行動経済学
Online ISSN : 2185-3568
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4 巻
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論文
  • 顧 濤, 中川 雅之, 齊藤 誠, 山鹿 久木
    2011 年 4 巻 p. 1-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/12
    ジャーナル フリー
    本実証研究では,東京都において2000年代の都市再開発が進行した結果,地域危険度に直接影響を与える周辺環境が著しく改善し,地域別の地域危険度ランキングが大きく入れ替わったことを活用して,地域危険度ランキングの変化が地価の相対水準(各時点の平均地価からの乖離率)に及ぼす効果について計測している.主要な結論としては,(1)相対的に安全な地域では,地域危険度ランキングが低下して相対地価が上昇する変化率の方が,地域危険度ランキングが上昇して相対地価が下落する変化率よりも大きい,(2)相対的に危険な地域では,地域危険度ランキングが上昇して相対地価が大きく下落する一方,地域危険度ランキングの低下については相対地価がほとんど上昇しない.本稿では,地域危険度ランキングの変化が相対地価に及ぼす非対称的な影響について,プロスペクト理論に沿って,前者の結果をゼロリスク指向として,後者の結果を現状維持バイアスとして解釈するとともに,その政策インプリケーションを考察している.
第5回大会プロシーディングス
  • パネルディスカッション「原発事故と行動経済学」
    大竹 文雄, 齊藤 誠, 小林 傳司
    2011 年 4 巻 p. 20-32
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
  • 水田 孝信, 八木 勲, 和泉 潔
    2011 年 4 巻 p. 33-38
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    株式市場においては,大きなイベントが発生し市場全体が急落したとき,その後上昇する場合がある.多くの実証分析によりオーバーリアクション仮説が唱えられているものの,シミュレーションや理論モデルの研究はほとんどなく未解決問題である.本研究では,東証株価指数(TOPIX)配当込みのデータを用いて大幅な急落時に反発が多いことを実証的に示し,先行研究であるシミュレーション研究の結果と整合的な理論モデルの構築を行った.その結果,急落時に多くのファンダメンタルな投資家が考えている適正株価よりもさらに下落し,その後適正だと考えている株価に戻っていくことが示され,必ずしもオーバーリアクション仮説が必要ではないことが分かった.さらに,ファンダメンタル投資家しか存在しないと仮定しても,効率的市場仮説では説明できない,ボラティリティクラスタリングなどの実証現象を説明できる可能性があることを示した.本研究では,シミュレーション,実証分析とも整合的な理論モデルの一例を構築し,実証分析,理論モデル,シミュレーションを比較検討しつなぎ合わせることが出来たことも本研究の成果であると考えている.
  • 大垣 昌夫
    2011 年 4 巻 p. 39-42
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    行動経済学は,現状ではまだ伝統的経済学のパレート効率性にあたる統一的に経済政策を評価する基準を持っていない.パレート効率性は伝統的経済学のように選好が安定的で外生的であると仮定するなら,優れた基準であるが,行動経済学ではプロスペクト理論の参照点の変化のように,選好は不安定で内生的なものと考えることが多い.政策評価のためには,絶対的に不変で外生的なものが価値観の基礎として望ましい.「無条件の愛」は,「自分の子供だから愛する」,「自分と同じ宗教に属するから愛する」,「若くて美しいから愛する」のような条件つきの愛と異なり,不変で外生的である.少なくともほとんどの人間は無条件に愛することができていないとすると,「無条件に愛することを学習する」ことを助ける政策が,「良い政策」と評価できる.例えば,あまりに貧しいと,学習する機会がないので,助けるのが良い政策である.高い効用レベルから快感を得るようにすることは,目標ではなく,学習のための補助として用いる手段のひとつと考えることができる.
  • 金融テキストマイニング研究の紹介
    和泉 潔, 松井 藤五郎
    2011 年 4 巻 p. 43-46
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    金融市場は世の中の経済活動の活発さを反映しているはずである.だからもし,みんなが持っている平均的な景況感を早く正確に知ることができたら,株価が予測できるはずだ.Web上の大量のテキスト情報から現在人々が経済状況に対して抱いている気分を抽出することが出来るかもしれない.専門家でないごく普通の人たちが,経済と直接は関係ないような事柄について書いたものから,金融の専門家が発信する市場に関わる様々なニュースや経済レポートまで,web上には常に大量のテキスト情報が溢れている.機械学習を用いたテキストマイニング手法によって,テキスト情報と市場変動の関係性を発見し市場分析に応用する最新研究事例を紹介する.
