日本気管食道科学会会報
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58 巻, 2 号
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寄稿
  • 瀬谷 司, 松本 美佐子, 海老原 敬, 赤沢 隆
    2007 年58 巻2 号 p. 85-95
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
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    Toll様受容体(TLR)は樹状細胞にレパトアで発現し,微生物成分を認識して転写因子NF-κBやIRF-3を活性化する。樹状細胞応答としてサイトカインとI型interferon (IFN)を誘導する。また,TLR刺激は樹状細胞を成熟化に導き,CTL, NKの活性化を誘起する。TLRによるこれらのエフェクター誘導の機序は不明である。マウス移植がんの系を用いるとCTL, NK依存性の抗がん免疫活性を分別測定できる。われわれはTLR2/4をBCG-CWSで刺激することでMyD88アダプター依存性にCTLが誘導されること,TLR3をpolyI:Cで刺激することでTICAM-1依存性にNKが誘導されることを本研究で明らかにした。この応答には樹状細胞のTLR-アダプター経路が重要である。樹状細胞がアジュバント要求性にさまざまな成熟化模様を呈するのはTLRのシグナル経路に依存することと推定される。毒性の少ない誘導体の開発が望ましいが,BCG-CWS, polyI:Cは樹状細胞療法のアジュバントとして抗がん免疫療法などの臨床応用に有用である。
招請講演
教育講演
  • 佐多 徹太郎
    2007 年58 巻2 号 p. 97-102
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
    ウイルス感染症のヒト剖検症例のウイルス感染病理学的検討によって,単純ヘルペスウイルスないし水痘帯状疱疹ウイルスによる食道潰瘍病変の病態,そしてSARSやインフルエンザの病態について概説した。
  • 塚本 江利子
    2007 年58 巻2 号 p. 103-109
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
    FDG-PETは癌診療に有用な診断手段である。しかし,PETのみの診断では限界も多く,形態診断であるCTやMRIとの比較が必要であった。このPETによる機能診断とCTによる形態診断を同時に行えるのが,PET-CTである。特に食道気管領域の癌が発生する頭頸部領域では解剖が複雑でFDGの生理的集積も多く,その鑑別が困難なことも多かったが,PET-CTの登場によりその診断がより正確で確信を持ったものになった。原発巣の検索においてはMRIをしのぐものではないが,原発巣不明のリンパ節転移などにおいてはMRIやCTなどの形態診断で診断が困難な腫瘍の発見に有用性が示されている。また,治療前の病期診断においては正確なリンパ節転移の位置やその他の転移を知ることができ,リンパ節隔清の範囲や照射野の決定に大きな影響を与える。治療効果の判定においては放射線治療後の炎症による偽陽性などの存在があり,判定時期や判定基準に難しいものもあるが,集積の指標であるSUVの変化による新しい判定基準も提案されている。また,PET-CTを用いた放射線治療計画なども行われるようになっており,今後,PET-CTの癌診療への新たな寄与が期待される。
特集1 シンポジウム1:Evidence に基づく下咽頭進行癌の治療戦略
  • 佃 守
    2007 年58 巻2 号 p. 110-111
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
  • 吉野 邦俊, 藤井 隆, 上村 裕和, 赤羽 誉, 栗田 智之, 鈴木 基之, 宇和 伸浩
    2007 年58 巻2 号 p. 112-118
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
    進行下咽頭癌に対して当科の最近の治療戦略について述べた。
    1) 1998年以降,pN2-3(57例)に対して計画的術後照射(60 Gy)を施行してきた(実施率:71.9%)。頸部再発率は21.1%(12/57)で,それ以前(1989∼97)の46.0%(46/100)に比べて有意(p<0.01)に減少していた。5年粗生存率,死因特異的生存率は各々44.9%, 65.8%で,それ以前の22.3%,36.2%と比較して有意(p<0.05)に改善していた。今後化学療法併用の適応を検討する必要がある。
    2) 喉頭温存手術における頸部郭清術の嚥下機能への影響について,頸部郭清の術式別に術後経口摂取開始までの期間を検討した。頸部郭清術式による差はみられず,喉頭温存手術の適応に郭清術式を考慮する必要性は認められなかった。
