【はじめに】 喀血症例に対しての内科的治療について, 気管支鏡による止血と気管支動脈塞栓術 (BAE) の適応と効果に関して検討した。
【対象および方法】 過去5年間で喀血を主訴に当科を受診し48時間以内に気管支鏡検査を施行した138例 (男性98例, 女性40例, 年齢は16~91歳) を対象とし, その内科的治療について検討した。
【結果】 疾患の内訳は気管支拡張症が75例 (54.3%) で, 抗酸菌感染症が12例, 肺癌が12例と続いた。気管支鏡検査で出血を確認したものに対しては気管支鏡による止血を行い (56.5%), 有効な止血効果を示した。また, 気管支動脈造影 (BAG) 所見によって適応を決め, BAEを行ったのが49例 (38.4%) あった。気管支鏡による止血は一時的には有効であったが, 約50%に再出血するため, それらにはBAEなどの別の処置が必要となる。BAEは短期効果が93%で, 長期的にも85%の止血効果を認めた。
【まとめ】 喀血症例に対する治療の基本は, 出血部位を同定して止血することと, 原因疾患に対する治療である。その中でも, 気管支鏡止血とBAEは初期治療として重要であり, その適応の有無を見極めて治療にあたるべきである。
抄録全体を表示