日本気管食道科学会会報
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56 巻, 2 号
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寄稿
  • 大石 和徳
    2005 年 56 巻 2 号 p. 63-71
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    近年, 新興呼吸器ウイルス感染症であるSARS, 高病原性鳥インフルエンザH5N1がアジア地域を中心に流行し, この地域における今後の健康危機管理の必要性が指摘されている。このような感染症アウトブレイクを速やかに察知し, 原因を究明する共通のサーベイランス情報ネットワークとしてグローバル感染症警報・対応ネットワーク (GOARN) が構築されている。GOARNの目的は, 感染症の国際的拡散の防止, 迅速かつ適切な技術支援の提供, 長期間の感染流行に対する備えと能力構築に貢献することである。感染症アウトブレイクに対する速やかな対応を可能にするためには, WHOを中心とした人材支援ネットワークを構築する必要がある。すなわち, 国別に感染症コンロール医師・看護婦を事前登録し, WHO主導の研修後に国際感染症対策に備える。感染症アウトブレイク発生時には, これらの登録メンバーは現地に速やかに派遣され, WHOの適切な調整のもとに感染症対策を実行する。このような感染症アウトブレイクに対する準備は, 地域レベルにおける感染症アウトブレイクの国際的な拡散を防止し, 国際感染症の危機管理に重要な役割を果たすものと期待される。
教育講演
  • 宇野 公一
    2005 年 56 巻 2 号 p. 72-80
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    PETは核医学検査法の一つであり, 日常に用いられている単光子γ線を利用したシンチグラフィやSPECTなど従来の検査法と大差はないが, 優れた解像力および定量性を持っているため注目を浴びている。特に近年, FDG-PETは各種の癌の診断に用いられ, 1回の検査で全身の癌の検索が可能なため検診にまで利用が広まっている。これまでFDG-PETの癌診断における有用性は, 良・悪性の鑑別, ステージ診断, 再発・転移の検索, 原発巣の検索, 治療効果の判定, 予後の予測などに応用されている。2002年4月からはわが国でも10種類の腫瘍が保険適用になった。また医療改革を背景にビジネスとして自由診療によるPET検診事業が続々と登場してきている。しかし, ポジトロン製剤が短半減期であるために院内に自前のサイクロトロンを設置し, 合成装置を使って放射性薬剤を製造し, 品質をチェックする薬剤師などのスタッフを揃えねばならないという人材的, 経済的制約がある。また, FDG-PETは万能な検査法ではなく, FDG陰性癌もあることを認識して他の形態診断法を参考に診断すべきである。今後, PET/CT装置や新しい放射性医薬品などの開発が実現すればさらに腫瘍PETの臨床での有用性は増し, 日常の腫瘍診断には必須の診断法になると思われる。
招請講演
特集 1 シンポジウム 1 : 下咽頭癌の治療戦略
  • 村上 泰, 木田 亮紀
    2005 年 56 巻 2 号 p. 83-84
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
  • 川端 一嘉, 鎌田 信悦, 三谷 浩樹, 吉本 世一, 米川 博之, 三浦 弘規, 別府 武, 福島 啓文, 佐々木 徹, 多田 雄一郎, ...
