行動経済学
Online ISSN : 2185-3568
ISSN-L : 2185-3568
11 巻, Special_issue 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
第12回大会プロシーディングス
  • 黒川 博文, 奥平 寛子, 木成 勇介, 大竹 文雄
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S1-S4
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    アイデンティティが競争選好に与える影響に男女差があるかどうかを検証する実験を行った.最小条件集団パラダイムによって被験者のアイデンティティを形成した.2人一組のペアをランダムに割り当て,ペアのアイデンティティが同じグループ(内集団)と異なるグループ(外集団)を作った.歩合制の下で実労働タスクを行い,その後,競争環境であるトーナメント制の下で実労働タスクを行った.その次のラウンドでは,歩合制かトーナメント制の報酬体系を選択した後に実労働タスクに取り組んだ.男性の場合,競争相手が外集団のときの方が競争を好むことが明らかとなった.女性の場合は,競争相手が内集団であろうと外集団であろうと競争を好まないことがわかった.男性が外集団との競争を好むようになったのは,外集団との競争でパフォーマンスが上昇し,さらに,自信過剰になったことが原因だと考えられる.

  • Yosuke Hashidate
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S5-S8
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    This paper presents an axiomatic model of random limited considerations under attribute-based inferences. To characterize the model, this paper takes the framework of preferences over menus. The key axiom characterizes a model of random consideration sets, which is an extended and generalized version of the reference-dependent choice model of Ok et al. (2015) in the sense that (i) consideration sets are formed under attribute-based inferences randomly, and that (ii) reference points themselves can be chosen from menus. The two extensions make it possible to allow for not only the Attraction Effect, but also the Compromise Effect.

  • 竹林 正樹, 吉池 信男, 小山 達也, 鳥谷部 牧子, 阿部 久美, 中村 広美, 平 紅
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S9-S12
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    【目的】シンプルな肥満予防介入として体重測定促進研修会を実施し,週1回以上の体重測定習慣化について比較検証することを目的とした.

    【介入・解析】青森県出先機関職員向け研修会の応募者(適格条件:体重測定頻度が週1回未満)から3人単位のクラスターを作成し,乱数表で無作為にクイズ群,行動宣言群,成功回顧群の3群に割り付け,RCT(1時間の研修会および一斉メールによる介入)を行った.また,別地域の職員を参照群に設定し,6か月後の体重測定行動を並行群間比較した.

    【結果・考察】クイズ群20人,行動宣言群22人,成功回顧群22人,参照群44人を解析した結果,介入3群全体で6月後体重測定者は44%(参照群2%,p<.001)であった.中でも成功回顧群は59%と最も高い効果がみられた.ただし,本研究にはサンプルサイズ等に関する限界がある.

  • 高橋 義明
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S13-S18
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    幸福度は政策当局者にも利用されるようになり,世界幸福報告書の公表など国際比較も盛んになっている.世界幸福報告書では各国の幸福度を6つの要素で説明しているが,幸福度平均値の差はむしろ残差で生じている.残差が文化差を示すのかを検証するため,現在の幸福の投影元として「理想(イデア)の幸福度」(11件法)による測定を試みた.

    日本での5つの調査結果からは不幸せをプラスに評価し,高い割合で「中位の幸福度」を理想とする傾向があった.幸福度(現在)と理想の幸福度の得点差を考慮して幸福度(現在)を調整し,欧州各国の幸福度(現在)に関する頻度分布を利用してクラスター分析を行うと,日本はいずれの調査でもデンマークなど幸福度平均値が高い国と同じクラスターに分類された.以上から,今回提案された幸福度の測定方法を用いると,「アジアの人々の幸福度が低い」との悲観的な結論はえられず,むしろ北欧や中南米の人々の幸福度と差がないと解釈できることが示された.

  • 河合 伸
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S19-S21
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    本稿は,ゲーム理論の代表的ゲームである「囚人のジレンマ」について,人間の「利他性」を導入することにより,「非協力」かつ「有限回」のゲームであっても囚人のジレンマ状態が解消されるケースがあることを示すことを主眼としている.囚人のジレンマ状態となる主な条件は,(i)非協力ゲームであること,(ii)自分の利得のみに関心があること,(iii)有限回のゲームであることである.このなかで,(i)および(ii)の条件が成立していても,(iii)の条件が成立していない場合,すなわち,無限回繰り返しゲームによって,囚人のジレンマが解消されることが知られているが,ここでは,(i)と(iii)の条件が成立していても,(ii)の条件を緩和し,自身の行動が自分の利得のみならず,他人の利得に及ぼす影響にも関心がある場合,その関心がある程度高ければ,囚人のジレンマは解消され,「聖人の調和」が達成されることを示す.

