本研究は, 造血幹細胞移植(以下, HSCT)を受ける患者の臨終期において看護師が抱える困難感を明らかにすることを目的とした. 臨終期のHSCT受療患者に関わった経験がある10名の看護師を対象に半構成的面接を行い, その内容を質的記述的に分析した. その結果, 【治療期の中で臨終を迎える患者への支援の迷い】, 【臨終期の中で患者の意思決定を支えることの難しさ】, 【臨終期の患者を支える中で抱く無力感とやりきれなさ】, 【看取りに向けて揺れる家族を支援することの難しさ】, 【患者や家族, 医療者間での調整役割の難しさ】の5カテゴリーが得られた. HSCTを受ける患者の臨終期において, 看護師は, 治療期と終末期の不明瞭さや意思決定支援の難しさに悩みながら,より良いケアを模索していた. 一方で, 患者の苦痛が最期まで取り切れないことや, 実践したケアの振り返りが十分に行えない状況から, やりきれない思いを蓄積させていることが明らかになった.