日本気管食道科学会会報
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59 巻, 4 号
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原著
  • 内藤 理恵, 林田 哲郎, 内藤 玲, 渡辺 剛士, 山田 智佳子, 渡辺 由季, 萩沢 美帆
    2008 年59 巻4 号 p. 373-380
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/25
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    当科では,1990年以降,330例以上の難治性誤嚥をきたした神経筋疾患症例に対し,喉頭気管分離・気管食道吻合術を施行している。今回われわれは,2000年以降に喉頭気管分離・気管食道吻合術を施行した128症例について,当科での本術式施行の現状を含め,臨床統計的検討を行った。
    喉頭気管分離・気管食道吻合術後に瘻孔形成をきたしたのは,128例中8例であった。瘻孔形成の要因としては,低栄養などの創傷治癒機転の障害による気管食道吻合部の縫合不全に加えて,頸部喉頭の挙上運動による気管食道吻合部の安静困難の関与が疑われた。
    頸部喉頭の不随意運動が著しい症例では,周術期の栄養管理とともに,気管食道吻合術後に十分頸部喉頭の鎮静を行うことが,術後合併症である瘻孔形成の発生率低下につながる可能性があると思われた。
  • 中村 一博, 一色 信彦, 金沢 英哲, 讃岐 徹治
    2008 年59 巻4 号 p. 381-387
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/25
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    披裂軟骨内転術(Arytenoid Adduction:AA)は主に声門間隙の広い片側声帯麻痺症例に適応となるが,なかには内転だけでは音声の改善が得られない症例も存在する。その際には甲状軟骨形成術I型(I型)さらに同IV型(IV型)を併用すると効果的なことが多い。
    今回われわれは,AAにI型,IV型を併用した症例の検討を行った。
    症例は1994年~2006年に一色クリニック・京都ボイスサージセンターにおいて,片側喉頭麻痺に対してAAを施行した52例である。手術前後の音声の評価には最長発声持続時間(MPT), Alternating Current / Direct Current Ratio (AC/DC比),GRBAS評価を用いた。
    手術中に,まずAAを施行し音声モニタリングし,改善度によってI型を併用するかどうかを判断した。52例中AA単独で音声が改善し得た症例は6例のみと少数であり,I型併用が必要であった症例が46例と多数であった。I型併用した46例のうち7例には,さらにIV型が併用された。
    術前平均MPTはAA群では5.3秒,AA+I型群では4.1秒,AA+I型+IV型群では3.3秒であり,術前平均が悪い症例ほど併用術式が多い傾向があった。術後平均MPTはAA群では9.8秒,AA+I型群では12.3秒,AA+I型+IV型群では11.4秒に改善した。
    AAの利点のひとつにオプションの併施が容易であることがあげられる。術中の音声モニタリングにて効果が不十分である際にはI型やIV型の併用を術中に考慮し,必要に応じて併施することが可能である。
  • 佐藤 克郎, 山本 裕, 渡辺 順, 早坂 修, 高橋 姿
    2008 年59 巻4 号 p. 388-394
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/25
