The Journal of JASTRO
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13 巻, 2 号
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  • 佐藤 斉
    2001 年 13 巻 2 号 p. 59-66
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    照射筒を矩形にした散配電子線照射筒を新たに考案した. この散乱電子線照射筒は, 入射電子に対して斜めに角度をつけた散乱板を矩形照射筒末端部に配置し, 側方に設けた照射窓から散乱電子を取り出して治療ビームとして利用するものである. この側方照射筒の実用性能を検討するため, モンテカルロ計算と測定実験を行なった, 水ファントム表面および深部における線量分布について, モンテカルロ計算と実測値との結果はほぼ一致した, 側方照射筒へ入射する一次電子ビームの強度が, SSD100cmの中心軸深さ1cmにおける出力で6.3Gy/minのとき, 散乱電子線によるファントム表面における最大出力は約0.41Gy/minであった. 散乱板の配置角度により線量分布を制御できるため, 考案した照射筒による散乱電子線治療は, 口腔内や浅在部腫瘍など既存の電子線照射筒では照射不可能な位置に生じた疾患への適応が期待できる.
  • 平安名 常一, 渡邊 磨, 真山 一郎, 橋本 学, 戸村 則昭, 渡会 二郎, 小松 斉, 照井 正信, 加賀屋 晨作, 宮内 孝治
    2001 年 13 巻 2 号 p. 67-71
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線溝療開始時及び治療中のライナックグラフィとシミュレーション霧真の照合を簡易装置である東芝メディカル社製画像ミキシングカメラシステムにて検討, 評価した. 対象は当院にて1998年の一年間で放射線治療した250輝のうち, 頭頸部を除く166例から無作為に抽出した担癌患者17例 (胸部7名, 腹部3名, 骨盤部7名) で, 全例とも, 4人の放射線治療医により従来の照射野照合フィルムによる欄法にて特に問題がないとされた症例である. 中心点のズレは全例とも10mm以内の間に収まっていたが, ライナックグラフイとシミュレーション写真の合致率が100%を得られたのはわずか17例中2例のみであった. 両者のミスマッチの原因のひとつとして比較する写真が互いに等倍でないことが挙げられたが, この簡易型の画像ミキシングカメラシステムは両者を等倍化して照合することが可能であり, この装置を用いることでより正確な照合確認が可能となり放射線治療のQuallty Assuranceの向上に寄与すると考えられた.
  • 伊丹 純, 原 竜介, 小塚 拓洋, 中島 香織, 山下 英臣, 阿部 容久
    2001 年 13 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    Syed-Neblettテンプレートを使用した経会陰的低線量率組織内照射に関しては報告されているものの, 隅様の組織内照射を高線量率で施行したものは余り報告されていない. 今回, Syed-Neblettテンプレートを使用した経会陰的高線量率Ir-192組織内照射の実際の方法に関して述べた. 更に, テンプレートにアプリケータを配置して理想的な状態での高線量率組織内照射での膣粘膜線量を, geometrical optimizationと均一線源滞留時閥で算出した. Ir-192線源移動は全て1cmつつとし, Referencel lneは最外側アプリケータの外側5mmに設定し, そこに平均6Gyを照射するとした. 使用アプリケータ本数の増加や線源滞留位置の相違にかかわらず, geometrical optimizationを施行すれば膣粘膜線量は8Gy程度に揮えられる. 更にタンデムとvaginal obturator周囲アブリケータを同時に使用しても膣鮎膜線量は上昇しない. またgeometrical optimization施行例では, dosehomogeneity indexで線量分布の均一性が高いことが示された. Syed-Neblettテンプレートを期いた経会陰的高線量率組織内照射では, タンデムとvaginalobturator周囲線源を同時に使用可能であると思われる.
  • 中村 和正, 鹿間 直人, 栂尾 理, 佐々木 茂, 篠田 充功, 國武 直信, 木村 正彦, 渡辺 哲雄, 佐々木 智成, 寺嶋 廣美, ...
    2001 年 13 巻 2 号 p. 79-82
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線治療後の味覚障害に対し亜鉛含有胃潰瘍治療薬ポラプレジンクを投与し, そあ効果を検討した. 舌を含む照射野にて放射線治療を施行した悪性腫瘍症例22例を対象とした. 舌の一部または全てに対する照射線量は25, 5Gyから46.0Gy (平均37.9Gy) であった. 放射線治療終了後0-1,561日 (平均305.3日) に, ポラプレジンクー回75mg, 一日2回の投与を行い, 投与期間ば25日から353日 (平均96.9日) であった. 20例 (90, 9%) に自覚的味覚障害の改善を認めだ放射線治療後の味覚障害の回復に亜錐製剤は有効と考えられた.
