2018年7月5日の監査基準の改訂に伴い,「監査上の主要な検討事項」(以下,「KAM」)が我が国で導入されるが,これに先駆け,国際監査基準の適用を受ける香港証取に上場する日本企業において,KAMを含む長文化された監査報告書を日本の監査法人として,2017年3月期に続き,2018年3月期については2018年5月23日に発行した。
KAMを記載する初年度及び2年目の実務を通じて,下記のような課題があった。
・監査報告書やKAMの作成過程が複雑。
・実効性のある統治責任者とのコミュニケーションをどのように確保するのか。
・財務諸表利用者にとっての監査報告書のわかりやすさとは何か。
・KAMと財務諸表の整合性をどのように確保するのか。
・2年目以降におけるKAMの進化
上記についての苦労や課題の整理を,今後KAMを作成する監査人やKAM決定に関与する統治責任者を読者と想定した上で取り纏めた。
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