  • Shoko Yamane, Ryohei Hayashi
    2011 年 4 巻 p. 47-50
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    We examine that the gender differences in the sensitivity of the influence from others using swimming data. We focus on the existence of competitor and existence of co-worker, and measure the impact of both effects. Using absent-competitor data, we can compare directly the performance of individual swimmers with and without an adjacent competitor. We found female swims faster with competitors than male. We also compare the records of medley relay records and that of the individual event, and found female cannot do better with co-workers than alone.
  • 山本 竜市, 平田 英明
    2011 年 4 巻 p. 51-53
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究では第一に,日本の投資家が期待を形成する際,ファンダメンタル戦略・トレンドフォロイング戦略を用いていることを示す.第二に,それら戦略を時間を通じて使い分けているという意味で「戦略の切り替え」を行なっていることを実証する.第三に,この「戦略の切替え」が実証的に見て日本の株価のファンダメンタル価格からの乖離を説明する上で重要であることを示す.本研究ではデータをバイサイドとセルサイドに分けて両者の「戦略の切替え」を検証し,戦略の切替の株価への影響の大きさを分析し,その影響の度合は投資家の属性により異なることを示す.
  • 亀坂 安紀子, 田村 輝之
    2011 年 4 巻 p. 54-56
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    東日本大震災発生以前には,景気回復の期待から上昇基調にあった株価は,震災後一旦急落し,その後数日のうちにある程度回復した.近年,日本の株式市場で大きな取引シェアを占めているのは海外の投資家であるが,震災直後も,海外の投資家は市場で活発に取引を行っていた.震災前後に日本の株式をネットで購入していたのは,海外の投資家だけであったが,この間主要な売り手となっていたのは,東証1部では証券会社(証券自己売買)であり,東証2部および東証マザーズでは,個人投資家であった.海外の投資家の内訳をみると,震災が発生した3月には,北米,アジアの投資家がネットの買い手となっていた一方,欧州の投資家はネットの売り手となっていた.
    震災前後における市場別(3市場1・2部等の合計,東証1部,東証2部,東証マザーズ)のVAR分析においても,3市場1・2部等,東証1部のデータを使用した場合は,証券会社や海外の投資家の売買が市場に相対的に大きな影響を与えており,東証2部,東証マザーズの場合は,個人投資家や海外の投資家の売買が大きな影響を与えていた.
  • 細井 真人, 内田 幸夫
    2011 年 4 巻 p. 57-61
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    日本の現行の議政における議論を通じてより効率的な提案に対する議員・国民の賛同が広まっているであろうか.我々は組織・社会の学習促進・支援のためにWeb活用情報システムの研究を行っており,合意形成を支援するWeb議会システムの設計を行なっている.本報告では,Web議会システムの設計において特定の利益集団からの集団的投票行動を排除し投票結果を正しく予測する推定法として層別推定法が有効であることをエージェントシミュレーションと数値分布法により明らかにした.是正しなければ余りにも犠牲が大きすぎる制度の改革において,国民の迅速な学習促進とその結果到達する合意形成はとても重要であり,そのためには,実証,実験による人間行動の分析や理解とそれらを踏まえた経済制度設計に加え,ソフト・コンピューティングによる幅広いシミュレーションと情報システムを活用した社会の学習を促進・支援する研究も必要であると思われる.
  • 加藤 英明, 鈴木 健嗣
    2011 年 4 巻 p. 62-67
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究は,1998年から2009年までに公募増資した企業を対象に,需要曲線右下がり効果とプライスプレッシャー効果の検証を行っている.本稿の主な結果は以下の通りである.第1に,アナウンスメント日のみならず発行日においても,公募増資規模が大きくなるにつれ株価の下落がみられた.第2に,発行日前後で株価リバウンドはみられなかった.第3に,新株が株式の返済に充てられやすい企業において価格算定日前後に株価のリバウンドが生じているが,新株が空売りの返済に充てられにくい企業ではリバウンドはみられなかった.こうした結果は,アナウンスメント日のみならず発行日に需要曲線右下がり効果が生じるという考えと整合的である.また,株式の売出しがプライスプレッシャー効果を引き起こすというよりは,思惑的な空売りがプライスプレシャー効果を引き起こすという考えを支持した結果といえる.
