日本気管食道科学会会報
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59 巻, 1 号
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総説
  • 中岸 義典, 守本 祐司, 藤田 真敬, 守本 倫子, 尾関 雄一, 前原 正明, 菊地 眞
    2008 年59 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/25
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    [背景]小児における気道狭窄治療は困難であり,効果的で侵襲の少ない治療法の確立が望まれている。われわれは,気道狭窄治療に対する新しい治療法として低侵襲治療法の一つである光線力学的治療(PDT)を提案し,本法の有効性を検討した。[方法]ウサギ気管粘膜を擦過して作成した気道狭窄モデルに光感受性物資であるフォトフリンを投与し,その組織集積性を調べた。またウサギ気道狭窄モデルにフォトフリンを用いたPDTを施行し,気管支鏡下に観察しその効果を検証した。[結果]フォトフリンの気道狭窄部肉芽組織への高い集積を認め,正常気管に対し4倍,他臓器に対し10倍以上の集積を認めた。また,PDTにより気道狭窄および喘鳴症状の改善を認め,未治療の狭窄モデルに対して生存期間の有意な延長を認めた。[結論] 光感受性物質は肉芽組織へ高濃度に集積し,PDTにより気道狭窄は改善した。これらの結果からPDTは肉芽性気道狭窄に対する新たな治療法として機能することが示唆された。
原著
  • 寳地 信介, 橘 伸哉, 勝野 雅弘, 野垣 岳稔, 渡辺 尚彦, 調所 廣之, 杉内 智子
    2008 年59 巻1 号 p. 12-18
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/25
    ジャーナル 認証あり
    1999年から2006年までの7年間で,関東労災病院耳鼻咽喉科で入院加療を要した急性喉頭蓋炎症例は64例であり,男性42例,女性22例,年齢は12歳から77歳で平均47.5歳であった。症状出現から初診までの期間は平均3.8日であった。症状としては咽頭痛60例(94%)が最も多く,次いで嚥下時痛57例(89%)であり,呼吸苦は18例(28%)に認めた。全例に抗生剤の投与と,59例(92%)にステロイド剤の併用を行った。気管切開は6例(9.4%)に施行され,全症例とも救命できた。気管切開施行群と非施行群で喫煙歴や糖尿病の有無,Body Mass Indexなどを比較したが,有意差をもって気管切開施行群に多く認めたものはなかった。喉頭蓋嚢胞を有する例は入院期間が遷延化する傾向を認めた。喉頭蓋の腫脹に披裂の腫脹を加味した喉頭全体の局所所見が重症度の評価に重要であった。
  • 中村 一博, 一色 信彦, 讃岐 徹治, 金沢 英哲, 長井 慎成, 児嶋 剛
    2008 年59 巻1 号 p. 19-28
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/25
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    甲状軟骨形成術3型(3型)は甲状軟骨の前後径を縮める術式である。その結果,声帯は弛緩し話声位(speaking fundamental frequency:SFF)のピッチは下がり,喉頭効率も改善する。
    主な適応疾患は,声帯萎縮や変声障害でのSFF高音化に対する音声治療の無効例,声帯の過緊張が気息性嗄声の要因となっている症例などである。今回われわれは3型を施行した症例について術前後の音声と喉頭効率,術式について検討した。
    症例は2001年から2006年までに一色クリニック・京都ボイスサージセンターにおいて3型を施行した19例である。男性17例女性2例で年齢は18~73歳(平均年齢32.6歳)であった。診断は,声帯萎縮が8例,変声障害が4例,声帯溝症が3例,声帯萎縮と声帯溝症の合併が2例,声を低くしたいという強い本人の希望と性同一性障害が各1例ずつであった。検討項目として術前術後のSFFと,2004年6月以降の10例ではAC/DC比も計測した。
    手術は局所麻酔下に施行した。3型を両側に施行したものは10例,片側は9例であった。声帯萎縮,声門閉鎖不全がある12例には1型も併施した。
