日本気管食道科学会会報
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54 巻, 3 号
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原著
  • 千々和 秀記, 千々和 圭一, 梅野 博仁, 中島 格, 藤田 博正, 末吉 晋
    2003 年54 巻3 号 p. 189-196
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル 認証あり
    1989年から2000年までに久留米大学病院耳鼻咽喉科で治療を行った下咽頭癌症例182例,同院外科で治療を行った食道癌症例596例を対象とした。下咽頭,食道重複癌症例は43例(同時性が32例,異時性が11例)であり,下咽頭癌の23%,食道癌の7%を占めていた。Kaplan-Meier法による下咽頭早期癌の3年累積粗生存率は食道癌重複(-)では76%,重複(+)では81%,下咽頭進行癌の3年生存率は食道癌重複(-)では45%,重複(+)では41%であり,有意差は認めなかった。食道早期癌の3年生存率は下咽頭癌重複(-)では85%,重複(+)では60%,食道進行癌の3年生存率は下咽頭癌重複(-)では40%,重複(+)では53%であり,有意差は認めなかった。下咽頭,食道重複癌に対しては,耳鼻咽喉科と外科との診断を含めた集学的治療が必要と考えられた。
  • 西澤 伸志
    2003 年54 巻3 号 p. 197-201
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル 認証あり
    目的:バリウム入りカプセルを嚥下させ,ノドにひっかかる感じを調べた。
    対象:正常者20名(男18名,女2名),平均年齢38歳(31~51歳)。
    方法:バリウムをつめた#0号のカプセルを嚥下させ,食道内の停止した部位と停止したと感じた位置を比較した。
    結果:カプセルの停止位置は,食道第1狭窄部位と第2狭窄部位の中間に停止した対象では口側に停止したと感じた例が多く,これらの中で,2椎体口側の第7頸椎の高さに停止したと感じた例に,ノドにひっかかる感じを認めた。第2狭窄部位の大動脈弓の高さに停止した場合に,第7頸椎の高さに停止したと感じた例も認めた。大動脈弓中央より下方に停止した例ではノドにひっかかる感じを認めなかった。
    結論:第1狭窄部位と第2狭窄部位の中間あるいは第2狭窄部位にカプセルが停止した対象の中で,第7頸椎の部位に感じた例がいわゆるノドにひっかかる感じに該当した。
  • 山田 弘之, 石田 良治, 西井 真一郎
    2003 年54 巻3 号 p. 202-207
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル 認証あり
    バセドウ病の31例に対して手術を,41例に対して抗甲状腺剤治療を行った。手術施行例中,16例で機能低下が,2例で再発が認められた。抗甲状腺剤治療例中13例において治療を終了でき,うち10例では再発を認めていない。治療中の24例中20例でコントロール良好である。頭頸部外科医がバセドウ病の手術適応を決定するために,抗甲状腺剤治療を積極的に行うことが望ましい。
病例報告
  • 守本 倫子, 川城 信子, 土橋 信明
    2003 年54 巻3 号 p. 208-213
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル 認証あり
    小児の声門部異物1例および声門下異物2例を経験したので,文献的考察を含め報告する。1例目は9カ月男児,プラスチック片の声門部異物で,発症当日に摘出された。2例目は1歳1カ月の女児で突然の咳嗽のため他院で仮性クループとして治療を施されたが,発症翌日喘鳴が増悪してきたため当科受診した。エビの尻尾が声門下に嵌頓しているのを認めたため摘出した。3例目は2歳8カ月の女児,ピスタチオナッツの殼による声門下異物を認め摘出したが,喘鳴が続くため喘息の診断のもと7カ月間治療を行った。その後の再精査の結果,殼の一部が残存していたことが判明し,摘出したところ喘鳴は消失した。小児では十分な問診が行えず,診察の協力も得られないため,喉頭異物の発見が遅れることがある。したがって小児の喘鳴,嗄声,咳嗽では異物の可能性を念頭に置き,喉頭ファイバーと頸部単純X線写真による異物の検索は必須である。また,異物摘出後も喘鳴が持続する場合は異物残存の可能性を考慮し,再検索する必要がある。
  • 顕微鏡下喉頭手術支援内視鏡の使用と粘膜縫合
    佐藤 賢太郎, 岡本 牧人, 西山 耕一郎, 平山 方俊, 廣瀬 肇
    2003 年54 巻3 号 p. 214-218