  • 高階 勇人, 阪上 公一, 馬場 崇徳, 大久保 重孝, 井出野 尚, 竹村 和久
    2011 年 4 巻 p. 68-71
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    複数の選択肢が存在し,それぞれの選択肢が複数の属性によって特徴付けられる意思決定問題を(多肢)多属性意思決定と呼ぶ.多属性意思決定の典型としては,PCや携帯電話について,性能表をもとに比較検討し,購入する製品を決めるといった状況が挙げられる.規範的な意思決定理論に基づけば,多属性意思決定において,最も望ましい選択肢を選ぶ場合と,最も望ましくない選択肢を選ぶ場合では,意思決定過程の特徴が変わらないことが予想される.しかし,実際の決定場面を顧みると,両者の意思決定過程は異なっているように考えられる.そこで本研究では,最も望ましい選択肢を選ぶ場合と,望ましくない選択肢を選ぶ場合とで,意思決定過程がどのように異なるかを検討するため,幾つかの商品について,多属性意思決定課題を実施した.また,意思決定過程を検討するため,情報モニタリング法と呼ばれる手法を用い,実験参加者の情報探索を定量的に測定し,情報探索過程の可視化についても行った.
  • 杉本 佳亮, 中川 雅央
    2011 年 4 巻 p. 72-74
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は経済発展とともに,出生率の不可逆的な投資決定が子供への教育投資に異なった影響を与えることを明らかにすることにある.出生率の不可逆的決定が,経済発展初期段階では子供への教育投資を阻害し,経済発展後期段階では,逆に促進することが明らかになった.
  • 岩澤 誠一郎, 内山 朋規
    2011 年 4 巻 p. 75-80
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    日本の株式市場において「ボラティリティ・アノマリー」─事前に観察されたボラティリティが小さい銘柄ほど,事後のリターンが高い―が見られることは広く知られている.我々はこの現象に,海外投資家及び信用取引を行う個人投資家が関与していることを実証する.第一に,「ボラティリティ・アノマリー」は海外投資家及び信用取引を行う個人投資家から日本株への資金流入が大きい局面では消滅/減衰し,資金流出が大きい局面で強まる傾向がある.第二に,海外投資家が日本株市場に資金を投下する際には,ボラティリティのより大きい株により多くの資金を投じる傾向がある一方,資金を引き揚げる際には,ボラティリティの大きい株からより多くの資金を引き揚げる傾向が見られる.また信用取引を行う個人投資家が資金を引き揚げる際にも,ボラティリティの大きい株からより多くの資金を引き揚げる傾向が見られる.
  • 松葉 敬文, 佐藤 淳, 蔵 研也, 加藤 大輔, 村上 弘
    2011 年 4 巻 p. 81-84
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    健康な右利きの歯科医師21名に対し,リスク(risk)状況および不確実(ambiguity,またはuncertainty)状況において不快画像刺激と中立的画像刺激を呈示し,3TのfMRI装置を用いて脳機能画像解析を行った.fMRI装置内で被験者が行う課題にはBalloon Analogue Risk Task(BART)課題を利用した.被験者が直面している課題の確率を事前に告知している状況をリスク状況,確率を全く告知していない状況を不確実状況とした.結果,不快画像刺激により不確実な状況では扁桃体と線条体(被殻)が有意に賦活し,リスク状況では前帯状皮質の活動が有意であったが扁桃体の賦活は確認されなかった.この結果は,リスク状況では不確実状況と異なり,扁桃体の活動を抑制するような機能が働いている可能性を示唆するものである.
