行動経済学
Online ISSN : 2185-3568
ISSN-L : 2185-3568
10 巻, Special_issue 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
第11回大会プロシーディングス
  • Jie Qin
    2017 年 10 巻 Special_issue 号 p. S1-S4
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル フリー

    This paper examines the effect of regret on asset pricing in a model where each individual compares the return on his chosen portfolio with a countfactual, the return on an unchosen portfolio. We derived a single beta asset pricing formula where an asset's expected rate of return is increasing to its beta with respect to the difference between the market average return and the market-wide average countfactual.

  • 水門 善之, 勇 大地
    2017 年 10 巻 Special_issue 号 p. S5-S8
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル フリー

    日本銀行は,金融政策決定会合にて金融政策の方針を決定する.決定会合の後には日銀総裁が会見を行い,金融政策運営に関する説明を行うが,2014年度以降,日銀はメディアを通じた会見の動画配信を解禁した.本研究では,深層学習(ディープラーニング)等の人工知能技術を用いた表情認識アルゴリズムを用いて,会見での総裁の表情の変化を,「喜び」・「怒り」・「悲しみ」・「驚き」・「恐怖」等の感情ごとに指数化し,それらの変化を見ることで,金融政策への示唆を得ることを試みた.その結果,重大な金融政策変更を行う直前の回の会見では,「怒り」や「嫌悪」の値が高くなる一方,金融政策変更後の会見では,「悲しみ」の数値が低下する傾向が確認された.このことは,政策変更前の金融政策に対する問題意識の高まりと,金融政策変更によって,それが緩和されることによる安堵が,表情に表れている可能性を示していると考えられる.

  • 木成 勇介, 黒川 博文, 大竹 文雄
    2017 年 10 巻 Special_issue 号 p. S9-S11
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,個人の成績にのみ依存して報酬が決定する歩合制と他の被験者の成績にも依存して報酬が決定するトーナメント制のどちらを好むかに関する経済実験中の被験者に,間接的に各被験者の相対的な成績に関する情報を伝達することで感情を惹起させ,感情が意思決定及び意思決定の個々の要因に与える影響について考察する.分析の結果,情報を与えられたグループはそうでないグループと比較して,怒りや嫉妬などで表現される負の感情が自身の予想順位に関する分散を低く見積もらせることがわかった.しかし,総じて,情報を与えられたグループにのみ感情が強く作用するという結果は得られず,両グループともに喜びや興奮で表現される正の感情が歩合制よりもトーナメント制での報酬を選択する確率を高めることを発見した.これは,正の感情が期待利得を高く評価させる,楽観性バイアスを発生させる,リスク許容度を高めることから生じている.

  • 栗野 盛光, 島田 夏美
    2017 年 10 巻 Special_issue 号 p. S12-S15
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,自動車を運転するドライバーが走行情報の情報開示における意思決定問題について,oTreeによる被験者実験を行う.栗野・高原(2016)の理論モデルとの整合性や現実への制度設計に関して分析する.リスク態度の測定も行い,実験分析はリスク態度ごとにも行った.結果は,人々が完全情報開示・規制速度を選択するのには,観察確率・罰金・報酬全て効果があることが分かった.さらに,罰金よりも報酬のほうが効果を持つ .また,観察確率の上昇は,完全情報開示・規制速度の選択を増やし,ある確率を境に急に完全情報開示・規制速度選択の割合が増加する.リスク回避的な人ほど,小さい観察確率の上昇に反応することが分かった.

  • 吉田 知紘, 加藤 康之
    2017 年 10 巻 Special_issue 号 p. S16-S19
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究では,QUICK月次調査〈債券〉の調査結果を基にして,新発2, 5, 10, 20年日本国債の1ヵ月先予想利回りカーブ及びその変動に対して主成分分析を行い,期間構造の抽出を試みた.その結果,実際の債券市場で見られるイールドカーブ及びその変動の共通成分である水準・傾斜・曲率ファクターと類似の3ファクターが予想利回りカーブ及びその変動においても観察された.また,予想利回りカーブから抽出した水準・傾斜・曲率ファクターの変動を説明変数として,日本の国債市場の動向を反映するNomura-BPI国債指数の変動との関係性についてVARモデルを用いて分析した結果,予想利回りカーブの水準や曲率ファクターの変動が影響している一方,傾斜ファクターの変動は影響していない可能性を明らかにした.

