披裂軟骨内転術(Arytenoid Adduction:AA)は主に声門間隙の広い片側声帯麻痺症例に適応となるが,なかには内転だけでは音声の改善が得られない症例も存在する。その際には甲状軟骨形成術I型(I型)さらに同IV型(IV型)を併用すると効果的なことが多い。
今回われわれは,AAにI型,IV型を併用した症例の検討を行った。
症例は1994年~2006年に一色クリニック・京都ボイスサージセンターにおいて,片側喉頭麻痺に対してAAを施行した52例である。手術前後の音声の評価には最長発声持続時間(MPT), Alternating Current / Direct Current Ratio (AC/DC比),GRBAS評価を用いた。
手術中に,まずAAを施行し音声モニタリングし,改善度によってI型を併用するかどうかを判断した。52例中AA単独で音声が改善し得た症例は6例のみと少数であり,I型併用が必要であった症例が46例と多数であった。I型併用した46例のうち7例には,さらにIV型が併用された。
術前平均MPTはAA群では5.3秒,AA+I型群では4.1秒,AA+I型+IV型群では3.3秒であり,術前平均が悪い症例ほど併用術式が多い傾向があった。術後平均MPTはAA群では9.8秒,AA+I型群では12.3秒,AA+I型+IV型群では11.4秒に改善した。
AAの利点のひとつにオプションの併施が容易であることがあげられる。術中の音声モニタリングにて効果が不十分である際にはI型やIV型の併用を術中に考慮し,必要に応じて併施することが可能である。
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