音声外科手術後に生じる肉芽形成や瘢痕形成は,術後音声を大きく左右する。そこで,肥厚性瘢痕治療薬であるトラニラストの局所投与による肉芽組織形成抑制効果を実験的に検討した。
方法:0.5%カラゲニン誘発刺激による肉芽組織およびイヌ声帯新鮮創に対して,2.0%トラニラストおよびリポソーム封入2%トラニラストを局所投与し検討した。
結果:2%トラニラストに比較して,リポソーム封入2%トラニラストは組織内に長く止まり,肉芽組織の増生抑制効果をより促進した。また,イヌ声帯新鮮創に対して局所投与した結果,術後に良好な声帯振動が得られた。
結論:トラニラストの局所投与により,肉芽組織の増殖抑制効果が認められ,さらにリポソームに封入した形態にして投与することにより組織内濃度が維持され,肉芽組織の増生抑制効果がより増強された。
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