The Journal of JASTRO
Online ISSN : 1881-9885
Print ISSN : 1040-9564
ISSN-L : 1881-9885
14 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 中川 恵一
    2002 年 14 巻 3 号 p. 129-136
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    筆者が日本放射線腫瘍学会第13, 14回学術大会において行った, 教育講演「放射線治療計画」に基づき, 三次元治療計画の概説を行った. 原体は簡便なアルゴリズムで, 効率的に腫瘍形状に相似した線量分布を実現できる点で, 我が国の放射線治療の現場にもマッチする優れた治療技法である. しかし, 1) CT横断面での線量勾配が緩やかである反面, 体軸方向の勾配が急峻であり, 2) 凹状の高線量域が得られない, という限界がある. 1) の問題は, 筆者らが開発したCアームライナックによる歳差集光原体照射 (Dynamic Conical Conformal Radioherapy (Dyconic CRT)) により解決される.2) についは, IMRTが解答を与えつつある. IMRTは, 1) 線量分布の最適化条件の設定, 2) Inverseplanningによる最適化アルゴリズム, 3) 線量計算, 4) 治療装置での不均一強度ピームの作成, 5) 治療計画の照合の各ステップからなる. IMRTでは, 極端な不整形照射野が用いられるため, ヘッドスキャタを考慮したコンボリューションスーパーポジション法などの高度なアルゴリズムが求められる. また, わずかな誤差が, 線量分布に大きく影響を与えるため, 治療計画の照合は, 従来以上に重要であるJ患者の治療計画データを単純なファントムに置き換えて, 治療計画を再度行い, 同じファントムを用いて, 絶対線量およびフィルムによる線量分布を比較する方法が行われる. 定位照射においては, 頭頸部に対する適応はすでに成熟期に入り, 近年は体幹部腫瘍に対する定位照射に関心が移りつつある. 固定が容易な頭頸部腫瘍と異なり, 体幹部では, 呼吸移動などによる腫瘍の移動など, 多くの不確定要因があり, 様々な工夫がなされている.
  • 末山 博男
    2002 年 14 巻 3 号 p. 137-146
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    現在行われぞいる肺癌放射線治療ついいて概説しだ. 肺癌の放射線治療では, 肺障害を起こすことなく腫傷を根絶させるに足る必要な線量を与え, 永続的な局所制御を得ることであり, その図的のためにさまざまな試みが施行されている. ただし, 膝癌の生物学的特性から, 局所制御の向上のみでは生存率の改善は得られず, 遠隔転移を如何に抑制するかが問題となり, そのためには化学療法を含めた集学的治療の発展が必要となる. 俳小細胞肺癌では, 手術不能の症例に村してはもっぱら根治的放財線治療が行われていたが, 胎療成績は不良であった. しかし, 最近では非進行病期に対して新しいmodalityや照射技衛を駆使することにより, 局所制御率の向上と治療成績の改善がもたらされている. III期症例は化学療法の併用によって, 徐々に治療成績が改善している. 一方, 小細胞肺癌限局型では, 放射線と化学療法の同時併用が標準的治療法となり, かっての難治性癌から治癒可能な疾患として認識されまでに至った.
  • 佐藤 洋
    2002 年 14 巻 3 号 p. 147-152
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    リニアックグラフィで得られるリニアックグラムには, 確認写真と照合写真の2つがある.確認写真については, CR法が確立されている. 一方, 照合写真については, 治療直前にEPIDによる照合が積極的に取り入れられている. しかし, 日々の照射中に写真を取得ずるCR法については確立されていない. CR法による照合写真の目的は, 特定の照射部位や照射方法に対する照射位置決め精度の確認を行うことである.
    従来から, リニアックグラムは, 低解像力に問題があった. そこで確認写真では, フロント側の金属板としてヘビイメタルシート (heavy metallic sheet: HMS) を使用し, バック側には密着用スポンジを装着し, イメージングプレート (imaging plate: IP) とHMSを密着させる. それにより解像力を向上することができるようになった. それに関する貴重な報告が行なわれている. このとき使用する炉の型式は, 高感度のST-III型である.