    3) 原発巣が小さく(T1-2), 頸部リンパ節転移が大きい(N2-3)癌に対して,頸部郭清を先行した放射線治療を1991年より行ってきた。17例のうち原発巣再発は1例のみであったが,遠隔転移4例(23.5%),気管傍再発2例(11.8%)にみられ,この方針の妥当性についてさらに検討する必要がある。
  • 冨田 吉信, 瓜生 英興
    2007 年58 巻2 号 p. 119-125
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
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    標準的治療とは,異なる治療法の中のより優れた治療を示し,診療ガイドラインは,「特定の臨床状況の下で,適切な判断や決断を下せるよう支援する目的で体系的に作成された文書」と定義されている。いずれもEvidence based medicine (EBM)に基づくものであることが重要である。
    下咽頭癌に対するガイドラインは,米国や英国ですでに発表されているが,わが国では未だ案の段階であり,良質のevidenceが少なく,多施設の協力によるevidenceの集積が急務である。
    当科での下咽頭扁平上皮癌177例の検討では,化学放射線同時併用療法は生存率と喉頭温存率の改善に有用であった。しかし,T進行例における喉頭温存率の改善は,不十分であり,今後,より適切な薬剤・投与法を開発する必要があると思われた。
  • 川端 一嘉
    2007 年58 巻2 号 p. 126
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
  • 田口 享秀
    2007 年58 巻2 号 p. 127-129
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
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    進行した頭頸部癌に対して根治手術を施行した場合,臓器と機能が犠牲となることが問題としてあげられる。臓器温存率を改善する試みとして,放射線治療と化学療法の併用が行われてきた。最近のmeta-analysisを用いたsystematic reviewにおいて,放射線治療と化学療法との同時併用が放射線治療単独に比べて頭頸部扁平上皮癌における生存率を有意に向上させると報告されている。白金製剤を含むレジメンの同時併用化学療法が頭頸部扁平上皮癌において最も有効と考えられているが,スタンダードの化学療法のレジメンは確立されていない。当科では根治手術を最小限にして喉頭温存を図る目的で,放射線治療に化学療法としてcisplatin, 5-fluorouracil, methotrexate, leucovorinの4剤(CF-MTX-LV療法)またはcarboplatin, UFTの2剤(CBDCA-UFT療法)を同時併用してきており,切除可能な進行下咽頭扁平上皮癌を対象とした治療成績を示した。今回の結果から臓器温存を図る方法として化学療法と放射線治療の同時併用は適していると考えられる。
  • 本間 明宏, 古田 康, 鈴木 章之, 古沢 純, 折舘 伸彦, 愛宕 義浩, 樋口 栄作, 福田 諭
    2007 年58 巻2 号 p. 130
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
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特集2 シンポジウム2:気管食道領域における内視鏡の進歩
  • 浅香 正博, 福田 宏之
    2007 年58 巻2 号 p. 131-132
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
  • 門馬 久美子
    2007 年58 巻2 号 p. 133-137
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
    1. ヨード染色による拾い上げ診断:ヨード不染すべてが癌ではないため,形態的特徴から良悪性の鑑別が必要である。大きさ5mm以上で不整形,辺縁が先端の尖った凸を示す不整で,PC-sign陽性のヨード不染部は癌の可能性がある。また,不染の大きさが10mmを越えると,癌の可能性が極めて高い。
    2. NBIによる拾い上げ診断:NBIシステムは,粘膜表面の血管や粘膜の微細模様を強調表示する技術を利用しており,微細で微小な粘膜の異常が容易に発見できる。癌病巣は,IPCLの増生を伴う境界明瞭な茶褐色の病巣として観察され,病変の部位,大きさにかかわらず,容易に発見できる。