    局所麻酔で施行しているため,全例において患者の満足のいく音声が得られた。3型はのべ29側に施行されており,軟骨断端処理法はface to faceが24側,overlappingが5側であった。face to faceの24側の平均軟骨切除幅は2.4mmであった。手術前後のSFFは両側施行例では術前平均43.0セミトーン(196.0Hz)が術後平均35.4セミトーン(127.8Hz)に,片側施行例では術前平均42.9セミトーン(198.4Hz)が術後平均37.7セミトーン(149.3Hz)に低下した。AC/DC比は術前平均36.7%,術後平均52.1%であった。
    3型によりSFFは下がり患者の満足する音声が得られ,SFFを低下させる手術として有用であった。多くの症例でAC/DC比も改善し,3型は喉頭効率の改善にも有効であった。両側施行症例は片側施行症例よりもSFFの低下効果が大きかった。
症例
  • 冨藤 雅之, 塩谷 彰浩, 荒木 幸仁, 茂呂 和久, 池田 麻子, 森 有子, 高岡 卓司, 小川 郁
    2008 年59 巻1 号 p. 29-35
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/25
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    症例は57歳男性。咽頭違和感を主訴として受診した。下咽頭電子スコープの所見では右梨状窩外側に限局する腫瘤性病変を認めた。初回の生検では低分化扁平上皮癌と診断された。下咽頭扁平上皮癌(T2,N1,M0)に対して喉頭温存下咽頭部分切除術,患側根治的頸部郭清術を施行した。術後の病理組織検査では小細胞癌と診断された。頸部リンパ節にも小細胞癌の転移を認めた。肺小細胞癌(限局型)の治療に準じて術後に化学療法(EP療法)併用放射線療法を1コース施行した後,化学療法(EP療法)を追加する予定であったが,骨髄抑制が強いため追加の化学療法は施行せず経過観察とした。術後約半年で多発肺転移が発見され追加化学療法を施行したが効果がなく,術後1年6カ月で死亡した。小細胞癌はきわめて悪性度の高い腫瘍であり,また早期に遠隔転移しやすいため手術よりは放射線化学療法を行うことがよいと考えられた。
  • 稲垣 康治, 齋藤 康一郎, 磯貝 豊, 高岡 卓司, 藤峰 武克, 長西 秀樹, 小川 郁
    2008 年59 巻1 号 p. 36-41
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/25
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    喉頭疾患に対して局所麻酔下にファイバースコープを用いる手術は,開口制限や頸部伸展不良などの理由で喉頭直達鏡下手術が困難な症例や全身麻酔にリスクのある症例あるいは挿管チューブがないことでより良好な術野が得られる披裂部病変などの手術に対して非常に有用である。局所麻酔下手術は良好な視野が得られ,かつ低侵襲であるという利点がある一方で,摘出した病変の気管への落下を阻止し,出血を抑え,なおかつ患者に苦痛を与えないよう,十分な配慮が必要である。
    今回われわれは,下顎前突症術後で開口制限のある36歳女性の挿管性巨大肉芽腫症例に対し,局所麻酔下に経鼻・経口でそれぞれ挿入した2本のファイバースコープを併用して手術を行った。出血を最小限に抑えて短時間で腫瘤を切除する手段として,高周波スネアの利用を試みた。腫瘍はそれぞれのファイバースコープを通した高周波スネアと把持鉗子を用いて,低侵襲かつ安全・確実に摘出された。今回試みた手術方法は,喉頭展開困難例や全身麻酔にリスクのある症例の喉頭病変に対するアプローチ法の一つとして有用であると思われた。
  • 津田 祥夫, 梅野 博仁, 千年 俊一, 中島 格
    2008 年59 巻1 号 p. 42-47
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/25
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    気管に発生する乳頭腫の多くは喉頭からの播種による下方進展症例が多く,単独で気管に認める症例は少ない。今回われわれは主病変として気管原発が考えられ,咳嗽・呼吸などで上方に病変が播種したと思われた喉頭・気管乳頭腫の症例を経験した。
