日本気管食道科学会会報
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57 巻, 5 号
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総説
  • 河合 俊明
    2006 年57 巻5 号 p. 407-412
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/25
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    上部気道消化管の腫瘍はほとんどが扁平上皮癌であり,非角化病変では子宮頸部と同様に異形成,上皮内癌の定義が使用されるが,角化病変では独自のcriteriaを導入して,診断することが必要である。一方肺のpreinvasive lesions前浸潤性病変として2004年のWHO分類は,(1)扁平上皮異形成,上皮内癌,(2)異型腺腫様過形成 (AAH),(3)びまん性特発性肺神経内分泌細胞過形成の3病変が記載されている。(1)異形成は軽度,中等度,高度と進み,上皮内癌になる。さらに基底膜を破壊し,微小浸潤癌から浸潤性扁平上皮癌へ,(2)AAHは細気管支肺胞上皮癌に,さらには浸潤性腺癌に進行するといわれている。しかし (3)はtumourletやカルチノイドとの関連は言及されているが,同じ細胞起源である小細胞癌および大細胞性神経内分泌癌との関連は不明である。これらのpreinvasive lesionsからinvasive lesionsに進行するにはさまざまな遺伝子異常の蓄積が必要である。これらの病変を形態学的に正しく認識して,さらに分子生物学的手段により確証することで,早期発見に寄与し,的確な治療につなげることが重要である。
  • 石黒 信吾, 塚本 吉胤, 片岡 竜貴, 松村 真生子, 西澤 恭子, 石原 立
    2006 年57 巻5 号 p. 413-419
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/25
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    本邦における早期癌の定義は,各臓器によって異なり,早期食道癌の定義は,粘膜内癌でリンパ節転移のない症例である。
     早期癌に相当する肉眼型,すなわち深達度が,粘膜筋板を越えない病変の大多数は,0-II型である。この0-II型は,0-IIa (軽度隆起型),0-IIb (平坦型),0-IIc (軽度陥凹型)に分類される。0-IIb病変の深達度は粘膜内 (pEP)あるいは粘膜固有層 (pLPM)であり,0-IIa病変の大多数はpEP,pLPM,筋板に達する癌 (pMM)であり,0-IIc病変の中にはsm癌も見られる。また,0-I型表在隆起型の中にも粘膜筋板を越えない病変が含まれる。
     リンパ節転移については,上皮内癌 (pLPM),癌の浸潤が粘膜固有層までの癌 (pLPM)ではほとんどなく,粘膜筋板に浸潤する癌では10%程度のリンパ節転移を認めることを示した。
     内視鏡的切除では,pMM症例やpSM (sm浸潤距離が200mm以下)の症例が適応できる可能性があり,その臨床的•病理学的所見が検討されていることを述べた。
     組織診断では,WHO分類の高度異形成が本邦では上皮内癌と診断されることが多いことを述べた。
Related Paper
  • 渋谷 潔, 中島 崇裕, 安福 和弘, 藤澤 武彦
    2006 年57 巻5 号 p. 420-426
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/25
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    肺門部早期肺癌においては,多発癌の発生に関する問題や重度喫煙者が多く肺機能低下例が少なくないなど治療方針の選択が難しい症例も認められる。もし上皮内癌や微小浸潤癌のような深達度の浅い癌(内視鏡的早期肺癌)を早期に発見できれば手術以外の根治療法としての,よりminimal invasiveな光線力学的療法(PDT)などの選択の可能性が考えられる。本稿では,われわれの施設で行っている肺門部早期肺癌の診断•治療プログラムを解説し,その実際を述べる。
  • 山本 壮一郎, 幕内 博康, 島田 英雄, 千野 修, 西 隆之, 木勢 佳史, 釼持 孝弘, 原 正
    2006 年57 巻5 号 p. 427-433
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/25
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    最近早期食道癌に対して多岐にわたる治療を選択できるようになった。また内視鏡治療の良い適応であり,低侵襲治療で完治しうるため第一選択の治療になっている。しかし食道癌は粘膜下層に浸潤すると広範なリンパ節転移をきたしやすいため,早期発見と正確な深達度および病期診断が不可欠である。食道表在癌は自覚症状に乏しく,積極的な拾い上げ検査を行わなければ早期診断につながらない。特に食道癌のハイリスクグループすなわち55歳以上の男性で酒•喫煙量の多い人,頭頸部癌症例,腐食性食道炎,アカラシア,バレット食道など慢性炎症が長期持続している症例,癌家系の人などは定期的な検査を要する。食道表在癌,特に粘膜癌 (m1,m2) の発見には定期的な内視鏡検査が最も有効である。ヨード染色さえ行えば不染帯として明瞭に描出されるため,早期癌が見落とされることはない。少しでも粘膜の異常所見を認めた場合や食道癌のハイリスクグループには積極的にヨード染色を行うべきである。
  • 吉田 操, 門馬 久美子, 出江 洋介
    2006 年57 巻5 号 p. 434-438
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/25