    2005 年 56 巻 2 号 p. 85
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
  • 渡邉 昭仁, 辻榮 仁志, 谷口 雅信, 細川 正夫
    2005 年 56 巻 2 号 p. 86-89
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    下咽頭癌の多くは進行癌になるまで症状がでづらく, 結果的に最初の診断時でも進行癌として診断される割合 (70~80%) が多い。しかしながら, upper aerodigestive tract等の扁平上皮癌治療の既往のある症例等, ハイリスク症例に対して内視鏡を用いたスクリーニングをすることで早期下咽頭癌が診断される可能性がある。当院では食道癌症例に対して定期的に頭頸部癌のスクリーニングを行っている。
    この報告の目的は食道癌症例の治療前後に定期的頭頸部癌スクリーニングを行い, 早期下咽頭癌診断に有効であるかを検討することである。
    1995年5月から2003年12月までに当院で診断治療された1,790例の食道癌症例を対象とした。これらの80症例に下咽頭癌が重複していた。下咽頭癌による自覚症状がなく, 定期的頭頸部癌スクリーニングで診断された症例は63例であった。これらの臨床stageはstage I : 43例, stage II : 14例, stage III : 3例, stage IV : 3例であった。stageIとIIを併せた症例は63例の90.5%にあたる57例に認められた。
    食道癌症例を定期的に頭頸部癌スクリーニングすることで早期の下咽頭癌が診断可能であった。
  • 河田 了, 李 昊哲, 竹中 洋, 辻 求
    2005 年 56 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    下咽頭癌の食道重複癌頻度は30~40%であるが, 食道癌が下咽頭癌の予後因子になるのかは明らかでない。そのため, 食道重複癌の取り扱いには, 根治性, 予後と侵襲, QOLのバランスを熟慮する必要がある。食道重複癌のうち表在癌の頻度は高く, 食道抜去の適応となる症例は下咽頭癌全体の10~20%程度と考えられる。下咽頭癌の進展は, 粘膜下リンパ流によって進展する不可視病変が特徴である。特に梨状陥凹癌や後壁癌では上方断端の取り扱いが問題となり, 20 mm程度のマージンを取るとともに, 術中迅速診断を活用する必要がある。下咽頭癌の予防的郭清術は, 転移率の高さから, かなり限定される。そのため, 予防的郭清術を施行するには, しっかりとした術前転移診断が必須である。超音波エコーによる転移診断が最も良好であるが, それでも転移リンパ節の検出は半数程度であり, 転移個数の診断となるとさらに困難である。術前のリンパ節転移診断の限界からみて, 転移リンパ節の個数別に頸部郭清術式をきめることは現状では困難と考えられた。
  • 林 隆一, 海老原 敏
    2005 年 56 巻 2 号 p. 97
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
  • 遠藤 壮平, 木田 亮紀, 鈴木 伸, 辻 賢三, 野村 泰之, 野口 雄五, 齋藤 勉, 田中 良明
    2005 年 56 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    進行下咽頭癌に対する放射線化学療法の意義について検討した。比較試験の結果からはシスプラチンを主体とした化学療法を加えると根治切除術不能例では生存率延長に寄与すると考えられ, 手術可能例では喉頭温存に寄与すると考えられた。本邦の報告でも放射線化学療法を加えることによって良い生存率が得られていた。われわれの施設で行ったシスプラチンと5FUによる化学療法と放射線の併用療法では手術検体の検索で55%に局所の腫瘍が消失しており, 喉頭温存が図れることが示された。5年死因特異的および粗生存率は, それぞれ56%, 51%であった。
  • 吉野 邦俊
    2005 年 56 巻 2 号 p. 103
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
特集 2 シンポジウム 2 : 気管食道科領域における環境とアレルギー
  • 古川 仭, 長尾 光修
    2005 年 56 巻 2 号 p. 104-105
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
  • 石川 哲, 宮田 幹夫, 坂部 貢, 吉野 博
