The Journal of JASTRO
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8 巻, 3 号
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  • 術式と適応の変遷
    中野 政雄
    1996 年 8 巻 3 号 p. 183-194
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    組織内照射と術中照射は設備を備え医療チームの体制を整えれば, 全国いずれの県でも他の方法で治療不可能な悪性腫瘍に適用できる放射線治療術式である.
    組織内照射に関しては組織耐容線量の制約因子としては線量率と照射体積とが大きくクローズァップされることを述べた.照射線量としては総線量と線量率因子を加えた生物学的線量, 即ちEllisの提唱したNSDの概念を現在単位に置き換えた.Gray equivalent therapy (get) を適用することにより有益な因子となり得ることを示した.
    1991年頃より本邦でも開始された高線量率 (HDR) pulsed brachytherapyの分割方式と耐容線量の臨床的指標はほぼ確立されているが, 詳細の結果は今暫くの日時を要するであろう.
    高エネルギー電子線による術中照射も本邦で二施設が世界の先駆者として開発したものである.国立がんセンターの早期膀胱癌の瞠目すべき結果, 京都大学病院のII-IV期胃癌へ適用しての有効性の立証等, 世界の注目を集めている.著者はその後の共同研究者との研究の軌跡を紹介し, その有効性, 特に延命効果について世界の論議を呼んだ膵癌についてはやはり体外照射単独より術中照射を併用した方がよいとする論議を紹介した.
    その他胆道系, 直腸, 胃の癌, 骨部組織肉腫への応用もされている.われわれの頭頸部, 特に頸部リンパ節に対し行った術中照射の結果は利点少なく, 適応再検討する必要性について記した.
  • 谷口 政寿, 兼安 祐子, 唐沢 久美子, 福原 昇, 田中 真喜子, 喜多 みどり, 大川 智彦
    1996 年 8 巻 3 号 p. 195-203
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1981年2月から1994年2月までに, 我々の施設にて31例のLCNを伴う骨盤内悪性腫瘍に対し放射線治療を施行した.性別は, 男性14例, 女性17例で, 年齢は12歳から77歳 (平均57歳) であった.原発部位は, 結腸・直腸が20例と最も多く, 次いで子宮頸部6例であった.治療方法は放射線治療単独13例, 放射線治療と化学療法併用17例, 手術療法後放射線治療併用1例であった.放射線治療後の除痛効果は24例 (77.4%) で認められた.症状の寛解期間は中央値5カ月であった.腫瘍縮小効果はCR3例, PR11例であった (CR+PR: 45.2%).腫瘍縮小効果と総線量, 腫瘍の大きさとの間に明らかな相関関係は見られなかった.50%生存期間は14カ月であり, 累積生存率は1年58.2%, 2年13.1%, 5年6.5%であった.放射線治療に伴う重篤な副作用や晩期障害は認めていない.LCNに対する放射線治療は患者のQOLにとって有用な治療法と考えられた.
  • 磯田 裕義, 赤木 清, 青木 良純, 池田 茂樹, 西田 卓郎, 岡 淳寿, 木村 弘之, 田中 敬正
    1996 年 8 巻 3 号 p. 205-210
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    我々は以前に生体内のアスコルビン酸ラジカル (AR) を測定し, AR量が照射により生じた生体内の・OH, O2-の生成量を反映することを報告した.今回本法を用いて腫瘍径の増大に伴う照射後のラジカル生成量の変化及びラジカル除去剤であるWR-2721のラジカル除去能について検討した.腫瘍径が大きくなるほど照射後のAR量の増加率は小さくなった.腫瘍径の増大に伴う酸素分圧低下により, 照射後のO2-とH2O2の生成が小さくなったためと考えられ, 腫瘍径の増大に伴う放射線抵抗性の増大の一因が照射後のラジカル生成の減少であることが確認できた.WR-2721投与を併用すると, 照射のみの場合と比較して, 照射後, 正常筋組織, 腫瘍部ともにAR生成量は抑制され, 正常筋組織での増加率の抑制の方が大きく, また腫瘍径が大きくなるほど増加率の抑制は小さくなった.今回の我々の結果は, 腫瘍の増大に伴う低酸素細胞分画の増加と薬剤到達性の低下を, ラジカル生成の点から確認できた.
  • 荒木 仁, 伊丹 純, 宇野 隆, 有賀 守代
    1996 年 8 巻 3 号 p. 211-217
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    腎孟癌・尿管癌27例について術後照射の有用性について検討した.全例移行上皮癌で, またいずれも新鮮例に対し患側腎・尿管全摘術を施行していた.このうち術後照射施行例は16例, 手術単独は11例であった.両者の治療成績について比較検討した.5年生存率は術後照射群68 ()%, 手術単独群72.9%と有意差がみられなかった.局所再発に関しては術後照射施行例の照射野内再発が手術単独群に比べ有意に低かった.この傾向は最も再発を多く認めた膀胱で最も著明であり, 膀胱全域を照射した3例とも膀胱再発を認めなかった.腎孟癌・尿管癌全摘例には膀胱全域を含めた術後照射が望まれる.
