第3回中西部合同放射線腫瘍学研究会のテーマの1つとして, 肺癌放射線治療の10年間の変化を知る事を目的としたアンケート調査を行った.1977年, 1987年の肺癌放射線治療患者を対象とし, 調査項目は各施設の放射線治療の現状, 放射線治療を行った肺癌患者の病理組織, 治療方式の内訳であった.アンケートは関西, 中部, 北陸地区の共同研究会参加施設に行い36施設から回答を得た.34施設のデータを解析に使用し, その内26施設は1977, 1987年両年のデータを, 8施設は治療開始が1977年より後のため1987年のデータのみを用いた.治療患者数は10年間で631例から1004例に増加し, 1987年の扁平上皮癌, 腺癌, 小細胞癌, 大細胞癌の比率は46%, 26%, 18%, 6%で, 10年間で腺癌の比率がやや増加した.以上の症例の内, 手術併用症例は85例が200例に増加し, 1987年には扁平上皮癌, 腺癌, 小細胞癌, 大細胞癌の頻度は53%, 30%, 7%, 6%であり, その比率には10年間著変を認めなかった.手術との併用方式は1977年では術前, 術後照射がほぼ50%ずつであったのが, 1987年には75%が術後照射と, 術後照射の比重が高くなった.手術非併用症例数は10年間で546例が804例に増加し, 1987年の病理組織別内訳は扁平上皮癌, 腺癌, 小細胞癌, 大細胞癌が44%, 26%, 21%, 7%で, 10年間で腺癌の比率が増加した.手術非併用症例の非小細胞癌に対する治療方式は, 1987年には放射線単独が31%, 化学療法後放射線治療が29%と両者が多く, 後者の比率が10年間で高くなった.一方化学療法と放射線療法の同時併用療法の比率は29%から10%へ減少した.小細胞癌に対する治療方式は, 1987年には化学療法後に放射線療法を施行した症例が65%を占め, 10年前の33%から急増した.又1977年には同時併用療法が30%を占めていたが, 1987年には9%に減少した.
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