  • 寺地 一浩, 近 勝彦
    2011 年 4 巻 p. 85-89
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    消費者行動に影響を与えるポイントについて,フレーミング効果を実証的に分析する.同じ記述表現において,ポイントに対する経験が高い消費者層は,ポイントに対する経験が低い消費者層に比べて,高い反応を検証した.フレーミング効果は,ポイントに対する経験の属性に依存して,消費者行動に影響を与えることを実証した
  • Ruokang Han, Taiki Takahashi
    2011 年 4 巻 p. 90-93
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    We demonstrated that hyperbolicity in time discounting is due to non-linearity in psychological time for both gain and loss. We examined how psychological time influenced time discounting of gain and loss in 50 Japanese college students. Psychological time of gain and loss was nonlinear with physical time. Once we introduced psychological time, the time discount functions of both gain and loss were closer to exponential models rather than hyperbolic models.
  • Jun Goto, Takeshi Aida, Keitaro Aoyagi, Yasuyuki Sawada
    2011 年 4 巻 p. 94-96
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    This paper investigates the interplay between economic incentives and social norms in formulating rice planting contracts of the Philippines. Intriguingly, in our study area, despite the potential of infestation of opportunistic behaviors by workers, a fixed wage (FW) contract has been dominant for rice planting since the 1960s. To account for such a seemingly-inefficient contractual arrangement, we conduct field experiments by randomly assigning three distinct labor contracts, i.e., FW, individual piece rate (IPR), and group piece rate (GPR) contracts. Individual workers_p’ /performance data from field experiments are then combined with data on social preferences elicited by laboratory experiments. Five main empirical findings emerge. First, our basic results show the positive incentive effects in IPR, moral hazard problems in FW, and free-riding behavior in GPR, which are consistent with standard theoretical implications. Second, while, under FW, social preferences such as altruism and guilt aversion play an important role in stimulating incentives, introducing monetary incentives crowds out such intrinsic motivations. Third, other non-monetary factors such as self-selection of team members and social connections significantly change incentives under FW contract. Fourth, as alternative hypotheses, our empirical results are consistent with the hypothesis of intertemporal incentives arising from performance based contract renewal probabilities. Our results are also supportive to implications of the interlinked contract of labor and credit transactions in mitigating moral hazard problems. Yet, we reject the optimality of FW contract due to large effort measurement errors.
  • 田村 輝之, 江口 尚孝
    2011 年 4 巻 p. 97-100
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    本稿では,日本の労働市場におけるオイルショック以前,オイルショック期,バブル期,就職氷河期における職務満足度に対する特有の効果(コーホート効果)が存在しているか否かについて統計的に検証を行う.学卒時点における労働市場の需給状況が,その後の賃金や離職に長期的な影響を及ぼすことは,「世代効果」として多くの研究の蓄積が行われている.本稿では,これらの先行研究を踏まえた上で,初職の参入時期が調査時点における職務満足度にどのような影響を及ぼすかについて検討する.
  • 山本 達司, 加藤 英明
    2011 年 4 巻 p. 101-104
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    金融商品取引法では,IPO企業の経営者による株式売却禁止期間が定められている.本研究では,IPO後の最初の決算期が,その期間内か否かに着目した.結論は,次のとおりである.IPO後の最初の決算期がその期間内にある企業については,企業年齢と監査法人の規模が裁量的アクルーアルを抑制し,そうでない企業については,これらの要因に関係なく,裁量的アクルーアルが計上される.市場は,IPO直後には一時的に裁量的アクルーアルに誤導されるが,それは持続しない.長期的に市場が評価するのは,経営者がIPO後も株式を継続保有しようとする態度である.
  • Yoshiaki Takahashi
    2011 年 4 巻 p. 105-110
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    This paper presents the results of a longitudinal survey study (N=11,984) that examines how collective (group) action lawsuit, in particular opt-in or opt-out, affects decision-making by individuals if they participate in consumer detriment cases. This dataset was made up of Japanese in their 20s and 30s from all prefectures. When consumers suffer consumer detriments, their appropriate actions through courts or other alternative dispute resolution system contribute to eliminate unconscionable business practices and to correct market failure. However, even if consumers have this important role, it is wonder whether these consumer victims are always rational to take action. Behavioral economics reveals that default effect is one of behavioral bias and a review in the UK suggests that consumer collective action may have default effect through victims’ decision-making by choosing “opt-in” or “opt-out” basis in a country.