    症例は28歳男性で,主訴は組織片の喀出,血痰,呼吸困難感であった。声帯より約1cm下方に2カ所の小隆起病変を認め,さらに声帯より約4cm下方の気管にも気管膜様部を中心に全長約3cmの淡紅色の脆弱な房状の腫瘤を認めた。治療は全身麻酔下に気管環状切除術(第2気管~第6気管)と気管端々吻合術を,小隆起病変に対してはYAGレーザーによる腫瘍蒸散術をおこなった。術後,皮下気腫,声帯麻痺,喉頭浮腫などの合併症は認めず,3年経過した現在でも乳頭腫の再発,気管狭窄所見は認めていない。乳頭腫治療としては外科的切除術やレーザー治療があるが,病変の存在部位によって切除方法の選択には十分な検討が必要と考えられた。
  • 松浦 徹, 間島 雄一
    2008 年59 巻1 号 p. 48-51
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/25
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    頸部の気腫を伴った特発性縦隔気腫はまれな疾患である。患者は17歳女性,咽頭痛にて受診,胸部X線,CTにて縦隔内,右頸部に空気を認めた。血液検査,喉頭鏡による検査では異常は認めなかった。この患者は基礎疾患なく,特発性縦隔気腫と診断された。臥床安静と予防的抗生剤投与により10日目には気腫は消失した。特発性縦隔気腫発症後6カ月再発は起こしていない。
  • 設楽 芳範, 田中 司玄文, 石橋 康則, 吉田 武史, 根岸 健, 鈴木 豊, 神坂 幸次, 桑野 博行
    2008 年59 巻1 号 p. 52-55
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/25
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    気管原発腺様嚢胞癌に対し胸骨正中切開による気管の剥離と胸腺による吻合部の被覆,頸部の前屈で良好な結果を得た気管管状切除の1例を経験したので報告する。症例は26歳女性。呼吸困難が出現し近医受診,気管支喘息の重積発作が疑われ当院に救急搬送された。気管内挿管により気道確保した。精査の結果,縦隔気管の腺様嚢胞癌と診断された。手術は胸骨正中切開にて前縦隔に達し,気管周囲の剥離を気管分岐部まで行い,気管を4cm(5軟骨輪)管状切除した。端々吻合を行い,吻合部を胸腺で被覆した。肺門や喉頭の授動は行わなかった。頸部の前屈位固定を2週間行った。第8病日に抜管し第30病日に独歩退院した。気管の剥離と胸腺による吻合部の被覆,頸部の前屈は安全で有用な方法と考えられた。
  • 原 正, 島田 英雄, 千野 修, 西 隆之, 木勢 佳史, 葉梨 智子, 釼持 孝弘, 山本 壮一郎, 幕内 博康
    2008 年59 巻1 号 p. 56-59
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/25
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    症例は71歳,女性。平成16年11月当院にて難治性良性食道狭窄に対し非開胸食道抜去,胸壁前経路胃管再建を施行した。また3カ月前から腰痛症にてNSAIDを内服している。今回,平成17年4月胃管に一致した前胸部に皮膚の発赤と同部位からの出血を認め当科を受診した。緊急内視鏡にて胃管潰瘍穿孔と診断され入院となった。入院後はNSAIDを中止し,禁食,高カロリー輸液,PPIによる保存療法を行った。改善傾向を認め経口摂取開始後退院となった。同年8月,再び前胸部の出血を認め胃管潰瘍の再燃・穿孔の診断で入院となった。初回と同様の治療を行い穿孔部は閉鎖,潰瘍自体も改善傾向となったが経口摂取開始後に再び増悪した。Helicobacter pylori感染は陰性であった。内視鏡所見では潰瘍底に手術時のstapleを認めこれが再燃・治癒遷延の要因と考えられ内視鏡的に除去した。以後速やかに改善し同年11月退院となった。
  • 長谷川 恵子, 川上 理郎, 二村 吉継, 寺田 哲也, 櫟原 崇宏, 林 伊吹, 西川 周治
    2008 年59 巻1 号 p. 60-64
    発行日: 2008/02/10
    公開日: 2008/02/25
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    近年,頭頸部外科領域では,頸部エコーなどの医療器機の進歩にともない,直径1cm以下の微小甲状腺癌が発見される機会が増加した。しかしながら,その治療方針に関しては,いまだ一定した見解を得ないのが現状である。今回,われわれは診断に苦慮した原発不明頸部乳頭癌の1例を経験したので,甲状腺微小癌の取り扱いについての若干の文献的考察を加え報告する。
用語解説
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