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    新潟大学医歯学総合病院耳鼻咽喉科音声外来における,15歳以下の小児受診例の疾患分布と音声機能検査成績につき検討した。全受診者のうち,小児の割合は7%であった。疾患分布では声帯結節が62%と過半数を占め,次いで喉頭に器質的病変のない音声障害が22%で,声帯ポリープ4%,喉頭炎4%,声帯麻痺3%,正常例3%,ポリープ様声帯2%と続いた。声帯結節症例の平均年齢は8.2歳で,男性が女性の約3.5倍と多く,特に低年齢男児の声帯結節症例が多かった。器質的病変のない音声障害症例は平均11.4歳で,男性が女性の3倍と多かった。男性の年齢が高く,声変わり障害の症例が多いためと思われた。小児声帯結節症例の声門閉鎖不全の病態把握には,MPT,MFRの両者とも重要と考えられた。小児声帯結節症例は成年例よりも特にmax SPLが大きく,小児における声の濫用の習慣が反映されていた。小児声帯結節症例のF0は成年例よりも男女差が少なく,変声前の小児の音声機能の特徴が反映されていた。
  • 千々和 秀記, 進 武一郎, 坂本 菊男, 梅野 博仁, 中島 格
    2008 年59 巻4 号 p. 395-400
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/25
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    2000~2005年に久留米大学病院耳鼻咽喉科で下咽頭局所進行癌に対して咽喉食摘あるいは咽喉摘を行った48症例を対象とし,NACの有用性について検討した。NACによる奏功度は,原発巣に対してはPRが13例 (54%),NCが11例 (46%),リンパ節に対してはPRが9例 (38%),NCが15例 (62%) であった。生存率,遠隔転移制御率はNAC群とnon-NAC群を比較した結果,両者間に統計学的に有意な関係は認めなかったが,NAC群のほうが良い傾向があった。遠隔転移はNAC群が5例 (21%),non-NAC群が10例 (42%) に認めた。また,生存期間および遠隔転移出現までの期間はNAC群とnon-NAC群では差を認めなかった。奏功度別の生存率は,原発巣の効果がPR例の3年生存率は92%,NC例では28%であった (p =0.02)。また,リンパ節の効果がPR例の3年生存率は100%,NC例では41%であった (p =0.01)。すなわちNACは予後を推測する一つの指標として有用な治療と考えられた。
  • 三輪 正人, 山口 晋太郎, 中島 規幸, 村上 敦史, 渡辺 建介, 高山 賢哉, 一和多 俊男, 長尾 光修
    2008 年59 巻4 号 p. 401-405
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/25
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    咽喉頭酸逆流症(laryngopharyngeal reflux disease, LPRD)など食道外の胃食道逆流症の粘膜上皮の病態をより明らかにするため,摘出モルモット気管の酸暴露モデルを作成し,電気生理学的検討をおこなった。塩酸を頂膜側より投与しpHを変化させると,pH 2より短絡電流は増加し,気管粘膜は電気的にleakyになることが認められた。一方,ペプシンは,今回の実験では電気的バリアに対する効果は認められなかった。1N塩酸投与後,実験的にプロトンポンプインヒビターであることが知られ耳鼻咽喉科外来で粘膜の局所処置に用いられている塩化亜鉛(0.5%)を頂膜側より追加投与すると,塩酸による気管粘膜の電気的バリアは回復した。1N塩酸暴露後,基底側からの10μMランソプラゾール投与は,今回の実験系においては,気管上皮の電気的バリアに影響を及ぼさなかった。この実験系を用いることにより,新たなLPRDに対する治療戦略が得られる可能性があり,さらに詳細な検討が必要であると思われた。
  • 一和多 俊男, 内山 健二, 小島 寿郎, 高山 明美, 池上 岳, 赤坂 圭一, 高山 賢哉, 藤原 寛樹, 長尾 光修, 三輪 正人, ...