  • 3週間での低線量率3分割と高線量率6分割
    神宮 賢一, 秋田 雄三, 大曲 淳一, 田原 隆, 吉村 恵, 松井 正典, 和田 進, 國武 直信, 中村 和正, 寺嶋 廣美, 増田 ...
    2001 年 13 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    子宮頸癌腔内照射における低線量率照射 (LDR) /高線量率照射 (HDR) の線量率効果比を, 同一局所制御率を示すICRU直腸線量を指標として算出した.
    ICRU直腸線量が算出でき, II/III期として局所制御を評価できる, LDR, 78例とHDR, 74例を分析対象とした. 腔内照射によるA点線量は, LDRで45-53Gy/3分割/3週間, HDRで30Gy/6分割/3週間である.
    局所制御に関する線量効果関係を, 二重累積法とプロビット法を用いて, 全骨盤外部照射線量毎に計算し, この線量効果関係から50%および90%局所制御ICRU直腸線量を算出し, 線量率効果比LDR/HDRを質出した.
    線量率効果比は, 50%局所制御線量から算出すると1.24, 90%局所制御線量から算出すると1.14となった.
  • 青木 幸昌, 依田 潔, 岩瀬 哲, 柴田 幸司, 多湖 正夫, 寺原 敦朗, 中川 恵一
    2001 年 13 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線治療の目標である癌の局所制御をめざす手段の一つに空間的線量分布の改善がある. 今回, 我々は1980年代後半にBrahmeにより紹介されたinverse planningに工夫を施し, より高速の解を得ることができる計算方法を開発し, 頭頸部腫瘍においてその有用性を確認した. 目的とする線量分布の規定はDICOM-RT形式に準拠した. 評価関数はこれらPTV及びOARsに対する処方から成り立つ線量分布上の不満足度のみを定量的に評価するものを用いた. 照射パラメータはビーム強度の変調パターンとして規定し, 多段階探索による勾配法により線量分布の最適化を行った. 関数のグラフ表示により収束性に関する視覚的評価を可能とした. 各段階では初期値として前段階の収策値を用い, 新たな処方を設定することも可能とした. 中咽頭癌において5門の固定照射を仮定した2D面像を用いて本法の有用牲を確認した. 1回目の探索では20回, 2回目では5回の反復で解が収束した. DVHによる解析ではPTVの線量均一性を犠牲にした場合, OARの被曝線量域の改善をみた. 現在, inverse planningは主として前立腺癌や頭頸部腫瘍に対し2.5Dの照射において臨床応用されている. 肝胆膵などのより最適化が困難な領域においても応用されるには自由度の高い入射方向をもつ3D化が必要となる. この際大局的探索法では計算時間が長大となる危険性がある. 今回の方法は処方の随時変更を伴う多段籍勾配法を用いることにより, 高速計算と極小値でのトラップの問題を軽減できる, 将来, 開発される3D inverse planningは陽子線との比較の対象となっていくことが期待される.
  • 酒井 邦夫, 末山 博男, 斎藤 眞理, 杉田 公, 土田 恵美子, 松本 康男, 笹本 龍太, 植松 孝悦, 小田 純一, 伊藤 猛, 稲 ...
    2001 年 13 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    新潟大学医学部附属病院並びに関連病院5施設において1992年4月より1995年12月迄の間に登録されたII-III期食道癌43例を対象として, 総線量60~70Gyの通常発割照射と5-FUを照射日に合わせて連日少量 (300mg/m2/day) 持続静注する同時併用化学放射新療法を臨床第II相試験として行った. 奏効率90%,(CR: 46%, PR: 44%), 中間生存期間12, 2ヶ月, 2年生存率33%, 5年生存率15%であった. 5年局所非再燃率は, T1-3病変では63%, T4病変では25%で, T1-3病変の5年局所非再燃率が高い傾向がみられた. 治療関連死が2例 (5%) にみられたが, いずれも75歳以上の高齢者であった. Grade III~IVの早期有害事象は11例 (26%) にみられたが, 治療完遂率は88% (38/43) であった, 本化学放射線療法はII-III期食道癌に対する有用な治療法であることが示唆された.