    2005 年 56 巻 2 号 p. 106-112
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    最近話題になっているシックハウス症候群・化学物質過敏症について, 現在までの知見を紹介した。わが国でも本症について, いくつかの報告がなされているので, 詳しい症例の記載は文献にゆずり, 現時点での行政の対応, 北里研究所病院臨床環境医学センターで施行されている臨床研究につき簡単に紹介した。本症は一定量以上の有害な環境化学物質に接した既往を持つ, 例えば, 新築, 改築, 職場など関係する。誰でもなり得る疾患であり, 発症の一部には遺伝的な化学物質代謝に脆弱な酵素の遺伝子多型を有する個体が罹患しやすい。過去に精神神経系疾患と考えられた時期があったが, そうではなく, 化学物質による障害で, 主病変は大脳辺縁系障害が中心で, 神経, 免疫, 内分泌系のクロストークが機能的に障害された症候群であると考えられている。患者の早期治療が必要で速やかに原因物質を除去し, 適切な治療をすれば, 多くの症例は治癒する可能性が強い。
  • 三輪 高喜, 八木 清香, 塚谷 才明, 古川 仭
    2005 年 56 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    シックハウス症候群あるいは化学物質過敏症は, 室内空気環境によって生じる疾患であるが, その病態は未だ十分に解明されていない。上気道には, 室内空気環境に対して, 吸収, 防御, 知覚の機能を有している。したがって, 体外物質が患者に何らかの影響を及ぼすとすると, 体内への取り込みによる中毒, アレルギー反応による免疫学的な作用, そして神経受容の3つの経路が考えられる。このうち, 神経受容, 特に患者の嗅覚機能に関して正常者との違いを検討した。その結果, 正常者と患者との間には, 嗅覚域値, 嗅覚コントラストともに差がないことが判明した。したがって, 患者が室内空気質のにおいによって不快な症状を起こしているとすると, それは, 嗅覚過敏によるものではなく, 受容後の脳内における反応系の障害によって起こっているのではないかと推察された。しかし, 上気道の知覚系は嗅神経だけではなく, 三叉神経, 舌咽神経ならびに上喉頭神経も存在しており, それらの神経の影響も考慮して検討が必要である。
  • 久保 伸夫, 池田 浩己
    2005 年 56 巻 2 号 p. 118
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
  • 馬島 徹
    2005 年 56 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    ホルムアルデヒド (FA) による気道収縮のメカニズムを検討するために, モルモット気道上皮細胞のイオントランスポート, 気道収縮および気道過敏性について検討した。臨床研究として, 解剖学実習学生の呼吸機能および気道過敏性に対するFA吸入の影響とDSCGの効果について検討した。短絡電流 (Isc) はFA12.5 mg/m3刺激により9.42±2.84 μA/cm2増加した。Clチャンネルブロッカー (DPC), Na-K ATPase阻害薬 (Oubain), DSCG, およびPKA阻害薬 (H-89) はIscの増加を抑制した。FA刺激により気道上皮細胞のcAMPは増加し, PKAを活性化した。PKA発現はH-89により抑制された。FA10 ppm吸入は有意な気道収縮を認めた。DPC, H-89およびDSCGの前処置は気道収縮を抑制した。PEFは解剖学実習室入室時と退室時で8.9%減少した。DSCG吸入はPEFの減少を2.7%と有意な改善を認めた。喘息既往の学生では6週目からのDSCG吸入によって気道過敏性の亢進を抑制する傾向がみられた。以上の結果から, 気道上皮細胞cAMPおよびPKAの活性化を介し, Clチャンネルの活性化により電気生理学変化を惹起しアセチルコリン, サブスタンスPおよびニューロキニンAなどの神経伝達物質により気道収縮がみられると示唆された。また, DSCGはFA吸入による気道収縮および気道過敏性亢進に対し有効であると示唆された。
  • 東田 有智
    2005 年 56 巻 2 号 p. 124-130
