The Journal of JASTRO
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4 巻, 2 号
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  • 向井 稔, 安藤 興一, 小池 幸子
    1992 年 4 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    BRM (biological response modifier) の一つであるOK-432の2回投与と放射線の併用効果について, C3H雌マウスに自然発生した放射線抵抗性でかつ免疫原性の弱い線維肉腫を用いて検討した.腫瘍増殖抑制効果は, OK-432の投与量および投与時期により影響を受けた.40Gyの1回照射との併用では, OK-432の総投与量が2KE以上で, 1週間隔の2回投与群で最も優れた併用効果を認めた.50%腫瘍制御率は, 放射線単独群では83.5 (79.6: 87.4) Gy, OK-432, 総投与量6KE投与群では60.7 (55.9-65.4) Gyで, OK-432の放射線増感率は1.38であった.モノクロナール抗体を用いた腫瘍内浸潤リンパ球サブセットの検討では, Lyt-1, Lyt-2, L3T4陽性細胞は, 放射線単独群に比較してOK-432併用群で有意に増加していた.抗アシアロGMl抗体は, 腫瘍細胞の腹腔内投与前に投与すると腫瘍細胞の増殖を促進したが, 担癌マウスにおいては, 放射線単独群でもOK-432併用群においても腫瘍の増殖促進は認められなかった.
  • 鈴木 恵士郎, 白土 博樹, 高山 直久, 須藤 進, 入江 五朗
    1992 年 4 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】Daily Intermittent Multiportal Therapy (DIMT) を用いた前立腺癌の治療における急性期反応, 腫瘍マーカーの推移, 6カ月以降の障害について検討する.【対象・方法】対象は1989年6月から1990年9月までに当院にて治療された前立腺癌26例である (A23例, B9例, C2例, D10例, 再発2例).平均観察期間は11.6カ月で, 15例は1年以上観察された.放射線治療は前立腺部に, 52.5Gy/16fr/4wksないし30.0Gy/8fr/2wksを, 360° を16分割しそれぞれ対向をなす2門を1日で照射, 計8日で一回転の回転照射に準じた総線量分布を得るように行われた (直腸部を含む後方一門ははずした).照射野は6×6×-9×9cmであった.A2およびB症例ではホルモン療法を行なっていない.【結果】急性期反応としては肛門部皮膚紅斑2/26 (7%), 膀胱刺激症状1/26 (4%), 直腸炎症状 (しぶり腹) 9/26 (35%) が認められた.治療前PSA高値を示した12例中7例 (照射単独2例中2例) は治療後に正常値を呈した.StageDの1例 (治療後15カ月) を除き局所再発は臨床的・腫瘍マーカー上認められず, 6カ月後に10例に行った生検では全例腫瘍細胞を認めず, 治療の有効性が示唆された.6カ月以降の晩期反応として直腸出血が6例に認められた.うち5例は加療なしあるいは内科的治療のみで3カ月以内に症状は改善したが, 内痔核術後の肛門狭窄を有した1例において外科的入院加療を要する直腸出血を認めた.尿道狭窄は1例にのみ認められた。小腸炎, 膀胱炎は現在のところ認められていない.【結論】DIMTは前立腺癌の治療において, その急性期および晩期反応とも一般的回転照射法の報告と同等であり今後その成績を含めさらに研究されるべき方法であると考えられた.
  • 井上 武宏, 井上 俊彦, 池田 恢, 手島 昭樹, 村山 重行
    1992 年 4 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1967年から1982年までの16年間に大阪大学医学部附属病院でコバルト治療されたTl声門部癌は274例であった.209例は1日2Gyで, 57例は1日2.5Gyで治療され, 残りの8例は2Gyや25あるいは3Gyの併用で治療された.治療中の腫瘍消失の有無を週1回評価したが, 2.5Gy群の腫瘍消失率は同じTDFで比較すると2Gy群より有意に低かった.また救済手術を含めた局所制御率は93%と93%であった.両群間に有意の差を認めなかった.
