1975年から2018年(1996年と1997年は休止)の42年間に,関東南部の6か所のコロニーで,8,054個体のカワウを標識放鳥した.2019年6月までに,標識コロニーの観察で死亡を確認した50個体を含む430個体が回収された.「駆除類」(駆除と狩猟)回収は,放鳥時期の前期(1975~1995)に4個体,後期(1998~2018)に多くが0歳と1歳の81個体であった.「網絡み」(混獲など)回収は前期になく,後期に多くが0歳の25個体であった.後期の駆除類回収個体の平均生存期間が駆除類以外の回収個体よりも長いのは,駆除類以外の個体に0歳時回収が多いためである.また,コロニー内での回収個体を除いた比較で,出生コロニーから回収地までの平均移動距離が前期よりも後期で長いのは,後期にコロニーや塒が各地に多数形成されたためである.今回の回収記録には,調査地域の生息状況が大きく影響していて,さらにカワウの年齢差を示す事例がみられた.
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