    3. 内視鏡による深達度診断:食道癌では,深達度と脈管侵襲,リンパ節転移頻度の間に密接な相関があり,治療方針を決定する上で,術前の深達度診断が重要である。深達度は,(1)リンパ節転移がない深達度m1·m2癌,(2)10%程度にリンパ節転移を認めるm3·sm1癌,(3)40%程度にリンパ節転移を認め,高頻度に脈管侵襲を認めるsm2·sm3癌の3つに分けられる。m1·m2癌の深達度診断の正診率は95%程度と良好な成績であったが,m3·sm1では74%と低く,NBI併用の拡大観察を併用しても79%であった。
  • 清水 勇一, 加藤 元嗣, 浅香 正博
    2007 年58 巻2 号 p. 138
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
  • 渡邉 昭仁, 谷口 雅信, 辻榮 仁志
    2007 年58 巻2 号 p. 139-144
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
    背景:NBIは狭帯域フィルターを用いることで粘膜微細構造の強調表示をする新しいビデオ内視鏡イメージング技術である。NBIを用いることで早期の中・下咽頭癌の視認性が高まるといわれている。
    目的:この研究の目的は表在性の中・下咽頭癌の診断において,NBI内視鏡がこれまでの通常光を用いたものよりも診断率が優れているかどうかを検討することである。
    症例と方法:2006年1月から8月までに中・下咽頭表在癌と診断された34例を対象とした。34例に41の中・下咽頭表在癌が組織学的に確認された。これらを内視鏡的形態,大きさ,部位,組織学的深達度による比較検討を行った。
    結果:41病変中,NBIで診断できたものは36病変(中咽頭:5病変,下咽頭31病変)であった。一方,通常光で診断できたものは14病変(中咽頭:2病変,下咽頭12病変)のみであった。中・下咽頭表在癌診断の感度はNBI(87.8%)が通常光(34.1%)よりも有意(p<0.05)に優れていた。さらにNBIの診断的有意性は,形態的に平坦型,部位では梨状陥凹,大きさは1cm以下,組織学的深達度は上皮内の病変において優っていた。
    結論:NBIは通常光よりも中・下咽頭表在癌の視認性に優れていた。
  • 渋谷 潔, 中島 崇裕, 千代 雅子, 藤澤 武彦
    2007 年58 巻2 号 p. 145-150
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
    気管支squamous dysplasiaや上皮内癌(CIS)も含む肺門部早期肺癌など微小病変の早期診断や気管支粘膜表面の毛細血管を明瞭に描出する新たな呼吸器内視鏡領域における特殊光観察—蛍光観察AFIと狭帯域観察NBIを行っている。気管支ビデオスコープを使用するAFIでは,高画質,高解像度の鮮明な画像が得られ,肺門部早期肺癌に加えsquamous dysplasiaの早期診断が可能となった。腫瘍の進展範囲の詳細な把握も可能で,光線力学的治療の照射部位や手術症例の正確な切除範囲の決定に有用である。NBIは青色光へのHbの強い吸収特性を利用し,気管支粘膜表面の微細構造,特に毛細血管を明瞭に描出する。dysplasiaにおける血管網の増生,蛇行,錯綜に加え点状血管が確認され,dysplasia, CIS, micro invasive cancer, invasive cancerと進展するにつれて点状血管,ループ状の腫瘍血管増生が明らかになった。これらは癌の進展に比例し増大している。扁平上皮癌の多段階発癌におけるangiogenesisが内視鏡的に捉えられた。
  • 楠山 敏行, 福田 宏之
    2007 年58 巻2 号 p. 151-158
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/04/25
    ジャーナル 認証あり
    内視鏡診断技術が加速度的に進歩する中,喉頭電子内視鏡も急速に普及しつつある。
    今回,喉頭観察の更なる可能性を追求し,電子内視鏡の先端を可能な限り声帯に接近させる超接近撮影法を試みた。汎用電子内視鏡,世界最小径鼻咽喉電子内視鏡,分光内視鏡FICE (Fuji Intelligent Color Enhancement)について検討し,以下の結論を得た。
    1. 汎用電子内視鏡では,観察範囲が拡大し,喉頭室,声帯下面,声門下の観察が可能となった。また,声帯粘膜波動の詳細な観察が可能となった。
    2. 世界最小径鼻咽喉電子内視鏡による喉頭観察では臨床的に十分有用な喉頭画像が得られた。
    3. FICEによる喉頭観察では白色病変の検出が向上した。また,血管病変と白色病変のコントラストがより明瞭となり,喉頭領域におけるFICEの有効性を示唆した。
特集3 ビデオシンポジウム1:難治性喉頭疾患の手術:私の対処法
特集4 ビデオシンポジウム2:気管食道領域の内視鏡下手術:トップランナーの技術
特集5 ワークショップ1:GERD
特集6 ワークショップ2:再生
特集7 ワークショップ3:重複癌
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