    同様に, CR法による照合写真も, 確認写真の撮影手法を導入することで, 低解像力を解消することができる. しかし, 照合写真は治療投与線量を用いるため, 高感度である確認写真用IPのST-III型では, 画像形成は困難である. その結果, 低感度でかつ高解像力である乳房用IPのRR-V型の使用が, 照合写真の画像形成に有効であるとの結果が得られた.
    また, 画像処理パラメータの中の1つであるGSパラメータを変化させることで, 適正画像への補正が可能となった. さらに, より大きな治療投与線量の場合, 滅弱板で線量を減弱すれば画像が描出可能な線量域内形成されるため, 適正画像を得ることも可能となった. この減弱板として, 高原子番号で減弱率が大きく, 入手加工のしやすい鉛 (Pb) を用いた.
  • 笹本 龍太
    2002 年 14 巻 3 号 p. 153-160
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】近年, 食道癌に村する化学放射線療法は手術に匹敵するともいえる治療成績が報告されてきており, 今後それに伴う晩期障害が問題となってくることが予想される. 従来我々は5FU及び5FU+CDDPの少量持続静注併用放射線治療を行っているが, 長期生存例の中に心拡大を呈する症例を少なからず経験している, 今回その頻度と関遮因子を遡及的に明らかにすることを検討の目的とした.
    【対象・方法】1期~IVA期までの食道癌症例中, 50Gy以上照射され6ヶ帰以上画像的な追跡が可能であった5蓋例を対象とした. 内訳は照射単独群16例, 化学療法併用群35例. 心拡大については照射前の心胸郭比 (CTR) と照射後最大のCTRの差, および10%以上の増加例 (有意な心拡大) について検討した. 胸水については中等量以上の貯留例を検討した. また, 心臓に対する照射面積と標的線量の積を心臓面積線量と定義し, CTRの変化との関連についても検討した.
    【結果】いずれの治療群でも照射前に比して照射後にはCTRの有意な増加が認められた. 有意な心鉱大は全体で18%. 照射単独例で6%, 化学療法併用例では23%であり, 化学療法併用例で高頻度であった. 心臓面積線量0.4m2・Gy以上の症例では0.4m2・Gy未満の症例に比して有意にCTR増加が大きかった. 中等量以上の胸水貯留は5例 (10%) にみられ, 全例化学療法併用群であった.CTRの増加と共に胸水が増加する例が3例, 更にCTRの増加が胸水貯留に先行する症例が2例見られたことから, 胸水跡留には慢性心外膜炎に伴う心タンポナーデの関与が示唆された. 加えて, 右側のみの群留例がなく全例が左側あるいは両側性であったことから, 胸膜に対する照射の直接的な影響も推察された.
    【結語】食道癌の放射線治療後, CTRが10%以上増加する例は重8%あり, 心臓に対する照射量と化学療法の併用が影響していた.中等量以上の胸水貯留は10%にみられ, 慢性心外膜炎に伴う心タンポナーデ及び放射線胸膜炎の関与が示唆された.
  • 茶谷 正史, 田中 義人, 坪井 和生
    2002 年 14 巻 3 号 p. 161-165
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    新たに開発した非侵襲的で着脱可能な頭部固銀を用い定位放射線治療 (SRT) をおこなつた. 検討対象はSRT単独の25例で, 内訳は原発性脳腫蕩5例, 転移性脳腫瘍19例, 頭頸部腫瘍1例である. SRTは4例にSurgery corn, 21例にmultl-leaf collimatorを用いた. 全例のGross tumor volume (GW) は0.2-585田lで, 治療スケジュールはGTV14ml未満では中心線量30Gy/3fxあるいはき2Gy14fx, 14-30mlは30Gy/6fxあるいは43Gy/15fx, 30ml以上の2例は60Gy/30fx, 30Gy/6fxで, 導繰線量はEquivalent Single Do (ESD) で11.7~20.1Gyである. CTあるいはMRIによる治療効果は, CR: 8例, PR: 3例. NC: 9例 (奏功率64%, 制御率100%) で, G W14m1未満の奏功率は10/14 (71%), GTV14~58.5mlでは6/11 (55%) であつた. 合併症として2例に一過性の脳浮腫をきたした本固定県を恥たSRTは長径3cmm以上の比較的大きな腫瘍に対しても施行可能であるが, 適切な治療スケジュールについてはさらに検討が必要である.
