日本気管食道科学会会報
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58 巻, 1 号
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原著
  • 中村 一博, 吉田 知之, 櫻田 亮, 清水 顕, 岡本 伊作, 伊藤 博之, 渡嘉敷 亮二, 鈴木 衞
    2007 年58 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/24
    ジャーナル 認証あり
    喉頭癌の放射線治療では奏効率の向上をめざした併用化学療法について数多くの報告がある。ドセタキセル(以下DOCと記す)には放射線増感作用があるが,ボーラス投与によりDOC本来の殺細胞作用も期待できる。今回われわれは隔週での投与を検討し,その効果と有害事象について報告する。
    対象は2004年4月から2006年2月までに当施設でDOC併用放射線療法を施行したT2N0M0の扁平上皮癌14例で,全例男性,平均年齢は64.1歳であった。
    DOCはDay 1, Day 15, Day 29に毎回35mg/m2投与した。放射線治療は1回2.0 Gyで週5回,総線量60 Gyとした。
    14例中13例 (92.8%) にCRが得られた。早期有害事象としてGrade 1, 2の粘膜炎を10例 (71.4%) に,Grade 3の粘膜炎を2例 (14.2%) に認めたが放射線治療を休止することはなかった。血液毒性はほとんどがGrade 1, 2の範囲内であった。PRの1例は手術となった。CRの13例は再発なくCR持続中である。
    DOCを隔週投与にすることによって,1回投与量と総投与量を増やしながらも13例でほとんどがGrade 1, 2の範囲内の有害事象で治療が完遂できた。CR例の無再発生存期間は6∼26カ月(中央値16.1カ月)であった。
  • 中井 百香, 牧山 清, 中井 孝尚, 吉橋 秀貴
    2007 年58 巻1 号 p. 8-16
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/24
    ジャーナル 認証あり
    ラリンゴマイクロサージェリーをおこなったポリープ様声帯患者57例の術後経過について検討した。さらに喫煙の術後経過に与える影響についても検討を加えた。
    術前後の音声機能の評価をGRBAS評価,最長持続発声時間 (MPT) の測定,PS77Eを用いた発声機能検査によっておこなった。これらすべての評価において,術後の音声機能の改善がみられた。アンケート調査による患者の手術治療に対する満足度も高かった。
    患者の術後自覚的音声改善期間の平均は3.2カ月であった。術後に禁煙した群の自覚的音声改善期間は2.2カ月,喫煙した群は4.5カ月であり,禁煙した群の方が音声改善期間が短かった。
    術後再発は6例にみられ,再発率は10.5%であった。再発例はすべて術後喫煙者であったことから,術後再発にも,喫煙を持続することが深く関わっていると考えられた。
  • 吉田 知之, 清水 顕, 中村 一博, 清水 重敬, 竹之内 剛, 渡嘉敷 亮二, 伊藤 博之, 平松 宏之, 塚原 清彰, 高田 大輔, ...
    2007 年58 巻1 号 p. 17-24
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/24
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    タラポルフィンナトリウム(レーザーフィリン®:明治製菓)とダイオードレーザー(以下PDレーザー,松下電器産業株式会社製;東京)を用いたPDTを早期喉頭癌患者13例に対して応用し,従来のHpDとexcimer dye laserを使用したPDTと比較検討した。その結果,早期癌では薬剤投与後4時間でPDTが行えタラポルフィンナトリウムとPDレーザーの併用により従来のPDTと遜色ない一次治療効果が期待できた。また光過敏性や局所浮腫などの副作用の軽減がはかれる優れた治療方法であると考えられた。放射線や手術などの標準的治療法以外に,もう一つの選択肢としてPDTを行えることは意義があるものと思われる。しかしPDTは頭頸部において未だ歴史の浅い治療法であり解決すべき問題が多数あるが,今回報告した新しい腫瘍親和性光感受性物質の開発と比較的安価なダイオードレーザーの開発により,多くの施設で行える頭頸部癌の有力な治療法として期待された。早期頭頸部癌ではShort stay surgeryやDay surgeryに応用可能な癌治療法として本邦でも受け入れられるべき治療法であると考えられた。
  • 横堀 学, 中山 明仁, 鈴木 立俊, 竹田 昌彦, 宮本 俊輔, 岡本 牧人
    2007 年58 巻1 号 p. 25-29
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/24