  • 白 玉美, 板垣 孝知, 久保田 恒, 渡会 二郎, 山口 昂一
    1996 年 8 巻 3 号 p. 219-229
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1977年5月から1992年12月までに放射線治療を開始した非切除非小細胞肺癌は165例であった.原発巣に50Gy以上, 患側肺門や患側縦隔に40Gy以上を照射した94例において, 放射線治療成績をretrospectiveに検討した.奏効率と腫瘍増殖抑制率は原発巣について検討した.奏効率では, 原発巣線量50Gy以上60Gy未満群 (平均TDF 87) で60.0%であるのに対して, 60Gy以上群 (平均TDF 113) では82.1%であった.原発巣線量50Gy以上60Gy未満群 (平均TDF 87) と60Gy以上70Gy未満群 (平均TDF 112) の5年腫瘍増殖抑制率は, 各々0%, 87.2%であり, 有意差が認められた.照射線量毎の生存率は, 原発巣線量により検討した.原発巣線量50Gy以上60Gy未満群 (平均TDF87) と60Gy以上70Gy未満群 (平均TDF112) の5年生存率は, 各々0%, 5.8%であり, 有意差が認められた.以上より腫瘍線量は60Gy (TDF 99) 以上が必要と考えられた.照射方法 (split courseとcontinuous course) 毎の奏効率, 腫瘍増殖抑制率については, 有意差はみられなかった.III期症例において, 治療前後のPSの変化毎の5年生存率は, 改善群で3.8%であり, 増悪群や不変群の0%より有意によかった.腫瘍の縮小により症状が軽減し, PSが改善した群の存在によるものと考えられた.臨床病期毎の生存率では, IIIA期の5年生存率は9.7%で, IV期との間に有意差が認められたが, IIIB期との間には有意差はなかった.組織型, 化学療法併用の有無では, 生存率に有意差はみられなかった.
  • 遠藤 真広, 古山 浩子, 蓑原 伸一, 宮原 信幸, 外村 浩美, 金井 達明, 河内 清光, 辻井 博彦, 森田 皓三
    1996 年 8 巻 3 号 p. 231-238
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    重粒子線の特長を十分に活かすためには, 標的領域に必要な線量を集中させ, 周囲の重要臓器を避ける治療計画を立てる必要がある.このような治療計画を立てるには, 計算機支援を強力に行い, 三次元モデルを含む画像の高速表示や三次元線量分布の高速計算を実現せねばならない.HIPLAN (Heavy Ion Plan) はUNIXとXウィンドウシステムを装備した最新のグラフィクスワークステーション上に構築された治療計画システムであり, 重粒子線による三次元治療計画を行うことができ, またその線量分布を実現するためのHIMAC照射系の制御パラメータを決定できる.本報告では, 現在のHIPLANのソフトウェア仕様, システムアーキテクチュア, ハードウェアおよび治療計画例について述べるとともに, 将来の展望について議論する.
  • 兼安 祐子, 喜多 みどり, 唐澤 久美子, 福原 昇, 武本 充宏, 大川 智彦
    1996 年 8 巻 3 号 p. 239-249
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1969年から1993年までの25年間に, 当科で外部照射と腔内照射による根治的放射線治療を施行した子宮頸部扁平上皮癌377例の総治療期間による治療成績を分析し, 以下の結論を得た.(1) 子宮頸癌根治的放射線治療において総治療期間は重要な予後因子のひとつである.総治療期間を6週未満 (A群), 6週以上8週未満 (B群), 8週以上 (C群) に分類すると, I~IVa期全体では治療期間が6週以上に延長すると5年生存率は低下し, 予後は不良で各群間で統計学的に有意差を認めた (A・B群間: p=0.0176, B・C群間: p=0.0004).各病期別では8週以上の延長群 (C群) で有意な予後の低下を認め, 腫瘍の大きいIII・IVa期 (p=0.0056) ではI・II期 (p=0.0307) に比べて顕著であった.(2) 総治療期間の延長により骨盤内再発率が上昇する傾向にあった.すなわちIII・IVa期では一日当たり約0.7%の骨盤内制御率の低下を認めた.(3) 8週以上の治療期間延長の理由はI・II期では治療方針の変更が多く, III・IVa期では腫瘍に関連したものが多かった.(4) 晩期障害発生率は総治療期間により差が認められなかった.(5) 以上より子宮頸癌放射線治療においては, 外部照射期間中のできるだけ早期に腔内照射を行い, 総治療期間を6週未満に行うことが重要であると考える.
