下咽頭ファイバースコピーにおける致命的な問題点は,赤玉現象(スコープの最短観察深度よりも手前に観察対象粘膜が近接することが原因)と白玉現象(唾液などの分泌液の近接が原因)である。これを解決するために,ファイバースコープの先端にフードを装着する方法について報告してきたが,今回,既存の処置用ビデオ鼻咽喉スコープの先端に透明フードを装着し,有効長を500 mmに延長したビデオ下咽頭スコープを試作し,持続送気(300∼500 ml/分)しながら下咽頭ファイバースコピーを行う方法について検討した。
1.画質は精細できわめて優れておリ,赤玉現象は吸引時を除いて発生しなかった。
2.持続送気用の回転T字管を鉗子チャンネルに装着すると,注水時と吸引時に送気管側への逆流現象を生じるため,逆流防止弁付き回転T字管を考案した。
3.食道内腔での吸引機能に問題がある。
4.下咽頭ファイバースコピーにおいては,左右交互に両側の梨状陥凹から挿入して,合計2回観察しないと反対側の病変を見逃す危険性がある。
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