日本風工学会年次研究発表会・梗概集
2022年度日本風工学会年次研究発表会
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
2022年度年次研究発表会梗概集
  • ~強風による挙動の推定及びハンガ連結部の物性値測定試験~
    吉村 剛, 石川 慎二, 菊地 佑斗, 松宮 央登, 早田 直広, 清水 幹夫
    p. 65-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    昨今の異常気象(台風、線状降水帯など)の発生により、通信ケーブルやそれらを支える設備の被災件数が増加し、通信サービスへの影響や復旧作業の増加が発生している.ある台風の被災状況調査をした結果、「一束化用ハンガ」の被災件数は、被災したNTT東西設備の7割程度を占め、その対策が大きな課題となっている.本報では、「一束化用ハンガ」の物品耐力試験結果をもとに強風が「一束化用ハンガ」に与える影響について検討した結果について述べる.

  • 静的風荷重によりハンガ連結部に作用する断面力の推定
    松宮 央登, 早田 直広, 清水 幹夫, 吉村 剛, 石川 慎二, 菊地 佑斗
    p. 67-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    電柱への通信線の敷設にあたり,一束化用ハンガを用いて複数の通信ケーブルを束ね,一束化用ハンガ全体を鋼線(支持体)で支持する構造が用いられることが多い.一束化用ハンガの一種であるスパイラルハンガの連結部に作用する断面力を推定するために,各構成材の定常空気力測定実験および,支持体・ハンガ・通信ケーブルからなる径間全体を対象とした静的風応答解析を実施した.静的風応答解析においては,各構成材の接触を考慮した.通信ケーブルの端部の固定条件などに応じて,ハンガに作用する断面力が変わるが,静的風荷重のみで連結部が破壊に至る可能性は低いことが分かった.

  • 変動風荷重に対する通信ケーブルおよびスパイラルハンガの動的接触解析
    早田 直広, 清水 幹夫, 松宮 央登, 吉村 剛, 石川 慎二, 菊地 佑斗
    p. 69-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    電柱間に敷設される通信ケーブルは,鋼線とともに一束化用ハンガの中に束ねられることが多いが,台風通過時に一束化用ハンガの連結部での破損や通信ケーブルの脱落を生じる場合があり,これらの発生メカニズムの解明が必要となっている.そこで,変動風荷重作用下におけるバフェッティング時の挙動を把握するため,接触境界条件を考慮した動的解析を行い,ハンガ内での通信ケーブルの挙動やハンガに生じる断面力について検討した.この結果,バフェッティング時の一束化用ハンガの挙動として,各構成材が概ね一体となって変位すること,通信ケーブルが押し当てられることでハンガの断面力が増大すること,通信ケーブル端部の境界条件の影響が大きいことが示された.

  • 尾田 春雄, 益子 渉, 野田 稔
    p. 71-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    本研究では,ワイブル分布を用いた台風による建物の強風被害確率モデルによって,被災地域の一定範囲メッシュごとに被害確率を推定し,被害の有無と比較することで,提案するモデルの有用性を検討した。過去提案した住宅密度による整理に代えて建物面積率を用いて情報を整理し,モデル構築を行った結果, データから求めた被害確率と推定被害確率は概ね一対一の関係を得た。また,作成した被害確率モデルを用いて,各メッシュで推定被害確率を求め,被害の有無と比較した結果,提案したモデルは被害の分布を概ね再現できることが確認できた。以上の結果から,提案したモデルは建物屋根の強風被害予測に有用である可能性が示された。

  • 中村 里菜, 野田 稔
    p. 73-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    竜巻風洞を用いた実験で得られた代表的な2種類の平均風速分布を用いて,この風速分布の影響により,飛散物の飛行特性がどのように変化するかの検討をするとともに,従来の研究で用いられているFujitaモデルの風速場での飛散物の飛行特性が(最大到達半径,最大到達高度,最大飛行速度)どのように変化するかを検討した。 まず,PIV解析より得られた1セル型流れと2セル型流れの平均風速分布とFujitaモデルの風速場では前者の方がより複雑な流れ場であった。また,飛散物の飛行シミュレーションを行った結果,流れ場によって飛散物の飛散範囲や飛行特性はことなることが確認された。以上より,従来の研究で飛散物の検討に用いられているFujitaモデルによる検討だけで十分なのか検討が必要と考えられる。