  • 茶谷 正史, 又吉 嘉伸, 真崎 規江
    1996 年 8 巻 3 号 p. 251-256
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    1977年9月から1991年4月までに治療を行なったII期声門部癌134例につき治療成績を検討した. 内訳は放射線治療57例, 外科治療77例である. 1985年を境に前期では外科治療, 後期では放射線治療が, また, 声帯の運動障害や前交連への浸潤例では外科治療が選択されている. 治療法別の5年原病生存率は放射線治療100%, 外科治療93%で有意の差は認めなかった (P=0.055). 一方, 喉頭温存率は放射線治療群77% (43/56), 外科治療群13% (10/77) で有意の差を認めた (P<0.001). 放射線治療群における最終経過観察時点における照射線量別の局所制御率は60-64Gy群56%, 66-70Gy群84%と, 後者で有意によい結果であった (P=0.018). また, 外科治療群における原病生存率はpT1-pT2: 96% (67/70), pT3-pT4: 5/7で有意の差を認めた (p=0.013). 今後, 放射線治療の適応の拡大を図ることによりQOLの高い治療成績の実現を目指す.
  • 乳房温存療法147例の検討
    山田 和成, 平塚 純一, 田村 博文, 長瀬 尚巳, 今城 吉成
    1996 年 8 巻 3 号 p. 257-263
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    【目的】本院で術後放射線照射を受けた乳房温存症例147例 (1987年4月-1995年4月) について乳房照射の副作用について検討した.【対象・方法】乳房部分切除術はLumpectomyが43例, Quadrantectomyが104例, 腋窩リンパ節廓清は135例に施行された. 放射線治療は, 残存乳房のみに50Gy/25fr/5週を照射した. 術後断端陽性例3例のみ電子線で10Gy追加を行った. 補助療法は化療 (5-FU系) が73例, 内分泌療法 (TAM) が86例に併用された.【結果】乳房照射により一過性の皮膚反応は認めたが, 明らかな乳房の変形は認めなかった. 放射線肺臓炎の症状出現は2例 (1.4%) のみで, 症状の持続は認めなかった. 胸部写真上11例 (7.5%) に軽度の線維化を認めた. 経過観察中に2次発癌出現は認めなかった.【結論】残存乳房に対する接線照射はQOLを低下させることもなく安全に施行可能であった.
  • 小野木 雄三, 青木 幸昌, 中川 恵一, 豊田 健嗣, 馳沢 憲二, 多湖 正夫, 豊田 達也, 小塚 拓洋, 牟田 信春, 佐々木 康人
    1996 年 8 巻 3 号 p. 265-275
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    高精度放射線治療が行われる昨今では正確なセットアップが非常に重要である. そこでセットアップの精度を定量的かつ客観的に評価し, 精度を改善するために電子的照合画像取得装置と自動画像比較アルゴリズムを用いて各回治療時の照射野内の解剖学的構造の位置変位を解析した. まず画像比較アルゴリズムによる計算誤差値が正しい割合は54%であり, 失敗の原因には画像の露出不良が目立った. 画像取得時や登録時の誤りを減らす工夫が必要なこと, アルゴリズム上の改善点が明らかになった. 正しい誤差値が得られた画像に対して解剖学的構造の並進および回転誤差の違いと時間的推移を解析した. 当施設ではランダム誤差が系統的誤差よりも優位であり, セットアップの不確定性は予測可能であることが示された. また時間的推移は全体の21%に認められた. 照射部位別, 頭頸部治療のシェルの有無, 胸部照射での上肢挙上の有無について解析を行った. 電子的画像照合装置と自動画像比較アルゴリズムを利用することにより, セットアップ精度の定量的解析が容易かつ客観的に行われ, 標的容積の大きさをより正確に定めることが可能となる.
  • Seung Jae HUH, Yong Chan AHN, Dong Rak CHOI, Do Hoon LIM, Dae Yong KIM ...
    1996 年 8 巻 3 号 p. 277-281
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/07/11
    ジャーナル フリー
    Since 1979, high dose rate (HDR) brachytherapy has been used for the treatment of uterine cervical cancer in Korea. The number of institutions employing HDR has steadily increased, while the number of institutions employing low dose rate systems has remained constant. In 1994, there was a total 30 HDR brachytherapy units installed and, among these, 27 units were available for treatment. According to the data obtained from a survey of 26 institutions that use the HDR system, there were 1, 183 cases of patients with cervical cancer who were thus treated in 1994.
    The isotopes used were Ir-192 (16 facilities), Co-60 (7 facilities), and both Cs-137 and Co-60 (6 facilities). The most common regimens of HDR brachytherapy are total dose of 3, 000 to 3, 900 cGy at Point A with 10 to 13 fractions in three fractions per week, 2, 400 to 3, 200 cGy with 6 to 8 fractions in two fractions per week, and 3, 000 to 3, 500 cGy with 6 to 7 fractions in two fractions per week. The average fractionation regimen of HDR brachytherapy is about 8 fractions of 410 cGy each to Point A. Studies ftom the major centers report the five-year survival rate of cervical cancer as 78 to 86% for Stage I, 68 to 85% for Stage II, and 38 to 56% for Stage III. In conclusion, HDR intracavitary radiotherapy is increasingly practiced in Korea and is an effective treatment modality for cervical cancer. To determine the optimum radiotherapy dose and fractionation schedule, a nationwide prospective study is needed.
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