The Journal of JASTRO
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6 巻, 1 号
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  • 安藤 興一
    1994 年 6 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1994年に開始されるシンクロトロン加速器HIMACによるがん治療臨床試行にむけて, 放射線医学総合研究所の物理学者と生物学者を中核とした研究グループは, 理化学研究所リングサイクロトロンより得られる重粒子線を用いて研究を進めてきた.放医研・金井が設計したルサイト製レンジモジュレータにより拡大された135MeV/u炭素線のブラッグピーク (拡大ブラッグピーク) はビーム方向に3cmの幅を持ち, レンジモジュレータ設計の基礎データに用いた培養V79細胞のみならず, ヒト由来唾液腺腫瘍細胞やマウス腸管クリプト細胞に対しても均一な細胞致死効果をもたらした.マウスNFSa線維肉腫に対する拡大ブラッグピークの生物効果は, ピーク内の位置により異なり, またその線量依存性は比較的低LETの上流部や未拡大平坦部で少なく下流部で最も強かった.LETの低いピーク前入射部にて照射される正常皮膚組織では亜致死損傷や潜在致死損傷の修復が大きく, 一方高LETの拡大ブラッグピークで照射される腫瘍では修復が少ないので, 分割照射により重粒子線治療効果は更に高まるものと期待される.本稿では更に, 粒子の種類によるRBELETの変化, 一回照射より強い細胞致死をもたらすポテンシエーション分割照射, そして障害を減らす容積効果についても言及する.
  • 井上 武宏, 井上 俊彦, 手島 昭樹, 大関 修治, 池田 恢, 村山 重行, 山崎 秀哉, 唐 勤天, 大谷 雅俊, 能勢 隆之
    1994 年 6 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    T3, T4喉頭癌の局所制御と生存率に関与する因子を検討した.1967年より1985年の間に大阪大学附属病院で43例のT3, T4喉頭癌に根治的放射線治療が行われ, 35例に対して術前照射が行われた.根治照射例の他因死を除く5年生存率はT3で48%, T4で52%であり, 術前照射例ではT3で71%, T4で43%であった.根治照射例と術前照射例で有意の差を認めなかった.根治照射例ではNO例の5年および10年生存率は67%, 67%であり, N+では42%, 25%であった (p<0.05).根治例の5年局所制御率はT3で48%, T4で24%であった.T4声門上部喉頭癌では舌根部まで進展した例の予後が他の症例に比べて有意に不良であった.T3, T4喉頭癌ではリンパ節転移が, T4声門上部喉頭癌では舌根部への進展が重要な予後因子であった.
  • 山田 章吾, 角藤 芳久, 坂本 澄彦, 稲越 英機, 土田 恵美子, 酒井 邦夫, 晴山 雅人, 永倉 久泰, 西野 茂夫, 関澤 玄一郎 ...
    1994 年 6 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    北日本放射線腫瘍学グループで40Gy以上の放射線治療を行った新鮮食道癌91例の剖検所見を検討した.放射線による局所制御率は, 28.6%であった.腫瘍長径5cm未満例の局所制御率が良好であった.76.9%の症例に転移を認めた.リンパ節, 肺および肝がもっとも一般的な転移部位である.多変量解析結果から, 局所制御は直接的に生存期間に関与していた.局所制御の良好な例に肺転移を多く認めた.下部食道癌に肝転移が多く, 腫瘍長径10cm以上例に頸部, 縦隔リンパ節転移が多くみられた.頸部, 縦隔リンパ節転移は必ずしも直ちに直接的な死因とはならないようであった.42%に気管, 気管支, 縦隔あるいは動脈への穿孔を認めた.若年者, 上部食道癌およびT4食道癌は穿孔の危険が高いので, 総線量を70Gy未満に下げた方がよい.9例に重複癌を認めた.