    The results here show existing default effect because rates to participate in hypothetical consumer cases in opt-out scheme are statistically higher than in opt-in scheme. Logit analysis with other factors also supports this conclusion. This suggests that policy makers should take into account of individual behavioral bias and opt-out scheme is better for consumer collective action to obtain enough participation rates.
  • Shoko Yamane, Hiroyasu Yoneda, Taiki Takahashi, Yoshio Kamijo, Yasuhik ...
    2011 年 4 巻 p. 111-115
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    This paper investigates whether smokers exhibit greater time discounting than non-smokers, and how short-term nicotine deprivation affects time discounting. A unique feature of our experiment is that our subjects receive rewards not only of money, but also of actual tobacco. This is done in order to elicit smokers’true preferences. Smokers are more impatient than non- smokers, consistent with previous studies. Additionally, nicotine deprivation makes smokers even more impatient. These results suggest that nicotine concentration has different effects on time preferences in the short and long runs.
  • リュウ セイナン
    2011 年 4 巻 p. 116-120
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    本稿は中国株式市場の直近6年間のデータを用い,機関投資家と外国人投資家の投資行動を分析し,ハーディング行動の有無を検証する.機関投資家のハーディング行動が検出されたものの,外国人投資家のハーディング行動が検出できなかった.株価に与える影響においても,機関投資家のハーディング行動が外国人投資家より大きい.また,機関投資家はネガティブなフィードバック取引を行う傾向がある.
  • 高野 昌也
    2011 年 4 巻 p. 121-124
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,貨幣錯覚に陥る個人が貨幣のもつ名目,及び実質価値の変動にいかなる影響を受けるか,を検証することである.仮想質問を用いたアンケート調査は,個人が貨幣の名目価値と実質価値の一定以上の乖離に強く反応すること,及び,名目価値の下落を極端に回避する傾向にあることを示した.
  • Michiyoshi Hirota
    2011 年 4 巻 p. 125-128
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    This thesis is devoted to the study of whether or not a traditional double auction trading process in a model with many securities and money can converge to a general equilibrium price. In addition to the traditional presumption of double auction markets we assume in several experiments that artificial subjects with least rationality buy or sell such that their utility never decrease and choose calling prices randomly from a certain possible range which is given by the past history of calling prices and their utility function. This thesis asserts that a double auction process under this assumption tends to approach a general equilibrium price, while the distribution of final allocations may be somewhat dispersed.
  • 山田 歩, 福田 玄明, 鮫島 和行, 清河 幸子, 南條 貴紀, 植田 一博, 野場 重都, 鰐川 彰
    2011 年 4 巻 p. 129-132
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究では,テイスティングの際に,好き嫌いの理由を意識的に分析することが,サンプルへの選好に与える影響を検討した.参加者は,好きな理由を分析するか,嫌いな理由を分析するか,もしくは分析せずにPepsiとCokeを試飲し,それらの好みを判断した.その結果,分析をしなかった参加者はPepsiよりCokeを好む傾向があったが,好きな理由を分析した参加者はPepsiへの選好を強めることが確認された.嫌いな理由を分析した参加者は,PepsiとCokeに示す好みに違いがなくなった.また,好きな理由についてはPepsiはCokeより記述しやすいと判断されたが,嫌いな理由については両者に違いがなかった.これらの結果は,意識的に味の好き嫌いを分析するテイスティング場面では,直感的な評価と異なる結果をもたらすこと,また,サンプルの理由の記述しやすさがそうした評価の変動を増減させていることを示唆する.
  • Oleksandr Movshuk
    2011 年 4 巻 p. 133-138
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    While it is common to estimate the age effect on happiness with parametric terms (such as age and age- squared), this paper applies a semiparametric regression model that imposes much milder restrictions on the shape of age-happiness profile. Using data from the British Household Panel Study, the paper confirmed that the age-happiness profile remained U-shaped in the semiparametric specification as well. To trace sources of the U-shape, I applied the varying coefficient model of Hastie and Tibshirani (1993), and estimated differentiated age-profiles for major life circumstances, such as differences in marital status, the presence of children at home, and whether children were dependent or not. After introducing these differentiated age effects, the shape of the overall age-happiness profile changed in a notable way: it was no longer U-shaped, but flat. In contrast, the differentiated age profiles continued to have significant effects on happiness for most life circumstances. Evidently, the common finding that happiness is U-shaped in age may reflect a composite effect from differences in people’s adjustment to major life circumstances over the life cycle.
