気道異物は即呼吸に影響し,異物の種類や介在期間によっては肺炎を生じ重症化する。啓蒙されているとはいえ,現在でもなお小児,特に乳幼児の救急疾患として重要である。ここでは過去の報告と最近の当科の統計を呈示し,異物の診断から摘出術後の管理にわたり述べる。
小児の気道異物は食物が90%程度を占め,さらに食物の中で豆類が90%を占め,また豆類の中ではピーナッツが80%以上を占める。年齢は2歳未満が70%程度を占め,なかでも1歳前半が最も多い。異物誤嚥は急激な吸気を伴う動作が加わった際に生じやすい。症状は咳嗽と喘鳴を含む異常呼吸音が最も多く,80%以上を占める。
診断は異物を念頭に置いた詳細な問診と,聴診が主体であり,つぎに胸部X線撮影,CT,MRIなどの画像,最終的には内視鏡検査を行う。
摘出は全身麻酔下で行う。主として硬性気管支鏡に麻酔用アダプターを装着しventilation bronchoscopeを用いる。異物の介在箇所は,気管が20%程度,左右気管支は70%以上で左右には特に差はないが,異物が複数存在し介在場所も2か所以上のこともある。術中は手術操作による喉頭・気管粘膜の炎症の誘発など副損傷を生じないよう細心の注意を払い,術後は異物による肺炎や合併症の防止と治療にあたることが重要である。
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