  • 宇野 隆, 小高 喜久雄, 伊丹 純
    1994 年 6 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    管腔臓器に対する腔内照射に際し, 線源軌道にカーブを与えた場合にその内側と外側で線量比がどのように変化するかを検討した.高線量率腔内照射装置を用い, 1cm間隔で階段状に線源を移動させることで3-12cmの範囲 (4-13点線源) を照射する場・合を考えた.線源移動軸に垂直方向の外側1cmを線量評価点とし, この点の線量が等しくなるような各点における線源の滞留時間比を求めた.次にこの時間を用いて照射し, 線源軌道に徐々にカーブを与えた場合の軌道中央から外側および内側1cmにおける線量比がどのように変化するかを計算により求めた.その結果, この線量比を0.9以上に保つための各線源移動距離に対するカーブの半径は線源移動距離ごとに異なることが示された.このことから線源移動距離およびカーブの半径によっては, 線源軌道の内側と外側とで評価線量に無視できない差が現れることが示された.
  • CONSIDERATIONS AND PRACTICES FOR IMPROVEMENT OF RADIOTREATMENT CONDITION
    伊津野 格
    1994 年 6 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    当科では, 早期声門扁平上皮癌 (TINOMO) でコバルトγ線による放射線治療を受けた患者は17名, 10MVX線によるもの25名, 4MVX線によるもの52名であり, 局所制御率は各々88%, 60%, 91%であった.早期喉頭癌の放射線治療には, コバルトγ線や4MVX線のようなエネルギーの比較的低い放射線が適しており, 10MVX線のような高いエネルギーの放射線は不適当であることが示された.
  • CONSIDERATIONS AND PRACTICES FOR IMPROVEMENT OF RADIOTREATMENT CONDITION
    伊津野 格
    1994 年 6 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    acute lymphoblastic leukemiaにおける予防的全脳照射などでは, 頭頚部の形状への補償を行わなければ, 高線量域が前頭部, 後頭部, 頭頂部のみならず上頚部内に生じる.当科では頭頚部CT画像から作成する3次元補償フィルタを開発し, 全脳照射において均等な線量分布を得ている.
  • 多施設共同無作為比較試験による検討
    山田 哲也, 石垣 武男, 森田 皓三
    1994 年 6 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    癌放射線治療における白血球数減少に対する, ロムルチドの白血球数増加効果の検討, および最適な投与時期の決定のための多施設共同無作為比較試験を行った.その結果, 放射線治療開始時からロムルチドを投与する方法 (A法) の方が, 放射線治療途中で投与を開始する方法 (B法) よりも白血球数を高いレベルで維持できると考えられた.また, 白血球数維持効果 (照射期間中2000/mm3以上を維持) はいずれの群でも100%近い高い有効率を示し, 白血球数減少のために放射線治療が計画通り継続出来なかった症例は1例も無かった.副作用, 臨床検査値の変動ともに臨床上治療の続行の妨げになるような重篤なものは認めなかった.
  • 築山 巖, 柄川 順, 荻野 尚
    1994 年 6 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1994/03/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    VDS, TNF, Hypenhermiaの3者の併用効果についてマウス移植腫瘍 (FSA-II) の増殖遅延を指標として検討した.VDS (100mglkg) 単独投与では増殖曲線はコントロール群と差はみられないが, 200mg/kgの投与では僅かに抑制された.TNF (1000単位) とVDS (100mg/kg) の併用では増殖は抑制されないが200mg/kgとの併用によって抑制された.43℃, 20分, 2回の温熱処理単独では増殖遅延はみられなかった.VDS (200mg/kg) と45℃, 20分の温熱処理の併用は著名な増殖遅延を示したが43℃, 20分の温熱処理との併用では遅延は認められなかった.VDSとTNFの併用は腫瘍増殖に影響を与えないがVDS (200mg/kg) と温熱処理 (45℃, 20分) の併用にTNF1000単位タ加えると腫瘍は完全に消失した.
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