The Journal of JASTRO
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14 巻, 2 号
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  • 菱川 良夫, 香川 一史, 村上 昌雄, 板野 明史, 赤城 卓, 須賀 大作, 阿部 光幸
    2002 年 14 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    当センターで行われる粒子線治療は, 粒子線治療システム, 治療計画システムと治療確認システムからなる総合的システムで行われる.粒子線治療システムは薪しい医療装置で, 医療馬具としての国の承認を必要とする.治療計画システムは, すでに医療用具として使われている種々の放射線診断装置と治療計画装置の組み合わせで, 治療確認システムは, PETカメラである. これらのシステムがスムーズに働くためには, 医師, 技師, 医学物理士, 看護婦の協力が必要で, 当センターではQOLの高いがん治療を目標としたチーム医療を行っている.
  • 前立腺癌
    中村 和正, 手島 昭樹, 高橋 豊, 今井 敦, 小泉 雅彦, 三橋 紀夫, 井上 俊彦
    2002 年 14 巻 2 号 p. 79-85
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    近年前立腺癌罹患率の増加とともに, 前立腺癌治療における放射線治療の重要牲が認識されはじめている.しかしわが国では, 欧米と比べてその罹患率が低かったこともあり, 箭立腺癌の放射線治療に関するエビデンスがほとんどなく, 放財線溶療を施行するにあた娘, 欧米からの論文を参考にしなければならないが, その際は, 民族的, 社会的違いをよく理解しておく必要がある.Pattems of Carestudy (Pcs) は, 米国で開発された臨床的精度管理QAの手法のひとっで, わが国には1996年より本格的に導入された.前立腺癌に関しては, 全函より無作為抽出された放射線治療施設50施設より311症例のデータが集積された. 本稿では, PCSで得られた放射線治療の実態を示しながら, 欧米での前立腺癌放射線治療のevidenceをわが国の実情にあわせて吟味・検討した.
  • 臨床シナリオを用いて
    関口 建次
    2002 年 14 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    EBMは医師の技量と患者の臨床的背景をベストエビデンスと統合するものである. よって料理本のようにtop downではな く, むしろ眼前の患者の問題から発するbottom upの手法を馬いる. EBMのプロセスはStep1: 疑問点の抽出, 2: 文献の検索, 3: エビデンスの質の評価, 4: エビデンスの適期性判断, である. 乳房温存手術後の断端陰性例に対するブースト照射の意義および妊娠中の乳房温存療法という2つのシナリオを用いて解説する. Step 1にはPICO手法が便利である. またStep 2には電子教科書や診療ガイドラインさらには二次的峻別文献集が有用である. またMEDLINEなどの医学データベースの検索にも習難せねばならない. 批判的吟味にはCASP programが役立つ.最良のエビデンスは医師個人の技量と統合され, 患者の価値観ども含致し, 実際に適用されるかどうかが検討される. 放射線腫瘍医はEBMを実践することにより真に患者に優しい医師でありないと願う.
  • 朽木 恵, 板垣 孝知, 濱本 泰, 渡会 二郎, 山口 昂一, 細矢 貴亮
    2002 年 14 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】縦隔洞炎, 食道気管支痩形成を合併した進行食道癌に対する放射線治療について検討した.
    【対象と方法】1987年1月から2001年3月まで山形大学附属病院にて放射線治療を施行した進行食道癌で縦隔洞炎を伴った11例と食道気管支瘻形成を伴った7例の計18例を対象とした. これらの18例を合併症の発現時期により2群に分類した. 放射線治療開始前より合併症の存在が認められた9例を1群 (縦隔洞炎5例, 食道気管支瘻形成4例), 放射線治療中に合併症が発現した9例をII群 (縦隔洞炎6例, 食道気管支瘻3例) とした. さらにこれらの分類を放射線治療法の違いにより2群にそれぞれ分類した. 縦隔洞炎または食道気管支瘻の症状や所見が認められた場合に放射線治療を休止し, 臨床症状が改善した後に咽線量2Gyで照射を再開した10例をA群 (縦隔洞炎6例, 食道気管支瘻4例), 縦隔洞炎, 食道気管支瘻の症状や所見が認められた場合でも放射線治療を休止せずに1回線量をL8Gyに下げて照射を続行した8例をB群 (縦隔洞炎5例, 食道気管支瘻3例) とし, 合併症発現の時期, 放射線治療の有用性, 放射線治療法および治療成績について検討した.
