日本気管食道科学会会報
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56 巻, 3 号
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原著
  • 小松 正規, 久保田 彰, 古川 まどか, 佃 守
    2005 年56 巻3 号 p. 255-264
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
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    喉頭・下咽頭扁平上皮癌のstage IV 117例における治療法別の予後を検討した。5年での死因特異的生存率 (CSS) は喉頭癌 (43例) で52.2%, 下咽頭癌 (74) で33.2%であった。また, neoadjuvant chemotherapyによる予後の改善はみられなかった。T1・2 (34例) は35.0%, T3 (31) は41.4%, T4 (52) は44.9%と, T因子別に予後の差はなかった。N0 (16例) は76.2%, N1・2 (89) は37.8%, N3 (12) は16.7%で, N0, N1+2と比べN3は有意に予後が不良であった。次に, 手術 (S群) (27例) と放治単独 (RT群) (41) と少量CDDP同時併用放治 (CDDP群) (15) とCDDP/5-FU同時併用放治 (CF群) (26) の予後を比較した。S群のT3, T4, N1・2の3年生存率は放射線治療単独群やCDDP群に比べ有意に良好であったが, CF群ではS群と差を認めなかった。また, T1・2, N0, N3では4群の予後に差を認めなかった。喉頭・下咽頭癌stage IVのT3, T4やN1+2に対しては放治単独や少量CDDP同時併用では手術より治療成績が劣ったが, CDDP/5-FUの同時併用は手術と同等の予後が得られることが判明した。進行例に対しても生命予後だけでなく臓器温存・QOLに配慮した治療の選択が必要と考える。
  • ―再発症例の検討―
    坂本 菊男, 富田 和英, 宮嶋 義巳, 千々和 秀記, 梅野 博仁, 中島 格
    2005 年56 巻3 号 p. 265-272
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    1989年から2003年までの15年間に当科で治療を行った下咽頭癌一次症例235例のうちT1, T2の99例 (男性85例, 女性14例, 年齢31~95歳, 平均64歳) を対象に, 各種臨床的因子に基づく解析を行った。T分類はT1 : 17例, T2 : 82例で, N分類はN0 : 47例, N1 : 18例, N2 : 30例, N3 : 4例で, 病期はStage I : 9例, II : 38例, III : 18例, IV : 34例であった。部位別では梨状陥凹63例, 輪状後部22例, 後壁14例であった。治療の内訳はレーザー減量後放射線治療 (以下, レーザー&放射線) 41例, 咽頭喉頭頸部食道摘出25例, 咽頭部分切除14例 (喉頭保存10例, 喉頭摘出4例), 放射線治療単独9例, 放射線化学療法7例, レーザー切除3例であった。喉頭摘出は98例中28例に行われ, 喉頭保存は70例 (71.4%) であった。死因特異的5年累積生存率はT1 : 87.4%, T2 : 74.8%, 全体は76.6%であった。5年粗生存率は47.9%, 5年局所制御率はT1 : 70.0%, T2 : 89.5%, 全体は86.9%であった。99例のうち原発巣再発10例, リンパ節再発7例, 遠隔転移9例を認めた。死因は原病死20例 (原発巣死1例, リンパ節死6例, 遠隔転移死9例, 合併症死3例, 手術死1例) でありT1, T2症例でも根治治療後に化学療法を積極的に行う必要がある。
  • 小澤 喜久子, 渡邉 睦, 鹿野 真人, 横山 秀二, 松塚 崇, 大森 孝一
    2005 年56 巻3 号 p. 273-279
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    咽喉頭異常感を主訴に耳鼻咽喉科を受診する症例は増加していると言われている。異常感の原因は多岐にわたり, 様々な検査が必要となる。今回われわれは, 咽喉頭異常感を主訴とし, 喉頭ファイバースコピーで明らかな異常所見のない症例318例のX線咽頭食道ビデオ透視検査 (以下VF検査) の結果を提示した。さらに, その中で多く認められた頸椎前面の変形 (骨棘) について, その出現頻度を調べた。頸椎前面の変形を程度によって4段階に分類し, 変形の出現率を咽喉頭異常感のないコントロール群と比較した。その結果, 中等度以上の頸椎変形の出現率は, コントロール群より有意に高かった。咽喉頭異常感の症例において, 明らかな原因疾患がなく, 頸椎に中等度以上の変形が認められる場合, 異常感の原因の一つになりうると考えられた。
症例報告
  • 樫尾 明憲, 二藤 隆春, 竹内 啓, 田山 二朗, 加我 君孝
    2005 年56 巻3 号 p. 280-285
