヨウサイは4水準(4系統)とした。33X 4多因子計画で生じる108の処理組合せを36個ずつの3ブロックに分け、ガラス温室内でポットを使って乱塊法により実験した。この報告は、実験設計および解析方法を示すことを目的とし、解析は2項目(土壌中およびヨウサイ地上部のBDE209濃度)の例で示した。複数の有害物質が生物の成長に与える影響システムを調べる第1段階の研究では、少水準多因子要因実験を行うことに意味がある。環境に有害な物質は実験生物の成長や生存にも影響を与え、往々にして欠測が生じる。本実験で生じた欠測値は、欠測でなかった処理組合せのデータを用いて重回帰式を決定し、その重回帰式を使って推定・補充した。

  • リッサ ファジリ ヤユスマン, 長澤 良太
    2017 年 33 巻 2 号 p. 47-56
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/08/30
    ジャーナル フリー

    泥炭地におけるオイルパーム栽培には、地下水位の管理や樹木の変形を最小限にするために泥炭土壌の圧密、排水管理に関する特殊な対処法が必要とされる。しかしながら、零細な小規模農家のオイルパーム園では往々にしてその適用が困難であり、結果として樹木の変形や転倒が多発している。そこで、本研究ではALOS-2 PALSAR-2の全偏波画像データを用いてインドネシア、リアウ州の泥炭地に展開する小規模農家によるオイルパーム園を対象とし樹木の生育形状を標準、変形、再植樹の3つのタイプに区分・分類する手法の開発を試みた。テクスチュアー解析を適用して、SAR画像の後方散乱量、レーダ植生指標(RVI)、偏波合成から得られたパラメータ値の個々およびその組み合わせを検討した。その結果、すべてのテクスチュアー特性においてMEAN値を用いることで最適な分類ができ、なかでも偏波パラメータ値はオイルパーム樹の変形を捉えるのに有効であることが分かった。最適な組み合わせは、7x7のウィンドウサイズを用いた15バンドのSARパラメータのMEAN値であり、3つのケーススタディエリアでそれぞれ総合分類精度68.69% (カッパー値 0.60)、70.18% (0.55)、 72.75% (0.60)の精度評価値が得られた。これにより、単時期のPALSAR-2を用いることでオイルパーム樹の生育形状を把握、分類図化する手法が提示できたと考える。

技術論文
  • 後藤 慎吉, 安藤 象太郎, 安西 俊彦
    2017 年 33 巻 2 号 p. 57-63
    発行日: 2017/09/30
    公開日: 2018/08/30
    ジャーナル フリー

    フィリピン・ネグロス島北部は典型的なサトウキビ単作栽培地域である。この地域は、サンゴ礁が隆起した透水性の高い石灰岩層が表土の直下に存在するため、地表面に投入された肥料や人・家畜排泄物由来等の窒素が容易に地下に浸透し、地下水への負荷が高いことが予想される。本研究では、既存の統計データおよび現地調査により得たデータを用いて、この地域における各負荷源からの地表面への窒素負荷量を原単位により試算し、地下水への負荷量を推定した。対象領域は土地利用の約80%がサトウキビ栽培を占め、地表面への窒素負荷の約80%がサトウキビ栽培で施肥される窒素肥料によるものだった。また、対象領域内の窒素収支を概算した結果、地表面への窒素負荷量の40-50%が地下への潜在的な負荷となった。この地域の窒素負荷を軽減するためには、サトウキビ栽培における施肥窒素量の削減や施肥時期などの肥培管理法を検討する必要がある。

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