  • 平井 啓, 佐々木 周作, 大竹 文雄
    2017 年 10 巻 Special_issue 号 p. S20-S25
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究では,乳がん検診の受診行動と乳がん罹患や乳がん治療に関するヘルス・リテラシーとの関連性について検討を行った.40歳台・50歳台の女性を対象として,横断的デザインによるオンライン・アンケート調査を実施し,1,628名を対象とした解析を行った結果,乳がん検診の受診経験および計画意図と,乳がんの罹患リスク認知の高さ,乳がん検診と乳がん治療の効果に関する利得の認識の高さ,乳がん治療に対する知識の豊富さ,すなわちヘルス・リテラシーの高さが関連することが明らかになった.この結果は,乳がん検診の受診により,実際よりもかなり大きめの罹患リスクの認識を形成し,それが検診受診の目標意図を形成すると解釈することが可能である.一方,乳がん罹患のリスク認知を大きく高めることが受診意図の形成に貢献する可能性も考えられる.これらの因果関係の識別には,ランダム化比較試験等を採用した介入研究による検証が今後必要である.

  • 江本 直也, 岡島 史宜, 杉原 仁, 後藤 励
    2017 年 10 巻 Special_issue 号 p. S26-S28
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル フリー

    糖尿病患者の中には血糖コントロールが自分の将来の健康に有益であることがわかっていても,食事制限,運動の励行,規則正しい生活と服薬の遵守ができない患者が少なからず存在する.このような非合理的行動のメカニズムを解明するために,血糖コントロール困難な糖尿病患者の行動経済学的性向およびsocioeconomic statusについて調査を行った.専門医療機関で治療を受けていても血糖コントロール不良の糖尿病患者は,多忙で睡眠不足であり,平均所得が比較的高いにもかかわらず経済的に苦しいと感じる患者の割合が高く,危険回避度が低いことが判明した.働き盛りの患者が日々の生活に追われて合理的判断ができず,危険回避度が低くなっていることが血糖コントロール不良の要因であることが示唆された.

  • 川西 諭, 田村 輝之, 孫 明超
    2017 年 10 巻 Special_issue 号 p. S29-S32
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,信頼関係やネットワークを包含する「ソーシャル・キャピタル」の概念を用いながら,小さい組織や団体におけるコミュニティの状態を測定する方法の開発を試みる.日本国内の1600以上のNPO団体に所属するメンバーを対象に,社会心理学における質問紙調査法によって,所属団体に対する意識を調査した.回答結果を因子分析した結果,コミュニティの状態を測るうえで重要な意識として3つの因子,「理念共感と貢献意欲」,「自己有用感」,「居心地の良さ」が抽出された.これら3つの因子を説明変数とした回帰分析によって,これらの因子は「コミュニティへの愛着」,「主観的幸福感」,「主観的健康感」に,統計学的に有意なプラスの影響を与えることが確認された.この研究を応用することで,目には見えないNPO団体内の課題を可視化することが可能になり,より効果的なNPO団体のマネジメントが可能になるものと期待される.

  • 湯川 志保
    2017 年 10 巻 Special_issue 号 p. S33-S36
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/04/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,東京大学社会科学研究所が実施する「東大社研・若年パネル調査(JLPS-Y)」と「東大社研・壮年パネル調査(JLPS-M)」の2007年から2013年のデータを用いて,子どもの性別が親の政策支持や価値観に与える影響について分析を行った.分析の主な結果は以下のとおりである.娘のみを持つ親は,両方の性別の子どもを持つ親もしくは子どものいない人よりも女性の自立を支持するような考えを持つことや性別役割意識に否定的になることが確認された.また,娘のみを持つ父親は両方の性別を持つ父親や子どものいない男性よりも,日本の防衛力や日米安保の強化を支持することが明らかになった.一方,息子のみを持つ母親は,両方の性別の子どもを持つ母親や子どものいない女性よりも雇用政策や学歴といった将来の職や雇用に関わる項目を重要視することが確認された.

第11回大会サテライト・ワークショップ
第11回大会パネルディスカッション
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