  • 佐藤 宏樹, 竹見 哲也
    p. 75-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    日本では海上で数多くの竜巻が発生していて、中には上陸して被害をもたらすものもある。本研究では水上竜巻上陸時を想定して底面の粗度分布と粗度ブロック高を制御した数値流体実験を行い、粗度が竜巻状渦に与える影響を調べた。

    先行研究の通り、粗度ブロックを設置すると渦の構造が変化することが確認された。また、ブロック高が小さい場合には、同数のブロックを領域半分に集めた場合と全体に分散させた場合に生じる渦の強度・構造が似ていたが、ブロック高が大きい場合には違いが見られた。粗度の異なる領域を流れた流体の角運動量差が大きい場合、それらが混ざり合った渦が形成されないことによると考えられる。

  • 山田 雛野, 野田 稔
    p. 77-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    本研究では,風向に沿って地形の再現範囲を狭めていき,近傍の再現地形の変化と風速比分布の変化の対応を見ることで,先に確認されている特徴的な風速比分布に支配的な地形を明らかにすることを目的として,特定の風向で数値流体解析を実施し,注目する鉛直面内における風速比分布に対する近傍地形の影響について検討することにした。 その結果,地表面付近の風速比はごく近傍の地形によって決定され,上空の風速比はより遠方の風上の地形の存在の影響を受けているということが確認された。 従って,地形の再現範囲を考える際には,注目する流れ場の高さに応じて再現範囲を決定することが必要と考えられるが,その判断基準については今後さらに検討していく必要がある。

  • 西嶋 一欽, 武市 俊太朗
    p. 79-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    本報告では,3Dプリンタを用いて模型と一体的に出力した導圧管を導圧系の一部として用いた場合の動的圧力伝達特性について検討した結果を報告する。検討に用いた模型は,複数の建築物を含む市街地の一部を模擬した幾何学的縮尺比1:500の模型である。建築物屋根面に設けた圧力測定孔と導圧チューブ接続コネクタとの間の導圧のために,模型内にパイプ状の空隙を設け導圧管として用いる。この導圧管は,管同士のクリアランスと3Dプリンタによる施工性を考慮しつつ,拡張した迷路探索アルゴリズムを用いて生成した。生成された導圧管の経路はジグザグ状で,また管路の折れ曲がり部では断面形状が必ずしも一定ではないが,導圧系全体の動的圧力伝達特性への影響は軽微であり,実用上問題ないことが確認された。

  • 中村 優介, 長谷部 寛
    p. 81-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    これまで本研究グループでは,風が火災の延焼速度に及ぼす影響を測定するために小型ファンを使用した延焼速度を計測する風洞実験を実施した.しかし,気流性状に課題が残ったため,運搬可能,かつ安価な簡易風洞装置「ポータブルマルチファン風洞」を試作した.

    本研究では試作機の課題改善のため耐久性・運搬性を重視し,3D CADおよび3Dプリンターを活用し,ポータブルマルチファン風洞を製作した.3Dプリンターを活用することで,縮流胴,整流胴,拡散胴が容易に取り外し可能な風洞となった.

    今後は縮流胴の形状を改良し,風速の増加,風速分布の均一化,乱れの評価を行う予定である.

  • 中野 崚也, 佐々 浩司
    p. 83-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    冷気下降流の発生をきっかけとして形成される竜巻の発生条件を明らかにすることを目的として室内実験を行なった。下降流の流速、温度低下量と環境風の流速、上昇流と下降流との位置関係を変えた32通りの実験を行なった結果、下降流の流速の流速が適度な場合竜巻状渦が形成されることがわかったが、その回転方向は想定とは逆であることが多かった。上昇流が下降流に対して、環境風の斜め上流側に位置する場合は、わずかな気流条件の変化により、竜巻状渦の回転方向が変わるだけでなく、互いに逆回転する渦対の発生も認められ、竜巻形成には上昇流と下降流の位置関係も重要であることがわかった。