  • 岡崎 篤, 篠崎 淳, 馬場 貞明, 前原 忠行, 末松 直美, 山口 和克
    1992 年 4 巻 2 号 p. 101-111
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    肺非小細胞癌の原発巣に対する有効な照射法について検討した.対象は1985年7月以降の4年6カ月間に原発巣に対し60Gy以上の放射線治療を施行した56例である.照射方法は,(1) 単純分割 (c-f: 1回2Gy, 週5回),(2) Boost therapy併用 (B-t: 単純分割で40~50Gy照射後1回4~5Gy, 週2~3回),(3) 多分割 (H-f1回1.1~1.2Gy, 1日2回, 週5日),(4) 線量漸増 (D-i: 1回1.8Gyで開始し1~2週間隔で1回線量を2.4~3Gy程度まで増加, 週5回) を年次的に試みた.症例数は (1): 11例,(2): 19例,(3): 11例,(4): 15例であった.これら各照射法の有効性について1) 一次効果, 2) 放射線治療後の経過, 3) 剖検所見, 4) 放射線障害, 5) 予後を比較した.その結果, 1) 一次効果 (CR率): 腫瘍径3cm以下ではB-t: 100%, C-60%, D-i: 0%;3.1~6cmではD-i: 29%, B-t: 20%, C-f: 12.5%, H-f0%;6.1cm以上ではD-i: 29%, B-t: 12.5%, C-f・H-f: 0%であった.2) 放射線治療後の経過: 腫瘍径3cm以下ではB-t・D-iで最長54カ月まで腫瘍増大は認められていない.3.1cm以上でもB-t・D-iではC-f・H-fと比較し, 腫瘍増大までの期間において有効性が認められた (P<0.05~0.001).3) 剖検所見: 24例中原発巣の照射効果がEf.3と判定された症例は1例 (腫瘍径6.1cm以上, B-t) であった.一方, Ef.2と判定された5例中3例は腫瘍径3.1cm以上で, B-t・D-iが施行されていた.4) 放射線障害: B-t・D-iでは放射線肺炎の増強が懸念されたが許容範囲であった.5) 予後: 生存率はC-f・B-t・D-i>H-f (P<0.05) であったが, B-t・D-iでは局所非再発状態で1年以上生存中の症例が4例・5例含まれていた.以上より, B-tとD-iは肺非小細胞癌に対する有望な照射法となりうる可能性が示唆された.そこで現在, Boost therapyをとり入れた線量漸増照射法についてTrialを行っている.
  • 秋元 哲夫, 若尾 文彦, 築山 巌, 荻野 尚, 秋根 康之, 柄川 順, 松野 吉宏, 向井 清
    1992 年 4 巻 2 号 p. 113-121
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1969年から1987年までに国立がんセンター病院にて初回治療として放射線治療を含む治療を施行した頭頸部初発非ポジキンリンパ腫I, II期129例 (ワルダイエル輪76例, 鼻・副鼻腔26例, 頸部リンパ節27例) を対象として, その治療成績について分析した. ワルダイエル輪初発例の病期別5年生存率はI期72.7%II期58.9%であり, II期における治療法別生存・非再燃生存率は放射線単独: 50.4・43.1%, 化学療法併用: 67.2・53.6%と化学療法併用により成績の向上がみられた. 特にアドリアマイシン (ADM) 導入以後に非再燃生存率の向上がみられた (ADM (-): 46.2%, ADM (+): 59.2%). 組織亜型・表面形質はB細胞性・びまん性大細胞型が大半を占め, これら因子の予後に与える影響は明らかでなかった. 鼻・副鼻腔初発例の5年生存率は鼻腔15.7%, 副鼻腔17.1%と両部位共予後不良であったが, 再燃形式・組織亜型および表面形質に以下の相違がみられた. 1) 鼻腔初発例に局所再発が多い, 2) 鼻腔初発例がびまん性中細胞型・T細胞性リンパ腫が優位に対して, 副鼻腔初発例はびまん性大細胞型・B細胞性リンパ腫が優位. 頸部リンパ節初発例はI期54.5%, II期77.8%とII期で5年生存率が良好であったが, この結果の主因はI期における放射線治療単独例の成績不良であった. 組織亜型はびまん性と濾胞性がほぼ等しい頻度でみられたが, 生存率に有意な差はみられなかった. 以上のごとく初発部位により予後および腫瘍の性格が異なることより, 治療成績の向上には初発部位に応じた治療法の確立が必要である.