    【結果】縦隔洞炎および食道気管支縷の合併症を伴う進行食道癌において照射は可能であった.合併症発現時期の異なるI群とII群の中間生存期間はそれぞれ5.0ヶ月, 4.0ヶ月であった.また, 放射線治療法の異なるA群とB群の中間生存期間はそれぞれ4.9ヶ月, 3.8ケ月であり, 合併症発現時期及び放射線治療法の違いによる生存率, 治療効果, 治療成績に有意差は認められなかった. 1回線量1.8Gyで照射した症例群で全身状態の悪化を認めず, 放射線治療を完遂し, 治療期間, 入院期間が短くなる傾向が認められた.
    【結論】縦隔洞炎, 食道気管支瘻などの合併症が発生した場合でも休止期間を入れず照射継続が可能であり, 咽線量を1.8Gyに下げて照射を継続することにより経口摂取, 退院が可能となり, 特に予後の短いこれらの症例のquality of life (QOL) の向上に有用な治療法と考えられた.
  • 吉田 弘, 瀬尾 雄二, 中島 香織, 宮野 卓, 菊池 雄三
    2002 年 14 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】上顎洞原発扁平上皮癌に対する放尉線治療, 5FU動注, 及び上顎摘出術からなる集学的治療の治療成績を後向きに解析した.
    【対象と方法】対象は1978年から1997年の間に当院で集学的治療を受けた切除可能上顎洞原発羅平土皮癌71例であり, UICC第五版に基づく分類ではT212例, T346例, T413例である. 12例は初診時頸部リンパ飾転移陽性と診断されていた. 5FUは毎回の放射線治療前に患側浅側頭動脈より動油し, その総量は2,900mg-5,250mg (中央値5,000mg) であった. 一方, 放射線治療は原則的に直交二門照射で行い, その総線量は29-48Gy (中央値48Gy) であった, その後根治的な上顎摘出衛が行われた.
    【結果】Kaplan-Meier法による全体の5年累積生存率, 及び原病生存率はそれぞれ58%, 68%であった. 治療関連死が3例 (3.7%) に認められた. 晩発障害として, 照射野に患側水晶体が含まれた症例では全例に白内障が生じた.
    【考察】上記集学的治療によって, 難症例の半数に5年生存が得られた.今後, この集学的治療法と術後放財線化学療法との比較試験が望まれる.
  • 北村 正幸, 国枝 悦夫, 川口 修, 安藤 裕, 茂松 直之, 柴 秀行, 久保 敦司
    2002 年 14 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は, 歯型と油圧アームを使ろた着脱式の頭部固定シズ騨去の開発と, 頭蓋内の基準点を定期的にCT撮影じた結果によるシステムの再現性の評価である.
    患者個人の歯型からアクリル樹脂歯型を作成した. 歯型を上顎に装着した後, レクセルベースフレームを取り付け, さぢに左右の油圧アームにより固定する. レクセルフレームを利用するので, 我々がこれまで使用している位置決めシステムを活かすことができ, 頭蓋内の解剖学的基準点の座標を得ることができる.
    測定法の妥当性を評価するために, 両側耳小骨と鶏冠頂点の3基学点間距離を算戯した. これらの変動は平均0.5mm未満, 標準偏差は1mm朱満であった.
