甲状腺髄様癌4例を経験した。4例全例でカルシトニンの異常高値を認めたが,CEAの異常高値を認めたのは1例のみであった。穿刺吸引細胞診(FNA)ではclass IIIと診断された症例が3例あるものの,悪性を確信させるclass IV以上のものはなかった。
RET遺伝子検索を4例中3例に行ったが,いずれの症例においても遺伝子変異は認められなかった。甲状腺髄様癌はFNAでは診断困難なことも多く,カルシトニンは髄様癌のスクリーニングに有用であると考えられた。
治療は,腫瘍が片葉に限られた2例に対しては甲状腺片葉切除を行い,残り2例は両葉に腫瘍が認められたため甲状腺全摘を行った。N陽性例のうち,術前に明らかなVII群リンパ節腫大を認めた1例に対しては,患側の保存的頸部郭清(D2b)を行ったが,V,VI群に限局するリンパ節転移を認めたlateral neck dessection (D2a)にとどめた。
4例全例再発は認めておらず,甲状腺髄様癌の良好な予後を考えると腫瘍が片葉に限局し,遺伝子検索にて散発性と確認された症例に関しては甲状腺片葉切除で十分であると考える。
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