  • 齋藤 勉, 島田 裕司, 河守 次郎, 鎌田 力三郎
    1992 年 4 巻 2 号 p. 123-130
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    放射線とエトポシドの併用効果をチャイニーズ・ハムスターV79細胞を用いて調べた. 指数増殖期にある細胞に対し種々の処理を行ない, コロニー形成法を指標に生存率を調べた. エトポシドは放射線の線量効果曲線の肩の幅を著しく減少させた. この減少はエトポシドの濃度に相関した. 一方, 曲線の傾きはわずか急峻になるに止まった. 2分割照射実験により, 細胞はエトポシドの存在しない状態では放射線単独あるいは放射線とエトポシドの障害から回復するのに対し, 低濃度のエトポシドが存在すると, 放射線単独あるいは放射線とエトポシドの障害から回復しないことが示された. このことは, 放射線の亜致死障害からの回復に対するエトポシドの抑制効果の存在を示している. 放射線とエトポシド投与のタイミングを変えて処理する実験では, 両者を同時に処理したときが最も効果的で, 両者の間隔をあけるにしたがって効果が低減した.
  • 欅田 尚樹, 法村 俊之, 土屋 武彦
    1992 年 4 巻 2 号 p. 131-138
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    マウス移植腫瘍を用いて局所放射線温熱療法時の宿主免疫機能について検討した. C3H/Heマウス由来の自然発生乳癌を2×106個大腿皮下に移植し1週間後15Gyの局所放射線照射あるいは恒温水槽による43℃温熱処理を行った. その結果温熱処理 (20分) 単独群ではコントロール群とほぼ同様の腫瘍増殖を示した. 局所照射15Gy処理後, 温熱処理を10, 20, 30分間併用するといずれの群でも腫瘍の増殖抑制効果は照射単独に比し有意に増強され, 30分間併用群では全例腫瘍消失を認めた. 各処理マウス脾細胞のin vitroでの抗腫瘍活性を検討したところ (cytostatic assay), 局所照射・温熱併用群で終始高い抗腫瘍活性を認めた. また同群のマウスでは脾細胞中のサプレッサー細胞活性の消失を認めた. これらの結果は温熱療法が局所照射の効果を増感するだけでなく宿主の免疫機能の増強を誘導する可能性を示唆した.
  • 関口 建次, 林 真也, 砂川 好光, 寒川 光治, 仲澤 聖則, 山下 孝
    1992 年 4 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    疼痛を伴う多発性骨転移に対する一回2Gy, 計loGyの分割半身照射 (F-HBI) の有用性を検討した. 1990年2月より1991年9月までに9例 (乳がん8例, 肺がん1例), 計10回のF-HBIを施行した. 上半身照射は7回, 下半身照射は3回行った. 10Mv-x線を用い, 照射線量率は15cGy/分としたが, いずれの場合も前処置はしなかった. PS不良群が多く, 9例の生存期間中央値は4.5ヵ月と比較的短かった. Grade 3, 4の副作用は骨髄抑制および消化器症状であったが, すべて一時的であり, G-CSFの皮下注射や輸血で改善した. 肺炎や肝機能障害は認められず, 重篤な合併症を併発したものはなかった. 10段階法による自己採点法で評価した有効率は80%(8/10回) で, うち著効率は20%(2/10回) であった. 照射開始後, 平均9日目より効果が現れ, 持続期間の中央値は2ヵ月であった. 以上より, 疼痛を伴う多発性骨転移に対する10Gy/5回/5日間のF-HBIは副作用も許容範囲で, 疼痛緩和効果も期待できるので有用な治療法の1つと思われる.
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