The Journal of JASTRO
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14 巻, 4 号
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  • 幡野 和男, 成田 雄一郎, 酒井 光弘, 荒木 仁
    2002 年 14 巻 4 号 p. 199-204
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    強度変調放射線治療は3次元原体照射の最も進化し海手法であり, 画像診断技術の進歩と物理士, 技術者らの努力の結果可能となった. 強度変調放射線治療は逆方向治療計画 (inverse planning) に基づき, あらかじめ設定された標的に対し強度変調された様々なビームを入射し行う手法である. これにより, これまでの3次元原体照射よりも, 腫蕩への高い線量集中性と, 周囲危険臓器への線量減少とを岡時に行うことが可能となった. 臨床においては, 主として頭頸部癌, 乳癌, 前立腺癌などに応用藻れている. 頸頸部癌においては唾液腺分泌瞳害の軽滅, 前立腺癌においては膀胱, 直腸障害の発生頻度の低下などが報告されているが, さらに長期の晩期有害事象や, 生存率への寄与などについては, 未だ報告はない.
    臨床応用開始において撤, QAが必須であるが, 未だ欧米においてもガイドラインは示され業ていない. 現状では少なくとも機械精度, 患者の位置精度, 治療計画装置の精度については治療前に確認すべきであるが, 解決すべき問題点が多い.
    この治療は, 医学物理士を含め, マンパワーを必妻とする治療法であるが, 現状は満足できるものではなく, QAガイドラインの作成を倉め, 学会レベルで早急に解決すべきである.
  • 伊東 久夫, 宇野 隆, 川田 哲也
    2002 年 14 巻 4 号 p. 205-209
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    子富頸癌の放財線療法は確立された治療法となっている. この基本概念は多数の患者を治療している施設の治療法と治療成績から導き出されている. 米国では1973年と1978年の治療を対象としたPCSの結果から, 腔内照射の併用とIII期に対する治療線量が予後因子となることが示された. 本邦のPCS解析からは, 高齢者は少ない線量が照射されたが, 年齢屡による治療成績あ違いはみられないことが示された. 子宮頸癌放財線治療の83Mとして, 米国癌研究所の治療指針が適切と思われる, しかし, その実際の治療法は記載されていないため, 実施には各施設の裁量が必要である. 他施設の子宮頸癌放射線治療威績をEBMとして取り入れる場合, その評価は慎重に行う必要がある.
  • 高木 等, 小林 英敏
    2002 年 14 巻 4 号 p. 211-219
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【はじめに】放射線治療件数の増加に伴い, 放射線治療計画の際に施行されるライナックグラフィーめ撮影と処理及びその確認の迅速さは治療業務の遂行に大きな影響を及ぼす, また, 一般フィルム撮影によるライナックグラフィーは, 極めて低コントラストであり, 画質の陶上が整まれる. これらの点を改善するための一つの方法してぱ, 放射線治療部門へFCRを導入し有効利用することである,【目的】FCRシステムの治療部門への導入による利便盤及び画質の向上を図ることを自的とした.【方法】1) ライナック装置の出力の違いによる治療照射野及び全体照射野の最適撮影条件を决定した. 2) FCRの各種パラメータGA値 (回転量), GS値 (階調シフト値), RE値 (周波数強調度) をそれぞれ変化させたときのライナックグラフィーの画質への影響を比較検討して, 各部位の最適条件を見出した.【結果】1) ライナック装置上での撮影条件は, 治療照射野が1.0MU, 全体照射野が3.0MU, であった. また, 体型の大ぎさの違いなど必要に応じて, 治療照射野が1.5MU, 全体照射野が3.5MUに変更する. 2) FCRのパラメータ設定条件は, 胸部がGA: 3.0, GS:-0.55, RE: 3.0, 腹部がGA: 3.0, GS:-055, RE: 5.0, 骨盤・椎骨部がGA: 4.0;GS:-0.55, RE: 5, 0に決定した.【結語】ライナックグラフィーにおけるFCRシステムの利用に際しては, FCRシステムの更新時に旧システムを治療部門への配置変更することにより, 低コストで利便性の向上と同時に良好な画質を得ることが可能となる.
  • 小林 雅夫, 関根 広, 鈴木 昭彦, 大山 典明, 幡場 良明
    2002 年 14 巻 4 号 p. 221-228
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】血管形成衛後にみられる内膜肥厚に対するIridium-192高線量率血管内照射での抑制効果について, 走査電子顕微鏡での検討を行う. 障害部位周囲での変化を観察し, 内膜増殖抑制の機序の一端を研究することを目的とする.
