Klippel-Trenaunay症候群(以下KTSと略)は先天的に静脈系の血管奇形を持ち,皮膚の血管腫,ポートワイン母斑,静脈瘤,動静脈奇形,四肢骨と軟部組織の片側肥大を主たる徴候とする原因不明で非常に稀な難治性疾患である。今回われわれは咽喉頭に広範囲に血管腫を認め,その増大により気道閉塞を生じ,意識消失をきたしたKTSの1症例を経験したので報告する。
本症例は上咽頭から下咽頭にかけて巨大な血管腫があり,その増大によって気道閉塞を生じ,意識消失したため救急外来へ受診した。受診時の胸部X線で右上肺野を中心に浸潤影を認め,肺野の浸潤影は低換気·気道閉塞に伴うnegative pressure pulmonary edemaと考えられた。入院後ステロイドを開始し,徐々に咽喉頭の血管腫は縮小した。気道閉塞を解消するため血管腫の縮小を図るべくレーザー治療,外科的切除,気管切開術などを検討したが,危険性が極めて高いと判断し,ステロイド内服継続しつつ,外来で経過観察する方針とし退院した。現在,自覚症状の増悪や血管腫の増大傾向はなく外来観察中である。
われわれの渉猟しえた範囲内ではKTSの症例で気道閉塞を生ずるほど高度な咽喉頭血管腫を認めた例はなく,今後も厳重な経過観察が必要と考えられた。
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