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    近年, アレルギー性疾患が増加している。とくに気道領域のアレルギーである鼻アレルギーや気管支喘息の増加は著しく, これらアレルギー性気道疾患の原因として大気汚染や環境因子の変化が考えられ, いくつかの要因が候補にあがっている。その中でも, 住環境の変化に伴うアレルギー疾患発症に関与する室内汚染物質, すなわち, ダニ, カビ, 動物由来のアレルゲンやホルマリン, NOx などの刺激物質の増加が注目されている。これらの動向を左右する多くの要因は, わが国の時代背景の中で派生してきたと考えられ, とくに人為的な環境の変化がわれわれ人間を含めた多くの生物の生態系に多大な影響を及ぼしてきたと思われる。このような環境の変化がアレルゲンとなる生物群の変動やダニ, カビなどの異常繁殖を引き起こす要因となる。そこで住居環境の変化と社会的背景については, 都市化に伴う住居の密集化等により室内汚染物質の増加が考えられる。その結果, 気管支喘息等のアレルギー疾患が増加し, 社会問題にまでなっている。また, 母親の喫煙により小児のアレルギー疾患も増加しており, 受動喫煙のアレルギー疾患への影響も大きく関与している可能性がある。今後これらについて急速な対策が求められる問題である。
特集 3 シンポジウム 3 : 気道出血の対応
  • 桑原 正喜, 杉山 幸比古
    2005 年 56 巻 2 号 p. 131-132
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
  • 坂東 政司, 大野 彰二, 杉山 幸比古
    2005 年 56 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    今回著者らは, 血痰・喀血を主訴に当科を受診し, 気管支鏡検査を施行した89例 (男性58例, 女性31例) を対象とし, その臨床像および診断における気管支鏡検査の有用性について検討した。年齢は22~80歳 (平均59.4±13.6歳) で, 喫煙歴のある60歳以上の男性が多く, 合併疾患としては, 高血圧症を29例 (32.6%) で認めた。原因疾患は特発性気道出血が最も多く, 次いで気管支拡張症, 肺癌の順であった。胸部単純X線では35例 (39.3%) が正常所見であり, 肺癌15例のうち, 胸部単純X線で異常を指摘できなかったものを2例認めた。一方, 胸部CTで異常所見を認めなかったのは16例のみ (18.2%) であった。気管支鏡にて, 気道・肺胞からの出血と診断し得たのは36例 (40.4%) で, 血痰・喀血出現後96時間以内では78.3%で出血源の同定が可能であった。
    以上より, 血痰・喀血に対する気管支鏡検査は, 胸部CTを含む胸部画像検査で異常所見を認める場合とともに, 胸部画像検査で関連する異常所見を認めない場合でも, 血痰・喀血が持続する場合や肺癌の高リスク群 (年齢40歳以上, Brinkman index 400以上) では積極的に適応を考慮すべきであると考えられた。
  • 高橋 典明
    2005 年 56 巻 2 号 p. 138-141
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    【はじめに】 喀血症例に対しての内科的治療について, 気管支鏡による止血と気管支動脈塞栓術 (BAE) の適応と効果に関して検討した。
    【対象および方法】 過去5年間で喀血を主訴に当科を受診し48時間以内に気管支鏡検査を施行した138例 (男性98例, 女性40例, 年齢は16~91歳) を対象とし, その内科的治療について検討した。
    【結果】 疾患の内訳は気管支拡張症が75例 (54.3%) で, 抗酸菌感染症が12例, 肺癌が12例と続いた。気管支鏡検査で出血を確認したものに対しては気管支鏡による止血を行い (56.5%), 有効な止血効果を示した。また, 気管支動脈造影 (BAG) 所見によって適応を決め, BAEを行ったのが49例 (38.4%) あった。気管支鏡による止血は一時的には有効であったが, 約50%に再出血するため, それらにはBAEなどの別の処置が必要となる。BAEは短期効果が93%で, 長期的にも85%の止血効果を認めた。
    【まとめ】 喀血症例に対する治療の基本は, 出血部位を同定して止血することと, 原因疾患に対する治療である。その中でも, 気管支鏡止血とBAEは初期治療として重要であり, その適応の有無を見極めて治療にあたるべきである。
  • 岡崎 強, 桑原 正喜