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    喉頭癌に対する喉頭亜全摘手術(CHEP, Cricohyoidoepiglottopexy)を施行した症例の術前,術後の喉頭レントゲン側面写真から舌骨,輪状軟骨の位置の変化を計測した。対象は1997年4月から2004年12月までに手術を施行した症例11例である。全例男性で,最高年齢72歳,最低年齢53歳,平均64.5歳であった。輪状軟骨は術前に比較して術後は上方へ平均3.3cm, 後方へ平均0.9cm移動していた。上方への移動はCHEPの再建方法から妥当な結果と思われた。このため新声門の位置が施行前に比較して高位になることは声門流入の防止に有効であることが示唆された。舌骨は術前に比較して術後は下方へ平均2.1cm, 後方へ平均0.7cm移動していた。輪状軟骨と接合することにより,下方・後方へ移動したのは妥当な結果と思われる。接合により舌骨の位置が下降しても,舌骨上筋群は温存される。嚥下運動における喉頭の上下前後運動を舌骨の嚥下運動の補助により維持できるものではないかと考えている。今回の検討によって,CHEPの嚥下運動における形態学的な妥当性を示す結果が得られたと考えている。
  • 望月 隆一, 牟田 弘, 渡邊 雄介, 川本 将浩, 山本 圭介
    2007 年58 巻1 号 p. 30-37
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/24
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    喉頭肉芽腫は,悪性疾患を疑う場合を除いては,音声治療やプロトンポンプインヒビター(以下PPI)投与をはじめとする保存的治療が原則であり,術後再発率が高いことなどからも,切除術は「Last Resort」とされている。しかしながら,保存的治療にもかかわらず,増大した肉芽腫により高度の発声障害もしくは失声状態をきたして,やむを得ずに音声改善を目的とした切除術が必要となる症例も少なくない。われわれは,難治性喉頭肉芽腫が再発を繰り返す要因のひとつとしてまず声帯膜様部の萎縮が存在し,その状態で声門閉鎖を得るために披裂軟骨が代償性の過内転をおこし,披裂軟骨声帯突起部の機械的刺激が増強しているとの仮説を立てた。そこでMicrolaryngoscopy下に喉頭肉芽腫切除後,声帯膜様部に自家脂肪を注入して両側声帯膜様部をbulkyにすることによって声門閉鎖を改善し,披裂軟骨声帯突起部の切除断端が強く接触しないようにする方法を考案した。1999年5月より,声帯膜様部の萎縮をともなった14例の難治性喉頭肉芽腫に対して,Microlaryngoscopy下の肉芽腫切除術と同時に声帯内自家脂肪注入術を施行したところ,14例すべての症例で失声などの主訴が完全に消失し,全例において再発が見られなかった。喉頭肉芽腫に対しては原則的に保存的治療を行っているため,本術式による症例数はまだ少ないが,頻回の手術を含む他の治療法では再発を繰り返した難治性喉頭肉芽腫に対して,治癒率100%の高い成績が得られた。術後の創部の機械的刺激を減少させ,順調な上皮化を目指した喉頭肉芽腫切除後の声帯内自家脂肪注入術は,極めて有効な術式であると考えている。
  • 小町 太郎, 三枝 英人, 愛野 威一郎, 松岡 智治, 粉川 隆行, 中村 毅
    2007 年58 巻1 号 p. 38-50
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/24
    ジャーナル 認証あり
    近年,胃食道逆流(以下GER)もしくは咽喉頭酸逆流(以下LPR)が難治性と考えられていた喉頭のさまざまな病変に関与していることが明らかになってきている。その一つとして,声門下狭窄があげられる。
    今回,われわれは9例の声門下狭窄症例を経験し,そのLPRとの関係について検討を行った。声門下狭窄の発症前の病歴は,気管内挿管後が4例,高位気管切開後が2例,輪状甲状間切開後が1例,特発性症例が2例であった。声門下狭窄発症とLPRとの関係について,GERDに典型的な症状についての問診や喉頭内視鏡所見,頸部側面X線写真やCTでの頸部食道壁の腫脹像の有無,VTR食道透視検査の異常所見について検討を行った。GERに典型的な症状については,3例で呑酸,ゲップ,吃逆等を認めたのみであったが,喉頭内視鏡所見では,披裂部および披裂間部粘膜の発赤・腫脹を8例で認め,頸部側面X線写真やCTでの頸部食道壁の腫脹像を7例で認めた。また,VTR食道透視検査においては食道蠕動低下,滑脱型食道ヘルニア,逆流等の異常所見を8例で認めた。また,声門下狭窄の状態は,発症から2カ月以内のものは浮腫状もしくは肉芽を伴っており,発症から6カ月以上のものは披裂間部のinter-arytenoid barの形成とともに瘢痕状を呈していた。