  • 岸田 岳士, 小野 浩己, 小林 謙仁, 佐藤 歩
    p. 85-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    火力発電所や地熱発電所の環境影響評価における高層気象観測では、通常ラジオゾンデが使用されているが、高コストで環境への負荷もあることから代替手法の開発が期待されている。本研究では、近年様々な分野で活用されるようになってきたUAVと従来手法であるラジオゾンデとの同時観測を実施し、高度1000m超の高層気象観測へのUAVの適用性について検討を行った。その結果、UAVにより計測した風向・風速はラジオゾンデとほぼ同様の傾向となり、温度については温度計を設置しているシェルターに強制通風式のファンを設けるように改良することで夏季の日中においても従来手法とほぼ同等の計測結果となることを示した。

  • 内田 孝紀, 高桑 晋, 渡邊 慶一郎, 長谷川 聖矢, 馬場 好孝, 村上 礼雄, 山崎 将英, 肥高 邦彦
    p. 87-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    本研究では,特別な観測機器をドローンに搭載することなく,ドローン自身を風速センサとして活用する手法を試みる.最初に,大型風洞設備を用い,ドローンを風速センサとして活用するための校正試験を行った.次に,風洞スケールおよび実機スケールでの風車ウェイクの気流計測を試みた.

  • 髙舘 祐貴, 奥田 泰雄, 喜々津 仁密
    p. 89-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    強風被害の多くは建築基準法で詳細な構造設計が求められていない小規模な建築物(四号建築物)等で発生する。このような小規模な建築物に対して安全かつ合理的な耐風設計を行うための風速分布を与えるために,風洞実験で粗度ブロック周りの風速を測定し,風速の時刻歴から平均風速および気流の乱れ強さの鉛直プロファイルを得た。そして,風の乱れに関する既往の研究による提案式と風洞実験の結果を比較することで,均質な粗度配置で風の遮蔽効果や逆流がある場合でも従来の提案式とほぼ同様な結果が得られることが示された。

  • 建物高さの非一様性が着目する市街地及びその風下側の換気・通風性能に及ぼす影響
    大野 陽太, 石田 泰之, 持田 灯
    p. 91-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    市街地形態操作により着目する市街地内の換気・通風性能の向上を図る際には、その風下側に位置するエリアの換気・通風性能への悪影響も同時に考慮する必要がある。本報(その1)では、高密度市街地を対象に、建物高さの非一様性による、着目する市街地内におけるBreathability(Quality)向上と、運動エネルギーの散逸量増加及びこれに伴う風下側への運動エネルギー輸送量低下(Load)を定量評価した。建物高さの非一様性により、Breathability(鉛直方向の運動エネルギー交換量)が約2.6倍に増加する一方で、運動エネルギーの散逸総量が増加することで、風下側のエリアに輸送される運動エネルギーが約1割減少する結果が得られた。

  • 同時評価法の提案
    石田 泰之, 大野 陽太, 持田 灯
    p. 93-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    前報(その1)では、建物高さの非一様性による、着目する市街地内におけるBreathability(Quality)向上と、運動エネルギーの散逸量増加及びこれに伴う風下側への運動エネルギー輸送量低下(Load)を定量評価した。本報(その2)では、①Quality、②Loadを同時に評価する評価フレームを提案するとともに、建物高さが非一様化することの功罪を評価した。本研究対象の高密度市街地を建物高さを非一様化するという形態操作は、鉛直方向の運動エネルギー交換効率が高い形態操作であることを示した。

  • 高層建物及び市街地全体の高さの非一様性が市街地の換気・通風性能及び強風発生に及ぼす影響
    荻原 隆太朗, 石田 泰之, 持田 灯
    p. 95-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    Breathabilityが高く地表付近における高風速発生を抑制する市街地形態を明らかにするため, Large Eddy Simulation(LES)を実施した。周囲から突出して高い高層建物を含む市街地と市街地全体で建物高さが非一様な街区を対象にLESを実施し, 以下の結論を得た。

    1. 周囲から突出して高い高層建物を含む市街地では, 移流の影響により高層建物の周辺領域のみでBreathabilityが増加する。一方で, 街区全体で建物高さが非一様な市街地では, 乱流拡散の影響により街区全体でBreathabilityが向上する。