    【対象と方法】日本白色種家兎 (雄, 3.0~3.5kg) を用いる.(1) ネンブタール麻酔下で左総頸動脈よりballoon catheter (3.0×20mm) を両側総腸骨動脈に挿入し, X線透視下で6気圧1分間の拡張を3回, 1分間ずつの休止をはさみ繰り返し, 内膜損傷モデルを作製した.(2) 片側の拡張部位に一致させIr-192高線量率照射装置を用い, 線源中心より2mmを基準点に12Gyの血管内照射 (治療長3cm, 線量率18~48Gy/min) を施行した.(3) 照射後夏~12週間飼育後, 静脈麻酔下に開腹して0.1M燐酸緩衝液により灌流洗浄を行い, その後2%パラホルムアルデヒドにより45分間灌流固定した. 灌流後腹大動脈分岐部を含め, 両総腸骨動脈を嫡出した.(4) 浸潰固定後, パラフィン包埋, 薄切を施行. HE染色, Elastica-van-Gieson染色を行い, 光学顯微鏡下で観察した. その後, 画像解析装置で増殖内膜の評価をした.(5) 照射後2~7目飼育後, 静脈麻酔下に開腹して0.1M燐酸緩衝液により灌流洗浄を5分間行い, その後1.2%グルタールアルデヒドにより40分間灌流固定した. 灌流後腹大動脈分岐部を含め, 両総腸骨動脈を摘出した.(6) アルコール脱水後, 臨界点乾燥をし更にAu-Pdイオンスパッターローティングを行い, 走査電子顕微鏡で観察した.
    【結果・結論】家兎総腸骨動脈を用いた血管損傷モデルによる血管形成術後の再狭窄予防のための高線量率血管内照射の有用性を検討した. その結果, 内膜増殖抑制効果は12週まで持続した. 照射側では血管径短縮化を認めず, ネガティブリモデリング抑制の可能性が示唆された. 1~2週後では非照射側に軽度の内膜増殖を認めたが, 照射側では認めなかった. 内皮細胞を主体とした変化が主体であり, 走査電子顕微鏡での検討では, 修復は2日目には始まっている可能性があり, 血球系細胞, 血小板, 内皮細胞の集簇がみられる. 照射血管での内皮細胞の核肥大や, 走向異常, 重層化の所見は, 光顕上では内腔を正常に覆う内皮細胞の機能が放射線により影響をうけていると考えられた.
  • 生島 仁史, 竹川 佳宏, 松木 弘量, 安田 浩章, 川中 崇, 芝 篤, 岸田 義臣, 岩本 誠二, 西谷 弘
    2002 年 14 巻 4 号 p. 229-232
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】子富癌に舛しで骨盤部放射線治療を施行した患者において晩期有害事象であるInsufficiency fracture (IF) の発生頻度とその臨床経過を検討した.
    【対象と方法】2000年4月~200藍年3月の間に外来診療を行った子宮癌放射線治療後の108例を対象とした. 放射線治療時の年齢は26歳~88歳 (中央値62歳) で経過観察期間中央値は50ヶ月である. 放射線治療は全例において6MVX線前後対向2門による全骨盤照射を施行しており, 総線量は40~50Gy (中央値50Gy) である. 放射線治療後は骨盤単純x線写真及びCTを定期的に撮像し, 骨盤部痛を訴えた場合にMRIと骨シンチグラフィを追加した.
    【結果】108例中13例にIFを発症した. 骨折部位は仙腸関節: 7例, 恥骨: 6例, 第5腰椎: 5例, 仙骨椎体: 2例, 自蓋部: 1例であった. 6例において複数の骨折部位が存在し, そのうち4例は両側紬腸関節に対称的に生じた亀裂骨折であった. 治療終了からIF発症までの期間は平均11ヶ月で10人 (77%) が1年以内に発症していた. 骨折者の年齢中央値は70歳で高齢者における頻度が有意に高かった. 全例が保存的治療で軽快し, 歩行障害を残した者は無かった.
    【まとめ】子宮癌放射線治療後の晩期有害事象では直腸膀胱障害が議論されることが多く骨に関する報告は少ない. しかし, 社会の高齢化に伴い骨粗懸症を有する患者の増加を背景としてIFの頻度は高くなっていると考えられる. 今後正確な発症頻度の把握と予防的治療の検討が必要である.