    この9症例に対して,PPIを中心としたGERに対する薬物療法を併用した治療を行った。その上で,8例でanterior cricoid splitおよびTチューブ留置を中心とした段階的手術治療を行い,1例はステロイド点滴治療を行った。その結果,全例で声門下狭窄は改善した。但し,2症例で,PPIの中止により声門下狭窄の再燃を認めたが,いずれもPPI再投与により改善した。
    以上のことから,LPRは声門下狭窄の直接的な原因もしくは増悪因子になり得ることが考えられ,声門下狭窄の治療にあたってはPPIを中心としたGERに対する薬物療法を併用することが重要であると考えられた。
  • 坂本 菊男, 千々和 秀記, 佐藤 公則, 白水 英貴, 梅野 博仁, 中島 格
    2007 年58 巻1 号 p. 51-58
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/24
    ジャーナル 認証あり
    喉頭全摘出後の大切片連続段階標本を用いて腫瘍の間隙浸潤と頸部リンパ節転移,遠隔転移について臨床病理組織学的に検討を行った。1991年から2003年までに喉頭全摘出術を行ったT3, T4声門上部扁平上皮癌80例を対象とした。遠隔転移の検討は原発巣や頸部リンパ節に再発のない例とした。これらの症例についてpreepiglottic space (PES), paraglottic space (PGS), cricoid area (CA)浸潤の有無を調べた。PES浸潤は43例(54%), PGS浸潤は47例(59%), CA浸潤は13例(16%)に認めた。病理組織学的に頸部リンパ節転移を認めたのは39例(49%)であった。遠隔転移は74例中9例(12%)に認めた。癌のPES浸潤の有無と頸部リンパ節転移の間に有意な関係を認めた(p<0.01)。癌のPGS浸潤の有無と遠隔転移の間に有意な関係を認めた(p<0.05)。癌のCA浸潤の有無と遠隔転移の間に有意な関係を認めた(p<0.05)。転移リンパ節の被膜外浸潤の有無と遠隔転移の間に有意な関係を認めた(p<0.05)。癌がPGSやCA浸潤した症例および転移リンパ節の被膜外浸潤を認めた症例では維持化学療法が必要である。
  • 長谷川 稔文, 雲井 一夫
    2007 年58 巻1 号 p. 59-63
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/24
    ジャーナル 認証あり
    2001年4月から2005年3月に姫路医療センター耳鼻咽喉科で診断した反回神経麻痺164例を臨床的に検討した。平均年齢65.5歳,男女比は2.0:1,麻痺側は右側42例(25.6%),左側109例(66.5%),両側13例(7.9%)であった。原因不明で検索を行った67例のうち41例(61.2%)で原因が判明し,原因不明は26例(15.9%)であった。悪性疾患による麻痺は87例(53.0%)で,肺癌が57例と最も多かった。肺癌症例の男女比は3.8:1と男性に多く,左側麻痺が44例(77.2%)と多い傾向があった。肺癌症例における反回神経障害の原因病巣は肺癌自体17例(29.3%),大動脈下リンパ節11例(19.0%),大動脈下リンパ節以外の縦隔リンパ節27例(46.6%),脳転移巣3例(5.2%)で,縦隔リンパ節が65.5%を占め,その重要性が示唆された。食道癌12例では,右側4例(33.3%),左側5例(41.7%),両側3例(25.0%)と右側麻痺が多い傾向があった。左側3例と両側3例は食道癌自体が原因病巣で,右側4例と左側2例は反回神経沿いリンパ節が原因病巣であった。
  • 浅井 正嗣, 足立 雄一, 中川 肇, 木村 寛, 板澤 寿子, 和田 倫之助, 安部 英樹, 伏木 宏彰, 赤荻 勝一, 安村 佐都紀, ...
    2007 年58 巻1 号 p. 64-70
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/02/24
    ジャーナル 認証あり
    小児の気管・気管支異物の23症例について,検討を行った。発症年齢は,2歳以下が16例で70%を占めた。男女比は1.9:1であった。異物内容では,X線透過性異物は19例で,ピーナッツが12例と最も多かった。非透過性異物は4例であった。1週間以上経過して摘出術を行った症例が8例(35%)あり,肉芽形成,その他の合併症がみられた。早期診断・摘出のために親向け・医家向けの啓発が必要と思われた。介在部位は,右気管支11名,左気管支11名,気管1名であった。胸部単純X線検査は全例に行われていたが,その他に,肺血流シンチグラフィが9例,CTは8例,MRIは4例で施行されていた。肺シンチグラフィ,CTは簡便に行え,診断精度向上にも有用と思われた。摘出前の,気管支ファイバースコープによる観察は,術後の声門下腫脹回避,喀痰除去,異物情報収集に役立つと思われた。摘出は,20例で硬性気管支鏡,3例で気管支ファイバースコープを用いた。異物摘出後も,肺炎その他の合併症による呼吸障害をきたすこともしばしばあり,耳鼻咽喉科など摘出担当科と小児科を中心としたチーム医療が必要と考える。
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