    2. 周囲から突出して高い高層建物を含む市街地では, 換気・通風性能は向上するが, 高層建物周辺領域で強風が発生する。一方, 市街地全体で建物高さが非一様な街区では, 換気・通風性能が向上し地表付近における強風発生が抑制される。

  • 林 強, 持田 灯, 石田 泰之, 楊 慶山, 田村 幸雄
    p. 97-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    近年の計算機の計算処理能力の飛躍的な進歩によって、Large-eddy simulation (LES)を使用した屋外気流解析が一般的に行われるようになってきている。しかしながら、流れ場の空間分布やその時間変化の予測精度に関しては、未だ十分に検証がなされていない。本研究では、建築面が正方形でアスペクト比が8の建物モデルを対象に実施したParticle Image Velocimetry (PIV)測定結果と比較することでLESによる流れ場の予測精度検証を行った。LESの結果をPIV測定結果と比較した結果、LESは、建物周辺の平均的な流れ場と、歩行者レベルにおける主流方向及び主流直行方向のノルマルストレスを精度よく予測可能であることが示された。

  • 坪倉 佑太, 野口 恭平, 大森 隼汰, 宇野 将平, 八木 知己
    p. 99-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    塩分は鋼材の腐食を促進する因子の1つであるため,橋梁の維持管理に際しては,橋梁各部位への付着塩分量を把握しておくことが望ましい.一方で,橋梁の形状は様々であることを念頭に置くと,粒子が付着に至るまでの輸送過程を明らかにしておくことは,維持管理への応用上大変重要と考えられる.本研究では,矩形断面を対象に,CFD を用いた流れ場解析と粒子飛散解析を実施し,矩形壁面への粒子の輸送過程と付着特性について検討を行った.解析の結果,断面形状によって粒子が付着に至るまでの輸送機構は異なり,断面別に特徴的な付着分布が得られることが明らかとなった.さらに,簡便な付着量評価の実現を念頭に,矩形断面の表面圧力特性に基づいた付着量推定手法についても検討したところ,矩形表面の変動圧力係数と平均圧力係数の周方向勾配値から,付着分布を推定できる可能性が示された.

  • ニン ティンザー, 八木 知己, 野口 恭平, Pradhan Manoj, 京谷 麟太郎
    p. 101-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    本研究では,矩形柱(B/D = 1.5)に様々な角部形状を設け,流れのはくり条件を変えることで,角部形状を変化させた断面の空力特性と、そのような断面から放出される渦のギャロッピング応答への影響を実験的に検討した.いずれの角部形状の場合においてもストローハル数Stは,矩形断面よりも大きくなり、無次元風速1/Stは低風速側に移動した.しかし,ギャロッピングの発現無次元風速は高風速側に移動することがわかった.これは,カルマン渦が弱まるにつれて,自己励起渦の影響が大きくなるためと考えられる.

  • 後藤 崇文, 八木 知己, 奥西 智也, 松宮 央登, 野口 恭平
    p. 103-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    高無次元風速域において大振幅を許容した状況下で生じるねじれ振動現象は,迎角と迎角速度の関数として定式化した空気力によって説明できる可能性がある。本研究では,ねじれフラッターが発現するB/D = 2, 5矩形柱について,一定の迎角速度で連続回転中の空気力を計測することで,上記の迎角と迎角速度の関数である空気力を求めた。そしてこの空気力に基づいて,高無次元風速域において様々な振幅でねじれ振動中の非定常空気力を求められるか検討した。その結果,過去に示したB/D = 5矩形柱に加えてB/D = 2矩形柱についても,非定常空気力係数を求められることが示された。また,仕事に寄与する加振振動数成分以外の,高次の周波数まで含めて非定常空気力を表すことができることが示された。

  • 垂石 早紀, 松宮 央登, 早田 直広
    p. 105-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    送電用鉄塔の鋼管部材のレインバイブレーションの振幅評価法の構築を目的として,降雨による水路を模擬した突起付き円柱を対象に表面圧力を測定し,測定結果から得られた空気力係数をレイノルズ数・空気力係数の無次元化風速・円柱の風に対する向きにより比較した。円柱が風に対して偏角を持つ場合も,風に直交する場合と同様の空気力係数のレイノルズ数依存性が確認された。また,流入風速から求めたレイノルズ数が等しければ,模型直交風速で無次元化した空気力係数は両者で同程度であった。したがって,部材のレインバイブレーションの解析には,実現象の発生するレイノルズ数において,円柱が風に直交する条件で計測した空気力係数の使用が適当であると考えられる。