  • 高橋 健夫, 町田 喜久雄, 本田 憲業, 細野 眞, 村田 修, 長田 久人, 大道 雅英
    2002 年 14 巻 4 号 p. 233-238
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    近年, 癌治療においてQuality of Life (QOL) の向上が重要な課題となっている. 放射線治療におけるQOL評価法はいまだ確立された方法がなく, また放射線治療が患者のQOLに与える影響も明らかにされていない. そこでわれわれはQOL調査票を用いて, 放射線治療が施行された患者のQOLの変化を調べ, QOLに及ぼす影響についた考察した. QOL調査票は厚生省粟原斑のrがん薬物療法におけるQOL調査票を使用した. 355例の成人癌患者を対象とし, QOL調査は治療開始時・中・終了時の3回行い評価した. 症例全体ではQOLスコアは治療終了時に改善が認められた. これは高齢者においても岡様の結果であった. また婦症照射例 (その多くがPS2-4) でQOLスコアの改善が顕著であった. 化学療法供用例や口腔内が照射された例ではむしろQOLスコアの悪化が見られた. 以上より放射線治療は高齢者やPS不良群でもQOLを損なわず治療可能であり, また姑息・対症照射鋼でQOLの改善が明らかであった. ただし化学療法併用群や口腔内が照射される例では, 注意深く治療する必要がある. 本調査票は放射線治療患者のQOL評価に有用である.
  • フィルムタイプ線量計を用いた検討
    青山 英樹, 中桐 義忠, 稲村 圭可, 田原 誠司, 宇野 弘文, 東 義晴, 平木 祥夫
    2002 年 14 巻 4 号 p. 239-245
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】早期声門癌に対する放射線単独治療は確立されており, 成果を上げている, しかし, 現在では, 各施設で保有する装置は多種類であることから, 必ずしも奨励されているX線エネルギーを馬いて早期声門癌の放射線治療ができない現状がある. その結果, 使用するX線エネルギーの種類により病巣に短する吸収線量が異なり, 治療成績に影響をおよぼす. これは, 頸部および喉頭の形状や構造に深く関係しており, 選択するX線エネルギーの違いにより不整な頸部形状や密度変化の大きい喉頭, いわゆる不均質部において吸収線量堺足が生じると考えられる. そこで, 本婿究では, 前交連と声門部を含む喉頭の不均質部の達続した吸級線量測定を特殊なフィルムタイプ線量計を用いて試みた. さらに, 三次元治療設画装置が算出する頸部ファントムの各部位における吸収線量との比較などを参考に, X線エネルギーの違いが喉頚の正中矢状面における各部位の吸収線量におよぼす影響について解析を行った.
    【対象および方法】成人男子単期声門癌患者の声門部にて, 喉頭の解部学的関係に異常が認められなかった15例のComputed Tomography (以下CTと略す) の画像情報に基づき正中矢状面で左右対称に分離することができる頸部ファントムを作製し, 線量計としてフィルムタイプ線量計Gafbhromic MD-55-2film (Nuclear Assoclates, 正nc: 以下Gaf-filmと略す) を頸部ファントムに挟み込み, X線エネルギー4MV, 6MVならびに10MVそれぞれを用いて, 左右対向二門照射を行った. また, 3D-RTPSを使用して同条件の治療計画を行った.
    【結果】目的線量20Gyに対する前交連および声門中央部での各X線エネルギーの吸収線量抵下率は, 4MVの時, 6.15%・7.35%, 6MVの時, 8.90%・9.45%, 10MVの時, 15.6%・12.7%であった.
    【結語】Gaf-filmを用いることによって, 早期声門癌患者は, 6, 10MVよりも4MVのX線エネルギーで吸収線量低下率を最小にすることが可能であり, 効果的な放射線治療を行えることが確認できた.
