日本気管食道科学会会報
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58 巻, 4 号
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原著
  • 大橋 正嗣, 太田 史一, 落合 文, 小森 敦史, 高柳 博久, 部坂 弘彦, 森山 寛
    2007 年58 巻4 号 p. 365-370
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/25
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    片側性声帯麻痺に対する外科的治療法に関して,声帯内アテロコラーゲン注入術は他の術式と比較し外来手術として簡便に行えるという利点がある。一方,効果の限界や異種タンパクとしての問題も指摘されている。今回われわれは術前後における最長発声持続時間および平均呼気流率の変化から,注入術の有効性についての検討と術前の各値から術後効果予測の可否についての検討を行った。術後に最長発声持続時間が1秒以上改善し,なおかつ平均呼気流率が術前より減少している症例を有効と評価した。注入術を施行した16症例中10例で治療は有効であり,症例群としての各値はともに有意に改善したが,術前値と手術効果の有無について統計学的な関連性は認められなかった。
  • 福家 智仁, 伊藤 裕之, 加藤 孝邦, 山田 弘之
    2007 年58 巻4 号 p. 371-376
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/25
    ジャーナル 認証あり
    誤嚥防止術は肺炎による死亡防止,抗菌剤の投与量を抑制し,患者のQOLだけでなく介護者のQOLを改善し医療費の抑制にも貢献する。気管切開術を行った場合,頻回の吸引が必要になり,在宅療養を行う場合は患者だけでなく介護者の負担も増大する。われわれは発声不能となった末期の進行性神経疾患3例に誤嚥防止術を行い術後の患者と介護者のQOLについて検討した。誤嚥防止術後,1日の吸引回数が4~6回,夜間は0~1回となった。これにより患者,介護者の負担は軽減し,さらに気管カニューレが不要になり吸引チューブの使用も減ったため経済的負担も軽減した。嚥下性肺炎に対する誤嚥防止術の適応基準は一定したものがないが,患者だけでなく介護者の負担を十分に考慮した上で誤嚥防止術の適応を検討すべきである。
  • 竹村 雅至, 東野 正幸, 大杉 治司, 李 栄柱, 岸田 哲, 福原 研一朗, 西沢 聡, 岩崎 洋, 形部 憲, 吉田 佳世
    2007 年58 巻4 号 p. 377-383
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/25
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    食道癌術後には凝固異常が発症することが知られている。この凝固異常に対しては,現在までステロイドなどさまざまな薬剤投与が試みられてきた。今回われわれは,好中球エラスターゼの特異的阻害剤(シベレスタットナトリウム,以下SN)投与の食道癌術後の凝固能におよぼす影響について検討した。対象は食道癌切除再建を一期的に行った41例で,これら症例を術後SNを投与した21例(SN+群)と,SNを投与しなかった20例(SN-群)に分けた。SN+群でSNを,術直後より0.2mg/kg/hrで術5病日まで持続的に投与した。全例で術直前にメチルプレドニゾロン(500mg)を投与し,術7病日まで血小板数・FBG·FDP·D-Dimer·AT3·TAT·APTT·Protein C・α2PIを経時的に測定した。血小板数・FBG·FDP·D-Dimer·TATの変動には両群に差がなかった。AT3とProtein Cは術2·3病日でSN+群が有意に高値で,α2PIは術3病日でSN+群が有意に高値であった。APTTは,術3病日にSN-群で有意に高かった。食道癌術後管理におけるエラスターゼ阻害剤投与は食道癌術後の凝固異常状態を制御し,早期に回復させることが可能である。
  • 西山 耕一郎, 永井 浩巳, 臼井 大祐, 正来 隆, 佐藤 賢太郎, 井口 芳明, 八尾 和雄, 廣瀬 肇
    2007 年58 巻4 号 p. 384-391
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/25
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    耳鼻咽喉科診療所における嚥下障害患者の有病率の検討は今までない。そこで西山耳鼻咽喉科医院を受診した75歳以上の81例に対して,嚥下内視鏡検査によるスクリーニング検査を施行して3群にわけ,有病率について検討した。その結果,有病率は正常群34例(42%),喉頭侵入群21例(26%),誤嚥群26例(32%)であった。過去1年以内に明らかな原因がないにもかかわらず2kg以上の体重減少を認めた症例は,正常群では1例,喉頭侵入群では2例,誤嚥群では7例であった。体重減少を認めた症例はいずれも喉頭知覚が低下し,痰の喀出機能が低下していた。嚥下性肺炎例では痰の喀出機能が体重減少に関与していることがわかった。誤嚥のある状態で喉頭知覚が低下して,痰の喀出が不良だと,不顕性嚥下性肺炎を起こす。すると肺炎により必要エネルギーが増加してカロリー消費が増加し,体力を消耗して体重減少を招くのではないかと考えた。
  • 河野 敏朗, 塩野 理, 小松 正規, 小勝 敏幸, 佃 守
    2007 年58 巻4 号 p. 392-397
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/25
