呼吸器は気管から呼吸細気管支に至る管腔臓器の部分と,肺胞を中心にした実質臓器の部分からなっている。
気管から肺門部までの気道の診断は,ほとんどが電子気管支鏡による肉眼的な観察であるが,自家蛍光(AFI),狭帯域観察(NBI)や,超音波(EBUS)による診断も一部では行われている。将来的には拡大観察や,光コヒーレント断層(OCT)での観察などにより,内視鏡的に病理学的な診断が行えるようになることが期待されている。
肺門より末梢の気道の診断に以前は気管支造影が用いられていたが,被検者の負担も多く近年は行われていない。代わって高分解能CT画像からの気管支の3次元再構成や極細径気管支鏡の開発が行われており,今後の普及が期待されている。
末梢肺野病変の画像診断には高分解能CTやFDG-PETが用いられ,確定診断には経気管支鏡的生検が行われることが多い。生検器具の誘導に一般にはX線透視が行われているが,最近ではCTあるいは超音波ガイド下での生検も行われ,診断率の向上に役立っている。将来的には画像診断と内視鏡の誘導技術の更なる融合がはかられ,微小な異常部位から的確に標本の採取が可能なシステムの構築が望まれている。
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