The Journal of JASTRO
Online ISSN : 1881-9885
Print ISSN : 1040-9564
ISSN-L : 1881-9885
2 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • AN ANALYSIS OF THE PROGNOSTIC FACTOR AND THE PATTERN OF FAILURE IN LIMITED DISEASE
    有本 卓郎, 菊池 雄三, 西尾 正道, 晴山 雅人, 溝江 純悦, Hiroki SHIRATO, 鎌田 正, Hiroshi MIYAM ...
    1990 年 2 巻 3 号 p. 163-170
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1985年11月より1988年11月までの間, 北海道内22の施設が合同で, 肺小細胞癌に対する臨床トライアルを行った. 治療法は, A法CDDP+VP-162クール+放治40-50Gy (B法), CDDP+VP-16+IFOS2クール放治40-50Gyのいずれかで, 層別化ランダマイズを登場時に行った. LimitedDisease (LD) 51例, Extensine Disease (ED) 41例の計92例が期間中に登録された. 主な結果は以下の通りであった.(1) LD群の予後はED群に比べ明らかに良好で (p<0.001), LD群の2年生存率は24%であった.(2) A法とB法の間に, 生存率, Median Survival Time及び局所制御率での差はなかった.(3) LD症例の中では, 予後 (生存率, 局所制御率とも) に結びつく最大の因子は, 初回治療時のTumor responseで, CR群とそれ以下とでは有意の差を認めた.(4) LD症例でも, 再発の主因は胸部内再発であり, 2年局所制御率は52.5%であった. 又, 大半の胸部内再発 (11/14) は照射野内再発であった.局所制御に重点をおいた次のトライアルが必要である.
  • 斎藤 真理
    1990 年 2 巻 3 号 p. 171-179
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1980年から1987年の間に当科で扱った原発性脳腫瘍症例中, 全脳照射を行い, 照射後少なくとも5カ月以上の経過を観察出来た33例を対象とし, 放射線治療に伴う脳障害について検討した.これらの症例では58%(19/33) の高率に, CT上の器質的変化 (脳萎縮, PVL, 脳室拡大, 脳壊死) またはADLの障害を伴う放射線脳障害がみられた.放射線脳障害の発生は, 照射総線量, 線量の時間的配分, 照射時年齢, 照射後の経過観察期間のほか, 照射容積を加味した容積線量に大きく左右されることが判明した.すなわち, 容積線量が40Gy未満では障害発生頻度は1/3以下であるが, 45Gy以上では100%に発生する
  • 第4報原体打抜照射法の線量分布計算と臨床応用
    小幡 康範, 藤井 洋司, 佐久間 貞行
    1990 年 2 巻 3 号 p. 181-196
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    原体照射法の応用範囲を広げるため, 我々の施設では, 正中を越えて開閉可能な多分割絞りを有するコンピュータ制御原体機構を開発設置し, その線量分布計算法と偏心回転照射を応用した打抜照射法については既に報告した. 今回, 今までにModulexを使って開発した偏心原体照射法プログラムを一部変更して, 吸収体を用いない打抜照射のための絞りの開度を計算し, 更に2回転の照射の合成として線量分布を計算し, 表示できるようにした. そして, 計算による線量分布とフィルム法による測定結果を比較したところ, 最大5%の誤差で良好に一致した. さらに, 2ケ所の打抜の場合は, 照射野を3つの部分に分割して, 3回転して合成すれば可能であり, 測定と計算による線量分布を比較すると, 最大約5%の誤差で良好に一致した. 肺癌と食道癌の症例で縮小追加照射に原体打抜照射を応用した. 原体打抜照射法を用いれば, 治療装置の回転に空間的余裕ができる. 打抜吸収体の代わりにコリメータを用いるため, 打抜効果はコリメータの厚さで決まり, 打抜の大きさに係わらず一定となる. 多段のコリメータ毎に打抜部の大きさや形状や位置が変えられるといった利点があり, 打抜の長さは使用するコリメータの幅で決定され, コリメータの中間で終わることができない. コリメータの幅の間で打抜の形状が変えられないため球状に眼の遮蔽ができない. 打抜部位数+1回転の照射が必要で, 照射時間は長くなる. 打抜部が病巣から外れている場合は, 確認写真に打抜部が描出されないことがあるといった欠点がある. 線量計算方法は基本的にModulexに依存しているので, Modulexの計算精度が上がれば原体打抜照射の線量分布もより正確となる.