  • SunYoun Lee, Takahiro Ito, Kohei Kubota, Fumio Ohtake
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S22-S26
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    This paper estimates the effects of childhood experiences of wearing school uniforms at a public elementary school for 6 years on behavioral traits in adulthood. The school uniform experience can be endogenous if preferences and characteristics of the school and parents are involved in the decision of schools to implement school uniforms. To examine the effect of school uniforms, we exploit the exogenous variation in the expansion of the apparel industry across regions which the Japanese government used as a catalyst in stimulating the economy and the regional variations in prefectural governors’ initiatives for enhancing regional profitability, both of which are found to affect the adoption of school uniform policies. We first find that the childhood experience affects the formulation and development of an individual’s personality traits that are characterized by self-esteem and self-efficacy. Second, it increases reciprocal inclinations, inequity aversion, pro-social tendencies, and preferences for the government’s redistribution policies. We discuss the reasons behind the consequences of school uniforms on noncognitive traits and social preferences, with a focus on an individual’s perception of similarity with others formulated by the childhood experience as an important determinant that affects the behavioral traits.

  • Ai Takeuchi, Yoshio Kamijo, Yukihiko Funaki
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S27-30
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    This study compares the effects of the amount of feedback information in a public goods game with a centralized punishment institution where each player is required to contribute a certain amount, and those who under-contributes must pay a fixed fine. We compare two different amount of feedback information—one where only the aggregate level of contribution and own payoff is provided, and the other where the individual contributions and profits of the other players are also provided—under two different strength of penalty—one where it is barely deterrent to make players contribute as required (weakly enforceable punishment), and another with stronger penalty (strongly enforceable punishment)—in two by two design. Although it is a dominant strategy to contribute as required in both punishment institutions, we find a significant decline in the contribution in the weakly enforceable punishment institution when the feedback is provided at the individual level. In the other three treatments, the average contribution is stable across the periods. These results are consistent with the theoretical analysis using the finite population evolutionary stable strategy.

  • 岩城 康史
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S31-S34
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/19
    ジャーナル フリー

    特許に付与されるIPC分類より算出した“技術領域の幅”による特許の価値への影響について分析した.その結果,1990年以降において,破壊的イノベーションに見られるような幅広い技術領域をカバーする特許を有する企業の価値が高まっていることが示唆された.

  • 後藤 晶
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S35-S38
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/19
    ジャーナル フリー

    人間は常にいつ生じるかわからない「変動」に直面しながら生きている.本研究においては突然起こる外生的な変動を「カタストロフ」と定義する.本研究においてはそれらの変動が利他行動に与える影響を検討する.そのために,パートナーマッチング繰り返し公共財ゲームと独裁者ゲームを組み合わせた新たなゲームである「公共財カタストロフ独裁者ゲーム」を考案し,クラウドソーシングを用いた大規模オンライン実験による実験的な検証を行った.

    その結果,①分配率は損失者が分配者,もしくは受益者であると大きくなること,②損失者による分配額に比べて,非損失者による分配額の方が大きいこと,③損失者に対する分配の頻度が多い,また非損失者による分配の頻度が多いことなどが明らかとなった.これらの結果は災害等の事象が生じた際の協力行動は利他的動機に支えられている可能性を示唆している.今後の課題として,外集団に対する行動傾向の解明,およびクラウドソーシングを用いた実験の妥当性の検討があげられる.