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル 認証あり
    近年,医療機器の発達に伴い,喉頭微細手術への応用として硬性内視鏡を併用する報告がみられる。このことにより今までの喉頭微細手術の欠点のひとつであった前連合の術野の確保ができるようになった。今回われわれは,喉頭乳頭腫およびその術後に生じた前連合の癒着に対して顕微鏡下喉頭手術支援内視鏡を用いてレーザー照射および粘膜縫合を行った。症例は69歳男性で他院で喉頭微細手術を受け,7カ月後に喉頭乳頭腫の再発のため当科に紹介された。その結果,術後に声の音質の改善および乳頭腫再発の制御は良好であり,社会復帰も早期に可能であった。
  • 気管切開の問題点
    石田 良治, 山田 弘之, 西井 真一郎, 徳力 俊治
    2003 年54 巻3 号 p. 219-222
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル 認証あり
    高位気管切開が誘因となった気管カニューレ抜去困難症の2症例を経験した。2症例ともに,他院脳外科医によって気管切開を受けたあとより症状が発現し,再建手術の所見,CT所見で,輪状軟骨の欠損および同部周囲の狭窄を認め,高位気管切開が原因と考えた。
    2症例ともに,喉頭気管皮膚瘻を用いた段階手術を計画した。2症例とも経過良好で,1症例は喉頭気管瘻閉鎖後約1年経過したが,再狭窄は認めていない。1症例は呼吸機能の問題で喉頭気管皮膚瘻は閉鎖していないが,気管狭窄は認めていない。
    気管喉頭狭窄を伴うカニューレ抜去困難症に対しては,喉頭気管皮膚瘻を用いた段階手術は安全かつ確実な方法と考えた。
短報
  • 西山 耕一郎, 廣瀬 肇, 井口 芳明, 永井 浩巳, 正来 隆, 猪 健志, 八尾 和雄, 岡本 牧人
    2003 年54 巻3 号 p. 223-228
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル 認証あり
    近年,外科の各領域で低侵襲の手術が普及してきた。喉頭手術においても頸部に外切開を加えずに,喉頭直達鏡下に手術を行う機会が増加してきた。それに伴い喉頭直達鏡下に組織を縫合する必要が増加してきている。これまでにも喉頭直達鏡下手術専用の持針器の使用が報告されているが,普及には至っていない。また縫合操作を容易にするために縫合部位に合わせて針を曲げる必要があるが,専用の針曲げ器はまだない。以上のことより今回われわれは,喉頭直達鏡下手術専用の持針器と,喉頭直達鏡下手術用針曲げ器を製作した。縫合する操作を喉頭直達鏡下の左右の部位に分けて分類し,縫合する針や糸について検討し考察した。
  • 佐藤 公則, 中島 格
    2003 年54 巻3 号 p. 229-234
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル 認証あり
    嚥下障害の診断と治療に嚥下造影は欠かせない。通常の固定式X線テレビ透視装置を用いた嚥下造影が多くの施設で行われている。本研究では,手術室で使用されている外科用移動式X線テレビ装置(C-ARM)を用いて嚥下造影検査を行い,その有用性を検討した。
    本法の利点は,1) 検者の被曝線量が比較的少なかった。2) 患者の体位にあわせてCアームの角度と位置を決めて嚥下造影が行え,代償姿勢での嚥下造影検査も可能であった。3) 車椅子,ストレッチャーでの検査が可能であった。4) 画像が鮮明であり,ビデオ録画も容易であった。5) 装置が小型で場所をとらず,診療所のレントゲン室での設置が可能であった。6) 検査装置が比較的廉価であった。
    外科用移動式X線テレビ装置(C-ARM)を用いた嚥下造影は有用であるといえた。
  • 渡嘉敷 亮二, 中村 一博, 山口 宏也, 鈴木 衞
    2003 年54 巻3 号 p. 235-237
    発行日: 2003年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル 認証あり
    Laryngopharyngeal reflux disease (LPRD)を診断する最も確実な方法は,pHモニターにより下咽頭あるいは上部食道までの胃酸の逆流を証明することであるが,その方法やLPRDと診断するための基準値はまだ統一されていない。われわれは,内視鏡下で経鼻的にpHセンサーを挿入し,電極を頸部食道(発声時の梨状陥凹先端より2 cm下方)に留置している。この方法は外来で簡単に行え,時間もかからず有用である。
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