  • 鈴木 弦
    2002 年 14 巻 3 号 p. 167-173
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】放射線治療が行われた早期声門部喉頭癌症例の治療成績を分析し, 局所再発とそれに関与する函子について検討する.
    【対象濠舞法】1977年1月から1999年12月までに当院において放財線治療が施行され, 原則的に24ヶ月以上経過観察 (中央値61ヶ月) が可能であった早期声門部喉頭癌243例を対象とした. 男性229例, 女性14例で, 年齢は40才から90才 (中央値67才) であつた. T分類は, T1a; 93例T1b; 94例, T2; 56例であった. 放射線治療は60Co-γ線または4MV-X線を用いて照射した, 1991年以降は放射線治療前にLager減量術を儀用する事を原則とした. 患者, 腫瘍, 治療の各背景に含まれる因子に対して局所再発をエンドポイントとして予後困子を解析した.
    【結果】37人の患者瀞局所再発し, 5年局所制御率は84.6%であった. 5年原病生存率は98.6%であった. 難変量解析では前交連浸潤, 扁平潰瘍型の腫瘍形態, Laser減量術の非供用が局所再発における有意難危険困子となった. T因子間では有意差は得られなかった (p=0.31). 多変量解析においでは腫瘍の前交連浸潤が局所再発の有意な危険因子となった (p=0.02). 多変量解析で有意差はみられなかったものの再発の危険因子を伴う腫瘍はLaser減量術を併用する事で良好な治療成績が導かれる可能性が示唆された.
    【結語】根治的放射線治療を得った早期声門部喉頭癌において腫瘍の前交連浸潤が局所再発の危険因子となった.
  • 手島 昭樹, 井上 俊彦, 山下 孝, 三橋 紀夫, 西尾 正道, 光森 通英, 角 美奈子, 佐藤 眞一郎, 宇野 隆, 鹿間 直人, 赤 ...
    2002 年 14 巻 3 号 p. 175-179
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
  • 頭頸部腫瘍について
    佐々木 武仁, 大川 智彦, 唐澤 久美子, 高橋 健夫, 早川 和重, 大泉 幸雄, 玉木 義雄, 牧野 正興, 小林 雅夫, 柴山 千秋 ...
    2002 年 14 巻 3 号 p. 181-184
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
  • 臨床試用及び最終改訂版
    唐澤 久美子, 佐々木 武仁, 大川 智彦, 高橋 健夫, 早川 和重, 大泉 幸雄, 玉木 義雄, 牧野 正興, 小林 雅夫, 柴山 千秋 ...
    2002 年 14 巻 3 号 p. 185-193
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    本邦における放射線治療患者のQOL評価法を確立するため, JASTRO-QOL評価研究グループでは放射線療法患者用の調査票QOL-RTI (Radiation Therapy Instrument) の日本語版の案を使用して平成10年2月より研究を開始した. 平成12年5月時点で70例の登録があり登録を終了した. 2年の調査期間を経て今回, 研究データの解析を行った. ここではその結果を報告し, それに基づいて改訂を行ったQOL-RT旧本語版2002 (全般用, 頭頸部罵モジュール) を使用上の注意事項と共に報告した.
    調査対象症例の年齢は平均64歳で, 喉頭癌のI期とII期が37例で半数以上を占めていた. 調査票の内部妥当性intemal consistencyはCronbach's alpha値が0.8以上であり問題なく, 再現性test-retest rehabilityは4週間後の1回目と2回目を比較した結果良好であった. 受容性Receptivi芝yは概ね良好であったが, 性生活に関する質問の受容性がやや低く, 語句の改訂を行った. 感度Sensitivltyは治療による経時的なスコアの変動によって検討し良好であった. 信頼性Reliablhtyの検討として, 総括スケール (第25項目) との相関はSpeamlan相関係数にて0.4以上の係数が18項目であり, 外部基準との相関では, PSの変動とスコアの変動は同様の傾向を示していた. EORTC-QLQ-C30との相関は, Speaman相関係数0.46で良好であった. 因子分析は確定しなかったため, 今後調査票を使用しながら引き続き検討が必要と考えられた.
feedback
Top