  • 河野 敏鑑, 八木 倫秀
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S39-S41
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/19
    ジャーナル フリー

    顧客の囲い込みや購買履歴の入手に用いられているポイント制度を統計指標の作成に活用する試みがある.こうした試みにはポイント制度に参加している全ての人の行動を把握した全数調査を元にしているというメリットがある一方,ポイント制度を利用する消費者特有のサンプリングバイアスが存在する可能性は否定できない.そこで,本研究では大学生を対象にアンケート調査を行い,個人がポイント制度を利用するのか否かを決定する要因を分析し,どのようなバイアスがあるのかを明らかにした.その結果,利用頻度が高い人,現在志向が弱い人,出席回数が多い学生の方がよりポイント制度を利用する傾向があることがわかった.つまり,ポイント制度を利用しようとする人は,それなりの計画性や忍耐を持ち合わせている可能性が高いと考えられる.よって,ポイント制度から得たビッグデータを用いる際には,こうしたバイアスに十分に注意する必要があると思われる.

  • 孫 明超
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S42-S45
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/19
    ジャーナル フリー

    本研究は,ソーシャル・キャピタルが日本の労働市場における転職者の転職後の賃金に与える影響を検証した.転職者が転職する際に,広告やハローワークなどのフォーマルな経路に比べ,ネットワークの利用が高い賃金をもたらすとすれば,より積極的にネットワークを利用すること(自己選択バイアス問題)は起こりうる.本稿はその問題を考慮し,内生的スイッチング回帰モデル(ESRモデル)を利用して分析を行った.観察された転職者の属性,人的資本と企業の特徴の影響だけに注目すると,ネットワークの利用は期待賃金率を高めるが,個人の能力などの観察されていない要因の影響も考慮して推計した結果は,ネットワークの利用によって生じた期待賃金率の下落が確認された.ESRモデルの推定結果は日本の労働市場における転職者のネットワークの利用が平均的に賃金に負の影響を与えることを示唆した.

  • 合田 百花, 佐々木 俊一郎
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S46-S49
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/19
    ジャーナル フリー

    本研究では,実験を実施して税の再分配が納税者の納税順守行動に影響を与えるか否かを検証する.そのために,各被験者に与えられた所得について嘘の申告にもとづいて脱税することができる状況を再現した「ベースライン実験」,グループで集められた税がグループ内の低所得者へ再分配される「低所得者への再分配実験」,グループで集められた税がグループ内のメンバー全員に再分配される「公共財としての再分配実験」を実施し,それぞれの実験における被検者の納税順守行動について分析した.実験結果によると,個人の危険回避度や個人属性を考慮した場合,公共財として税の還元が十分高い場合には公共財としての税の再分配は被験者の納税順守の程度を高めることが確認された.

  • 吉田 知紘, 岸本 卓丸
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S50-S53
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/04/19
    ジャーナル フリー

    本研究では,本邦機関投資家向け大規模サーベイであるQUICK月次調査〈債券〉を用いて,サーベイデータから観測される6ヵ月後の債券投資家予想利回り(以下,予想利回り)の性質や期間構造を明らかにすると共に,予想利回りと実際に債券市場で観測される利回りとの関係を分析した.その結果,先行研究の観測期間以降のデータを含めても,①予想利回りの予測力は低く,系統的に上向きに予想する傾向(債券投資家の上方予想バイアス)があること,②予想利回りは観測時点のフォワード・レートと相関関係があることを明らかにした.

  • 藤澤 美恵子, 竹村 和久, 船木 由喜彦, 高橋 遼
    2018 年11 巻Special_issue 号 p. S54-S59
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/05/10
    ジャーナル フリー

    CO2削減に向けて政府は,エネルギーラベルによる建物のエネルギー使用量の表示制度を整備予定である.本研究ではこのラベルが,消費者にどう認識され,CO2削減に至る省エネ誘導ができるのかに焦点を当て,ラベルへの評価等の調査をおこなった.

    クロス集計の結果,2型あるエネルギーラベルのうちタコメータ型の方がABC型に比較して混同する比率が高くわかりにくい反面,省エネ誘導は優れていることが明らかになった.省エネ誘導は,ラベルに表示される基準レベルを増やすより,判断の参考となる参照点を上昇させる場合に効果が大きいことがわかった.

    ロジスティック回帰分析から,環境への関心度が高い消費者や寒冷地居住者は省エネ誘導されやすい傾向にあるが,無職やABC型を先に回答した者は逆の反応を示すことが確認できた.ABC型を先に回答したことが省エネ誘導に負の影響があることから,タコメータ型の方が省エネ誘導しやすいことが分析結果からも示唆された.

サテライト・ワークショップ
パネルディスカッション
feedback
Top