  • 大泉 幸雄, 前沢 博, 村山 千恵子, 母里 知之, 鈴木 聡, 宮田 善之, 鈴木 利光, 坂口 正一
    1990 年 2 巻 3 号 p. 197-205
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    多分割照射時において, 新しい放射線増感剤 (RP-170) の有用性を移植ルイス肺癌の成長・マウス皮膚反応から検討した. 回照射における増感剤の併用は, 腫瘍に対して高い増感が得られ, 増感比はRP-170の投与量, 線量に依存した. 同時に, 濃度のRP-170は, 皮膚反応も増強させる可能性があった. 多分割照射との併用では, 3Gy 16回の最大分割照射に少量のRP-170 (80mg/kg: LD50の2%量) を16回併用した場合にも, 1.1の治療可能比が得られた. 各種投与法・分割照射法における効果の解析から, 腫瘍に対する増感比・生存期間の延長は, RP-170の一回投与量, 総投与量に有意に相関し, 分割回数・総線量とは相関はなかった. 分割照射においての皮膚反応の増感は, 明らかでなく, 各因子とも相関はみられなかった. 治療可能比は, RP-170の投与量に最も依存した. 多分割照射時においても, 放射線増感剤 (RP-170) は有用であると考えられる.
  • 増田 康治
    1990 年 2 巻 3 号 p. 207-217
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    C3Hf/Bu, 12週齢, 雌マウスの下肢を, すべて同一条件で25Gy一回照射して, 正常組織の障害の程度を観察した. 障害の指標に, 急性皮膚反応, 脱毛, 照射後40日目あるいは, 250日目の皮膚短縮および250日目の下肢短縮を用いた. いずれの指標を用いても, 実験条件は全く同一であったにもかかわらず, 障害の程度はひろく分散した. この分散の程度を線量であらわすために, 線量効果関係と障害の程度のヒストグラムとを重ねあわせると, 1標準偏差値以内という障害の程度の巾は約10Gy相当であった. 晩発性障害の程度をあらかじめ予測する可能性をさぐるために, 同じ資料を用いて, 個々の動物の早期の皮膚反応と晩発性障害との相関関係を求めた. 各群の平均値を求めると, 早期の皮膚反応の程度と晩発性障害とはよく相関したが, 個々の動物の反応値をみると, 早期の皮膚反応の程度が同一であっても, 晩発性障害の程度はひろく分散し, 早期の皮膚反応の程度から, 個々の動物の晩発性障害の程度を予測することは困難であった.
  • 照射効果と放射線脳障害の解析
    稲越 英機, 酒井 邦夫, 斎藤 真理, 武田 憲夫, 田中 隆一, 高橋 均, 根本 啓一, 登木 口進
    1990 年 2 巻 3 号 p. 219-231
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1981年から1987年までの間に新潟大学病院において全頭蓋とboostの初回照射 (計約54Gy) が行われた脳原発悪性リンパ腫18例について, 主として画像所見および剖検所見によって, 一次効果, 再燃ならびに脳障害を検討した. 抗腫瘍効果としては, 全例にCRが得られたが, 7例に再燃が認められた. 再燃部位は, 中枢神経系5例, 中枢神経外2例であり, 中枢神経系の中では原病巣再発は少なく (1例), 頭蓋内他部や脊髄の再燃 (4例) が多かった. 再燃の危険因子として, 治療前に複数個の病巣の存在することが重要であると考えられた. 一方, 明かな再燃は認められずに活動性の低下する症例が多く, 画像所見として脳障害 (脳萎縮・白質の低吸収域化など) が多く認められた. 以上の結果から, 脳障害を低減する必要があり, また再燃の様式および危険因子を勘案すれば治療成績向上の可能性があると考えられ, 頭部照射線量低減の可能性ならびに脊髄予防照射の可否について考察した.
  • 西村 恭昌, 平岡 真寛, 芥田 敬三, 芝本 雄太, 高橋 正治, 阿部 光幸
    1990 年 2 巻 3 号 p. 233-241
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    進行大腸癌に対する放射線治療の局所効果と生存率を, 1981年から1989年まで当科にて放射線治療を行った大腸癌69症例を対象に検討した. 局所効果の判定の行えた63病変中, 6例 (10%) にCR, 23例 (37%) にPRが得られ, 34例 (54%) はNRであった. 治療法別に奏功率 (CR+PR) を検討すると, 放治巣独群33%(8/24), 温熱併用群50%(16/32), 化学療法併用群50%(2/4), 温熱化学療法併用群100%(3/3) と併用群に奏功率の高い傾向がみられた. 除痛効果に関しては, 48例中44例に, 痛みの軽減, 消失がみられた. 全69例の50%生存期間が15カ月, 1年生存率58%, 5年生存率9%であった. 遠隔転移のない症例あるいは外科的切除の行えた症例の生存率は, そうでない症例に比して有意に生存率がよかった. 進行大腸癌のうち特に遠隔転移のない症例には, 温熱療法, 化学療法, 外科的切除, 術中照射などを積極的に組み合わせることが必要と考えられた.
feedback
Top