  • 北村 智紀, 中嶋 邦夫, 赤井 研樹, 青木 恵子
    2011 年 4 巻 p. 139-140
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    高齢者が投資決定に際して他の者と相談することで投資詐欺を防ぐことが可能か実験で検証した.実験では高齢者を被験者とし,意思決定前に相談するグループと相談しないグループを設定し,現状の市場環境では存在し得ない元本保証で高利回りという詐欺的な特徴を持つ金融商品と通常の株式投信への仮想的な投資配分を決定してもらった.実験の結果,当初の選択では相談したグループの方が詐欺的商品への配分比率が高くなり,相談の効果が認められなかった.しかし,異なる商品に対する続く選択では相談したグループの方が詐欺的商品への配分比率が減少した.さらに,過去に預けた預金金利が高い者ほど相談に効果があった.家族等と単に相談するだけでは投資詐欺被害を防ぐ効果は低いと考えられるが,より現実的な投資詐欺の手口を示すことや,過去と現在の預金金利を比較するなどの具体的な相談内容を示すことで高齢者の投資詐欺被害を減らせる可能性がある.
  • 西原 宏, 鍵原 理人, 渡邉 淳一
    2011 年 4 巻 p. 141-144
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    囚人のジレンマの利得構造の下で,プレイヤーの先手/後手の手番はランダムに決められ,先手が非協力行動を選択する場合にのみその行動が後手によって観察されるとする.このゲームと通常の囚人のジレンマとの相違は情報構造の違いに帰着する.情報構造がこのように修正された囚人のジレンマを非協力探知型情報構造を持つ囚人のジレンマと呼ぶ.非協力探知型情報構造を持つ囚人のジレンマには,利得構造がある一定の条件を満たすとき,双方のプレイヤーが協力的戦略を選択して協力行動がプレイされるナッシュ均衡が存在する.本研究の目的は,このゲームの協力的戦略の選択比率が,通常の囚人のジレンマの協力的戦略(協力行動)の選択比率に比べて,高いか否かを実験によって検証することにある.実験の結果,理論とほぼ合致する範囲の利得構造において,協力的戦略の選択比率は非協力探知型情報構造を持つ囚人のジレンマで高まることが示される.
  • ~アンケート調査にみる不安の投影~
    岡野 武志
    2011 年 4 巻 p. 145-149
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    生活者は,身近な事例に強い影響を受けて不安を感じ,将来を悲観的に予想しやすい.業績や財務基盤に不安を抱える企業にも,悲観的な傾向がみられる.業況を相対的に強気に見てきた大企業にも,金融危機以降の判断に変化がみられる.大企業の判断にも,身近な事例に基づく不安が投影されれば,人件費の削減や投資の抑制につながりやすい.収入が減少すれば生活者は支出を抑え,需要の減少がさらに企業業績を悪化させて,スパイラル的な経済規模の縮小が進みかねない.政府支出の増加分が,企業や家計に蓄積されれば,主体間・世代間に資金の偏在を生む結果につながる.偏在の是正には,生産と支出の増加による経済活性化が必要であり,国民の努力も重要になる.経済合理性のみを追求する社会の危うさは周知されつつあり,「貢献」という効用を得る機会の増加が望まれる.人を対象とする行動経済学は,さらに活躍の場を広げていくべきであろう.
  • 竹中 慎二
    2011 年 4 巻 p. 150-154
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    グローバル化の進展や財政問題の深刻化により,汚職(corruption)の問題はその重要性が高まっている.しかし,実際の行動は観察困難であり,文化や経済成長との因果関係も決して明確でないため,研究対象になりにくいのが実情といえる.本論文はアジアの中でも汚職が最も深刻とされる国の1つである,フィリピンの個票データを主に分析することで,人々の汚職に対する許容度や意識を考察した.その結果によると,中等教育以上の教育を受けた人々は汚職への許容度が低く,さらに死後の世界といった神秘的な存在を信じる人(信仰心の強い人)ほど汚職の許容度が低いことが判明した.
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