  • 永野 尚登, 永田 真樹, 山口 邦雄, 長嶋 敏幸, 田之畑 一則
    2002 年 14 巻 4 号 p. 247-251
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    金摘術が標準治療どなっている膀胱癌においても温存療法は, 多くの施設で臨床試験として検討されつつある. 経尿道的舞除籍 (TuR) 後, 3回の動注化学療法 (CDDP45mg/m2, MTX30mg/m2) と5門照射による60Gy/30fx/6wksの局所放射線治療を同期併用するような, 動注法による三者併用療法の報告は寡少であるため, まず本法の急性毒牲と一次効果との検討を, 静注法による三者併用療法の報告例を比較の対象として, 単アームでプロスペクティブに行う事とした. 一次効果はRECISTの規準, 急性有害事象はNCIの規準にしたがって評価した. PS0-1のHigh risk T1 (T1G3, TUR不完全切除, 多発難病変, 広基性病変, 多数回再発);7例, T2;7例, T3;3例, T4;1例が登録された. BCG膀胱内注入療法を追加した後のCR率は87%(CI66~97%) であった. TURと通常鈴割法による放射線治療と静注法との組み含わせによる諸繋の報告 (2論業, 229例, CR率62%) との間に有為の差が認められた (p=0103). Grade3の白血球減少が26%にみられ, シスプラチン単独の静注併用の報告に比し白血球減少の頻度が高かった. 膀胱直腸の急性反応は軽微であった. 平均15ヶ月の経過中に4例の再発例と2例の転移例を認めた. 再発例は直ちに全摘術をするという方針に従ってすでに3例で手術が完了されている. 他の1例は乳頭状罪浸潤癌であったのでBCG膀胱内注入療法がおこなわれ, 再びCRとなった. 転移例には金身化学療法を行ったが奏効を見なかった. 静注法による三者併用療法に比し一次効果は良好で急性毒性も認容可能であった.
  • CTV-based Dose Prescriptionへの応用
    吉田 謙, 能勢 隆之, 小泉 雅彦, 御供 政紀, 西山 謹司, 吉田 岑雄
    2002 年 14 巻 4 号 p. 253-260
    発行日: 2002/12/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【背景および目的】我々は高線量率組織内照射においてclinicaltarget volume (CTV)-based Dose prescriptionを施行している. 治療計画時にはCTVとOrgans at risk (OAR) を再構成するため, 金属マーカーを利用している. 金属マーカーの有効性を検証した.
    【方法と対象】1999年10月から2001年5月までに大阪府立成人病センター, 国立大阪病院および三田市民病院でImplantを施行した51例中, 金属マーカーを用いた49例 (頭頸部32, 骨盤部11, 骨軟部3, 乳腺3) を対象とした. アプリケータ刺入時に,(1) CTVの辺縁に49例179個,(2) OARに26例151個の金属マーカーを刺入・留置した. 刺入時に記録したCTVとマーカー, アプリケータとの位置関係から治療計画にCTVを再構成した. CTVを囲むIsodosesur faceへ抗腫瘍線量を投与するように計画した, OARへの投与線量は直腸, 尿道, 下顎骨, 皮膚, 大血管についてそれぞれ抗腫瘍線量の80%, 150%, 100%, 50%, 200%以下を目標とした. 金属マーカーの線量, パリ法で計画した場合との比較 (マーカーの線量, DNR, Hyperdose sleeve), 初期治療成績を検討課題とした.
    【結果】(1) CTV用の金属マーカー179個中158個 (42例) は抗腫瘍線量以上となった. 9個 (7症例) はOARへの影響を考え投与線量を下げた. 残りの12個 (7%) は金属マーカー刺入が不適切であったため計画対象外とした.(2) OARについては尿道内の2綱 (1例) のみが目標線量以上となった.(3) 下顎骨のマーカーは7個が金属歯冠のため同定できなかった.(4) パリ法で計画した場合, 16例のCTV用金属マーカーが抗腫瘍線量以下となった. OARについては, 4例 (直腸+尿道2, 尿道1, 大血管1) が目標線量以上となった.(5) CTV-based Dose prescriptionでは, DNRが0.31±0.08, Hyperdose sleeveが4~49mm (中央値7mm) となり, パリ法 {DNR: 0.28士0.08;Hyperdose sleeve: 3~99mm (中央値6mm)} と比較して有意差を認めた (p<0.002, 0.0002).(6) 局所制御率は88%(43例) であった, 抗腫瘍線量以上を投与できた42例中2例のみが再発したのに対し, 投与できなかった7例中4例が再発した (p<0.0001).
    【結論と考察】金属マーカーにより, CTVに対する抗腫瘍線量の投与を正確に行うことができた. OARへの線盤を調節できた. 再抗腫瘍線量を投与できなかった症例は有意に局所制御率が不良であった.
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