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    食道の早期癌とは癌の浸潤が粘膜層にとどまる粘膜癌である。粘膜癌にはリンパ節転移が希で,40~50%の頻度で転移を伴う粘膜下層癌とは病態が異なる。臨床的な両者の鑑別は病型分類を適用することで可能である。隆起や陥凹が軽度な0-IIa型,0-IIc型,あるいは全く平坦な0-IIb型病変は粘膜癌の占める割合が極めて高い。高い隆起あるいは深い陥凹を示す0-I型あるいは0-III型病変の大部分は粘膜下層に明らかな浸潤を持っている。粘膜癌に対しては,食道温存治療が適応で,内視鏡的粘膜切除術が標準的治療法である。粘膜下層癌に対してはリンパ節転移が高率であるにもかかわらず臨床診断の難しい事実を考慮して,根治手術が行われている。化学放射線治療は粘膜癌,粘膜下層癌ともに有効であるが,治療法の標準化がなされておらず,合併症の評価も不十分である。今後の検討に期待したい。
症例報告
  • 鈴木 真輔, 藤吉 達也, 池上 謙次, 石川 和夫
    2006 年57 巻5 号 p. 439-445
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/25
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    輪状甲状靭帯穿刺は,緊急時の気道確保手技として知られるほか,近年は喀痰吸引等の呼吸経路管理に施行されることがある。今回われわれは,外科手術後の喀痰吸引を目的に行われた輪状甲状靭帯穿刺により生じた肉芽腫により声門下気道狭窄を呈した症例を経験したのでこれを報告する。
     症例は59歳,男性。外科手術後,喀痰吸引のためにトラヘルパー®による輪状甲状靭帯穿刺が行われた。その後,徐々に増悪する呼吸苦•喘鳴が出現。診察の結果,声門下腔前壁の,輪状甲状靭帯穿刺部に一致する部位に腫瘤性病変が認められた。画像所見では声門下左壁から前壁にかけての隆起に加え,輪状軟骨の骨化と肥厚が認められた。腫瘤からの生検では,炎症細胞浸潤を伴う肉芽組織との診断が得られ,これらの結果から声門下狭窄の原因はトラヘルパー®により輪状軟骨が損傷された結果生じた肉芽組織によるものと考えられた。肉芽組織は抗生剤投与により縮小。残存肉芽を内視鏡下に鉗除し,声門下にT-tubeを2カ月間留置。T-tube抜去後6カ月経過後も再発がないことを確認し気管切開孔を閉鎖した。
     輪状甲状靭帯穿刺に際しては合併症としての気道狭窄の発生を十分に考慮する必要がある。
  • 小泉 千秋, 伊藤 裕之
    2006 年57 巻5 号 p. 446-450
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/25
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    頸部良性腫瘍術後に嚥下障害をきたした1症例を報告し,下咽頭貯留物の喀出機能と嚥下機能について検討した。症例は,迷走神経由来の傍神経節腫瘍術後に嚥下障害をきたした37歳の女性であった。嚥下障害以外のADLは自立し独歩も可能であった。嚥下障害に対しては,理学療法を主とした機能訓練を行い経口摂取が可能になった。食事時の水分嚥下量と時間,その時の喀出とムセの回数を調査した。喀出は嚥下後に咽頭貯留が完全になくなった状態とした。1日の時間あたりの嚥下量は経過とともに有意に増加した。喀出回数とムセの回数は減少していった。時間あたりの嚥下量の増加と喀出回数減少との相関は高かった。時間あたりの嚥下量とムセの回数減少との相関は低かった。結論として,喀出機能と嚥下機能の改善には関連があった。下咽頭の衛生管理は嚥下障害の機能訓練において重要であることが示唆された。
  • 西谷 慶, 新島 眞文, 江渡 秀紀, 寺田 二郎, 石井 隆之, 大多和 哲, 清水 善明, 小川 清, 宮崎 勝
    2006 年57 巻5 号 p. 451-457
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/25
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    症例は32歳,男性。主訴は咳嗽,血痰。平成16年8月,当院入院となり,非小細胞肺癌 (低分化扁平上皮癌の疑い),cT4N2M0,臨床病期stageIIIBの診断となった。放射線療法 (計60Gy) と化学療法 (CDDP 80mg/m2,VNR 20mg/m2) が施行された。経過中,腫瘍による右主気管支閉塞のため右無気肺となり,右胸水貯留にて胸腔ドレーンが挿入された。呼吸困難症状が進行したため,気管から左主気管支にかけてUltraflex気管•気管支ステントを計2本留置した。気道ステント留置2日後に胸腔ドレーンより食物残渣の流出があり,食道造影にて食道胸腔瘻が確認された。Ultraflexカバー付き食道ステントを留置した。食道ステント留置2日後から経口摂取を開始した。全身状態改善後,gefitinib内服を開始し,腫瘍の縮小,無気肺の改善が認められた。気道ステント挿入5カ月後に原病死となったが,現病死する直前まで経口摂取は維持された。本症例は,気道狭窄を伴う切除不能局所進行非小細胞性肺癌に対して,ダブルステントを含めた集学的治療が奏功した貴重な1例と考えられた。
  • 山田 弘之, 宮村 朋孝, 福家 智仁, 富岡 利文
    2006 年57 巻5 号 p. 458-463
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/10/25
    ジャーナル 認証あり
    当科で,2例の気管切開後の合併症を治療した。2例とも一期的に気管皮膚瘻を作成した。2例とも消化器外科によって気管切開が行われ,カニューレ交換は非常勤耳鼻咽喉科医によって行われていた。1例目では縦隔気管皮膚瘻が作成された。2例目は喉頭と気管が分断されていた。また,2例目は,経皮的気管切開が行われていた。特別な症例を除き,気管切開は従来の方法で行われるべきである。耳鼻咽喉科医はカニューレ交換の際に,気管孔と気管内腔の注意深い観察を行うべきである。
用語解説
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