  • 中藤 誠二
    p. 107-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    盛土形状の構造物に上にある車両が,風のあるところに進入する場合の風圧力について調べたところ,風上面では,風下面でそれぞれ異なる傾向が見られた.風上側では風の吹いている範囲に進入した直後に最大値となるが,風下側ではしばらくたってから最小値となっている. また,本実験ケースでは車両の移動による風圧の影響は見られなかった.

  • 王 嘉奇, 勝地 弘, 佐藤 真希, 田村 洋
    p. 109-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    本研究では橋梁と橋梁上を走行する車両の空力安定性に対して,遮風壁の断面形状と開口率の影響を解明することを目的として,ばね支持実験及び車空力実験を行った.遮風壁モデルは,断面形状は直線型と曲線型の2種類,開口率は0%,20%,50%の3種類に分けて比較検討した.対象とした橋梁断面は,辺長比9の扁平箱桁である.ばね支持実験から,開口率0%の遮風壁の設置により渦励振やねじれフラッターなどの自励振動が発生したが,開口率を上昇させることにより,空力振動を抑制されることを示した.車空力実験では,車の抗力係数の値は開口率0%と20%でほぼ0となったが,開口率50%でも,遮風壁がない場合の半分程度の値となった.

  • 喜々津 仁密
    p. 111-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    本研究では,カバー工法による折板ぶき屋根を対象にして,接合部の引張り載荷試験を実施し,耐風補強を意図した場合の耐力上昇の程度を把握した。また,建築物の使用者等に対して耐風補強効果を定量的に説明するための一手法として,試験結果を反映したフラジリティ関数による破壊確率の計算を行った。

  • 染川 大輔, 谷口 徹郎
    p. 113-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    既存建屋に設置する場合、屋根の固定部には通常の風荷重に加えて太陽光発電パネルの風荷重が同時に作用するが、その同時性を検討した結果、 両者は同時に最大値となることは無く、屋根面の荷重の最大値とパネルの荷重の0.65倍程度を組合わせて設計すればよいことを示した。

  • 酒井 佑樹
    p. 115-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    建物外壁に設置される鉛直フィンには最端部で絶対値が6.5を超えるピーク風力係数、一般部で絶対値が3.5を超えるピーク風力係数が発生することが明らかになっている。上記の結果は鉛直フィン設置位置での鉛直分布における最大値を評価しており、安全側の値となっている。また、端部や一般部での鉛直フィンの風力係数の鉛直分布に差異が見られ、負圧が発生するメカニズムが異なる可能性がある。このため、合理的な風荷重評価のためにも各部位の風荷重の発生メカニズムの検討は重要となる。本研究では、角柱壁面に取り付けられた一般部の鉛直フィンに着目し、ピーク風力係数の発生機構についてLESに基づく流れ場の可視化と対応付けて検討した。これにより、一般部の鉛直フィンの中低層部で最小ピーク風力係数の絶対値が大きくなる傾向の要因として、端部フィンの低層部からの逆円錐状の渦放出によるものと推察された。

  • 清水 康介, 和田 浩行, 本間 真
    p. 117-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/12
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    鋼製煙突を対象とした大気境界層流れは,しばしば極超臨界レイノルズ数領域に達することがある.この領域の流れを風洞実験で再現することは風洞性能の制約から非現実的である.実験を数値計算で代替する数値風洞が実現できれば,大幅なコスト削減や実験では困難な条件での検討が実現可能となる.そのための初期段階として,ここでは3本集合煙突を模擬した粗度付きおよびプレート付き3本集合円柱周りの数値計算を実施した.得られた結果から3本集合円柱の抗力係数を算出し,実験結果1)と比較することで,実験の代替として十分な精度で抗力係数が一致することを確認した.本稿ではこれらの結果を述べる.

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