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    今回われわれは, 声帯突起に橋状癒着をきたした陳旧性喉頭外傷症例に対し最小限の外科的侵襲により改善を得ることができた。症例は27歳女性, 交通事故による鈍的喉頭外傷受傷後30日に当科受診。初診時, 両側声帯ともに可動性を認めず, 両声帯の短縮, 炎症を認め声門は完全に閉鎖しており癒着を疑わせた。これに対し, 消炎を待ち, 直達喉頭鏡検査にて声門の状態を観察し喉頭筋電図にて甲状披裂筋の活動を精査した。直達喉頭鏡検査では右披裂部の固着はなく, 声帯突起の局所的癒着を認めるのみであることが判明した。また, 筋電図ではほぼ正常な筋活動が認められた。さらに, 当初全く可動性を認めなかった右披裂部が, 外来経過観察中に可動性がわずかながら認められてきた。以上より右声帯の可動制限は神経麻痺が原因であり, 神経の回復を待つことで可動性を回復できる可能性があると判断した。反回神経麻痺の回復を見こめる6カ月の期間をあけ, 喉頭微細手術下に癒着部切開を行った。右声帯の可動性は直後より改善し, その後の声帯の再癒着も認めず気道狭窄を解除することができた。陳旧性喉頭外傷に対する一連の治療法選択において直達喉頭鏡検査, 筋電図による病状把握が非常に有用であった。
  • 小町 太郎, 三枝 英人, 愛野 威一郎, 松岡 智治, 粉川 隆行, 中村 毅
    2005 年56 巻3 号 p. 286-291
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    われわれは, 高齢発症の重症筋無力症 (以下MG) による嚥下障害および構音障害を呈した1例を経験した。
    症例は79歳女性。転倒後から嚥下障害が出現し, 一時改善を繰り返しつつ悪化した。この患者ではMGに典型的な日内変動や易疲労性を認めず, また, 眼瞼下垂などの典型的症状も有していなかった。このため, 診断に苦慮した。しかし, 訓練開始直後は訓練に対する反応性がよいが, その後徐々に悪くなること, 午前中より午後に嚥下訓練に対する反応性が悪いことから, MGが疑われた。そこで, 抗AChR抗体を測定したところ陽性であり, エドロフォニウム2 mg投与後に上記症状は速やかに改善したため, MGと診断できた。
    最近, 高齢発症の重症筋無力症の存在が注目されており, 注意が必要と考えられた。
  • 西谷 慶, 河野 宏彦, 高木 一也, 山森 秀夫, 宮崎 勝
    2005 年56 巻3 号 p. 292-296
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    食道癌術後16年後に再建胃管に発生した胃管癌の1例を報告する。症例は71歳, 女性。1982年, 胸部食道癌に対し食道亜全摘, 胃管による胸骨後経路再建が行われた。1998年8月, 嚥下困難と頸部に瘻孔の形成が認められるようになり, 精査にて頸部食道胃管吻合部の良性狭窄と再建胃管幽門部に3型腫瘍による全周性狭窄を呈する胃癌 (胃管癌) の診断となる。1999年7月, 胸骨縦切開, 腹部正中切開による胃管全摘, D1リンパ節郭清, 回腸・右半結腸による胸骨後経路再建を施行した。病理診断は低分化型腺癌, pT2, pN1, fM0, Stage IIであった。術後3年3カ月に原病死が確認された。食道癌は他臓器重複癌の頻度が高く, 食道癌術後の長期生存例における2次癌の発生, 特に再建臓器における胃管癌の報告例が近年増加している。胃管癌は初回食道癌手術から長期間にわたり発生し進行癌の頻度が高く予後不良との報告が多いが, 早期癌の段階で発見された場合には内視鏡的粘膜切除を含めた治療法の選択肢が広く予後も期待される。本疾患を念頭に置いた10年以上の長期にわたる定期検査による早期発見の重要性が示唆された。
  • 藤田 悦生, 船谷 泰嗣, 上田 一也, 上田 豊晴, 森田 哲生, 川原 清哉, 荻野 修一, 東田 明博, 高幣 和郎, 濱戸 教行, ...
    2005 年56 巻3 号 p. 297-301
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    症例は71歳, 男性。2003年3月17日意識低下で救急搬送され脳梗塞疑いで入院となった。以後臥床のままで中心静脈栄養管理となっていた。2004年3月12日の胸部X線で右肺下葉に義歯と疑われる陰影を認めた。胸部CTでも右下葉入口部に義歯と推定される陰影を確認した。気管内挿管下に気管支鏡を施行して, 右下葉入口部に気道分泌物に包まれた異物を認めた。生検鉗子で把持して挿管チューブの手前で挿管チューブごと異物を出そうと試みたが, 口腔外に出す直前に中咽頭で異物が舌根に接触し鉗子よりはずれ右上咽頭に義歯が埋没した形となった。透視下で義歯を確認し, 経鼻的に気管支鏡を試みたが鼻腔が狭く, 挿入に伴う出血も予想され耳鼻科的に, 右外鼻腔より経鼻的に直視下で鉗子で摘出された。本症例のように, 気管異物を内視鏡的に口腔外に摘出する場合には, 中咽頭での鉗子の把持に十分注意する必要があると考えられた。
  • 橋本 大, 岩江 信法, 魚住 真樹, 西川 匡, 原 聡
    2005 年56 巻3 号 p. 302-307
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/02/17
    ジャーナル 認証あり
    甲状腺島状癌 (insular carcinoma) は比較的稀な疾患で, その臨床的悪性度は甲状腺高分化癌と未分化癌の中間に位置するとされている。甲状腺島状癌の治療経験を, 最近の治療症例を中心に若干の文献的考察を加え報告する。
    症例は48歳の男性である。来院時, 前頸部腫瘤を認め, 頸部リンパ節生検により島状癌と診断された。甲状腺全摘, リンパ節郭清D3c, 上・前縦隔郭清を施行した。術後10カ月目に多発性骨転移を認めEAP療法を施行したが治療効果を認めなかった。術後2年経過した現在, 担癌生存中である。
    当科で経験した3症例中, 1症例は10カ月後肺転移による呼吸不全で死亡した。1症例は再発および転移を認めず, 術後7年6カ月経過中である。積極的な摘出手術が, QOLの向上に寄与するものと思われる。
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