The Journal of JASTRO
Online ISSN : 1881-9885
Print ISSN : 1040-9564
ISSN-L : 1881-9885
21 巻, 1 号
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REVIEW ARTICLE
  • 阿部 成宏, 三浦 雅彦
    2009 年 21 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/09/10
    ジャーナル フリー
    生体内の多くの正常組織や器官には,自己複製能と多分化能を保持した幹細胞と呼ばれる未熟な細胞集団が存在し,組織の発生や損傷修復において極めて重要な役割を果たしている.近年,悪性腫瘍においても少数の癌幹細胞と呼ばれる細胞が存在し,自己複製能と分化能を保持しながら,癌組織を構成する大多数の癌細胞を供給しているという,癌幹細胞システムの概念が提唱されている.癌幹細胞マーカーの発見によって,一躍この概念が現実味を帯び,その同定と性状に関する報告が相次いでいる.現在までに,白血病をはじめ,肺癌,乳癌,脳腫瘍,大腸癌などで分離・同定に成功したとの報告がある.しかしながら現時点では,報告されている癌幹細胞マーカーは,癌幹細胞と同定するための必要十分条件とはいえず,今後さらなる研究を要する.また,癌幹細胞は,薬剤耐性と放射線抵抗性を示すことから,新たな癌治療ターゲットとして大きな関心が寄せられている.癌幹細胞標的療法としては,癌間細胞を直接ターゲットとする方法,癌幹細胞のニッチを標的とする方法が考えられている.特に,放射線治療におけるこれまでの増感戦略が,最近明らかになってきた癌幹細胞やニッチに関わる機能の抑制に結びつくものであることは興味深い.本総説では,今までに報告されてきた癌幹細胞の同定法や性状解析に関する最近の知見について解説するとともに,癌幹細胞を標的とした治療戦略についても,問題点ならびに展望を含めて言及した.
ORIGINAL CONTRIBUTION
  • 広田 佐栄子, 久保 田智之, 清水 雅史
    2009 年 21 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2009/09/10
    ジャーナル フリー
    近年「患者中心の医療」の実践を目的とした良好な患者—医師関係を構築するための医療面接技法に関する研究が盛んとなっており,それに基づいた多数の推奨やガイドラインが提唱されている.一方,放射線治療部門での医療面接技法についての研究は少ない.今回,われわれは 2004年 8 月から 2007年 2 月までの間に当院放射線治療外来を訪れた連続する新患患者 382人中,主診療科より十分に病名病状説明を受けたことが確認しえた 227例を対象に検討した.告知された内容を良好に理解できていたものは 4 割に過ぎず, 1/4は不完全・不正確な理解であった.放射線治療について最も質問したい項目としては「副作用」(4 割)についてであった.告知理解度と年齢,性別,病期, PS,治療方針とは明らかな相関関係を認めなかったが,付加的医学情報の希求度とは弱い相関がみられた.放射線腫瘍医は以上のことを念頭において診療にあたるべきであるが,この分野の研究はいまだ不十分であり,更なる検討が必要である.
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