  • 中間報告
    酒井 邦夫, 松本 康男, 西尾 正道, 広田 佐栄子, 山田 章吾, 廣川 裕, 稲越 英機
    2001 年 13 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    III期非小細胞肺癌に対し, 総線量66Gy/33回/6.6週の通常分割照射とcisplalin連日少量 (4mg/m2) 投与の同時併用療法を, 厚生雀がん研究助成盤による多施設共國研究として企画した. これまでに登録された10例について中間解析を行ったところ, grade III以上の有害事象は1例もなく, 中間生存期間14.6ヶ月, 2年局所非再燃率35%という結果が得られた. この化学放射線療法は, III期非小細胞肺癌に対する有効な治療法の一つになる可能性が示唆された.
  • 江島 泰生, 副島 俊典, 丸田 力, 金岡 徳芳, 児玉 明久, 杉村 和朗
    2001 年 13 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    口腔内白板症は前癌病変であり, 外科的切除, ジーザー治療を中心にざまぎまな治療法が試みちれぞいるが, 再発や悪性化が多く治療に難渋することがある.我々は高齢者の難治性口腔内白板症で放射線治療が著効した一例を経験した. 症例は85歳の女性で, 放射線治療までの約4年の経過中にレーザー切除4回, およびビタミンAの内服投与がなされたが再発を繰り返していた. 放射線治療は4MVX線を用い, 40Gy/20fr/32daysの照射を行った. 放射線治療後約3年7ヶ月の経過で再発や悪性化は認めず, 晩期合併症も認めていない. 今圏の治療で, 放射線治療は患者の疼痛緩和や口腔内白板症の改善に有効であり, 高齢者の難治性白板症に対しては放射線治療は試みるべき治療法と考えられた.
  • JASTRO将来計画委員会
    永田 靖, 根本 建二, 山田 章吾
    2001 年 13 巻 2 号 p. 111-118
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    平成12年JASTRO将来計画委員会では, その将来計画活動の一つとして, 放射線腫瘍医の病棟管理についての現状アンケート調査を行った. 今回の調査結果では, 現状においては限られた放射線治療のスタッフ人員で, 入院を要する患者の最大限を引き受けて, 多くの施設の放射線治療病棟が運用されているようである. その中で, 現状以上のマンパワーの充実を求める声が多く寄せられた. また, 末期の緩和医療を依頼できる病棟や病院を持つ施設は約50%にとどまり, 多くの施設で終末期治療を引き受ける専門施設の充実を求める声は多かった.
  • 黒田 昌宏, 王 雅棣, 小松 めぐみ, 浅海 淳一, 渋谷 光一, 川崎 祥二, 奥村 能啓, 赤木 史郎, 金澤 右, 本田 理, 平木 ...
    2001 年 13 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    経時的に4波長の蛍光顕微鏡像と明視野像を同時撮影し画像を自動取得できる新しい蛍光顕微鏡システムを作成した. 培養装置付き倒立型顕微鏡にHoffman Modulation Contrast装置, 培養システム, 蛍光4波長自動切り替え装置, 明視野/蛍難照明自動切り替えユニット, 3CCDビデオカメラおよびコジピユータ自動画像取得ユニットを組み合わせてシステムを構築した. このシステムを用いた経時的観察による蛍光減衰量の基礎的検討では, 観察開始24時間目で, annexin V-enhanced green fluorescent protein (AV-EGFP) では初期値の3%, AV-fluorescein isothiocyanateでは77%, propidium iodide (PI) では28%の蛍光量が減衰した. 放射線生物学研究への応用: として, apoptosisとnecrosisの鑑別に対するAVおよびPIの二重染色法における経時的変化について例示した. ヒトT細胞由来の腫瘍網胞株であるJufkat細胞を抗Fas抗体処理後12時問で, 95%の総胞がapoptosisに, 3%の細胞がnecrosisとなった. また, apoptosisとなった細胞の56%がsecondary necrosisとなった. Apoptosisでは, 明視野では典型的なbuddingがおこるとともに, AV-EGFPとPIの二重染色では初めにAV-EGFPのみで染色され, その後時間をおいて, 細胞膜の破壊, 細胞の扁平化とともにPIでも染色されるsecondary necrosisとなることを個々の細胞単位で観察できた. 一方, 明視野でapopt0tic buddingを形成することなく, 細胞の膨化をおこすneclosisでは, AV-EGFPとPIの二重染色では両者がほぼ同時に染色された.
    新しい蛍光顕微鏡システムは, 細胞の形態と機能を同時に経時的に観察するごとができ, 放射線生物学研究において新しい有用な手法になると思われる.
  • 2001 年 13 巻 2 号 p. 125
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
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