    2005 年 56 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    喀血に対する治療には, 気管支鏡下での止血, 気管支動脈塞栓術 (BAE), 肺切除があり, 適宜治療法が選択される。当科では喀血の治療の第一選択にBAEを施行している。1997年から2004年2月までに60例の喀血症例にBAEを施行した。一過性の胸部違和感が3例に認めたが, 手技に関連した合併症はなかった。基礎疾患では気管支拡張症が21例と多かった。1回のBAEで止血されたものは48例 (80%), 2回のBAEを施行して止血が得られたものは9例 (15%) であった。3例にBAEでの止血が得られなかった。そのうち2例が経過観察中であり, 1例は気管支動脈離断術, 右下葉肺切除術を行った。
    BAEの成績の向上と合併症予防のために, 造影CTによる気管支動脈の3次元写真の構成, 金属コイルの形状の配慮, IVR-CT/angio systemの導入等を行っている。
  • 中島 由槻
    2005 年 56 巻 2 号 p. 148-154
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    [緒言] 喀血, とくに炎症性肺疾患に伴う喀血に対する外科療法について, 結核予防会複十字病院における治療成績をもとに, その適応, 外科的手技, 合併症, 治療成績, 問題点などを検討した。 [結果] 複十字病院では過去14年間に47例の外科療法が施行された。原因疾患としてアスペルギルス症が約半数を占め, 次いで一部非結核性抗酸菌症の合併も含む気道炎症が多く, 外科療法のうち36例で肺切除術が施行され, うち12例は肺全切除術であった。肺切除術は術後合併症も多く, とくに肺全切除術では重篤な合併症が見られたが, 止血という点では術後1カ月目に間質性肺炎急性増悪により死亡した1例を含めて全例成功した。いっぽう11例の肺非切除術例はハイリスクその他の理由で肺切除を回避した症例であったが, 8例でとりあえず止血には成功した。しかし2例は外科療法にても止血に成功せず失った。なお肺アスペルギルス症のみでは, 他疾患と較べて肺非切除術の占める割合が多かった。 [考察およびまとめ] 止血目的では外科療法の成績, とくに根治的な肺切除術のそれは良好であった。これは結核療法研究協議会外科科会の多施設調査報告でも同様である。しかし炎症性肺疾患の特徴として肺切除術は手技的に容易でなくまた合併症も多い。とくに緊急時の肺切除は手術そのものがハイリスクであり, 待機的手術が可能となるように, 可及的にBAEなどの保存的治療と連携すべきである。
  • 平林 秀樹
    2005 年 56 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    耳鼻咽喉科領域の出血を1. 鼻・副鼻腔疾患, 2. 口腔・咽頭疾患, 3. 喉頭・頸部・気管疾患に分けて解説した。
    また, 重要な症例として, 鈍的喉頭外傷では重篤な内部所見に比して, 外見上の症状, 所見が軽度なことが多いと, 気管切開の合併症として, 過剰吸引の繰り返しから生じた気管肉芽が感染を起こし, 腕頭動脈に損傷をきたした症例を発表した。
特集 4 ビデオシンポジウム : 喉頭運動麻痺治療
Video session 音声外科手術
これからの治療戦略
特集 5 ワークショップ : 気管支食道領域における内視鏡診断の進歩
特集 6 パネルディスカッション : 食道領域のChemoradiation
特集 7 ランチョンセミナー 1
  • ―診療ガイドライン作成に向けて―
    原渕 保明
    2005 年 56 巻 2 号 p. 187-193
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    急性咽頭・扁桃炎は日常診療において最も頻繁に遭遇する上気道感染症である。大部分は非ステロイド系消炎鎮痛剤と抗菌薬の投与によって数日~1週間程度で治癒するため, 急性咽頭・扁桃炎に対する明確なガイドラインは確立されていない。また欧米のガイドラインは家庭医を対象としたもので, 重症例については耳鼻咽喉科専門医に紹介することになっている。そこで, 日本口腔・咽頭科学会ガイドライン委員会では急性咽頭・扁桃炎を症状と局所所見からスコア化し重症度を定量的に判定し, その重症度に応じた治療選択することを提唱した。また, 反復性扁桃炎の扁摘基準としては, 本邦の医療事情, 患者のQOLやコンプライアンス, および医療経済学などを考慮したものを作成した。本稿では日本口腔・咽頭科学会ガイドライン委員会から提唱された急性咽頭・扁桃炎の診療ガイドライン (案) の一部を紹介した。
特集 8 ランチョンセミナー 2
特集 9 ランチョンセミナー 3 : 胃食道逆流症 (GERD) Up-to-date―日常診療のピットフォール―
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