過去約30年間 (1963~1988) に中国武漢同済医科大学附属協和病院において経験した食道穿孔症例9例と, 同時期 (1960~1990) に日本で報告された症例87例について, 疫学的検討, 臨床的特徴, ならびに治療と予後について比較を行い検討した。
1) 食道穿孔の原因は, 中国例および日本での報告例ともに, 食道異物によるものが最も多く (42.7%/中国例9例中6例, 日本の報告例87例中35例), 次いで医原性損傷 (36.5%/中国例9例中1例, 日本の報告例87例中34例), 特発性食道破裂 (17.7%/中国例1例, 日本例16例) の順であった。
2) 穿孔部位は, 中国例では頸部食道4例, 胸部食道3例, 腹部食道1例, 部位不明1例で, 日本例では頸部食道31例, 胸部食道38例, 腹部食道14例, 部位不明4例であった。穿孔の原因が異物や医原性であったものは, 穿孔部位が第1狭窄か第2狭窄, あるいは第1狭窄から第2狭窄までの間に集中していた (中国例7例中6例, 日本例69例中50例, 計76例中56例, 73.7%)。特発性食道破裂の穿孔部位は, 17例 (中国例1例, 日本例16例) 中15例 (88.2%) が, 第3狭窄, あるいは第2狭窄から第3狭窄までの間であった。
3) 臨床症状は, 突発性の激しい嚥下痛, 嚥下障害, 頸部あるいは胸部, 腹部の激痛および頸部皮下気腫などが特徴的であった。頸部皮下気腫および縦隔気腫は頸部食道・胸部食道穿孔例だけではなく, 腹部食道穿孔例においてもみられた。
4) 診断にはガストログラフィンを用いた食道造影, 頸部および胸部CTと単純X線撮影が有用であった。特に食道造影では, 食道穿孔の有無に加えて, 穿孔部位と大きさに関する情報も得られた。
5) 治療は, 外科的治療が原則で, 特に胸部食道穿孔例や穿孔が大きい場合, 臨床症状が激しい場合は早期手術が必要である。
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