    2008 年59 巻4 号 p. 406-413
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/25
    ジャーナル 認証あり
    成人喘息における難治化因子として,肥満と性差が注目されている。今回,われわれはAsthma Control Test (ACT)によるアンケート調査を施行した当科外来通院中の喘息患者を対象にして,肥満や性差などの患者背景因子と病状との関連性について検討した。対象は,気管支喘息患者107名(男性42名,女性65名,平均年齢59.1±14.3歳,BMI 23.4±3.9kg/m2)で,Poor control 24名, Well control 24名,Total control 59名であった。性差および肥満有無別に4群に分けた各群のPoor control患者数の比率は,女性・非肥満群17.8%,女性・肥満群35.0%,男性・非肥満群24.1%,男性・肥満群15.4%であった。肥満女性患者にコントロール不良症例が多く,肥満女性の難治性喘息患者に対する治療として,減量が重要と考えられた。
  • 柴 啓介, 永田 博史, 沼田 勉
    2008 年59 巻4 号 p. 414-421
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/25
    ジャーナル 認証あり
    気管端々吻合による気道再建は一期的に完成し,気道内腔が正常気管粘膜に覆われるので理想的気管再建術といえる。また輪状軟骨レベルの気道狭窄に対しても,輪状軟骨腹側部分を切除し気管断端と甲状軟骨を吻合する輪状軟骨気管切除術cricotracheal resectionにより対処できる。われわれが過去3年間に行った,端々吻合術による気道再建13症例を報告する (気管環状切除9例,輪状軟骨気管切除4例)。気道欠損長は2~7cmであった。気道欠損が長かった症例では,気管前壁の剥離にて気管の可動性をあげ,術後は頤部と前胸部皮膚を縫合して頸部の前屈を保持させた。全例において喉頭リリースを行わずに端々吻合法によって気道再建が可能であった。4例は両側反回神経麻痺を合併していたが,声帯外転術を施行した症例を含めて,最終的に誤嚥なく経口摂取可能であった。気管孔を作製した9症例のうち気管孔閉鎖できたのは8例であり,残り1例も閉鎖予定である。
症例
  • 山内 彰人, 樫尾 明憲, 木村 美和子, 二藤 隆春, 田山 二朗, 前田 大地, 牛久 哲男, 深山 正久
    2008 年59 巻4 号 p. 422-429
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/25
    ジャーナル 認証あり
    喉頭アミロイドーシスは喉頭に生じる良性腫瘍の1%に満たない比較的稀な疾患とされる。われわれは1983年から2007年までに東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科を受診した喉頭アミロイドーシス9症例を対象に臨床的検討を行った。
    男性2名,女性7名,平均年齢は59歳だった。主訴は嗄声が5例と多く,病変の部位では喉頭限局例は5例で,声門上病変は6例,声門部病変は5例,声門下病変は2例であった。初診時に診断が未確定だった7例のうちで,3例は組織診前にアミロイドーシスを疑った。全例に対して全身検索を行った結果,全例で限局型結節性アミロイドーシスと診断された。このうちの1例は喉頭病変の他に気管気管支病変を認めた。免疫組織化学的検索では全例がAL型アミロイドーシスであった。初診時からの経過観察期間は平均4年4カ月で,6例は喉頭微細手術による腫瘤の減量を施行し,そのうちの2例は病変が再度増大したため複数回の手術治療を行った。
  • 落合 敦, 正來 隆, 堀口 利之, 岡本 牧人
    2008 年59 巻4 号 p. 430-433
    発行日: 2008/08/10
    公開日: 2008/08/25
    ジャーナル 認証あり
    声帯ポリープは外見や色調などがさまざまであり,腫瘍,嚢胞,結核や肉芽腫などと鑑別を要する。今回われわれは声帯ポリープに混在した声帯嚢胞の1症例を経験したので報告する。症例は53歳,女性。主訴は嗄声。喫煙歴は1日10本,30年。職業は洋服販売員。現病歴は平成16年7月頃より嗄声が出現し,以後改善,増悪を繰り返していた。平成17年1月当院初診。喉頭ファイバースコピーにて左声帯前1/3に黄色の腫瘤を認めた。同年4月全身麻酔下に喉頭微細手術を行った。直達喉頭鏡下では前交連に表面平滑,黄色の腫瘤を認め,左声帯前1/3に茎を有することが判明した。茎の基部を鋏にて切断し腫瘤を摘出した。腫瘤は3×3×6mm大,表面平滑,黄色,弾性軟であった。病理組織学的検査では蛋白液貯留を伴う拡張した嚢胞を認め,嚢胞周囲の間質には浮腫およびフィブリンの析出を認めポリープの所見であった。本症例の発生機序として,喫煙,職業上の音声の酷使によりポリープが発生し,このポリープのため以後改善,増悪を繰り返しつつも依然喫煙,音声の酷使を続けていたため炎症を生じ,声帯の喉頭腺管が閉鎖され貯留嚢胞が発生したのではないかと考えられた。
用語解説
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