日本移植・再生医療看護学会誌
Online ISSN : 2435-4317
Print ISSN : 1881-5979
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研究報告
  • 阿部 育子, 習田 明裕
    2022 年 17 巻 p. 1-15
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/16
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    本研究は、 臓器移植看護の倫理的場面において、レシピエント移植コーディネーター(以下、RTC)が抱く苦悩の構造とその関連要因を明らかにすることを目的とした。全国の移植施設に勤務するRTCを対象に自記式質問紙調査を実施した。その結果、84名(回収率47.5%)から回答が得られた。臓器移植看護の倫理的場面として、「臓器移植全般」、「生体移植」、「脳死移植」の3つの領域30場面の回答を基に、探索的因子分析を行った。その結果、【移植医療の不確かさ】、【RTCとしての自信のなさ】、【倫理的責務の障壁】の3つの因子構造が示された。また、各因子の下位尺度得点を目的変数とし、[個人特性]、[RTC特性]、[環境特性]、[倫理特性]を説明変数として重回帰分析を行った結果、説明率は低かったものの関連要因として『立場』、『RTC経験歴』、『担当移植件数』があった。

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原著
  • ―ライフコントロールへの影響―
    永井 庸央
    2022 年 17 巻 p. 16-28
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/21
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    本研究では造血幹細胞移植後患者の身体違和感はどのようなものなのかを明らかにし、患者のライフコントロールへの影響を検討した。9名の対象者に半構成的面接を行い、Giorgiの記述的現象学的方法により分析を行った。その結果、患者は【皮膚に人が入っている】、【妙なことに味覚が敏感になる】、【原因がわからない突然の嘔吐】、【こんなに筋肉なかったっけ】、【自分で気をつけるという次元でないところで何かが巻き起こっている】などの身体違和感を体験していた。患者は身体違和感をもとに身体の状態を判断し、さらに身体違和感を避けることや受け入れることでライフコントロールを行っていた。看護師は移植後、患者が自分の感覚に注意し、身体違和感を何らかのサインと捉え、ライフコントロールにつなげられるように援助してく必要がある。

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  • 細田 志衣
    2022 年 17 巻 p. 29-42
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/06
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    目的:本研究は、造血幹細胞移植後に慢性GVHDを発症した患者を支える家族の体験を明らかにし、患者と家族への看護支援を検討することを目的とした。

    方法:慢性GVHDと診断を受け、外来通院中の患者の家族9名に半構成的面接を行い、その内容を質的記述的に分析した。

    結果:家族は【命があることに感謝する体験】【慢性GVHDの不確かさに苦しむ体験】【思い描いた未来が阻まれる体験】といった体験の中で【家族として支える覚悟をもつ】【今を大事に家族としてできることを模索する】【対立しないように距離をとる】【感情を吐露する】【患者以外の他者と体験をわかちあう】といった取り組みを用いながら患者を支えていた。

    考察:長期化する慢性GVHDを有する患者の家族は、先の見えない経過をたどる中で患者の回復を願い、家族として何ができるのかといったことを考え続けていた。その中で患者の状況がとらえ切れないことにより不安や苦痛を感じていることも明らかとなった。したがって患者と家族のコミュニケーションを促す支援や家族が相談できる機会と場の提供が必要であると考える。

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