    7名の分割定位放射線治療において定期的に精度測定CT撮影を行った.両側の耳小骨 (キヌタ骨短脚) と鶏冠の頂点を位置的変動の基準点とし, 合計26回のCT撮影を行った. 治療計画時の初回CT撮影のx, y, z座標値を基準とすると, 以後のCT撮影における座標値の変動は, 平均1mm来満, 標準偏差2mm未満であった. 距離の変動と標準偏差はいずれも2mm未満であった. 基準点重心の移動, 頭蓋の回転角度は平均でそれぞれ, 約0.7mm, 1.0度であった.
    頭蓋内骨構造を基準点とした位置精度灘定法は, 再現性測定法として有用であり, 頭部固定システムの再現性は定位放射線治療として許容範囲と考えられた.
  • 山下 英臣, 伊丹 純, 原 竜介, 小塚 拓洋, 奥脇 英人, 野村 友清, 伊藤 秀幸, 森田 敬和, 青木 幸昌, 中川 恵一, 大友 ...
    2002 年 14 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】NSCLCの術後照射にお縁る予後に関して手術と放射線開始の時間間隔の影響を評価した.
    【方法】1991年4月から蓋999年1月までの間に, 病理学的に非小細胞肺癌と確定診断された67例に術後照射を施行した. 男45k例, 女22例 (年齢の中央値は65歳) で, 組織型は扁平上皮癌が解例, 腺癌が36例, 大細胞癌が1例, 腺偏平上皮癌が2例だった. 手術と術後照射の間隔の中央値は34日間.照射野には手術辺縁, 縦隔リンパ節, 片糊の肺門部リンパ節を含めた. 術後遺残状態が陰性の場合, 50Gyとし, 陽性の場合は, さらに10-20Gy追加照射した. 追跡期間の中央値は53ヶ月だった.
    【結果】5年生存率は39.7%で, 5年疾患蒋異的生存率は466%だつた. 術後照射早期開始群 (6-34日) と非早期開始群 (35-110日) で5年生存率は48.2%と58.2%と有意差はなかった.
    【結語】層SCLCに関しては術後照射を早期に開始できなくても予後には影響がなかった.
  • 萬 篤憲, 戸矢 和仁, 川瀬 貴嗣, 土器屋 卓志
    2002 年 14 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 2002/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】narrow vagina (狭腟) を有する子宮頸部癌患者に対して癌研式アプリケータを使用したCobalt-60高線量率腔内照射を施行した治療成績を標準例と幾較検討した.
    【対象と方法】1992年瀞ら重999年までに根治的照射を行った子宮頸癌50名を対象とした, このうち, 狭腟のため, 癌研式アプリケータ磯ボイドの線源間隔が24mm未満であった15名 (腟幅40mm未満) およびオボイドの挿入が不可能であった4名の合計19名を狭腟群とし, その他の標準例31名と比較検討した. 全例に, 外照射を全骨盤30Gy後, 中央遮蔽して20Gyと腔内照射を施行した. 原則としてA点に24Gyを職いし6分割で施行した. 直腸線量はバリウム造影による塵腸前壁の最高線量について推定評価した.
    【結果】2, 5年生存率は, 狭腟群で72%, 56%, 標準群で62%, 53%であった (P=0.6008). 2年骨盤内制御率は, 狭腟群94%, 標準群77%であった (P=0.1663). 直腸の晩期倉併症 (Gl-3) の累積発生率は狭腟群58%, 標準群29%であ参, 狭腟群に壷腸出血の頻慶が高かった (P=0.0924). 獲腸前壁の推定線量は, 狭腟群の平均値はA点線量の119%と轟く, 標準群のそれは99%であった (P=0.009). 直腸前壁線量が23Gy以下では直腸出血累積発生率が12%, 23Gyを超えると73%と有意に高くなった (P=0.0076).
    【結語】狭腟群では, 標準群と比べ, 局所制御の低下は見られず, 晩期直腸出血が多かった. 狭腔患者に癌研式アプリケータによる3本線源を用い, A点評価による線量投与を行った場合, 直腸線量が標準群に比べ明らかに高く, 直腸出血との関連性が高いと考えられた. 狭腟を有する患者に対しては, 直腸線量を十分考慮して, 照射方法を工腟する必要がある.
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