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    日常診療において,のどの違和感や舌の違和感などを訴え,咽喉頭異常感症や舌痛症の疾患が疑われる患者が最近増加する傾向が認められる。器質的疾患がないにもかかわらず,症状の訴えがあるので(1)身体的要因と(2)心理的要因が合わさって症状が出現するものと考えられている。今回われわれは,日常診療において診断や治療に難渋する器質的疾患のない咽喉頭異常感症18例,舌痛症14例に対し血清鉄,銅,葉酸,亜鉛濃度,さらには口腔内カンジダ症の有無,亜鉛製剤投与による症状改善度を検討した。咽喉頭異常感症18例中12例(67%),舌痛症14例中8例(57%)で血清亜鉛濃度の低下が認められ,亜鉛製剤投与によって半数以上の症例で症状の改善が認められた。咽喉頭異常感症や,舌痛症に対しても血清亜鉛濃度低下の可能性も考慮し外来診察に当たることの必要性が示唆された。
  • 篠原 尚吾, 菊地 正弘, 内藤 泰, 藤原 敬三, 足立 恒道, 堀 真也
    2007 年58 巻4 号 p. 398-403
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/25
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    上皮小体過形成では全腺の探索が基本手技である。われわれは超音波検査,CTあるいはMRI,MIBIシンチが上皮小体の術前局在診断にあたり,どれほど臨床的に役立つかを19名の腎性,あるいは原発性上皮小体過形成症例で調べた。これら3つの検査における術前の局在診断率は各々53.6%,64.2%,44.9%であった。すべての検査を使えば69例中53例(76.8%)で適切な局在診断が可能であったが,甲状腺疾患が合併するとこの率は42.9%と悪化した。術前超音波検査の陽性腺と陰性腺の重量は陽性腺の方が有意に重い結果となった。しかし,この有意な重量差はCTあるいはMRIの場合では認められたものの,MIBIシンチでは認められなかった。MIBIシンチ陽性腺と陰性腺の病理組織学的検討により,上皮小体のMIBIの取り込みは腺の重量だけでなくoxyphilic cellの割合にもよることが示唆された。
症例報告
  • 小川 真, 中村 恵, 滝本 泰光, 榎本 圭祐, 端山 昌樹, 猪原 秀典, 久保 武
    2007 年58 巻4 号 p. 404-411
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/25
    ジャーナル 認証あり
    両側声帯麻痺に対して,喉頭微細手術下の声帯組織減量により,声門開大およびカニューレ抜去を達成した4例を経験し,術前後の喉頭閉鎖機能を中心に検討した。3例は1度の片側甲状披裂筋内側部後方および披裂軟骨内側の鉗除により,他の1例はさらに同側披裂軟骨全体のレーザーを用いた摘出の追加により,カニューレ抜去が達成された。術後に気息性の強い嗄声を生じたものが2例,ほぼ正常の音声が得られたものが2例あった。これらの間における術後喉頭所見上の相違点として,対側声帯が正中を越えて内転し,発声時の声門閉鎖が行われるか否かが重要であると考えられた。息こらえ時の声門上部閉鎖は4症例すべて良好であり,嚥下造影検査におけるバリウム嚥下時の喉頭侵入および誤嚥は認められなかった。以上より,粘膜下声帯切除により良好な声門開大効果が得られることが示され,対側声帯内転の有無と術後音声との関連性が示唆された。
  • 奥田 匠, 外山 勝浩, 長井 慎成, 河野 浩万, 東野 哲也
    2007 年58 巻4 号 p. 412-416
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/25
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    気道異物は上気道閉塞により致命的となる危険性があり,迅速な診断と治療が要求される。このため,気道異物が疑われた場合には,しばしば侵襲的な気管支鏡検査が施行される。胸部X線上縦隔の偏位を認めれば,気道異物の存在を強く疑わせる。Scimitar症候群は部分的肺静脈還流異常の1型で稀な先天奇形であり,1960年Neillらによって命名された。胸部X線上1)右肺低形成,2)心臓の右方偏位,3)心陰影右縁と平行に縦に心臓横隔膜角に向かう特有のトルコ刀状(scimitar sign)の異常肺静脈陰影を主徴とする症候群である。1),2)が気道異物の所見と類似しているため注意が必要と考えられる。われわれは,生後10カ月の男児で,激しい咳漱・喀痰を主訴に近医を受診し,撮影された胸部単純X線写真により気道異物が疑われたscimitar症候群の1例を経験した。最終的に3D-CT virtual bronchoscopyにより,気道異物を非侵襲的に否定し,本症候群と診断し得た。
短報
  • 古田 康, 本間 明宏, 折舘 伸彦, 目須田 康, 西澤 典子, 福田 諭
    2007 年58 巻4 号 p. 417-421
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/25
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    喉頭摘出を含む一次治療終了後にvoice prosthesisを二期的に挿入する場合,食道直達鏡を用いた挿入術に難渋することがある。われわれが行っている気管内挿管チューブの側孔を利用したvoice prosthesis挿入方法を紹介する。全身麻酔下に気管内挿管チューブと内視鏡を食道内に挿入し,モニターで観察しながら挿入用インサーターが気管チューブの先端にある側孔を通るように穿刺する。従来の方法で穿刺する時は,抵抗が大きく容易に穿刺できず,また食道後壁を損傷する危険性もあるが,本法では挿入用インサーターの先端が確実に気管チューブ内に誘導されるので,かなり力を入れても安全に穿刺することができる。
用語解説
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